アベルがぱんつを洗います。なんでや……。
では、本編どぞ。
第三百二十三話 洗濯とカボチ村来訪
アベルは近くの小川に向かい、独り呟く。
「洗うって言っても……その前に……(いいかな……?)」
手にはアリアの紐パンが握られており、そっとそれを自分の鼻元へと近付けた。
「っ、クサッ……これ、プックルの唾液のニオイだ……ちっ!」
未知の香りを嗅げるかと思って嗅いだ紐パンはプックルの口のニオイがした。
――アリアのニオイが嗅げると思ったのに……! プックルめっ。
変態行為ではあるが、今は誰も見ていないので問題ナシ。
アベルはピラッと紐パンを広げる。
「っ、えっちな下着だなあ……これをアリアが穿いていたと思うと……(興奮しちゃうよ……!)」
フーッフーッと、アベルの鼻から興奮冷めやらぬ熱のこもった吐息が漏れていた。
未来で【エッチなしたぎ】なるものと出逢うことになるわけだが【アリアの紐パン】も純白で可憐なデザインながら、中々セクシーである。
「ハッ!? いかんいかん……。洗って返してあげないと……」
アベルの目の前に清らかな小川が見えた。
綺麗に洗って早く乾かさないと明日アリアが穿けない。アベルは腰を下ろし紐パンを洗おうとして気が付く。
「あ、水洗いじゃ落ちないか……。昔サンチョが石鹸で服を洗ってたっけ……。石鹸か……、確かアリア持ってたよね……」
そういえばポートセルミの道具屋でアリアが石鹸を買っていたな、と思い出した。
アリアは多分もう眠っているだろうが、勝手に石鹸を借りるくらいなら許してくれるはずだと、アベルは一度馬車に戻ることにしたのだった。
◇
馬車に戻って来たアベルはキャビンに乗り込み、一応アリアに声を掛けてみる。
「アリアー……、寝てるところ ごめん、えっと……石鹸を借りたいんだけ……ど…………」
アベルが眠るアリアに声を掛けるが、アリアはぐっすり睡眠中だった。
キャシーと手を繋ぎ、すやすやと安らかに眠るアリアの寝顔にアベルは手で口元を覆い悶絶する。
「っ……!(寝顔が可愛い……! そして、おっぱい……!)」
アリアが使っていた毛布はいつも通り捲れ、仰向けの柔らかいたわわが規則的に上下していた。
「っ……アリアのおっぱい……柔らかいんだよね……っ……(触っちゃダメだ……っ!)」
アベルは たわわに吸い寄せられるように片手を伸ばすが、もう片方の手でそれを止める。
“触りたい”“触らせない”……両腕の力は互いに拮抗していた。
――アベルダメだっ! まだ彼女は僕の彼女になっていないんだ! 今は我慢の時だ……! 無断で触って嫌われたらそこで終わる……!!
いつかアリアが僕を受け入れてくれたその時、その時に触れればいい!
アベルは何とか自制しアリアに毛布を掛け直す。
そして、彼女の鞄が枕元にあるのを見つけ、石鹸を拝借すると逃げるようにキャビンから飛び降りた。
「っ……あぁ……もぅ……。目の毒だよ……(触りたい……!)」
アベルはその後小川で【アリアの紐パン】を丁寧に洗い、焚火に当てて乾かす。
そして紐パンが短時間の内に乾くと、それを手にして立ち上がりどこかへフラフラと歩いて行ってしまい、しばらく焚火に戻って来なかった。
……――しばらくの、
「フニャー」
「……プックル火の番ご苦労さま。もう大丈夫だよ。プックルもそろそろ眠いでしょ? 眠っていいよ」
焚火に戻って来たアベルは随分と落ち着いた様子でプックルの頭を撫でる。
プックルはアベルに言われるままに目を閉じた。
「…………ふぅ……。もう少ししたらピエールを起こそうかな」
――アリアのぱんつ……、いいな……!
アベルは綺麗になった【アリアの紐パン】を目の前に掲げ、冷静に眺める。
明日アリアがこれを穿くのかと思うと、せっかく冷静になった思考が再びピンクに染まって行く気がした。
この下着がなくとも、下心抜きにしてもアリアにはいつでも触れたいと思ってしまう。
彼女の髪に、頬に、肩に……何度か抱きしめたことはあるが、いくら抱きしめても足らないくらいだ。
「……っ、アリア……。毎晩僕をこんな気持ちにさせちゃってさ……。責任取ってよ……」
焚火に木を焼べながらアベルが小さく呟く。
アリアに熱を上げ過ぎているアベルは、時々アリアを恨めしく思っていた。
それでも彼女との約束を破らないように努めているわけだが……、
「……そろそろ、もたないかもしれないな……」
――アリア、僕は君が大好きなんだよ。知ってるよね……?
アベルは膝を抱え俯き、泣きたくなる。
誤魔化さない、嘘偽りのない自分の気持ちを彼女に伝えたい。
いつ死ぬともわからない旅路だ。このまま何も言わずに想いを抱えているのが苦しくて仕方なかった。
いつだって“君が好きだ”と伝えたいのに、彼女は自分の気持ちを知っているくせに言うなと口止めする。
彼女と一緒にいる為の約束だから守るほかない。
一緒に居たい、君に触れたい。
離れたくない。
けれど伝えたい。
自分がこんなにも君を想っているってこと、知って欲しい。
この想いは、アリアには迷惑なのだろうか……?
ぱちぱち、ぱちぱち。
焚火が爆ぜる。
胸の痛みを抱え、夜は更けていく。
アベルが顔を上げ、木々の合間空を仰ぐと頬を熱い何かが一度だけ……零れ落ちた。
◇
そして次の日、夜が明け雨が降りそうな曇天模様の中、アベル達はカボチ村へ昼過ぎに辿り着く。
途中で紫色の動く呪いの人形【ミステリードール】の【ミステル】が仲間になったが、首から下、身体を回転させるミステルにプックルが興味を持ったらしく、激しくじゃれついていた。
回転を速めようとプックルが爪を立てミステルの身体を回す。
するとミステルの目は驚きに満ち見開かれ、目玉を左右に忙しなく動かし混乱しているかの様にアベルに訴えかけるので、ミステルはモンスターじいさんの元へと送っている。
彼なのか彼女なのかはわからないが、ミステルはプックルと相性が悪いのかもしれない……。
「…………アリア、このままポートセルミに戻らない? ほら、もうプックルは悪さしないしさ」
カボチ村の入口でアベルは村に入るのを
「え……? どうして……? 問題が解決したこと 言ってあげた方が良くない?」
「……っ、ここはちょっと……。けど、アリアがそう言うなら まあいいか……」
アリアが不思議顔で首を傾げるので、アベルは気まずそうにはにかむ。
「……アベル……?(どうしちゃったの……? 何か元気がない感じ……?)」
「……村長に報告して、ポートセルミに向かおう」
「う、うん……」
アベルの様子がおかしいことに気付いたものの、アベルが村長の家に向かうのでアリアはついて行った。
◇
村長に事の顛末を報告……と、アベル達は村長の家へとやって来る。
アリアはここでアベルが気まずそうな顔をしていた意味を知ることになった。
「わかってるだ。なーーーんにも言うな。金はやるだ。約束だかんな。また化け物をけしかけられても困るだし……」
「ちょっ、どういうことですか!? アベルはそんなことしないわっ」
村長が報告に来たアベルを見るなり、金を差し出す。
アリアが抗議する中、アベルは1500ゴールドを受け取った。
「もう用はすんだろ。とっとと村を出て行ってくんろっ」
臭いものでも嗅いだように鼻に皺を寄せ村長はシッシッと手を払う。
「ちょっとっ! 問題解決したのに酷いじゃないですか! 依頼人さんっ、どうなってるの!?」
「話は聞いただ……あんたは化け物とグルだったんだってな。あんたを信用したオラがバカだったよ」
難しい顔で村長の隣に座る依頼人の農夫にアリアは食って掛かったが、農夫はアベルを睨み付ける。
アベルは一言も発さず俯き黙っていた。
「アベルは何も悪くないっ! プックルだって、お腹が空いてどうしようもなくて畑を荒らしちゃっただけで……。だからこうして報告に来たのに……!」
「……娘さん。けんどワシら、それで苦しんどっただ。旅のもんにはわからんかもしれんがな。とっとと出て行ってくんろっ」
「っ……! でもこれはあんまりだわ……」
アリアが抗議を続けたが、農夫は腕組みしてフンッと鼻息荒く“お帰りはあちら”とぶっきらぼうに背後の扉を親指で指す。
そんな中テーブルの向かいで、プックルがもう一人の農夫に謝罪を込めた挨拶をしていた。
「がうっ」
――すまなかったな、もう畑を荒らすことはないぞ。安心するが良い。
プックルが農夫に語り掛けると、農夫の顔が恐怖に歪んだ。
「ひいぃぃ~! オラは何も言うとらんし見とらんぞ」
「クオ~ン……」
――すまなかった、この通りだ。
怯えられてしまったので、プックルは再度謝罪する。
……のだが。
「ひいぃぃ~!」
農夫には伝わらなかった。
「…………、…………プックル、おいで」
「がう」
アベルが漸く口を開き、俯いたままプックルを呼び寄せる。
「アリアも……、行こう?」
「っ、アベル……」
顔を上げてアリアを呼ぶアベルの顔は哀し気だった。
ぱんつは臭い。
思春期真っ只中のアベルさん。性にのめり込んでますな!
そしてミステリードールに関しては後日加筆したため、今回ちょっと長くなってしまいました……。
パーティー>アベル・アリア・ピエール・プックル
馬車の中>スラりん・ドラきち・コドラン・キャシー
out:ミステル(モンスターじいさん送り)