ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

やっとかーい!

では、本編どぞー。



第三百二十九話 雨の中の告白

 

 

 

 

 

 数時間後――。

 

 

「……ぁ……。寝てた……」

 

 

 アベルが目を覚ますと、辺りは暗くなっていた。

 雨はまだ降り続いているが、眠る前からすれば随分と弱まった気がする。

 

 

「……アリア心配してるかな……」

 

 

 アベルは馬車から飛び降りて家へと向かった。

 

 

「ああ、主殿! どちらに居られたので!? アリア嬢と会われませんでしたか?」

 

 

 家に入った途端、ピエールがやって来てアリアはどこかと訊ねられる。

 

 

「え……? 会ってないけど……?」

 

「っ!? アリア嬢は主殿を呼びに馬車に向かったはず」

 

「えっ、アリア来たの!? 知らないよ!?」

 

 

 ピエールの言葉にアベルの目が見開いた。

 

 

「……主殿と一緒に居られるものと……、邪魔をするのも野暮かと思いそっとしておいたのですが……」

 

「っ、それってアリアが居なくなったってことか……!?」

 

「っ……そのようです……。すぐ! すぐ捜して参ります!!」

 

 

 ピエールは慌てた様子で家を出て行った。

 アベルも直ぐさま家を出る。

 

 

「っ、アリアーーッ!!」

 

 

 アベルがアリアの名を呼ぶが雨音に掻き消され、声は(むな)しく溶けていった。

 

 

「っ、なんでっ……なんでいつも居なくなるんだよぉ……っ!」

 

 

 アベルはピエールが行く方向とは逆の方へと向かい、アリアを捜す。

 

 

「アリアーーッ!」

 

 

 もしかしたら馬小屋に居るかもしれない。

 アベルは馬小屋へと向かい、戸を開く。

 

 しかし、中にはパトリシアとノアしか居なかった。

 

 

「……っ、いったいどこに……」

 

 

 ――アリアは臆病だ、そんな遠くに行くはずはない。

 

 

 アベルは暗がりの中、家の周りを重点的に捜すことにした。

 ところが家の周りを歩いても見つからないので、崩れた家々も一応捜す。

 

 

「主殿!」

 

「アリア居た!?」

 

 

 背後からピエールに声を掛けられ、アベルはアリアが見つかったか訊ねた。

 

 

「っ、いえ……どこにもいらっしゃいません……。おかしいな……。アリア嬢は一人でそんな遠くに行くようなことをする方では……」

 

 

 ピエールは腕組みをして首を捻る。ピエールを背負うアンドレが疲れたような顔をしていた。

 そういえば今日は雨の中の移動と戦闘と、屋根の修理で一日動き続けている。彼は大男の家に入ったところで、一人勝手に寛ぐような騎士ではない。

 

 アベルの居ない時のピエールは彼の代わりを果たすため、仲魔達の面倒を買って出るような忠義の騎士(ナイト)なのだ。

 

 アリアが居たら多少違うのだろうが、そのアリアもアベルを呼びに出ているわけで……。

 ピエール自身は疲れを見せるような真似はしないが、アンドレの顔を見れば疲れているのは一目瞭然。

 

 

「ピエール、君、一日中ずっと動いてて疲れてるだろう? 君は家に戻って休んで。僕がもう少し捜して、ダメだったら交代で捜そう」

 

「……っ、はい。やむを得ませんね……」

 

 

 やはり疲れていたのだろう、アベルの気遣いにピエールは否定しなかった。

 アベルは疲れの溜まったピエールを家で休ませることにし、引き続き一人でアリアを捜すことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ、はぁっ……どこにも居ない……! まさか僕に似た男ってやつに攫われたりは……」

 

 

 雨の中、崩れた集落の中を捜しながら ふと口にした言葉にサーッと、アベルの背中が冷えてゆく。

 

 

 ――アリアを傷付けた男が、アリアを攫う……?

 

 

 たまたま前はアリアが無事だったが、次も無事とは限らない。

 

 

(アリアが危ない……!)

 

 

 ラインハットを後にしてから初めての出来事が多過ぎて、予測が追い付かないアベルの顔は青褪めていた。

 

 

「っ、アリアーーッ!!」

 

 

 アベルは馬車に戻り、可能性は薄いがもしかしたらとキャビンを覗いてみる。

 

 

「…………やっぱり居ない……、アリアーーッ!」

 

 

 

 

 “んん……、ぅん……? はぁーい”

 

 

 

 

 アベルの大きな呼び声に、馬車の下から返事が聞こえた。

 

 

「……え?」

 

 

 聞こえた声の方へとアベルは身を屈め、キャビンの下を覗く。

 すると、なんと!

 

 

「……ぁ、もう真っ暗……。ふぁ……。寝過ぎちゃった……」

 

 

 アリアが馬車の下から もそもそと出て来たのだった。

 

 

「あ、アリア……? 何で……そんなとこに……」

 

「あ、アベル、おはよう! って……もう真っ暗だね……。アベルが馬車で眠ってたから起こしちゃ可哀想だなって思って……。雨酷かったでしょ? 濡れちゃうから馬車の下で待ってたの。そしたら眠くなって来ちゃって……寝ちゃってたみたい。……お家に戻ろ?」

 

 

 目蓋をぱちくりさせるアベルにアリアが朗らかな笑みで告げて、家へと戻ろうとアベルに背を向け歩き出す。

 

 

「っ……アリアっ!!」

 

 

 アベルは堪らずアリアを背後から抱きしめていた。

 

 

「わっ……!? ア、アベル……?」

 

 

 ――ど、どうしたのっ!?

 

 

 背後からハグされ、アリアは目を見開く。

 

 

「アリアっ、アリアっ……、アリアっ……! 無事でよかった……! また攫われたのかと思ったよ……!」

 

 

 アベルはアリアをきつく抱きしめ、彼女の首筋に顔を埋めた。

 アベルの腕や手が小刻みに震えている。

 

 

「ンッ……擽ったい……。やだなぁ……、無事に決まってるでしょ……? 誰の傍に居ると思ってるの……?(アベル震えてる……?)」

 

「え……?」

 

 

 アリアは身を捩りながら片手を伸ばし、自分の首元に顔を埋めるアベルの頭を撫でてやった。

 

 

「アベルの傍に居るんだもの……、私はいつだって無事でしょ?」

 

「ぁ……っ、……そうだよ……。僕が傍に居るんだ、無事に決まってるよね……!」

 

 

 いい子いい子と頭を撫でられたアベルは顔を上げてアリアを覗く。彼女も目線を合わせるように顔を上げた。

 

 

「でしょぉ? ……ふふっ、震えちゃって……。アベルの真下に居たのに心配したの?」

 

 

 優しく穏やかな声で、アリアは微笑む。

 するとアベルは一瞬黙り込んだ。

 

 

 そして。

 

 

「した」

 

「ん?」

 

「君が居なくなったんじゃないかって、心配したよアリアっ!」

 

 

 アベルは再びアリアを力強く抱きしめ、彼女を自分の腕の中へと隠してしまう。

 

 

「っ……苦しい……っ!」

 

 

 ――ちょ、アベル、チカラ強過ぎだよ……! ギブ、ギブ……ッ!

 

 

 あまりの腕の力強さにアリアは骨が折れてしまうのではないかと、ちょっと不安になってしまった。

 アベルの腕をぺちぺちと叩くが、ビクともしない。

 

 

 ぐるじぃ……!

 

 

 アリアは何とか抜け出そうと もぞもぞ動く。

 するとアベルがアリアの耳元で囁いた。

 

 

 

 

「…………アリア……僕は君が好きだ」

 




アベルここに来て漸く告白。
次回、雨降って地固まる。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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