ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

やっとかーい!

では、本編どぞー。



第三百二十九話 雨の中の告白

 

◇

 

 

 

 

 数時間後――。

 

 

「……ぁ……。寝てた……」

 

 

 アベルが目を覚ますと、辺りは暗くなっていた。

 雨はまだ降り続いているが、眠る前からすれば随分と弱まった気がする。

 

 

「……アリア心配してるかな……」

 

 

 アベルは馬車から飛び降りて家へと向かった。

 

 

「ああ、主殿! どちらに居られたので!? アリア嬢と会われませんでしたか?」

 

 

 家に入った途端、ピエールがやって来てアリアはどこかと訊ねられる。

 

 

「え……? 会ってないけど……?」

 

「っ!? アリア嬢は主殿を呼びに馬車に向かったはず」

 

「えっ、アリア来たの!? 知らないよ!?」

 

 

 ピエールの言葉にアベルの目が見開いた。

 

 

「……主殿と一緒に居られるものと……、邪魔をするのも野暮かと思いそっとしておいたのですが……」

 

「っ、それってアリアが居なくなったってことか……!?」

 

「っ……そのようです……。すぐ! すぐ捜して参ります!!」

 

 

 ピエールは慌てた様子で家を出て行った。

 アベルも直ぐさま家を出る。

 

 

「っ、アリアーーッ!!」

 

 

 アベルがアリアの名を呼ぶが雨音に掻き消され、声は空(むな)しく溶けていった。

 

 

「っ、なんでっ……なんでいつも居なくなるんだよぉ……っ!」

 

 

 アベルはピエールが行く方向とは逆の方へと向かい、アリアを捜す。

 

 

「アリアーーッ!」

 

 

 もしかしたら馬小屋に居るかもしれない。

 アベルは馬小屋へと向かい、戸を開く。

 

 しかし、中にはパトリシアとノアしか居なかった。

 

 

「……っ、いったいどこに……」

 

 

 ――アリアは臆病だ、そんな遠くに行くはずはない。

 

 

 アベルは暗がりの中、家の周りを重点的に捜すことにした。

 ところが家の周りを歩いても見つからないので、崩れた家々も一応捜す。

 

 

「主殿!」

 

「アリア居た!?」

 

 

 背後からピエールに声を掛けられ、アベルはアリアが見つかったか訊ねた。

 

 

「っ、いえ……どこにもいらっしゃいません……。おかしいな……。アリア嬢は一人でそんな遠くに行くようなことをする方では……」

 

 

 ピエールは腕組みをして首を捻る。ピエールを背負うアンドレが疲れたような顔をしていた。

 そういえば今日は雨の中の移動と戦闘と、屋根の修理で一日動き続けている。彼は大男の家に入ったところで、一人勝手に寛ぐような騎士ではない。

 

 アベルの居ない時のピエールは彼の代わりを果たすため、仲魔達の面倒を買って出るような忠義の騎士(ナイト)なのだ。

 

 アリアが居たら多少違うのだろうが、そのアリアもアベルを呼びに出ているわけで……。

 ピエール自身は疲れを見せるような真似はしないが、アンドレの顔を見れば疲れているのは一目瞭然。

 

 

「ピエール、君、一日中ずっと動いてて疲れてるだろう? 君は家に戻って休んで。僕がもう少し捜して、ダメだったら交代で捜そう」

 

「……っ、はい。やむを得ませんね……」

 

 

 やはり疲れていたのだろう、アベルの気遣いにピエールは否定しなかった。

 アベルは疲れの溜まったピエールを家で休ませることにし、引き続き一人でアリアを捜すことにした。

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

「はぁっ、はぁっ……どこにも居ない……! まさか僕に似た男ってやつに攫われたりは……」

 

 

 雨の中、崩れた集落の中を捜しながら ふと口にした言葉にサーッと、アベルの背中が冷えてゆく。

 

 

 ――アリアを傷付けた男が、アリアを攫う……?

 

 

 たまたま前はアリアが無事だったが、次も無事とは限らない。

 

 

(アリアが危ない……!)

 

 

 ラインハットを後にしてから初めての出来事が多過ぎて、予測が追い付かないアベルの顔は青褪めていた。

 

 

「っ、アリアーーッ!!」

 

 

 アベルは馬車に戻り、可能性は薄いがもしかしたらとキャビンを覗いてみる。

 

 

「…………やっぱり居ない……、アリアーーッ!」

 

 

 

 

 “んん……、ぅん……? はぁーい”

 

 

 

 

 アベルの大きな呼び声に、馬車の下から返事が聞こえた。

 

 

「……え?」

 

 

 聞こえた声の方へとアベルは身を屈め、キャビンの下を覗く。

 すると、なんと!

 

 

「……ぁ、もう真っ暗……。ふぁ……。寝過ぎちゃった……」

 

 

 アリアが馬車の下から もそもそと出て来たのだった。

 

 

「あ、アリア……? 何で……そんなとこに……」

 

「あ、アベル、おはよう! って……もう真っ暗だね……。アベルが馬車で眠ってたから起こしちゃ可哀想だなって思って……。雨酷かったでしょ? 濡れちゃうから馬車の下で待ってたの。そしたら眠くなって来ちゃって……寝ちゃってたみたい。……お家に戻ろ?」

 

 

 目蓋をぱちくりさせるアベルにアリアが朗らかな笑みで告げて、家へと戻ろうとアベルに背を向け歩き出す。

 

 

「っ……アリアっ!!」

 

 

 アベルは堪らずアリアを背後から抱きしめていた。

 

 

「わっ……!? ア、アベル……?」

 

 

 ――ど、どうしたのっ!?

 

 

 背後からハグされ、アリアは目を見開く。

 

 

「アリアっ、アリアっ……、アリアっ……! 無事でよかった……! また攫われたのかと思ったよ……!」

 

 

 アベルはアリアをきつく抱きしめ、彼女の首筋に顔を埋めた。

 アベルの腕や手が小刻みに震えている。

 

 

「ンッ……擽ったい……。やだなぁ……、無事に決まってるでしょ……? 誰の傍に居ると思ってるの……?(アベル震えてる……?)」

 

「え……?」

 

 

 アリアは身を捩りながら片手を伸ばし、自分の首元に顔を埋めるアベルの頭を撫でてやった。

 

 

「アベルの傍に居るんだもの……、私はいつだって無事でしょ?」

 

「ぁ……っ、……そうだよ……。僕が傍に居るんだ、無事に決まってるよね……!」

 

 

 いい子いい子と頭を撫でられたアベルは顔を上げてアリアを覗く。彼女も目線を合わせるように顔を上げた。

 

 

「でしょぉ? ……ふふっ、震えちゃって……。アベルの真下に居たのに心配したの?」

 

 

 優しく穏やかな声で、アリアは微笑む。

 するとアベルは一瞬黙り込んだ。

 

 

 そして。

 

 

「した」

 

「ん?」

 

「君が居なくなったんじゃないかって、心配したよアリアっ!」

 

 

 アベルは再びアリアを力強く抱きしめ、彼女を自分の腕の中へと隠してしまう。

 

 

「っ……苦しい……っ!」

 

 

 ――ちょ、アベル、チカラ強過ぎだよ……! ギブ、ギブ……ッ!

 

 

 あまりの腕の力強さにアリアは骨が折れてしまうのではないかと、ちょっと不安になってしまった。

 アベルの腕をぺちぺちと叩くが、ビクともしない。

 

 

 ぐるじぃ……!

 

 

 アリアは何とか抜け出そうと もぞもぞ動く。

 するとアベルがアリアの耳元で囁いた。

 

 

 

 

「…………アリア……僕は君が好きだ」

 




アベルここに来て漸く告白。
次回、雨降って地固まる。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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