ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

奴隷に戻るアベルさん……。

では、本編どぞー。



第三百三十三話 アベル、奴隷になる

 

「……すごい。全部食べたね!」

 

「うん……、美味しかった……。ありがとう……」

 

 

 食事を終えて、アベルは再び横になる。

 アリアはトレーを片手に優しく微笑んだ。

 

 

「ふふっ、こちらこそ食べてくれて ありがとう。じゃあアベルはもう一眠りね。明日になったらきっと元気になっているわ」

 

 

 アリアはそう告げると食器を片付け、濡れタオルを絞ってアベルの額にのっける。

 

 

「十年前と違って びしょびしょじゃないから安心してねっ」

 

「アリア……(ひんやりして気持ちいい……)」

 

 

 ――アリアが奥さんだと こんな感じなのかな……。

 

 

 優しい笑顔で自分を見下ろすアリアに、アベルは彼女との未来を思い描いてその日の夜は更けて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして夜が明けた――!

 

 

 丸一日身体を休めたアベルは全快し、朝早くに目覚め隣のベッドで眠るアリアを見下ろし目元を緩める。

 陶器の肌の精巧に作られた人形のような彼女の寝顔は安らかで、アリアはすうすうと規則的な寝息を立て眠っていた。

 

 

「……カワイイなぁ……(こんな綺麗で可愛い女性(ひと)が僕の恋人……?)」

 

 

 ぼそっと呟いて、アベルはアリアが一昨日言っていた肩書がどうなったのか【ステータスウィンドウ】を確認してみることにする。

 

 実はアベルは毎朝なるべく【ステータスウィンドウ】でアリアの呪いが発現しているか確認していた。

 解りやすいことに、発現日には呪いのマークが付くので把握しやすく助かっている。

 

 一昨日は朝から雨に降られ先を急ぐあまり確認出来ていなかったが、そういう日に限って呪いが発現しているから嫌になる。

 急いでいると つい忘れがちになってしまうが、これからも毎朝確認しなければと、アベルは【ステータスウィンドウ】を開いた。

 

 アリアを始めとする、他の仲魔達もまだ目覚めてはおらず、オルソーと共に暖炉の前の床に雑魚寝している。

 アベルがちらっと、一瞬そちらに目をやるとオルソーが熊に見えた。

 こうして見ると、オルソーが仲魔になっても違和感がないなとアベルは思う。

 

 そして再び【ステータスウィンドウ】に目線を戻した。

 

 

「……っ……ど、どういうこと……??」

 

 

 アベルは【ステータスウィンドウ】を前に口元を手で覆う。

 一昨日、アリアの言った通り肩書が変わっていたわけだが……。

 

 

 ――“恋のドレイ”……て……えぇ……??

 

 

 なんと【モンスターつかい】から【恋のドレイ】へと変化していたのだった。

 奴隷に逆戻りである。

 

 

「っ……アリア……。どうなってるのこれ……」

 

 

 ――アリアはどうなった……!? 【謎の美女】から変わった……?

 

 

 【ステータスウィンドウ】をアリアの項目にスライドさせ、肩書を確認。

 

 

「…………っ」

 

 

 アベルは一人で【ステータスウィンドウ】に向かいサムズアップしていた。

 アリアの肩書が【アベルの恋人】に変わっていたのだ。

 

 

 ――アリアが僕の恋人なら……まあ、いっか……!

 

 

 それからアベルはアリアの呪いが今日は発現していないことを確認し【ステータスウィンドウ】を閉じる。

 

 

「……早く起きないかな……」

 

 

 アベルはアリアが早く起きないかな、と彼女の眠るベッドの傍らに腰を下ろし、腕をついてじっと見守っていた。

 

 

 しばらくアリアを眺めていると、

 

 

「……んん……。そんなに見つめないで……? 穴が開いちゃう……」

 

 

 アリアは視線を感じたのか顔を手で覆って、アベルの視線から逃れるように背を向ける。

 

 

「ん? アリア起きた?」

 

 

 アベルは大胆にも立ち上がり、彼女を覗き込むように覆い被さる。

 アリアは直ぐ傍で聞こえた声にゆっくりと振り返った。

 

 

「っ……おはよう、アベル。早いね、元気になったかな?」

 

 

 ――ち、近いっ……アベルの顔が……! 寝起きの顔見られたくないっ!! ヨダレ垂れてないよね……っ!?

 

 

 アリアは恥ずかしさに布団を引っ張り顔を覆うと、目だけ出してアベルに挨拶をする。

 ほんのりと頬が桃色に染まった。

 

 

「おはよう、アリア! ああ、全快したよ。いい朝だね!」

 

 

 ――あ、アリア照れてる……! カワイイ……!!

 

 

 アベルも満面の笑みで挨拶を返す。

 窓から差す光がアベルの髪や顔を照らし、アベルを見つめるアリアの瞳孔が開いていた。

 

 

「…………っ、うん(あぁ……アベルの笑顔が眩しい……。ヤダ……キュンキュンしちゃうぅ……!)」

 

 

 アリアは全快復したアベルの爽やかな笑顔に見惚れてしまうのだった。

 

 

「アリア照れてる?」

 

「っ、そんなことないもん……」

 

 

 ――笑顔のあなたに見惚れちゃっただけだよ。

 

 

 ススススス……、と。

 アリアは布団を引っ張り、今度はアベルから隠れてしまう。

 

 

「もん……って……、っ……(可愛いな!)」

 

「っ……、アベルそこ退いて……。そこに乗っかられたら 私起きれないよ……」

 

「あっ、うん」

 

 

 アリアの語尾に萌えてアベルが赤面するが、布団を被った彼女から退くように云われ、アベルはアリアの上から退いたのだった。

 

 

 それからアリアは起き上がり、顔を洗ってアベルの元に戻って来る。

 

 

「…………ふぅ。も~……起きたらアベルの顔が目の前にあるから、びっくりしちゃったよ……」

 

 

 アリアは顔を拭き拭き、アベルに微笑み掛けていた。

 

 

「ハハッ、ごめん。アリアの寝顔が可愛くて見てたんだ」

 

「っ……、も、もぉ……、可愛い可愛いって言わないで……。恥ずかしいよ……」

 

「何で? 可愛いものに可愛いって言って何が悪いの? アリアは可愛いじゃないか」

 

 

 アベルは熱い瞳でアリアが恥ずかしがっているのに「アリアが可愛い」と褒めちぎる。

 

 

 ので……、

 

 

「っ!? アベルっ!? あなたどうしちゃったの!? そんなこと今まで言わなかったよね!?」

 

 

 アリアは顔を真っ赤にして訊ねていた。

 

 

「いや、時々言ってたと思うけど……?」

 

 

 アベルの瞳は熱を帯びていて、アリアをじっと見つめている。

 

 

「っ、ぁ、そういえば……、そ、そうだったね……」

 

 

 ――いや、でも言い過ぎじゃない!? アベルってこんなに情熱的な人だったの?

 

 

 小さい頃は可愛くて元気で強引で、変わった発言をする思慮深い男の子だった。

 今のアベルも可愛くて、格好良くて、強くて優しくて、ちょっと変態で、情熱的……?

 時々、精神が分裂してると感じる時もある。

 

 アベルのことは はっきり言って、よくわからない。

 それでもアリアは構わないと思う。

 

 

 ――……一年間は、この人と一緒に過ごせるのね……。

 

 

 アベルのことなら、何でも受け入れてあげたい。

 いつか別れが来るその時まで、彼を幸せにしたいとアリアは考えていた。

 

 

「言うのを我慢してただけで、いつもそう思ってるよ。アリア♡」

 

「っ……、も~……(勘弁して~~……)」

 

 

 アベルの熱い視線にアリアは手で顔を覆って俯いてしまう。

 アベルは途中からアリアが恥ずかしがっていることに気付いたが、可愛いのでそのままにしておいた。

 

 

(……アリアが恥ずかしがってる所を見るとなんだろう……。苛めたくなる……!)

 

 

 恥じらう彼女の姿をもっと見たいアベルは、その後も調子に乗って口撃を加え、アリアから「アベルなんか嫌いっ!」と言われるまで続けた。

 彼女に「嫌い」と云われ、さすがにアベルはショックを受けたが、アリアがすぐにフォローを入れる。

 

 

「じょ、冗談だよ……? 好きだからね……?」

 

 

 と、もじもじ上目遣いで告げるので、アベルの心は鷲掴みにされてしまった。

 

 そんなアベルとアリアのやり取りの中、オルソーやピエール達が起きて来ると、アベル達は旅の準備を始めたのだった。

 




肩書に関しまして、原作(ゲーム中)ではラインハットでニセ太后撃破すると「さすらいのたびびと」に実は変わります。
なので、時期がちょっと違うんですけど、コメディなんでいいかなーと。

アベルさん、恋のドレイになりましたv なんぞそれwww

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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