ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

さて、子ネコの名前は……?

では、本編どうぞっ。



第三十三話 お薬出しときますね~

 

 ……湖の広場でアベル、ビアンカ、アリアの三人は子ネコの名前を付けようと会議を行っていた。

 

 ビアンカがアベルに訊ねるも快い返事が無かったため、アリアに決めさせることになったのだが、アリアは名前候補を二度聞いただけでは覚えられず、何度か繰り返し聞き返してしまっていた。

 

 

「どの名前にする? 僕は何でもいいよ」

 

『な、何でもって……無責任だなぁ……。……えと、ほら、責任重大だし……どれもいい名前で……』

 

 

 ビアンカが一つ一つ丁寧に候補を挙げてくれているのだが、アリアは決めかねているのだ。

 

 

「はぁ、はぁ……。も~! これ以上言ってあげないんだから! どれにする? 八つの中から選んでくれるよね? これで決まらないなら、この子はゲレゲレになっちゃうんだからねっ」

 

「ガウッ!?」

 

 

 八つの名前を何度も云わされ疲れたのか、ちらっとビアンカがゲレゲレ(仮)を冷ややかに見下ろした。

 

 

「ガウガウガウッ!!」

 

 

 ゲレゲレ(仮)は嫌なのだろう、背筋をピンと伸ばし、首を左右に何度も振る。

 

 

「っ、この子嫌だって言ってるみたいだよ……?」

 

 

 アベルはゲレゲレ(仮)の気持ちを察し、ビアンカに伝える。

 

 

「あら、ゲレゲレだって可愛いと思うわ?」

 

「アリア、どれにする? 早くしないとゲレゲレになっちゃうよ! ね、ゲレゲレ、どうする?」

 

 

 アベルはゲレゲレ(仮)に首を傾げ訊ねていた。

 ゲレゲレは弱り目で「グルルルル……」と咽喉を鳴らし項垂れる。

 

 

「ほら、アリアの所為でゲレゲレがゲレゲレになっちゃうよ!?」

 

『えっ、ちょっ!? もうゲレゲレになってるじゃないっ! ていうか、それ私の所為なの!?(アベルが決めればいいことなんじゃ……?)』

 

 

 アベルに急かされ「元々はアベルが決めることなんじゃないの!?」とアリアは抗議するが、

 

 

「アリアが決めないならしょうがないよね。ねっ? ゲレゲ……」

 

『ぷ、プックルでっ!! この子はプックルにしますっ!』

 

 

 アベルがアリアを横目にゲレゲレ(仮)を撫でて、大袈裟に云うものだからアリアは咄嗟に【プックル】を指名したのだった。

 

 

「え? プックル?」

 

「……あら、やっと決まった?」

 

 

 アベルが声を発すると、ビアンカはほっとした顔をした。

 

 

「ガウ? ……ガウガウッ!!」

 

 

 すると、ゲレゲレ(仮)→プックル(改)が項垂れていた顔を持ち上げ、瞳を輝かせて嬉しさのあまり、アリアに飛び掛かったのだった。

 

 

『わっ! だから飛び付かないでってばっ! 舐めるの禁止!』

 

 

 プックルに飛び掛かられアリアは尻餅を搗くと、腕をクロスにして顔をガードした。

 それでもプックルはアリアの腕を舐めるので、ガードは無駄に終わる。

 

 

『うぅ……まぁ、顔よりはマシか……けど、くすぐったい……』

 

 

 次第に舐め舐め攻撃に慣れてきたのか、アリアはプックルの下敷きになりながら首元辺りを掻いてやったのだった。

 けれども、全身で圧し掛かられてしまい、アリアはその場から動けなくなる。

 

 

「ビアンカ、プックルだって」

 

「わかったわ、プックルね! 本当にこれでいい?」

 

「いい?」

 

 

 アベルがビアンカとアリアの間に入って、仲立ちする。

 

 

『え? っ、あ、うん。可愛いと思うよ?(重い、抜けられない……!)』

 

 

 プックルを宥めながらアリアは立ち上がろうとしているのだが、重くてびくともしなかった。

 

 

「いいって」

 

「決まったわね! 今日からあなたはプックルよ!」

 

 

 ビアンカはプックルのたてがみを梳くように掻いてやった。

 プックルは上からも下からも掻いてもらえて「グルルル♪」と満足気な顔をしている。

 

 

『っ、……アベル、助けて。この子重くて立てないよ』

 

「あ、うん。プックル、アリアを襲っちゃだめだよー?」

 

「ガルルルル……」

 

 

 アベルがプックルに語り掛けると、プックルは大人しく言うこと聞いたのだった。

 

 

『アベルの云うことは聞くのねぇ……。……もう、襲っちゃ嫌だよ?』

 

「ガウ!」

 

 

 アリアが立ち上がりプックルの隣でそう云うと、漸くプックルは大人しくお座りをしてくれた。

 

 

『いい子ね』

 

 

 大きなネコちゃん。

 ネコというより、ヒョウに近いのかなぁ?

 

 たてがみとしっぽがもふもふで可愛いわね。

 この世界の動物なのね。

 

 モンスターだったりして。

 

 

 アリアがそんなことを考えながらプックルを見つめると、プックルも嬉しそうに目を細めたのだった。

 

 

「それじゃあ、そろそろ宿に戻りましょうか。アベルとアリア、今日サンタローズに帰っちゃうんでしょ?」

 

「うん」

 

「パパスおじさま、風邪が治ったみたいで良かったわね。でも今日中に帰っちゃうなんて寂しいな。せっかく仲良くなれたのに」

 

『あっ、ちょっと待って』

 

 

 アベルとビアンカが小さな橋を渡って宿に戻ろうとすると、アリアが呼び止めた。

 

 

「……ん? あっ、ビアンカ、ちょっとストップ」

 

「ん? なあに?」

 

 

 アベルとビアンカは足を止めて、プックルの傍にやって来る。

 プックルの隣にはアリアが居るのだ。

 

 

『ビアンカちゃんのお父さん、まだ風邪、完全に治ってないんでしょう?』

 

「そういえば……、朝、咳してたような……。大分良くはなってたみたいだけど……」

 

 

 アリアの質問にアベルが答えると、二人の会話の片方しか聞こえないビアンカは首を傾げる。

 

 

「ん? 何の話?」

 

「アリアがね、ビアンカのお父さん、風邪の治りが遅いねって言ってる」

 

「あぁ……、もう殆ど治ってるみたいだから、心配するほどじゃないと思うけど……。それがどうしたの?」

 

 

 アベルの仲介で、話の読めたビアンカは訊ねていた。

 

 

『……ね、アベルこれ……、ビアンカのお父さんに……』

 

 

 アリアは自分の持つ袋から薬入った白い紙袋を取り出し、アベルに差し出した。

 紙袋には、

 

 のみぐすり

 外来、患者番号――。

 ○○○○様、七日分、一日3回、毎食後…………略、

 

 ○○メディカル、かかりつけ薬局はこちらで!

 営業時間AM09:00-PM18:00/TEL00-0000-0000 FAX……以下略

 

 と青いインクと黒いインクで書かれているが、アベルには読めない。

 名前の部分は何故か消えていた。

 

 

 

「あ、これ、昨日の!」

 

『……もし、治りが悪いようなら試してもらえたら……。よく効くと思うの……、朝昼晩食後一回につき三種類を一つずつ。最低でも三日間は飲み続けるといいって。アベルのお父さんは一回飲んだだけで全快しちゃったけどね』

 

 

 アリアは薬の袋をアベルの手に置く。

 すると、ビアンカの目にもそれが見えるようになる。

 

 アリアの持っているものは、アベルが触れると誰でもはっきりと見えるようになるようだ。

 

 

「……白い袋……? 何、それ……(青い染料で色々書いてあるけど……、文字なのかな……、それとも暗号……? 呪文……?)」

 

 

 急に現れた謎の紙袋の存在に、ビアンカの頭の中が疑問符で埋め尽くされてしまう。

 ビアンカの様子を余所に、アベルとアリアは会話を続ける。

 

 

「あげていいの?」

 

『うん。私、今は風邪引いてないし、風邪引いた人がいるなら使ってもらった方がいいかなって(体質も関係あるから本当はダメなんだけどね……)』

 

「じゃあ……、もらっちゃうね」

 

『うん、ビアンカちゃんに用法用量を伝えてね。あ、銀色の包みの白いやつはね……――……――』

 

 

 “――……用法用量を守って正しくお使いください!”

 

 

 アリアは、薬の説明をしたのだった。

 それをアベルがビアンカに伝える。

 

 

「用法用量を守って正しく使う様にってさ」

 

「ふーん……、そんなによく効く薬なんだぁ。万能薬みたいね! 一回につきこの色のついた包みの中の錠剤を一つずつ飲ませればいいのね?」

 

 

 アベルが薬の入った紙袋を渡すと、ビアンカは中を覗いてみる。

 珍しい包装ね、と中身を取り出し一種類ずつ眺めるのだった。

 

 

「うん、飲み始めたら最低でも三日は飲むといいって。でも、父さんは一回飲んだだけで治っちゃったから、もしかしたらそこまで飲まなくてもいいかもしれないね」

 

「そうなんだ。なら様子を見ながら飲ませるね。サンタローズの道具屋さんのお薬も効いてるみたいだから、もしかしたら必要ないかもしれないけど……」

 

 

 アリアが説明をしアベルが伝えると、ビアンカは頭がいいのかすんなり受け入れてくれた。

 

 

「……で、この銀色の包みのやつは解熱剤ね。解熱剤ならうちにもあるから使い方はわかるわ。何度も飲んじゃだめなやつよね」

 

『ビアンカちゃんすごい! 飲み込みが早すぎる!』

 

 

 アリアは“ビアンカちゃんは地頭がいいんだろうなぁ”と、感心しながら何度も首を縦に上げ下げして、頷く。

 

 

「ビアンカ」

 

「ん?」

 

「ビアンカは飲み込みが早くてすごいって、アリアが褒めてるよ」

 

「え? そう? ……ふふっ、褒められちゃったっ」

 

 

 ビアンカは褒められて嬉しいのか、腰に手を当て得意げに笑った。

 

 

「この薬、魔法の薬だからきっと効くよ!」

 

「うん、ありがとう!」

 

 

 アベルが勝手に“魔法の薬”と名前を付けてしまい、アリアが『えっ、ただの処方薬だけど……?』と云うも、無視される。

 ビアンカは自分の持っている袋に薬を仕舞うのだった。

 

 

「じゃあ、行きましょ」

 

「うん、アリア、プックル行くよ」

 

 

 アベルが声を掛けると、『はーい』「ガウガウ」と一人と一匹は返事をし、広場を後にした。

 




ゲレゲレも嫌いじゃない(ゲレゲレデータもあったし!)。
ただ、プックルが好きだ。

……それだけ。

私自身身体が弱いのかしょっちゅう風邪を引くのですが、抗菌薬と去痰薬マジ神です。
風邪は万病のもとといいますし、風邪を侮ることなかれ。

今は特にコロコロなご時勢ですし、病院行くのも気を遣いますよね~。
ご自愛くださいませ。

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読了お疲れ様でした、そしてお読みいただきありがとうございました!
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