ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

情報は勝ち取るものである。

では、本編どぞー。



第三百四十話 勝ち得た情報

 

「はぁ……クラリス……。今日も可愛いな……、たまらない。たまらないっす……」

 

 

 不意に先程話を聞いた船乗りの男の呟きが漏れ聞こえてくる。

 船乗りの男は舞台上のクラリスを眺め、相変わらず夢見心地でうっとりしていた。

 

 

「……あのお兄さん、クラリスさんに相当お熱みたいね」

 

「僕はアリアにお熱だよ……」

 

 

 アリアが口元に手を添え背伸びしアベルにこそっと耳打ちすると、アベルが目元を弛めて口角を上げる。

 

 

「っ!? も、もうそういうの止めてよぉ……(恥ずかしいよっ)……つ、次行きましょっ、次っ」

 

 

 ――アベルやっぱりおかしい! いったいどうしちゃったの……!?

 

 

 アベルの物言いにアリアの顔が真っ赤に茹り、逃げるように傍のテーブルで独り 酒を飲む別の船乗りの男に声を掛けに行った。

 

 

「あっ、アリア……!」

 

 

 ――何であんなに恥ずかしがるんだ?

 

 

 真っ赤な顔で逃げてしまった彼女の様子にアベルは首を傾げる。

 

 アベルにしてみたら、今まで言えなかった分を吐き出しているだけなのだが……(自覚は無い)。

 何故あんなにも恥ずかしがるのだろうか……、アベルにはわからなかった。

 

 

(……アリアはカジノで働いていたから そういうことを言って来る男がたくさん居たはずなのに……?)

 

 

 ……そうアベルが考えていることは当たりで、実際アリアは色んな客に口説かれている。

 

 だが彼女は元社畜……。

 仕事には忠実、真面目ちゃんだ。

 

 仕事中に感情を大きく動かすことはなく、業務以外のことは全て営業スマイルで躱していたのである。

 

 大体、声を掛けて来るのは社交辞令や身体目的だと思っていたし、そもそもアリアは前世でそんな言葉を掛けられたことが無い女であった。

 

 つまり免疫が無いのだ……。

 

 突然好いた男から甘い言葉を掛けられても身体が簡単に受け付けてくれない。

 恥ずかしさに逃げたくなるのも不思議ではなかった。

 

 

「アリアっ! 僕が話し掛けるよ!」

 

 

 すぐさまアベルはアリアの後を追う。

 アベルが追い付くと、アリアは耳まで赤く染めて見上げて来た。

 

 

「ぅぅっ…………」

 

 

 彼女は何か言いたげだったが、アベルを見つめた後で俯いてしまう。

 ちょっぴり涙目だった。

 

 

「……顔、真っ赤だよ?」

 

 

 ――よくわかんないけど……恥ずかしがってるアリアって可愛い……。

 

 

 アベルはアリアのサイドに掛かる髪を耳に掛けてやる。

 その所作が何だか手慣れているようで……。

 

 

「っ……! あっ、アベルって……!」

 

「……ん?」

 

「ぁ、ぅん……何でもないの……」

 

 

 アベルに触れられてアリアは一瞬 目を見開き顔を上げた。

 

 

 ――アベルって女の子の扱い上手くない……!? …………あ、もしかして?

 

 

 優し気に自分を見下ろしてくるアベルにアリアはふと気が付く。

 

 

 ……本人はまだ思い出していないが、ビアンカやフローラの記憶がアベルの中にあるのではないか……?

 

 

「アリア……?(どうかしたのかな……?)」

 

「っ……、あはっ、アベルって女の子の扱い上手いのね」

 

「えっ? そ、そうかな??」

 

「ん……。モテる理由がわかった気がする」

 

 

 アベルを褒めつつアリアは微笑むが、その瞳は悲し気だった。

 

 

 ――繰り返しているから……他の女性(ひと)との記憶が身体に残ってるのね……。

 

 

 アベルはビアンカとフローラにも同じことを恐らくして来たのだろう。

 

 

 ……記憶は時々降りて来る。

 それは多分、ヒロイン二人との思い出もいつか思い出すということなのかもしれない。

 

 仕方のないこととはいえ、何だか もやもやしてしまうアリアだった。

 

 

 

 

「いや……だから、他の娘にモテても意味が無いというか……、僕はアリアにモテたいだけで……」

 

 

 アリアの言葉にアベルは頭の後ろを掻き掻き云うのだが……。

 

 

「……あの、ポートセルミの他に……あ、私、東の大陸から来たんですけど、ここの他に この大陸の町を知りませんか?」

 

 

 彼女は聞いておらず、既に独り 酒を掻食う船乗りの男に話し掛けていた。

 

 

「……ん? こりゃまた……別嬪さんじゃないか……! 一杯飲むかい? 一杯飲んだらお嬢さんの知りたいことを教えてやるよ」

 

 

 ずいっ!

 

 

 と、船乗りの男は自分の飲んでいた大きなジョッキをアリアの目の前に差し出す。

 大ジョッキの中は おかわりしたばかりなのか、まだ酒がなみなみと注がれていた。

 男のテーブルには酒のつまみと、空の大ジョッキが二つ置かれている。相当な酒豪らしい。

 

 

「っ、飲みます!」

 

「僕がね!」「あっ」

 

 

 アリアが両手で大ジョッキを受け取り、意を決して飲もうとするその手の上からアベルは自分の手を重ね、大ジョッキを奪う。

 そしてその大ジョッキに口を付けると一気に傾けていった。

 

 

(アリアを酔わせようったって、そうはさせないっ!)

 

 

 ごきゅっ、ごきゅっ、ごきゅっ。

 

 

 アベルの喉に大量の酒が雪崩れ込む。

 アルコール度は以前オラクルベリーで飲んだものと そう変わらない気がするが、量が多い……!

 

 こんなに飲むと酔ってしまうかもしれないが、アリアが酔うよりはいいだろう。

 そう思いアベルは一気に飲み干したのだった。

 

 

「……ぅ……ぷはっ……! はいっ、飲んだよ!」

 

 

 アベルは空になった大ジョッキを“ドンッ!”とテーブルに置く。

 顔全体が徐々に赤くなっていった。

 

 

「アベル……」

 

「はっはっはっ! お前さん、この娘のコレか! 男に奢ることになるとはなぁ! 良い飲みっぷりだったぜ。その飲みっぷりに免じて教えてやろう! いいか……西にルラフェンという町があってな……」

 

 

 アリアが心配そうにアベルを見上げる中、船乗りの男が小指を立てて豪快に笑うと【ルラフェン】という町について語り出す。

 

 

「はぁ……はぁ……、やったね……!」

 

 

 酔いが回って来た赤ら顔のアベルはアリアに白い歯を見せサムズアップした。

 

 

「これは噂だがな。西の町には呪文の研究をしてる老人が住んでるそうだ。その呪文が使えたら旅が楽になるって話だが、オレには信じられねえよ」

 

「っ! 西の町! っ……コレっだ! アリア! 西の町!」

 

「うん、次は西の町だねっ」

 

 

 男の話にアベルが目を輝かせると、アリアも笑顔で頷いた。

 

 

「やった! やったねっ!!」

 

 

 彼女の笑顔を見るなり、アベルは人目も憚らずアリアを抱きしめる。

 

 

「わっ!? あっ、アベルっ! 人前だよっ!?(酔っぱらってる!?)」

 

「ああっ、アリアっ! 次の目的地が見つかって良かった……! 良かったねえっ!」

 

 

 アベルは酒臭い息を吐きながらアリアに頬摺りし、嬉しそうに微笑んでいた。

 

 

「ぅ、ぅん……、そ、そうだね……」

 

 

 自分を抱きしめるアベルにアリアは彼の背をぽんぽんと優しく叩いてやる。

 

 

 ――アベルに抱きしめられると落ち着くけど……、人前は恥ずかしい……。

 

 

 酔っ払いに何を言っても無駄なことはわかっているので、アリアはアベルの気が済むまで待つことにした。

 

 

「はっはっはっ! 兄ちゃん達、熱いねえ! 見てるこっちが恥ずかしくならあ!」

 

 

 アベルとアリアの抱擁を目撃させられた船乗りの男が「ごちそうさま! 向こうでやんなよ」と手をふりふり。

 アベルはそんなこと気にもせずにアリアを抱きしめていた。

 

 

「はぁ……アリア……。温かい……。好い匂い……好き……」

 

 

 ――あぁ……、立っちゃうかも……。

 

 

 アリアを抱きしめていると下半身が滾るのを感じるが、アリアも嫌がっていないようだし……と腕の中の温もりを手放したくなくて、そのままにする。

 

 

「ぅ……、も、もう向こう行こうよ……」

 

 

 アリアはアベルが放してくれるのを待っていたわけだが、一向に放してくれないので自分から離れることにした。

 

 

「ぁ……淋しい……」

 

「っ!? アベルっ!?」

 

「アリア離れないでよ……」

 

 

 アリアが離れた途端、アベルが哀しそうな瞳で呟く。

 まるで捨てられた子犬のようだった。

 

 その瞳にアリアは弱い。

 

 

「ぅ……。なにアベル、あなたって酔うと甘えん坊になるの……?」

 

 

 ――なになに!? か、可愛いんですけど……!?

 

 

 大人になって再会したアベルは優しくて頼りがいがある男性に成長したはず……。

 何だこのギャップは……!

 

 

 普段のアベルとは違う様子にアリアの胸がキュンキュンと締め付けられてしまった。

 

 

「え……?」

 

「……しょ、しょうがないなぁ……。んっ!」

 

 

 何のこと? と首を傾げるアベルだったが、アリアはアベルの手を取り、指を絡める。

 

 

「ぁ……この繋ぎ方イイ……! アリア……ありがとう~」

 

 

 アベルは繋がれた手をまじまじ見下ろし、破顔した。

 青年アベルの笑顔に、アリアの目には昔の可愛いアベルが重なる。

 

 

「っっ……。お水飲もっか……(あぁ、もうっ、可愛い顔してっ!)」

 

 

 ――このままだと、私があなたを襲ってしまいそうよ……。

 

 

 アリアはアベルの手を引いて酒場カウンタ―まで連れて行くのだった。

 




今更ですがイチャイチャし過ぎてて、ストーリーが中々進んで行かないwww
ヤダ、楽しいwww

実はルラフェンについては灯台で町の名前を聞いているんですよ。
アベル忘れてるんだよね……。
いや、でもアリアしか聞いてなかったような……。ということはアリアが忘れてるんですね……。

これはアレです。

ゲームプレイして情報聞いたはずなのに憶えてないってヤツですよ。
もう一回情報収集するってゆー。
ゲーム中の台詞を引用するにあたって、あえてこういう感じの見落としを入れていたりします。
ゲーム中で何度も町中を行ったり来たり、話をして「そういやそれどっかで聞いてたわ」とかそういうことってないですかね(そして再度話し掛け捲るっていう……)。

なので、アベルもアリアも結構うっかり忘れてることがあったりします(思い出すこともあります)。
アベルはルーパーですが、完璧超人ではありません。
アリアも呪文は色々使えますが、チーターではありません。

妄想垂れ流しで好き放題書いていますが、小説のような……ゲームのような……不思議な世界を楽しんでもらえると嬉しいです。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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