ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

345 / 828
いつもありがとうございます、はすみくです。

朝はなんですかね。

では、本編どぞー。



第三百四十三話 朝は、その……

 

 ……アリアが本を読み始め、しばらくして……。

 

 

「…………ふふっ、そんなに見つめたら穴が開いちゃうってば……(ずっと見てて飽きないのかな……)」

 

 

 切りの良いところまで本を読み進めたアリアは、本に栞を挟んでアベルをちらり。

 アベルは眠ることなく、さっきからずっとアリアを眺めている。

 

 

「……見つめるくらいは許して欲しい……(アリアって表情豊かだなぁ……)」

 

「……っ、好きにして……。……ふぁ……。そろそろ寝ようかな」

 

 

 本を読んでいたアリアの表情がくるくる変わるのがアベルには面白かったらしい。

 アリアが大きな欠伸をすると、アベルはそれを見て目を細めた。

 

 

「おやすみアリア。大好きだよ」

 

「っ…………………………、アベル」

 

 

 不意に告げられた好意の言葉にアリアはほんのりと頬を染める。

 

 と、アベルの名を呼んだ。

 

 

「ん……?」

 

 

 アベルが首を傾げると、アリアはベッドの端に座り境界線ぎりぎりまでアベルの方へと身体を傾ける。

 そして顎を突き出すようにして目を閉じた。

 

 

「…………ん、おやすみのキス、して?」

 

「っ!? う、うん……!!」

 

 

 ――えっ!? いいのっ!? よろこんで!!

 

 

 アベルはアリアが自分を求めてくれることにドキッとして起き上がると、境界線ぎりぎりまで身を乗り出し、顔を近付けた。

 

 艶のある唇に“ちゅっ”とアベルが軽く口付ける。

 すると柔らかくて、温かくて、彼女の甘い香りが鼻を擽った。

 

 

「ン……ふふっ、いい夢が見られそう! おやすみなさい、アベル」

 

「う、うん、おやすみ……」

 

 

 アベルが触れるだけのキスをすると、アリアは破顔してさっさと自分のベッドに戻り【安眠枕】に頭をのせて眠り始めてしまう。

 その様子をアベルは見守っていたが、アリアからは直ぐに寝息が聞こえて来たので、とりあえず様子を見ていた。

 

 

 すぅすぅ……。

 

 

 無垢な顔でアリアが眠っている。

 自分も眠らなければ……と、わかってはいるのだが……。

 

 

「…………っ」

 

 

 ――……っ、寝られるかーーーー!!!!

 

 

 隣のベッドで無邪気に眠るアリアを眺め、アベルは悶々としてしまった。

 

 

 

 

・

 

 

・

 

 

・

 

 

 

 

 ……その日の晩遅く、暗くなった部屋でアベルは決意する。

 

 

 “アリアをいつか絶対僕のものにする……! そして……”

 

 

「アリア……僕は我慢するよ。けど……我慢できなくなったらごめんね……?」

 

 

 アベルは眠るアリアの開(はだ)けた掛布団を掛けてやりながら、自分のベッドに戻って横になった。

 

 そしてアリアに背を向け、また悶々としながら目を閉じたのだった。

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

 ……そして夜が明けた――。

 

 

「アベル、ね、起きて」

 

「ぅ、う、ん……? ぁ……もう朝……?」

 

 

 アリアの声がしてアベルは自分の身体が揺すられていることに気付く。

 

 

 ――昨夜は寝付いたのが遅かったからなあ……。

 

 

 アベルはゆっくり目蓋を開くと、ぼーっとした顔で自分を起こすアリアを見上げた。

 

 

「おっはよ、アベル! 今日もいい天気だよっ。さっき外にお散歩行ったら、ピエール君がそろそろ行きませんかって」

 

「ぅ……、ぅん……………………」

 

 

 ――ああ、僕の彼女は今日も可愛いなぁ……。

 

 

 窓から降り注ぐ朝陽が彼女の髪を照らす。陽の光に、金とも銀ともとれる柔らかく滑らかな髪は眩しく煌めいていた。

 アリアの弾けるような眩しい笑顔にアベルは朝から見惚れてしまった……。

 彼女は随分前に起きていたのか、出発の準備が整っている様だ。

 

 

「……どうしたの? 熱でもあるの?」

 

 

 黙り込んだアベルの様子が気になったのか、アリアはアベルの額に手を当てる。

 

 

「ん~……、特に熱はなさそう。起きられる?」

 

「……っ、だ、大丈夫……。すぐ準備するよ……」

 

 

 アベルは半身を起こし出発の準備を……と思ったのだが、下半身に違和感を覚え布団を捲って念の為確認してみた。

 

 

「っっ……!! っ、アリアっ、あのっ……!」

 

 

 下半身を確認したアベルはすぐさま捲った布団を元に戻す。

 

 

 ――っ、また(・・)立ってる!!

 

 

 どうやら眠っている間におっきしてしまったようだ。

 まあ よくあることなのだが、彼女の前でそれを見せるわけにはいかない。

 アベルはどうにかして窮地を乗り越えることにし、アリアに声を掛けた。

 

 

「ん?」

 

「お願いがっ!! ピエール達と一緒に せ、聖水を買い足しておいてくれないかな!?」

 

「ん? うん、わかった。じゃあ、道具屋さんに行って来るね。アベルは準備が終わったら宿屋さんの前で待ってて」

 

「ああ! 任せたよ」

 

 

 アベルのお願いを快く聞き入れ、アリアは部屋を出て行った。

 

 

「……ふぅ……。まったく……。君はどうして朝になると勝手に大きくなるんだ? アリアにバレたら困るだろ?」

 

 

 アベルは布団を捲って主張を続ける元気な分身に説教をする。

 

 毎日ではないが よくあることだ。生理現象だから仕方ない。

 しばらくすれば治まるが、アリアの前だと非常に気まずいわけで……。

 

 

「……って、言ってもしょうがないな……」

 

 

 ――準備しよ……。

 

 

 アベルは顔を洗って鏡の前でターバンを巻き巻き。

 アリアが素直に聞き入れてくれて助かったなと、鏡を見た。

 

 

「……結構焼けてるなぁ……」

 

 

 鏡には日に焼けた健康な笑顔が映っている。

 

 

(よし、今日も一日頑張ろう!)

 

 

 アベルは身支度を整えると朝の恒例【ステータスウィンドウ】のチェックをし、部屋を後にした。

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

 ……アベルが部屋を後にした頃、宿屋の前ではアリアとピエールが談笑していた。

 そこへアベルが宿屋から出て来ると、二人は気付いてやって来る。

 

 

「おはようございます、主殿。聖水を買い足しておきました」

 

「おはようピエール、ありがとう。アリアも」

 

「どういたしまして、あ、これ福引券貰ったよ」

 

 

 アリアが道具屋で貰った【ふくびき券】をアベルに手渡す。

 

 

「そっか、今度寄った時にでも回すよ。じゃあ そろそろ出ようか」

 

 

 【ふくびき券】を受け取ったアベルはそれを【ふくろ】に仕舞って出発しようと促した。

 

 

「はい」「ええ!」

 

 

 そうしてアベル達はポートセルミを出発する。

 今日のパーティーはアベル、アリア、ピエール、コドランだ。

 

 アベルは始め自分とアリア、ピエールとプックルのパーティーで行こうと思ったのだが、コドランが馬車を飛び出しプックルの前を陣取り「グルルン!」と鼻息荒く主張して来るので、今回パーティーに入れることにした。

 コドランはずっと馬車の中に居たため、そろそろ腕試しをしたかったらしい。

 

 

 ……地図で現在地を確認、森を避け荒野を行き次の目的地を目指す。

 

 昨晩、勇者の手掛かりは得られ無かったが、気になる情報は得られた。

 次の行き先は西の町【ルラフェン】。

 

 

 “西の町には呪文の研究をしてる老人が住んでる”

 

 

 その呪文が使えたら旅が楽になるらしいが、いったいどういう呪文なのだろうか。

 旅が楽になれば勇者の手掛かりを得るのも多少は楽になる。

 

 歩きながら次の記憶が降って来ていないアベルは隣を歩くアリアを見て思う。

 

 

(旅が楽になる呪文を手に入れるのもそうだけど……、アリアともっと距離が縮まるといいな……)

 




男の子は大変ですね……。

パーティーメンバーは、基本的にアベル・アリア・ピエールの三人は固定で、残りの一枠が入れ替え制になっております。
ただ、時々アリアが使えなくなるので、その際は二枠仲間モンスターがインする感じ。

----------------------------------------------------------------------
読了お疲れ様でした、そしてお読みいただきありがとうございました!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。