ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

ツボがあったら割ればいいのよ。

では、本ぺんぺん。



第三百五十五話 お願いツボを割らせて

 

「主殿、アリア嬢。奥の部屋はどうでしたか? 何か良いお話を聞けましたか?」

 

 

 教会の出入口で待ちぼうけをしていたピエールがやって来て訊ねてくる。

 と、アリアはスッとアベルの手を放してしまった。

 

 

「あっ……ああ、ピエール。不思議な本を見つけたのと……ハハ……。うん、まあ、うん」

 

 

 ――やっぱり恥ずかしいのかな……。

 

 

 アベルはにこにこと穏やかな顔で自分とピエールを見るアリアをチラッと窺う。

 昨日までピエール達の前で手を繋いだりしていた気がするのだが、何故か今になってアリアの頬はほんのりと赤く色付いていた。

 

 

「主殿……?」

 

「あっ、うん。大したことはなかったよ。ベネットじいさんの家に行こう」

 

 

 ピエールに問われ、アベル達は教会を後にする。

 

 

 ――アリア、何で赤くなってるの……?

 

 

 アベルにはアリアの恥ずかしがるポイントがよくわからなかったが、もじもじする彼女が可愛いのでそのままにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 教会を出たアベルは、ふと東側に何となく目をやり空地にツボを発見してしまう。

 

 

「っ!!(ツ・ボ!)」

 

 

 ――ツボだっ! 割りたいっ!! ……どうしても!!

 

 

 アベルはアリアに視線を送る。

 そして、再びツボへと視線を戻した。

 

 

「ん……?」

 

 

 ――あ、ツボ!

 

 

 アリアがアベルの視線の先へと目をやると「フフフッ」と手を口元に当てて笑う。

 

 

「っ、いいかな?」

 

「ええ、どうぞどうぞ」

 

 

 アベルが瞳を輝かせるので、アリアは笑顔で頷いた。

 

 そしてアベルはアリア達を引き連れツボのある空地へと向かう。

 途中にタルもあったのでついでに壊したが、何も入っていなかった。

 

 空地にはツボが三つ。それと青年が独り散歩をしている。

 

 

 ガシャン! ガシャン! ガシャン!

 

 

 アベルはどのツボも勢いよくぶん投げた。

 

 

「……ふぅ……!」

 

 

 ――スッキリした……!!

 

 

 ツボを投げれたことに満足したアベルは額に僅かに浮いた汗を拭う。

 大きさにもよるが、意外とツボは重いのである。

 

 

「フフフッ。アベルよかったね」

 

 

 アリアは愉快そうに片手は口元に当て、もう片方の手で腹を抱え笑っていた。

 

 

「っ、あっ、えっとっ! っ……ごめん……」

 

 

 ――これ……病気……というか、呪いなんじゃ……。

 

 

 ツボとタルを割った後で、壊すのはおかしいといつも思うのだが、ツボとタルを見ると衝動が抑えられないのだ。

 

 ゲームだからしょうがないのかもしれないが、ならせめて割った後に湧く羞恥心も掻き消してくれればいいのに……とアベルは格好悪い気がしてアリアに頭を下げる。

 こんなことで嫌われるとは思わないが、嫌われたらどうしようという不安も常に付きまとっていた。

 

 ところがアリアの反応はアベルが思っていたのとは違った。

 

 

「んーん、なんで謝るの? 私は構わないよ。ツボとかタルとか気になっちゃうよねっ。アベル力持ちだから羨ましいなっ」

 

 

 ――私もドラクエ4プレイ時は割ってたよ! リアルで見るとこんな感じなの、つい笑っちゃう!

 

 

 彼女は優し気な瞳でアベルの行動をありのままに受け止めていたのだ。

 

 

「っ、アリア……(アリア優しい……)」

 

 

 じぃぃぃんん……。

 

 

 アベルの心が満ち足りて行く。

 目の前の彼女はなぜこんなにも自分に寛容なのだろうか。

 

 

 

 

 ――僕は許された……!

 

 

 

 

 アリアが許してくれるのなら、これからも思い切りツボとタルを投げて行こう!

 アベルは今後、アリアの前でツボやタルを割る時は せめて格好良く見えるように割ることを決めたのだった。

 

 

「あ、アベル、何か入ってたみたいだよ。はい、どうぞ」

 

 

 割ったツボの破片が消えると、最後に【小さなメダル】と素早さが上がる【すばやさのたね】が残っていた。

 アリアがそれを拾ってアベルに手渡す。

 

 

「え? あ、小さなメダルと、すばやさの種か……!」

 

「へ~、すばやさの種って柿の種みたいだね~」

 

 

 アベルが受け取ったアイテムの名称を告げるとアリアは手を後ろに組んで、興味深そうにアベルの手元のアイテムを見下ろした。

 

 

「柿の種?」

 

 

 ――っ、アリアさんっ、おっぱいが強調されてます……っ!

 

 

 アベルは平静を装いながら、アリアのたわわに集中する。

 

 アリアのたわわは魔性で、そちらに集中すると話が全く頭に入って来ないという効果があるわけで。

 

 

「ふふっ、柿の種美味しいんだよね~……。よく食べたなぁ」

 

「えっ、すばやさの種を? そんなに手軽に手に入るものかなぁ……」

 

 

 アリアの話など話半分のアベルは適当な返答をしてしまった。

 

 

「違う違う、柿の種っていうお菓子があったの。……も~、アベルってば、私の話いっつも話半分なんだから……」

 

「あっ、えっと……」

 

 

 ――だって目の前に神秘のお肉が揺れてたら しょうがないよね!?

 

 

 アリアが呆れたように云うので、アベルは強く主張したかったが言い出せなかった。

 

 

「ホウレンソウしたって、これじゃ困っちゃうなぁ……」

 

 

 ――アベルってば大事な話してる時もたまに ぼんやりしてる時あるよね……大丈夫かな……?

 

 

 アリアはちょっと心配になってしまう。

 

 

「僕も困ってるんだよ……。旅は続くし、きちんと意思疎通は図って行かないとね」

 

 

 ――人の気も知らないでっ!!

 

 

 アベルは悪いなと思いつつも、半分はアリアの所為だとして反省はしなかった。

 

 

 “旅”

 

 

 その言葉に近くにいた散歩中の青年がアベル達の傍に寄って来る。

 

 

「へー、あんた旅の人かい。どうだい? 旅は楽しいかい?」

 

「え? あっ、はい。かなり……」

 

 

 ――アリアが居るから楽しい……!

 

 

 アベルはチラッとアリアを見て口角を上げた。

 目が合うと彼女もにこっとはにかんでくれる。

 

 

「まっ、好きでやってるなら何も言うことはねえや」

 

 

 青年は旅をしたことがないのだろうか。

 “あんた等楽しそうだもんな……魔物さえ出なきゃ俺も旅をしてみたいもんだぜ……。”と嘆いていた。

 

 

 そうして青年とは直ぐに別れ、今度こそベネットじいさんの家を目指す。

 

 

「魔物か……、人々に害を与える魔物さえいなければ……」

 

「……私達がビスタの港からポートセルミに着いた後、船も出ていなかったし、やっぱり魔物がネックなんだね……。早く平和になるといいんだけど……」

 

 

 アベルの呟きにアリアも頷いていた。

 




中々ベネットじいさんの家に辿り着けない……w
その内着くと思うのでイチャイチャ失礼します。

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読了お疲れ様でした、そしてお読みいただきありがとうございました!
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