ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

ベネットじいさんの助手になりましょう。

では、本編どぞ。



第三百六十話 ベネットじいさんのお手伝い

 

「こんにちはベネットさん! お邪魔します!」

 

「お前さん、わしの家の中を散々うろついておいて、挨拶が遅いぞ! まずは挨拶じゃろうが! それから調べればいいじゃろう」

 

 

 アベルが爽やかな笑顔で挨拶をするとベネットは ぴょんっと軽くジャンプし、アベルの額にデコピンをお見舞いしてくる。

 杖の意味はあるのだろうか……元気な老人だ。

 

 そしてベネットは挨拶に拘り、ツボやタルを壊されたことを気にしていない様子。

 この世界の人々は毎度のことだが自分の家のツボやタルを壊されても何ともない顔をしている……。

 

 

(どう考えても突然家に入って来て、部屋の中を荒らすのっておかしいと思うのだけど……)

 

 

 アリアは記憶喪失中に慣れた行動とはいえ、可笑しくて堪らない。

 もしかしたら、主人公が手に入れるものは廃品で、廃品回収的役割を担っているのでは……?

 

 アリアはアベルとベネットの様子に“面白いなぁ”と目を細めていた。

 

 

「あいたっ! す、すみません……(イテテ……)」

 

 

 アベルは不意の攻撃に額を擦る。

 

 と。

 

 その痛みついでに例のアレがフッと降りて来たのだった。

 

 

「あっ(来た来た来た!!)」

 

 

 ――あぁ……【ルラムーン草】か……!

 

 

 アベルの脳裏に、これからベネットに依頼されるであろう内容が過ぎった。

 

 【ルラムーン草】を手に入れ、今は失われた古代の移動呪文【ルーラ】を覚えるのだ。

 そうすれば いつでも帰りたい場所に帰れるし、旅がかなり楽になる。

 

 

(確か、ベネットじいさんは煙の件で町の人に文句を云われてウンザリしているんだったな……。)

 

 

 今回は記憶が降りて来るのが随分と遅かったなと思いながら、アベルはベネットの話を待った。

 

 

「なんじゃ、お前さんは? お前さんも煙たいとか文句を言いに来たのかえ?」

 

 

 ベネットはアベルの記憶の通りに話をし始めた。

 

 

「ええ、実は苦情が出てましてね……」

 

 

 ――そうだって言ったら、怒るのかな?

 

 

 アベルはどうせなので、町の人から聞いた話をベネットに伝えてみる。

 するとベネットは不愉快そうに眉を吊り上げプクッと頬を膨らました。

 

 

「ふん! わしがわしの家で何をしようと、わしの勝手じゃろう。研究のジャマじゃ。さあ帰ってくれ」

 

 

 お帰りはあちらじゃ! と杖を向けられ、アベルは扉へと促される。

 

 

(おっと、あんまり怒らせたら追い出されそうだ……)

 

 

 アベルは怒り心頭のベネットを宥めるように両手を挙げて首を横に振った。

 

 

「あ、ははっ、冗談です。文句なんてとんでもない! 魔法の研究をされてると聞いて来たんです」

 

「するとわしの研究を見学に来たわけじゃな。なかなか感心なヤツじゃ。もし研究が成功すれば古い呪文が ひとつ復活することになるじゃろう」

 

 

 アベルが笑って誤魔化すと、ベネットは都合よく勘違いしてくれたのか吊り上げた眉を下げて、研究している事柄について説明を始める。

 

 

(うんうん、知ってる知ってる。【ルーラ】だよね!)

 

 

 ベネットの説明にアベルは黙って相槌を打った。

 降りて来た記憶の通りなら、ベネットは移動呪文【ルーラ】についての研究をしていることを話すはず……。

 

 

「それは知っている場所であれば瞬く間に移動できるという大層便利な呪文なのじゃ。どうじゃ? この研究を手伝ってみたいと思わぬか?」

 

「はい! もちろんです! 手伝わせてください!」

 

 

 ――やっぱり……!!

 

 

 別世界と同じ展開だが、【ルーラ】は是非覚えたい。

 【ルーラ】があればかなり旅が楽になる。

 

 アベルはベネットの問いに即答していた。

 そんなアベルとベネットの後ろでアリアが……。

 

 

「知っている場所に瞬く間に移動できる呪文……? それって……ルー……っ」

 

 

 アリアは小さく呟いて慌てて口元を両手で覆っている。

 

 

(あれ……アリア……?)

 

 

 アベルはベネットと話しつつ、アリアの呟きが気になり彼女をチラッと窺った。

 と、アベルの視線に気付いたアリアはアベルにはにかんでいる。

 

 

(アリア、ひょっとして【ルーラ】を知ってる……?)

 

 

 ――さすが呪文のエキスパートだな……。

 

 

 アベルはいつもチェックしているアリアのステータスに【ルーラ】の記述は無かった気がしたが、アリアの呪文一覧には一部モザイクが掛かっているため、その中にあるのかと思った。

 

 

「おお! やってくれるか! それでは わしについてまいれ!」

 

 

(……そういえばベネットさんの話の途中だったな……。)

 

 

 アベルの申し出にベネットが破顔し二階へと上がって行くので、アベル達もついて行く。

 

 ……二階に到着すると、ベネットは机の上に置かれた球体で出来た世界地図の前に立った。

 

 

「ちょっとこの地図を見てくれぬか」

 

 

 ベネットはアベルに地図を見せる。

 ラインハットにあった世界地図よりは小振りだが、よく似ていた。

 

 

「今わしらがいるこの町はここじゃろ」

 

 

 説明をしようとしているのだろう、ベネットが地図上のルラフェンの町を指差す。

 そして、次に。

 

 

「でな。この辺りにルラムーン草というのが生えているらしいのじゃ。ちとそれを採ってきて貰えんかの」

 

 

 ベネットは【ルラムーン草】の生えている辺りを示していた。

 ベネットの説明はまだ続く。

 

 

「ただしルラムーン草は夜しか採れんそうじゃ。夜になるとその草は ぼんやり光るといわれとる。どうじゃ? もう いっぺん言おうかの?」

 

 

 これで一通り説明したが、わかったかな? とベネットがもう一度言おうかと訊くのだが、アベルは首を横に振った。

 

 

「いえ、大丈夫です。この辺りですね、採って来ますよ」

 

 

 アベルは先程説明を受けた【ルラムーン草】の生息地辺りを確認し、深く頷く。

 記憶が降りて来た以上、繰り返しになるので【ルラムーン草】が必要なのはわかっている。

 だが、場所はぼんやりとしか憶えていなかったので再度確認出来てよかったとアベルは思った。

 

 

「よろしい! ではわしは寝て待つことにしようぞ」

 

 

 アベルの自信に満ちた頼もしい返事に、ベネットは安堵したのか側のベッドに横になってしまう。

 

 

「ベネットさん寝ちゃったね……(昨日徹夜でもしたのかな……?)」

 

 

 ベッドに横になったベネットからすぐに“ぐごーぐごー”と(いびき)が聞こえて来る。

 何日も徹夜していたのだろうか……ベネットの目の下の隈が酷い。

 アリアは「果報は寝て待て、ね」とクスッと笑った。

 

 

「……アリア、ルラムーン草を手に入れに行こう」

 

「うん」

 

「けど、ここから結構距離がある。多分ポートセルミ、カボチ村 間よりも日数が掛かりそうだ」

 

「うん、キャンプだね! 大丈夫だよ」

 

「道具を揃えないとね」

 

「はーい!」

 

 

 そうしてアベル達はベネット宅を後にする。

 ルラフェンを出る前に、道具屋へと向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございました! 今後とも ごひいきに!」

 

 

 道具屋の主人が晴れやかな笑顔でアベル達を見送る。

 道具屋にて不用品の売却並びに、大量の【せいすい】と足りない道具を買い揃え、アベル達は道具屋前にある階段を上って行く。

 

 

「これで準備万端ね!(あれ? アベルどこ行くの……?)」

 

 

 “さあ、出発ねっ”グッと両手拳を作って気合を入れたアリアだったが、アベルが宿屋へと歩いて行くので、首を傾げついて行った。

 

 宿屋の屋上から二階へと下り、アベルが告げる。

 

 

「ああ。けど、今日は町を歩いて疲れたでしょ? ここ宿屋なんだよ」

 

「え? 宿……? ううん、まだお昼過ぎだし、全然平気だよ?」

 

「……けど、しばらく町に戻って来られないし……」

 

 

 アリアに訊ねながらアベルは目についた部屋の扉を開けた。

 

 

「あっ、アベル、そこ客室なんじゃ……!」

 

「あっ、こ、こんにちは……」

 

 

 アリアの制止も聞かず、無意識で扉を開けていたアベルは中に人が居るのに気付き挨拶をする。

 

 

 ――つい、開けてしまった……! って、わざとなんだけどね……!

 

 

 アベルが開いた部屋には宿の客……旅の吟遊詩人の男が机に向かい書き物をしていた。

 この部屋は一人部屋のようだ。

 男は特に驚くこともなく、アベルの挨拶に振り返り軽く会釈する。

 

 

「この町に呪文の研究をしている老人がいると聞いてやって来ました。今は失われている古代の呪文を色々と復活させるつもりとか……」

 

「あ。はい、みたいですよ」

 

「そうですか、もうお会いになられたのですね?」

 

「まあ……」

 

「私もお会いしてみたいですね……」

 

 

 男はまだベネットに会っていない様子でアベルからどうだったか話を訊きたがったが、アベルは二言三言交わして部屋を後にした。

 どうやら、詩人は道に迷ってベネットの家まで辿り着けていないらしい。

 




さて、依頼を受けたのでルラフェンを後に……と思いきや。
宿屋を覗いて行くアベルさん……。

※大量の聖水の使い道については近い内に判明します。

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読了お疲れ様でした、そしてお読みいただきありがとうございました!
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