ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

アベルさんが語ります。

では本編どぞ!



第三百六十二話 アベル、半生を語る

 

 

 

 

 

 あれから何日経ったのだろう……。

 ルラフェンの町を出て一週間は経っていた。

 

 目的地まではもう少しだが、このままだと地図を見た限りでは明日の昼に到着しそうだ。

 

 

「……はぁ……」

 

 

 魔物の群れとの戦闘を終え、アベルは一息。

 それは気だるげで溜息にも聞こえる。

 

 

「主殿、どうかされましたか? 回復が足りていませんか? ホイミン殿のベホイミがよく効いていたように思うのですが……」

 

 

 ピエールがやって来てアベルの様子を窺うと、特に傷は見当たらず首を捻った。

 先程の戦闘でアベルは中程度の傷を負ったものの、戦闘後に馬車内のホイミンによる回復呪文で全快している。

 

 

「あ、いや……怪我は大丈夫だよ、何ていうか……」

 

 

 アベルはチラッと、ゴールドを拾うアリアを見つめる。

 すると彼女は早々にゴールドを拾い終え、一昨日仲間になった茶色い木彫りの操り人形のような魔物【パペットマン】の【パペック】と楽し気にダンスを踊っていた。

 

 

 何故アリアが踊っているのかというと……。

 ……それは後で語ろう。

 

 

 ――この一週間、二人きりどころか戦闘が多くて話すらもまともに出来てないんだけど!? ああ可愛いなっ! 何で踊ってんの!!

 

 

 嘆きと喜びの心の声がアベルの脳内に渦巻く。

 

 

 

 

(……誰でもいい、ちょっと僕の話を聞いてくれないかい?)

 

 

 

 

 アベルは心で独り、語りだしていた。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 ……ルラフェンを出てからもうどれくらいだろうか……。

 僕とアリアはピエール達と共に【ルラムーン草】を求め西の大陸を歩いていた。

 

 

 

 

 ……僕はアベル、似たような人生を何度も繰り返す輪廻の旅人だ。

 僕には前世の記憶がある。

 

 いや、前世というのが正しいのかはわからないが、僕の彼女が前世の話をよくするので、僕も同じようなものなのかとここでは便宜上、前世としておく。

 

 僕は何度も同じような人生を歩んでいて、その記憶を持っている。

 けれど その記憶は曖昧で、大体が何かが起こる直前に降りて来るという役に立たないものだった。

 

 幼い頃はこの感覚が何なのかわからなかったが、今回もまた(・・)、同じように同じ人生を歩むものだと思い、何故かとても疲れていたのを記憶している。

 

 

 ……僕は幼い頃、父さんと旅をしていた。

 

 そして、二年振りにサンタローズの村に帰って来た時のこと……。

 僕は帰りの船の上で、今まで見たことが無かった天使を見たんだ。

 

 

 

 

 ……え? もっと端折れって?

 

 

 

 

 うーん……、やってみるよ。

 

 

 

 

 僕は自宅前で可愛い天使を拾った。

 ここで言う天使っていうのは、文字通りの天使。天使というのは背に翼が生えているんだ。

 

 その子はアリア。(のち)に僕の彼女になる子だ。

 未来で僕の花嫁にしたいと思っている。

 

 

 アリアは小さくて とても可愛くて、優しくて、ちょっと変わってて面白い子だった。

 彼女を見つけた時、怪我をしていたから僕は口移しで【やくそう】を含ませた。

 

 だから彼女の初めてのキスは僕のはず。

 僕も初めてで少し恥ずかしかったけど、あの時は夢中で。

 

 今思うとあれは……幼い頃の僕グッジョブって感じだ。

 あのまま放っておいたら多分、アリアは死んでいたと思うから。

 

 

 

 

 ……え? それでどうしたって?

 

 

 

 

 短めにしろ? ……もうちょっと語らせてよ。

 なるべく纏めるからさ。

 

 

 

 ……その後、僕は彼女をあちこちに連れ回したんだ。

 サンタローズの洞窟・アルカパ・レヌール城・妖精の世界・ラインハット……。

 

 出会った頃のアリアは記憶喪失で、自分の過去を知らない。

 自分が天空人だとすら知らなかった。

 

 妖精の世界に行った時、アリアは自分の過去を探すため、協力してくれるという妖精の村の村長、ポワン様の元に残ると云っていたけれど、僕は彼女を放したくなくて我儘を言って人間界に連れて戻って来た。

 

 

 ……だって、彼女は僕の唯一の初めてだったから。

 

 

 

 

 “光”

 

 

 

 

 幼い僕はアリアに光明を見たんだ。

 繰り返す同じ世界の中で違うものを見せてくれる存在なんじゃないかと思ったんだよ。

 そして彼女は僕が望んだ通り、同じものばかりを見て来た僕に新しい風を入れてくれた。

 

 彼女と居ると繰り返す世界なのにドキドキしたし、ワクワクした。

 結果が変わらないことばかりだったけど、繰り返しの疲れなんて忘れるほどにね。

 

 

 今思うと、あれは完全に“依存”だったと思う。

 彼女を手放すことが怖くて出来なかったんだ。

 

 

 けれどラインハットに連れて行ったのは失敗だった。

 僕はゲマという魔族に目の前で父さんを殺され、アリアも巻き添えにしてしまった。

 

 アリアの翼はゲマに引き千切られ、愛らしかった彼女は血塗れに……。

 そのすぐ後でゲマから放たれた巨大な炎で父さんとアリアは…………

 

 

 死んでしまった。

 

 

 父さんは毎回亡くなっているから、今回も亡くなってしまってショックだったけれど、いつか仇を取ってやる……と何とか感情の折り合いはつけられた。

 ただ、関係ないアリアも死なせてしまったことが申し訳なくて堪らなかった(後にアリアだけは生きてたことがわかるんだけどね)。

 

 

 その後、僕はゲマに【セントベレス山】に連れて行かれ、十年もの間奴隷として強制労働を強いられる。

 十年の労働は辛かったけれど、時々彼女が夢に出て来て癒された(毎回最後には絶望してたけど……)。

 

 

 そして奴隷生活から脱して、意識を失って眠っていた僕が目覚めたその時。

 

 

 

 

『ぁ……、……気が付かれました?』

 

 

 

 

 僕の天使が再び目の前に現れたんだ。

 

 

 ああ、ここでの天使はあれだよ、あれ。

 僕だけの天使ってやつ……。

 

 

 ……ちょっとキザだったかな……恥ずかしいな……。

 

 

 白金の長い髪と、長い睫毛に神秘的な紫の宝石の大きな瞳。白い陶器の肌に艶のある桃色の唇。細い手足と腰、柔らかそうな大きな果実が二つ(実際柔らかかった……)。

 天使か女神かと思った。

 

 彼女があのアリアだとは気付きもせずに、僕は一目で恋に落ちてしまった。

 

 

 だが彼女は元々記憶喪失だったのに加えて、ゲマの所為で僕と過ごした記憶をも失っていて……。

 

 

 

 

 ……僕は父さんの最期の願いを叶えるための旅はもちろん、彼女の記憶を戻すためにも奮闘した。

 その甲斐あってアリアは一部記憶が欠落したままだけど、僕と過ごした記憶をほぼ取り戻すことが出来たんだ。

 

 

 再会した記憶喪失中の彼女と旅を始めた頃、僕はアリアのことを好きじゃないと否定していた。

 

 また“依存”するのが怖かったんだ。

 

 けれど彼女は綺麗で可愛くて、やっぱり面白くて、一緒に過ごす内に僕の心の中に住み着いて、僕の中でアリアはどんどん大きな存在となっていった。

 

 

 

 

 え? 長いって?

 

 

 

 

 ……わかったよ。もうちょっと端折ってみる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 色々あってついこの前、僕はついにアリアに告白。

 彼女もやっと僕を受け入れてくれた。

 

 アリアも僕をずっと好きだったらしい。

 ずっと……っていつからなのかは気になるが、幼い頃から好きで居てくれてたなら嬉しい。

 

 

 ……これは自惚れかもしれないけど、実は何となく、アリアは僕のことを好きなんじゃないかっていうのは感じていたんだ。

 彼女の記憶が戻る直前なんかは特にね。

 

 

 彼女は記憶喪失中も、記憶を取り戻してからも、いつも僕に笑顔を向けてくれて優しくしてくれた。

 

 そういうのって普通、相手を好きじゃないとしないんじゃないかなって、思ったんだよ。

 

 だって、僕だってそうだからね。

 僕は他の人に礼儀は尽くすけど、彼女には特別優しく接することを心掛けているから。

 

 

 

 

 ……キスだって、したんだ!

 

 

 

 

 僕とアリアは互いに想い合い、ら、“らぶらぶ”だった。

 

 

 

 

 だったんだ……。

 

 

 

 

 ……そう……ポートセルミを離れるまでは、ね。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

「……はぁ……」

 

 

 アベルは今までを振り返り終わると、再び溜息を吐いた。

 ふと、それまでパペックと踊っていたアリアが手を振りながらやって来る。

 

 

「アベル~!」

 

「あっ! アリアっ、ダンス上手くなって来たn……」

 

 

 自分の元に笑顔で走って来るアリアに、アベルも笑顔になった…………のも束の間。

 

 

「っ、主殿! アリア嬢! 魔物の群れです!」

 

「うわっ、また出た~!」

 

 

 ピエールが前方に魔物の群れを発見、戦闘態勢に入る。

 アリアもアベルに近寄るのを止め、武器を構えて警戒に入った。

 

 

「っ、ああっ、もうっ!!(キリがないっ!!)パペック、アリアを守ってやって! ピエールは攻撃、アリアは火炎系攻撃呪文準備!」

 

「「はい!」」「カタ、カタ、カタ……」

 

 

 アベルの命令でピエールとアリア、パペックがそれぞれの行動に移る。

 先程からこれの繰り返しである。

 先程というのは少々語弊がある。ルラフェンの町を出てからずっとこの調子だ。

 

 

 魔物との遭遇が激しく、アベル達はずっと戦い続けていた……。

 




結構長くなって来たので、ここらで振り返りを……と、たまには一人称もええかなーと思って書いてみました。

アベルが誰に向けて話しているのかはともかく、語る語る。アリアのことめっちゃ好きみたいですねw

本当は外伝でこういう一人称書きたかったんだけど、たまに入れるのも悪くないですね。
その内アリアにも語らせたいと思います。

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読了お疲れ様でした、そしてお読みいただきありがとうございました!
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