ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

おどりこの服……。アリア着るんか……?

では、本編どぞ。



第三百六十三話 おどりこの服

 

 

 

 

 

「……これでっ、終わりっ!!」

 

 

 アベルは魔物の群れの最後の一体【くさった死体】の上位種、【リビングデッド】に止めを刺した。

 これで、今回の戦闘も無事終えたわけだ。

 

 

「ふぅ……。怖かったぁ……」

 

 

 ゾンビ系が苦手なアリアは ほっと胸を撫で下ろして武器を仕舞う。

 

 

「お疲れアリア」

 

「アベルもお疲れさまっ」

 

 

 ぱんっ!

 

 

 アベルが手を挙げると、アリアは明るい笑顔でアベルの手にタッチした。

 ここのところ、アリアとの触れ合いはこれのみである。

 

 

「……アリア……その……さ、パペックがくれた……」

 

「おどりこの服なら、もうちょっと待って……踊り、覚えてから……」

 

「あっ、うん……」

 

 

 アベルが話し掛けると、アリアは頬を赤く染めた。

 何の話かといえば、彼女が口にした【おどりこの服】の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一昨日パペックが仲間になったことにより、キャシーが漸くモンスターじいさんの元へ向かったわけだが(【ルーラ】を覚えれば いつでも会いに行くことが可能になる為、別れは意外とあっさりしていた)、アリアは密かにキャシーからダンスの指南を受けていたらしい。

 

 その後継としてパペックが踊れることが解り、キャシーはパペックにアリアの指導を託し、笑顔で去って行った。

 

 アリアも踊りが踊れるようになると旅先の路銀稼ぎが出来るとのことで、ちょっとした合間にパペックに踊りを教わっているのである。

 習得しようとしている踊りは、相手も一緒に踊らせて、僅かの間行動を封じる【さそうおどり】だ。

 

 アベルとしてはそんなもの必要ないと思うのだが、アリアがやりたいと言うから止めることはしていない。

 

 そんな踊りの新たな師とのファーストコンタクトでは、アリアは敵対していたパペックの珍妙な【ふしぎなおどり】を受け、魔力を下げられていた。

 

 

 ……にも関わらず。

 

 

『っ、あれが有名な不思議な踊りねっ! 私も覚えたいっ!』

 

 

 何が有名なのかアベルにはよくわからなかったが、アリアは瞳を輝かせパペックが倒れるのを待つ。

 【パペットマン】が倒れても仲間になってくれるかは わからないのだが、彼女はじっと様子を見ていた。

 

 と、アリアが倒れたパペックの傍で待っていると、パペックが起き上がり隠し持った宝箱をアリアに差し出す。

 

 

 中身は【おどりこの服】……。

 

 

 パペックはアリアに貢ぎ物として収めるよう促し、恭しく頭を垂れて“カタ、カタ、カタ……”と身体を鳴らしていた。

 

 

『うわぁ……、おどりこの服って露出度がすご……』

 

 

 アリアが【おどりこの服】を持ち上げ、目の前に掲げる。

 “はぁ~~……”とあまりの布地の少なさに溜息を吐いていた。

 

 アベルはそれを着た踊り娘を何人も見て来たが、アリアが身に着けたらどんな感じになるのだろうと見てみたい衝動に駆られる。

 

 

『よろしくパペック! 僕はアベル。好いものをありがとう。キャシー、また会いに行くよ! モンスターじいさん!! キャシーをお願いします!』

 

 

 アベルはパペックを快く迎え入れ、キャシーをあっさり見送った。

 

 

 “ウフフ。アベルんたら現金ねン! じゃあネ~! パペック、アリアを頼んだわヨン。たまには会いに来てよネ~ン☆”

 

 

 いつの間にかパペックにアリアの踊り指導を託したキャシーは、愉快そうに笑ってモンスターじいさんの元へと飛んで行く。

 アリアはあっという間の出来事に【おどりこの服】を掲げたまま小さく「ぁっ」と口にしただけで、飛んで行くキャシーを見送っていた。

 

 

 そうして手に入れた【おどりこの服】だったが、アリアは着ようとはしなかった。

 露出度が高すぎて恥ずかしい……という理由である。

 

 

 アベルはせめて視覚的にでもアリアの魅力を思う存分感じたかったのだが、着てくれないならしょうがない。

 それでも気分が変わって着てくれるかもと、時々何度かお願いしていた。

 

 

 そして……今回も断られたわけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そろそろ日が暮れる。キャンプの準備をしようか」

 

 

 ――踊りを覚えたら着てくれるのかな……。

 

 

 アベルは強く出られず、アリアの気分が変わるのを気長に待つことにして、黄昏始めの空を見上げた。

 平原を歩いていたアベル達だったがキャンプは平原では目立つため、森の中へと一時的に入って行く。

 

 

「……はぁ……」

 

 

 アベルはパトリシアを引き連れ、馬車の後衛にいるアリアを ちらりと見るや否や溜息を吐いた。

 

 ルラフェンを出てから戦闘が多くなったために前衛では魔物の攻撃を受けることが多いため、体力の少ないアリアは後衛に下がらせている。

 彼女が安全ならそれでいいとはいえ、馬車の前と後ろでは気軽に話も出来ない。

 

 

(ルラフェンを出てからというもの、僕はアリアと会話らしい会話をしていない……これじゃあ、付き合う前と何の変わりもないじゃないか。)

 

 

 ルラフェンを出る際に覚悟していたことだったが、これが中々しんどい。

 殆ど愛しい彼女を眺めるだけで、触れ合いは戦闘終了後のタッチだけ。

 

 

 

 

 ――アリアが足りない……!!

 

 

 

 

 アベルは唇を引き結び、難しい顔で森の中へと入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「聖水を四隅と中央に垂らして……」

 

 

 キャンプ出来そうな木々の合間にアリアが聖水を少しずつ垂らす。

 四方とその中央に聖水を撒いておくことで魔物が寄って来ない。

 

 

 ……否、来にくい。

 

 

 アベル達の強さに準じて聖水の効果が発動するため、アベル達と同等、それ以上の魔物が寄って来ることも多々あった。

 

 これはある種結界のようなものである。

 ちなみに、四隅でなくても三点でも良いし、五点でも構わない。要は周りを囲えれば良い。

 

 この辺りの魔物はアベル達と同程度の強さなのだろう、一晩の間に何度か魔物が襲来している。

 だから火の番は欠かせないし、すぐ戦えるよう誰かが起きていなければならなかった。

 

 ルラフェンを出て初日なんかは一時間おきに魔物が現れたので、休むのも大変だったが、今は僅かではあるがその頻度が減って来ていた。

 

 

「アリアありがとう。じゃあ、メラもお願いしていいかい?」

 

「ええ、任せて!」

 

 

 アベルが聖水を垂らした結界領域の中央に薪を置くと、アリアが【メラ】で火を起こす。

 

 アベルは旅の途中で手に入れた【クックルー】の親戚、【デスパロット】の肉を焼いて、夕食とした。

 アリアは特に嫌がることもなく口にし「クックルーとちょっと味が違う」とマイ調味料のスパイス塩で美味しそうに食べていた。

 

 

「はぁ~、美味しかったぁ! アベル焼いてくれてありがとう」

 

「いや、こちらこそ、美味しい調味料をありがとう」

 

 

 食べ終えるとアリアはアベルにお礼を告げるが、その瞳は眠たそうだ。

 アベルもお礼を伝えながら【安眠枕】を【ふくろ】から取り出す。

 

 

「ふぁ……(お腹がいっぱいになったら眠くなって来ちゃった……)」

 

 

 アリアは欠伸(あくび)を噛み殺しアベルの声に耳を傾けるのだが、目蓋は既に半分落ちていた。

 

 

「お疲れ様……疲れた? これ使って」

 

「ん……。戦闘が多くてちょっと疲れたかも……ありがと……」

 

 

 アベルが【安眠枕】をアリアに渡すと、彼女はそれを受け取り抱きしめる。

 

 

「うん……、アリア頑張ってたもんね」

 

「アベルの方こそ……………………すぅすぅ……」

 

 

 アリアに優し気に語り掛けたアベルだったが、アリアは にこっとはにかんだまま直ぐに眠ってしまった。

 彼女が眠りに就くと、アベルが触れようとする前にアリアの周りには仲魔達が集まって来る。

 

 プックルが彼女の背もたれになって、アリアを守るように目を閉じた。

 アリアは心地良さそうに すやすやと寝息を立てている。

 

 スラりん・ドラきち・ホイミン・パペックも彼女の傍で眠りに就いた。

 

 

「…………あぁ……もぅ…………」

 

 

 ――アリアに近付けないじゃないか!! わざとなのか!?

 

 

 膝枕でもしてやろうと思っていたアベルは がっかりして、薪を追加する。

 

 

「……はぁ……」

 

「……主殿?」

 

「……はぁ……」

 

 

 ピエールが話し掛けてもアベルは ぼんやりとアリアを眺めて溜息を吐き続けていた。

 

 

「はぁ……」

 

 

 ――アリアにもうちょっと近付きたいな……ハグもしたいし、キスだってしたい。

 

 

 ……その先だって。

 

 

 目と鼻の先に居るアリアにアベルは手を伸ばすが、仲魔が周りを囲んでいるため届かない。

 

 

 ぽんぽんっ。

 

 

 と、不意にアベルは肩を叩かれた。

 

 

「主殿っ。あの……、どうかされたので……? 最近様子が変ですよ?」

 

「え? あ、ごめん……何でもな…………、あ、いやピエールには言ってもいいか……」

 

「はい?」

 

 

 ピエールに心配され、アベルは三角座りで膝に肘を置き手を組むと、組んだ手に額を当てて顔を俯ける。

 

 

 

 

「……アリアが足りないんだ」

 

 

 




おどりこの服を着ることなく終わりましたね……。
あれで旅って頭オカシーィ! JK。
ゲーム内ならそりゃ着せますよ。可愛いものw

アリアは後に「さそうおどり」を習得予定です。
特技も魔物達に教わり覚えていくスタイル。
全て覚えるわけではありませんが、いくつか覚えさせたい。

聖水の使い方については独自設定にございます。
周りの敵が強いとしばしば襲われますが、アベル達が強いと寄って来ないという仕様。
ドラクエ5にはキャンプ機能ないものね。

このお話ではちょいちょいキャンプしていたりします。夜道を歩き続けるのは危ないし、いちゃいちゃしたいしw

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読了お疲れ様でした、そしてお読みいただきありがとうございました!
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