ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

紅い痕、付けたのだぁれ。

では、本編どぞー。



第三百六十六話 紅い痕

 

「ああ。もう繰り返しに疲れただの何だのなんて言わないし、諦めない。降りて来た記憶(ヒント)を最大限使って、違う未来を君と見たいんだ」

 

 

 アベルは額をくっ付けたまま言い終えると、アリアから顔を離した。

 だが腕は腰に回ったまま、今度はアリアの肩口に顔を埋める。

 

 アベルの吐息が首元に触れ、(くすぐ)ったさにアリアは身を捩った。

 

 

「っ、アベル、くすぐった……」

 

「……って、実はもう未来が変わってるんじゃないかなって考えたりもしてるんだよね……」

 

 

 ――アリア、いい匂いがする……、柔らかくて温かい……。

 

 

 アベルは約一週間振りのハグに胸を高鳴らせ、アリアの首筋に顔を近付けた。

 

 

「え……? っ……?」

 

「……君とこうしていることが、今までに無かったことだし……。君はどう思う?」

 

 

 刹那、アベルはアリアの首筋に唇を押し当て、ちゅぅっ、と吸い付く。

 少し強く吸い上げると、ピリッとした痛みがアリアを襲った。

 

 

「っ……!?(アベルっ!!?)」

 

 

 ――今、首にキスした……!?

 

 

 アリアは驚き過ぎて声を出せずに、頬だけ紅潮させていく。

 

 

「……アリア好きだよ。僕の本気、舐めないでよね」

 

 

 アベルはアリアの首筋に付けた紅い印をペロッと一舐めしてから……

 

 

「はいっ、ハグおしまい! 目的地まであと少しだ。今日は早めにキャンプを始めて夜に備えようね!」

 

 

 そう云ってアベルはアリアから離れると、パトリシアの方へと走って行ってしまった。

 彼の耳が赤かったが、アリアはそんなことを気にしている余裕などない。

 

 

「っ、うそ……。アベル、今私の首吸いっ、舐め……うそっ! …………ぁっ」

 

 

 ――舐めないでよねって……舐めたのあなたじゃんっ……!!

 

 

 アリアは半ばパニックに陥り、辺りを見回す。

 傍にはパペックとピエールが居り、パペックは軽快なステップを踏み喜びの舞を。ピエールはアリアと目が合うと、ゆっくりとサムズアップを前に突き出した。

 

 

「っ、ちょっ、ちょっと……み、見ないでよぉ……」

 

 

 アリアは恥ずかしさに両手で顔を覆ってしゃがみ込んでしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……一方でパトリシアの元に向かったアベルも両手で顔を覆っていた。

 

 

「……っ……はぁーーーー危なかった……!!」

 

 

 ――アリアに噛みつくところだった……!!

 

 

 アリアの匂いに当てられて、アベルはまたも やらかしそうになり、ぎりぎりの所で耐えられたことに ほっと胸を撫で下ろす(いや、耐えられていないのだが)。

 

 

「マズイな……。禁断症状が出て来てるみたいだ……」

 

「ブブブブ……」

 

 

 アベルが片手で顔を覆ったままパトリシアの手綱を手にすると、パトリシアは優し気に語り掛けて来た。

 

 

「パティ……? 何? ……もっと積極的になれって……?」

 

「ブブブブ……」

 

 

 パトリシアが何を言っているのかはわからないが、アベルに顔を摺り寄せて来るので、アベルは彼女の首を ぽんぽんと優しく叩く。

 

 

「……どうしよう……。僕、あの子に触れたくてしょうがないみたいだ……」

 

 

 ――これじゃ欲求不満みたいじゃないか……!

 

 

 そうしてアベルは自制が効き辛くなってきた心の奥底に眠る欲望を何とか堪え、目的地を目指したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……ややあって、目的地。

 

 やっとのことで【ルラムーン草】の採れるであろう場所までやって来たアベル達であったが、そこには無数の雑草が生い茂っていた。

 この無数の雑草の中に目的の【ルラムーン草】が生えているはずなのだが、時刻は昼を過ぎたところで まだ日は明るく、夜にならないと【ルラムーン草】が判別できない。

 

 

「……夜まで少し休もうか」

 

 

 今この場所に居たところで【ルラムーン草】の採取は不可能である。

 

 アベル達は近くの森まで移動し、夜まで休むことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………アリア、身体は平気かい……?」

 

 

 まだ昼間ではあるが森の中は薄暗く寒いため、焚き火を用意して火を囲みながらアベルは隣に座るアリアに声を掛ける。

 隣……といっても、アリアはやっぱり仲魔達に囲まれているので少し距離が離れていた。

 

 

「ぇっ、ぁっ、うん! 今日はあまり戦ってないし……」

 

 

 いつものようにスラりんを愛でながら(否、(いじく)りながら)声を掛けられたアリアは、ハッとアベルの方へと顔を向ける。

 と、先程のアベルの行動を思い出して頬を染めた。

 

 彼女の首にはアベルの付けた小さな紅い印がくっきりと刻まれている。

 

 

「ぁ、うん……。僕達が強くなったから魔物も多少避けてくれるようになったみたいだね」

 

 

 先程自分が付けた紅い印にアベルは息を呑んだ。

 

 

 ――っ、アリアの首にさっきの痕がっ……!

 

 

 白い肌に一つだけ付いた赤い鬱血は、アリアがまるで自分の所有物だと証明するようで、アベルに何とも言えない高揚感を与える。

 

 

「……そ、そっか、じゃあ夜までゆっくり休めそうだね……?」

 

 

 アリアは恥じらうようにアベルを上目遣いに見つめると膝に乗るスラりんを弄り倒し始めた。

 頭頂部(ツノ)の両脇を抓んで、上に引っ張り上げている。

 

 

「ピキキー! アリアちゃん、そこはダメだよぉぉ~! ツノが増えちゃうう」

 

「えっ!? ご、ごめん……! 痛かった!?」

 

 

 スラりんの訴えにアリアは慌てて手を放すと、不安気な顔でスラりんを窺った。

 

 

「ピキー、痛くは無いけど、ボクの愛らしいフォルムが崩れちゃうから 上に引っ張るのは止めて欲しいなっ」

 

「ん、うん……わかった、ごめんね?」

 

「横に引っ張るのはいいよ~!」

 

 

 スラりんから注意を受けたアリアは、特に痛みがあったわけじゃないことがわかり、ほっとしたようにいつも通りプニプニとスラりんを抓み出した。

 スラりんに触れていると癒されるのか、アリアの瞳は穏やかで嬉しそうだ。

 

 そんなアリアとスラりんのやり取りを見て、アベルは“ぷっ”と吹き出してしまう。

 

 

「あははっ! アリアってスラりんが本当に好きなんだね」

 

「っ……ぁ、……ん……。スラりんて触り心地がすごく気持ち良くてスキ……」

 

 

 アベルに声を掛けられるとアリアはまた恥じらうように頬を赤くすると俯いた。

 

 

 プニプニ、プニプニ。

 プニプニ、プニプニ。

 

 

 アリアの手元でスラりんは揉みくちゃにされていく。

 ところがスラりんにとって それはマッサージと同等で、次第にスラりんは「ピキー……気持ちいい……なぁ……」と眠りに落ちていった。

 

 

「……アリア……」

 

 

 アベルは赤い頬でスラりんを弄るアリアを優しい瞳で眺める。

 

 

 ――可愛いなぁ……ついこの間までこんな風に恥じらうことなんて なかったのに……。

 

 

 記憶喪失中の時みたいだ……。

 

 

 アベルはアリアの態度に口角が自然と上がるのを感じた。

 人間ってのは基本的な部分は変わらないのかもしれないなとアベルは思う。

 

 

 アリアはそれ以上何も言わず、黙ったまま焚き火を眺めていた。

 アベルも彼女を見ているだけで癒され、黙ったまま……。

 




衝動的に首筋にキスマーク付けるヤツw
アベル、イケイケやなw

この世界ではまだDTだが記憶自体は身体に眠ってるんで、素でそれが出たりするのが、カッコカワイイw

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読了お疲れ様でした、そしてお読みいただきありがとうございました!
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