ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

星に願いを伝えてみても、叶うかはわからない。

では、本編どぞ~。



第三百六十八話 星に願いを

 

 

 

 

 

 そして辺りが闇に包まれ、夜が静かにやって来た……。

 【ルラムーン草】は夜になるとぼんやり光るそうだ。

 

 アベルとアリアは仲魔……特にピエールが心配する中、二人で行って来ると言い張ってキャンプを抜け出す。

 

 

「はぁっ、はぁっ、っ、アリアっ……!」

 

「はぁっ、はぁっ、アベルっ……!」

 

 

 アベルとアリアの激しい息遣いが闇夜に溶けていた。

 互いの片手、指が絡み合い二人は額に浮いた汗粒も気にせずに熱い吐息を漏らし続けている。

 

 

「……はぁ……はぁ……、アリア、大丈夫……?」

 

「はぁ……う、ん……っ、……何とか……っぁ、痛いっ……! アベルっ、もうちょっと優しく……!」

 

「っ、ごめっ……、もうちょっと優しくするね……」

 

「あぁっ……!」

 

 

 荒い息遣いと共に、痛みを伴う行為……。

 

 

 ……二人がいったい何をしているかというと。

 

 

 

 

「はぁっ……っ……いたたた……、やっぱりこの辺りの魔物は強いのね……」

 

「っ、ごめん、判断を誤ったみたいだ」

 

 

 なんと二人は森を抜けたところで ばったり魔物の群れと遭遇。

 アベルとアリアは二人で戦うことになってしまった。

 

 今日のアリアのコンディションが悪いため、二人で戦うのは得策ではない。アベルは逃げる判断をしてアリアを連れ逃げ出していた。

 運良く怪我をする前に魔物の群れから逃げることは出来たが、アリアが逃げる途中で転んでしまい膝を擦り剥いてしまう。

 

 回復呪文を掛ける程ではないと彼女が云うので、アベルはアリアの膝に包帯を巻いていたのだった。

 

 

「……はい、出来たよ」

 

「ありがとう、アベル」

 

「……はぁ……、ホイミを掛けた方が良かったんじゃ……?」

 

 

 包帯を巻き終えると、アベルは痛々しい彼女の膝に注視してしまう。

 巻いた包帯に暗闇の中赤黒く見える血が滲んでいた。

 

 

「ううん、帰りにまた襲われるかもしれないし、魔力は温存しておいた方がいいよ」

 

「確かにそうだけど…………って、あ」

 

 

 アリアの言葉にアベルはハッとした。

 

 

「ん……?」

 

「っ、聖水使うの忘れてた」

 

 

 アベルはそっと自分の持ち物から聖水を取り出し、慌てて身体に振り撒く。

 

 

「へ? ……あっ」

 

「ご、ごめん……! 僕の所為だ……!!」

 

 

 ――アリアと二人きりになれたのが嬉しくて、うっかりしてた……!!

 

 

 アリアを怪我させたのは自分の所為だと気付いたアベルは、低頭平身でアリアに詫びていた。

 

 あの時逃げ切れなかったら下手したらアリアは大怪我を……どころか死……。

 

 

 そこまで考えに至ると、アベルの顔が蒼褪める。

 

 

「ごめん、アリア……!! 僕は自分のことしか考えてなかった……!!」

 

「……ん? どしたのアベル、頭なんか下げちゃって……」

 

 

 ほら、頭上げて。と、アリアはアベルの肩を ぽんぽんと軽く叩く。

 するとアベルは顔を上げて、今度はアリアの両肩を掴んでいた。

 

 

「っ、僕はっ、君と二人きりになれたのが嬉しくて聖水を使うのを忘れていたんだ!」

 

「あ、……あぁ~、そうなんだっ。私も忘れてたからアベルの所為じゃないよ? かすり傷だし、大丈夫大丈夫!」

 

 

 アベルが眉を寄せ心苦しそうにアリアに訴えると、彼女は明るく笑う。

 

 

「っ、けどアリアっ」

 

「ふふっ、私も浮かれてたみたい……気付かなくってごめんね?」

 

「っ……アリア……」

 

 

 優しい笑顔のアリアにアベル胸が痛む。

 自分の考えが至らなかったばかりに怪我を負わせてしまったというのに、アリアはアベルを責めなかった。

 

 

「アベルは責任感が強いから、何でも自分の所為にしちゃうのかもしれないけど……、なんでも独りじゃ限界があるよ。今のも私が気付けば良かっただけ。アベルに任せっきりにしててごめんね。これからは二人でチェックしあえばいいんじゃないかな?」

 

 

 アベルの辛そうな顔にアリアは同じ轍を踏まないようにと、解決策を持ち掛ける。

 

 

「っ、二人で……?」

 

「うん、アベルが忘れちゃっても、私が覚えていれば大丈夫でしょ? 逆もしかりだけど」

 

「二人して忘れた場合は……?」

 

 

 アリアの考えた解決策はありがたかったが、抜けがあるように感じてアベルは冷静に訊ねていた。

 そんなアベルにアリアは笑顔のままで答える。

 

 

「そこはほら……しょうがないよねっ。その時はその時ってやつ! ふふふっ」

 

「っ……何それ。答えになってないし、今がその状況なんだけど……」

 

 

 ――アリアって何でいっつも楽しそうなんだろ……。

 

 

 もしかしたらアリアが死ぬかも、と自分は気が気じゃなかったのに……。

 

 アベルは目の前で愛らしい笑みを浮かべるアリアを不思議そうに眺めていた。

 

 

「ふふっ、逃げられてラッキーだったね?」

 

「っ……ラッキーって……、下手したら死んでたかもしれないんだよ?」

 

「ううん、死なないよ。私、運の良さがいいから簡単に死んだりしないの」

 

「運の良さ…………っ、確かに君の運はいいけどさ……」

 

 

 ――翼剥がれて、記憶失ったりしてたよね……?

 

 

 どう考えても運が良いとは思えないのだが……。

 アベルは【ステータスウィンドウ】で見たアリアの【うんのよさ】と実際の運の良さは比例していない気がして、安易に頷けなかった。

 

 

「ふふふっ。アベル♪」

 

 

 アリアは上機嫌でアベルの名を呼ぶ。

 

 

「っ……、あ、アリア……?」

 

「……星が綺麗だねぇ~。こんなに星が見えるだなんて思わなかった……!(ゲームの世界すごいなぁ!)」

 

「え……、あ……本当だ……」

 

 

 アリアが上空を見上げ指を差すと、アベルも空を見上げた。

 今夜は月明かりの影響が少なく ほぼ真っ暗闇ではあるが、小さな星々が無数に輝いている。

 

 

「あっ、流れ星……!」

 

 

 流星が降るのを見つけ、アリアは手を組み目を閉じてブツブツと何か言いだした。

 

 

「流れ星……? ああ、あれか……、星が流れて………………消えた……?」

 

「――……ルと、……しょに…………とい……すよ……に……――あ、もう消えてた……残念……」

 

 

 アベルが流れる星を見つけ目で追うと、それはあっという間に消えてしまう。

 アリアは星が消えても何かを呟いていたが、目を開いた時には星は消えていて淋し気に目を伏せながらも微笑んでいた。

 

 

「……ん?」

 

「……ふふっ、ダメだってさ! 当たり前だよねっ!」

 

 

 アベルが窺うとアリアは彼を見つめ、改めてにこにこと笑っている。

 

 

「ん?」

 

「あのね、前世で居た世界……あ、異界ではさ、流れ星が流れている間に三回お願い事を唱えると叶うって云われてるの」

 

「へぇ……。そんな簡単に願いが叶うんだ? この世界でも叶うかな?」

 

 

 流れ星に願いを告げたところで叶う程 世の中甘くないわけだが、アリアはむしろ異世界なら叶うかもと思い願ってみたのだった。

 

 

「わかんないけど、お願いしてみたよ。……ダメだったけど」

 

「何のお願いをしたんだい?」

 

「やだ、えっち! そんなこと教えないよ!?」

 

 

 不意にアベルに問われ、アリアは ぽっと頬を染める。

 暗いのでアベルは気付いていないだろう。

 

 

「っ、えっちって……何、そんな えっちなことお願いしたの?? アリアって結構……スケベ……?」

 

 

 ――そういえば、アリアってすぐ えっちな声出すし、もしかして……?

 

 

 アベルはアリアは意外とスケベなんじゃないかと思い当たり探りを入れてみる。

 彼女が えっちな子なら彼氏としては嬉しいわけで、今夜にでも……とそこまでは考えていないが、少し関係を発展させられるかもしれないとアベルは思ったのだ。

 

 けれど、そんなアベルの思惑など当たるはずもなく……。

 

 

「ぁぅ。そう来たか……。秘密だよ。お願いごとは誰かに言っちゃダメなの。叶わなくなっちゃうからね」

 

 

 アリアは首を横に振り振り。さらっとその話題を流してしまった。

 

 

「そうなんだ。そっか……残念だけどアリアの願いが叶わなくなると困るからこれ以上訊かないよ」

 

 

 ――やっぱり、駄目か……って、そりゃそうか、アリア恥ずかしがりだもんな。

 

 

 アベルはちょっぴり残念に思ったが、アリアの願いが叶うといいなと目を細める。

 

 

「アベル……」

 

「アリアの願いが叶うといいね」

 

 

 アベルは穏やかな顔で見下ろし、長い滑らかな白金の髪にそっと触れた。

 

 

「……はぁ……、こんなにいっぱい星があったなんて知らなかったな……。本当、綺麗……」

 

 

 ――叶わないよ、最後まで言えなかったもの……。

 

 

 アリアはアベルの優しい瞳に応えるように笑顔を崩さないように努め、アベルから視線を逸らして空を見上げる。

 そんなアリアにアベルが今度は頭を優しく撫で始めた。

 

 

「……アリアの方が綺麗だよ。……今は暗くてよく見えないけどさ」

 

「っ……! もぉっ、そういうのはいいからっ……!」

 

 

 

 

 “ホントだよ?”

 

 “っ、い、いいよ、そういうの……!”

 

 

 

 “ホントだってば。アリア綺麗だし、いっつも可愛い!”

 

 “あぅっ、そんなお世辞言わなくて、いいってば……!”

 

 

 

 “お世辞じゃないよ、事実を言ってるだけで”

 

 “イヤァ~!”

 

 

 

 

 アベルは暗闇でもアリアが照れているのが解るのか、何度も褒め称え可愛い彼女を困らせていた。

 




例え失敗したとしても、アベル一人に責任を押し付けることはしないのです。
共に背負ってくれると気が楽ですよね。

アリアはアベルに優しいよね……!

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読了お疲れ様でした、そしてお読みいただきありがとうございました!
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