ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

ルラムーン草って、カワイイですよね。

では、本編どぞ~!



第三百六十九話 ルラムーン草

 

「……逃げてる内にルラムーン草の場所から少し離れてしまったみたいだ。ぼんやり光るから、その灯りでアリアの顔が早く見たいな」

 

 

 アリアの困った様子を愛でていくらか満足したアベルは、本来の目的だった【ルラムーン草】採取を思い出し動き出す。

 

 暗闇に目が慣れて来たとはいえ、もう少しはっきり互いの顔が見れたらいいのに。

 と、アベルはアリアの手を取る。

 指を絡めてしっかり繋ぐと器用に【ふくろ】から【不思議な地図】を取り出し現在の場所と照らし合わせていた。

 

 

「っ、アベル……」

 

「……すぐ近くだよ。行こう、アリア」

 

「ん……」

 

 

 アベルの温かな手にアリアは手元を見下ろす。

 

 

 離れないようにしっかり繋がれた手。

 小さい頃よく繋いだ小さい もちもちした手が、今は ごつごつとした大きな男の手に変わっている。

 

 手の大きさは小さい頃は同じ位だったように思う。今はアベルの方が随分と大きくなってしまった。

 

 いつも強引で痛みが出る程強く握られ乱暴に引かれていたのに、今は力強さは感じるが握り方はソフト、とても紳士的で頼もしく感じる。

 

 小さくて可愛かったアベルが大人の男になったのだとアリアは再認識してしまった。

 

 

 ――っ、どうしよう……、ドキドキする……。

 

 

 アベルの手が大きく熱くてアリアは顔を上げられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから程無くして、アベル達は【ルラムーン草】の生息地へと到達する。

 

 

「わぁ……、本当に光ってる……キレイだね……」

 

 

 アリアが淡く光る草花を前に目を細めていた。

 丸みを帯びた大きな葉の先に伸びた花柄(かへい)の上で、綿のような丸い花弁が金とも、白とも呼べる淡い光を放つ【ルラムーン草】。

 それを真ん中に、アリアは正座を崩した格好で、アベルは片膝を立て座る格好で、それぞれ見下ろしていた。

 

 アベルは何も言わず【ルラムーン草】を確認した後、すぐにその灯りに照らし出された愛しい彼女を眺める。

 

 

(アリア……今日も綺麗だ……。ここのところ こんな風に間近で見つめることがなかったから嬉しいな……)

 

 

 アリアは髪だけでなく、肌も全体的に色が白い。

 だからか僅かな灯りでも はっきりとその姿を視認することができる。

 淡い光に照らされたアリアは闇夜の中でも美しかった。

 

 

「じゃあ、早速採っちゃおっか」

 

「あっ、待って」

 

 

 アリアが【ルラムーン草】を引き抜くために手を伸ばすが、アベルはそれを止める。

 

 

「え?」

 

「……もう少しこのまま……、君の顔を見ていたいんだ」

 

 

 アベルの口からキザな台詞が飛び出していた。

 そんなアベルは穏やかに唇で弧を描いている。

 

 

「っ…………私の顔なんていつでも見られるよ?」

 

「……今、見ていたいんだ。いいだろう?」

 

 

 アベルが真直ぐ射抜くような瞳で見つめると、アリアの頬が一気に紅潮した。

 幻想的な【ルラムーン草】の小さな灯りに 二人を取り巻く空気が甘くなって行く気がする。

 

 

「っ……そ、そう……? じゃあ……せっかくだから何か面白い顔でもする……?」

 

 

 ――な、何だかアベルの目が……私を狙ってるような……。

 

 

 アベルの顔は一見穏やかなのに、瞳だけが熱を帯びているように感じられて、アリアはこのままではいけないと思い 空気を入れ替えることにした。

 

 

「……面白い顔?」

 

 

 アリアの発言にアベルがきょとんと目を丸くする。

 

 

「へっ、変顔とか、笑顔とか、怒り顔! あとは、ん~。哀しい顔とか、びっくりした顔?」

 

「ふっ……、いいよ? 見せてくれる?」

 

 

 アリアが必死で思いつく限りの表情を提案すると、アベルは柔らかく笑って相槌を打った。

 

 

「っ、じゃあ、アベルの言った通りにするからリクエストしてみて?」

 

 

 ――やだ、アベルその顔尊い……!

 

 

 アベルの笑みにアリアは息を詰まらせ悶絶しそうになるが、堪える。

 アベルとは仲良くしていきたいが、期間限定の間柄である。男女の仲になるつもりはない(ちゅーはするけども……)。

 

 

「わかった。じゃあ……、笑顔からお願い」

 

「はーい。……うふふっ…………どうかな?」

 

 

 アベルのリクエストにアリアはにっこりと微笑んでみせた。

 

 笑顔は得意である。前世で培った営業スマイルはいつ いかなる時でも相手を和ませることが出来るアリアの武器だ。

 特技に追加してもいいかもしれない。

 

 

「うん、可愛いね」

 

 

 アリアの笑顔にアベルは目を細めて嬉しそうに破顔した。

 先程からアベルの瞳はアリアを真っ直ぐ見ていて、逸らすことがない。

 

 

「っ……ん、も、もぉ~……。アベルそういうことばっかり云うから私ウシになっちゃうよ!?」

 

 

 アベルの褒め言葉にアリアは両手で顔を覆い隠してしまう。

 アベルはちょっと褒め過ぎではなかろうか。擽ったいことこの上ない。

 

 再会してからというもの、少しずつ少しずつアリアの羞恥心を煽って来るアベルにアリアは想う。

 

 

 ――何でアベル、そんなにキザなのよ……。

 

 

 ゲームの主人公ってそんな設定入ってたっけ!? と、自分の身に起きていることが未だ信じられていないアリアだった。

 

 

「ハハッ、牛かぁ~、アリアが牛になったらミルクを飲みたいなぁ……」

 

 

 アベルは牛の衣裳を着たアリアを夢想し、良からぬ考えが巡ってつい口走ってしまう。

 

 

「えっ!?」

 

「あっ! っ、い、今のは冗談で……!!」

 

 

 ――しまった……! 声に出てた……!!

 

 

 欲望が見え隠れする発言にアリアがバッと自己を守るように抱きしめると、アベルはそっとアリアに手を伸ばした。

 

 

「っ、アベル、今のはセクハラ~」

 

 

 アベルが伸ばした手をアリアはひょいっと避ける。

 

 ……警戒させてしまったようだ。

 

 

「ご、ごめん……。じゃあ、次は怒った顔で」

 

 

 ――っ、アリアに避けられた……!

 

 

 アベルは警戒されていると感づき、一旦話題を戻すことにする。

 

 最終目標はアリアの唇。

 

 今は二人きりだからキスしてもいいはず。

 ……その雰囲気まで持って行かなければならない。

 

 さっきいい雰囲気だった気がするがアリアにはぐらかされたため、再チャレンジ中である。

 

 

「…………はいはい。ムッ!」

 

 

 ぷくぅ。

 

 

 アリアの頬が膨らみ、口はへの字口。

 眉は僅かに顰められていた。

 

 

「…………それ怒ってんの?」

 

「あれ? 怒ってなかった?」

 

「うん、全然怖くなかった」

 

「そっか、じゃあ次は?」

 

 

 “次はね……”

 

 

 アベルは一つずつ表情のリクエストをして、今は彼女のくるくる変わる表情を楽しむ。

 

 

「ハハハッ! アリア百面相だね!」

 

 

 一通りアリアの百面相を楽しんだアベルはお腹を抱えて笑っていた。

 

 

 ――正直面白いわけじゃない……けど、可愛いからよしっ。

 

 

 アリアが一生懸命色んな表情を作ってくれたことが嬉しくて、アベルは彼女の為に笑っていたのだった。

 

 

「ふふっ、面白かった?」

 

「うん、面白かったよ! けど、まだ見てない表情があるんだよね」

 

 

 ――アリア、僕が言ったことを全部やってくれたね。これから僕が言うことも、聞いてくれるのかな……?

 

 

 昔からアリアは時に拒否しつつも、何だかんだゴリ押しすればアベルの言うことを聞いてくれる。

 

 彼女をうまく誘導すれば自分の願望が叶うのでは……?

 

 ちょっと試してみたくなったアベルは早速実行に移してみることにした。

 

 

「え~、まだ何かあったかなぁ?」

 

「教えてあげるからちょっと耳貸して?」

 

 

 ちょいちょい。

 

 

 アベルは穏やかな笑みを浮かべてアリアを手招きする。

 

 

「え? あ、うん」

 

 

 二人きりでいるのだから耳を貸す必要などないのだが、アリアはそんなことに気付きもせずに、言われたままにアベルの方へと顔を近づけて行った。

 

 アベルの顔の傍に近付くとアリアは自分の耳を彼の口元へと向けようとするのだが、その前にアベルの大きな両手がアリアの頬を包む。

 

 

「っ! ……あ、アベっ」

 

「アリっ!!」

 

 

 アベルはアリアを強引に引き寄せ、彼女の口を自分の唇で塞いでいた。

 




闇のランプ使えばよくね……? と気付いたのが遅かった……。
イチャイチャさせたかったのでまぁ、いいや。

アベルの行動が徐々に大胆になって来ましたね。
アリアちょろいなw

次回えちえち回……?

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読了お疲れ様でした、そしてお読みいただきありがとうございました!
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