ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

私はつい、徒歩で戻ってしまいがちです。

では、本編どぞ。



第三百七十二話 戻りは徒歩で? それともキメラの翼で?

 

「ベホイミ!」

 

 

 アリアの呪文でアベルの傷ついた顔が回復していく。

 

 

「……ありがとう」

 

 

 アベルの顔は元通り、健康的な焼けた肌へと戻っていた。

 

 

「アベル、自分を殴ったりしないで? あなたイケメンなんだから不細工になっちゃったら哀しいわ」

 

「い、イケメン? そ、そうかな……?」

 

「……ん、私、アベルの顔好きだもん」

 

「え、顔だけ……?」

 

「そうじゃないけど」

 

 

 アリアはアベルの顔が好きである。

 もちろん顔だけではないのだが。

 

 

(アリアは僕の顔が好きだったのか……)

 

 

 ――顔、大事にしよ……。

 

 

 この日を境にアベルは鏡をよく見るようになったとか なっていないとか。

 

 

「すっかり遅くなっちゃったね」

 

「そうだね。そろそろ聖水の効果も切れそうだし、ルラムーン草を採取してキャンプ地に戻ろうか」

 

「うん」

 

 

 そうして二人は【ルラムーン草】採取をすると、アベルが【ふくろ】に仕舞いアリアの手を取り繋ぐ。

 

 

「……ねえ、アリア」

 

「ん?」

 

「アリアがして欲しいこと、嫌なこと、どんな些細なことでもいいから、僕に相談してよね」

 

「アベル……、ありがとう。けど、アベルからされて嫌なことなんて何もないよ。ただ今はまだ早いかなって思ってるだけだから」

 

「っ、そっか。……わかった」

 

 

 二人は仲良く手を繋いだままピエール達の待つキャンプ地へと戻ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかえりなさいませ。ご無事で何よりです」

 

 

 キャンプ地へと戻るとピエール始め、仲魔全員が起きてアベルとアリアの帰りを待っていた。

 キャンプ地に戻った途端、アリアはスッとアベルの手を放してしまう。

 

 

「ぁ。……あれ? みんな起きてた?」

 

 

 アベルは残念な気持ちになりながらピエールに声を掛けつつ、一人焚き火の前に座るアリアを見つめていた。

 

 プックル、スラりん、ドラきち、ホイミン、パペックがアリアの傍へと寄って行く。

 

 

「ええ、昼から寝ております故、自然と目が覚めてしまいました」

 

「そっか……。じゃあ、キメラの翼でルラフェンに戻ろうか」

 

 

 ――今なら宿屋に泊まれて、二人きり……!!

 

 

 ピエールの言葉にアベルが妙案とばかりに【ふくろ】に手を掛ける。

 

 

「あっ、それいいね!」

 

 

 アリアもスラりんをプニプニしながら同意してくれるので、アベルは【キメラのつばさ】を探す。

 

 

「…………あ、あれ……?(キメラのつばさ……確かあったと思うんだけど……)」

 

 

 【ふくろ】の中を探ってみるが【キメラのつばさ】が見当たらない。

 がさごそ、がさごそ、と何度も仕分けされた【ふくろ】を見ても(整理整頓した)【キメラのつばさ】は見つからなかった。

 

 

「どしたの?」

 

 

 アリアが【ふくろ】を漁るアベルに声を掛けて来る。

 

 

「あ、えと……、キメラの翼が見当たらなくって……」

 

「……え、あれ? アベル、ルラフェンでキメラの翼がたくさんあって邪魔だからって売ってなかったっけ? もしかして全部売っちゃった……?」

 

「…………あ!」

 

 

 ――しまった……! 早く宿屋に泊まりたくてうっかり全部売ってしまった……!

 

 

 アベルは口元に手を当て目蓋をぱちくり。

 こんな初歩的なミスを犯すとは、何たることか。

 

 頭の中がお花畑とはこのことだったかと自覚せざるをえなかった。

 

 

「主殿……」

 

 

 ピエールの落胆の声。

 

 

「……ふふっ。じゃあ今夜はこのまま眠って、明日からまた頑張りましょう!」

 

 

 アリアはアベルのミスなど気にせず微笑むと、背中に寄り添うプックルに背を預ける。

 するとプックルがアリアの顔をペロペロと舐め始めた。

 

 

「アリア……(怒らないんだ……)」

 

 

 ――プックルはいいよなぁ……、…………………………僕も舐めたい。

 

 

 アベルはプックルに舐められ嫌がるアリアを見ながら、先程吸い付いた唇をぼーっと目で追う。

 いつもはふっくら艶々した唇が、今乾いている。……のは他でもない自分の所為である。

 

 口元に当てた手を放すと、手の平にアリアのいつも塗っているリップが付着したのか光っていた。

 

 

(っ……アリアの唇、気持ち良かった……)

 

 

 アベルは先程の濃厚なキスを思い出す。

 

 頭がぼぅっとして身体は勝手に火照り、背中がムズムズするあの感覚。

 下半身も勝手に疼き一瞬でも触れたら達していたかもしれない。

 

 キスだけであんな気分になるなら、その先はどうなってしまうのか。

 

 

 まだ若いアベルはそればかりが気になって、その晩は中々寝付けなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、アベル達一行は帰りも徒歩とあいなり……。

 それでも帰りは行きより三日ほど短縮して戻って来ることが出来たのだった。

 

 ルラフェンまではあと少しだ。

 ただ、日暮れが近い。

 このまま行くと、町に着くのは夜になりそうである。

 

 

「ふぅ……終わった……スモールグールって何であんなに仲間呼ぶんだろうね」

 

「ね~、眠り攻撃とかイヤになっちゃう。ふぁぁ……」

 

 

 たった今、妖精の世界で出会った【つちわらし】の上位種にあたる【スモールグール】の集団と遭遇、勝利し、アベルがゴールドを拾いながら疑問を口する。

 戦闘中【スモールグール】に眠らされ、眠りから覚めたアリアは目を擦っていた。

 

 

「アリアの寝顔可愛いかったよ」

 

「っ、も、もぉっ……アベルったらそんなことばっかり言って~」

 

 

 アリアの足元に落ちているゴールドを拾うついでに、アリアの手を取り告げると彼女の頬が紅く色付く。

 

 帰りの間、アベルは毎日アリアに積極的に触れることにしていたこともあり、アリアも随分慣れて来たのか仲魔達の前でも手を繋ぐのは許容出来るようになっていた。

 徐々にスキンシップに慣れてもらおう作戦を決行中である。

 

 

「ははっ、君はいつでも可愛いからさ」

 

「っ、キザ~!」

 

「ハハッ」

 

 

 アリアが むず痒いのか弱り目で笑うので、アベルも笑って返す。

 

 

 ――君を落とすためなら、いくらだって言ってあげるよ。本当のことだし。

 

 

 実は少し気恥ずかしさもあるのだが、アリアを前にするとつい言いたくなってしまう。

 

 想っていることは口にしないと伝わらない。

 幼い頃、彼女に相談出来ずに同じ結果になってしまった苦い経験は今のアベルに大きな影響を与えていた。

 

 

 なるべくアリアには何でも伝えたい。

 あの時言っておけば……なんて後悔をしたくない。

 

 

 アリアは褒められると恥ずかしがるが、その顔を見るのもまた楽しいアベルだった。

 




さて、ルラフェンに徒歩で戻りましょうってことで、キメラの翼があれば良かったのだけど、ただの日数稼ぎですw
なにせサラボナに到着までに一年以上掛かる予定なもので……。

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読了お疲れ様でした、そしてお読みいただきありがとうございました!
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