ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

レイラさんはムッチムチなお姉さん。

では、本編どぞ。



第三百八十三話 元上司レイラ

 

 

 

 

 

 一方でレイラに連れられたアリア達はすぐ側のバーへとやって来ていた。

 レイラはバーテンダーに軽食を頼み、アリアに酒を勧める。

 

 

「アリアちゃん、何飲む? 一杯奢るわ」

 

「あ、お酒はいいです、ジュースで……(お茶しようって言ってたよね……?)」

 

 

 まだ真昼間だ。アリアは先日のこともあり断りを入れていた。

 多少飲んだところで そうそう酔って記憶が飛ぶことなどないが、しばらくお酒は止めておこうと思っているらしい。

 

 レイラは「ピエールさんは何にする?」とピエールにも訊ねたが、ピエールも「お酒は結構です」と断っていた。

 

 少し待つとそれぞれの席に注文した品が運ばれ、レイラとアリアは軽くグラスをかち合わせた。

 

 

「元気だった?」

 

「はい。おかげさまで」

 

「ふふっ、元気そうね!」

 

「レイラさんはどうですか?」

 

 

 にこにこ顔のレイラからの問い掛けに答えつつ、アリアも訊ねてみる。

 すると レイラはにこやかに細めていた目からスッと真顔に戻り、口を開いた。

 

 

「……そうねぇ……私も元気よ。ただね、私ここを辞めることになったのよね」

 

「えっ、そうなんですか!? この仕事が好きだって言ってませんでしたっけ……!」

 

 

 ――いったい何があったんですか……!?

 

 

 アリアは突然の辞職宣言に驚いてしまう。

 レイラは現実世界でいうところのバリキャリである。バニーガールからフロアマネージャーにまで上り詰めたやり手なのだ。

 

 レイラは常日頃仕事に生きると豪語していたのだが、そんな彼女にいったい何があったのというのか……。

 

 

「……来月には別のフロアマネージャーが配属されることになるわ。だから今日アリアちゃんに会えて良かったなって」

 

 

 レイラが注文した【オムライス】をスプーンで掬い、話し終えるとそれを口に運ぶ。

 何があったのかはわからないが、何となく辛そうに見えたのは気の所為なのだろうか。

 

 気になったアリアは訊ねていた。

 

 

「……あの、良ければ辞める理由を訊いても……?」

 

「あっ、それ訊いちゃう?」

 

 

 そう云ってレイラは左手の甲を向けるようにしてアリアの目の前に差し出した。

 レイラの左手薬指には小さな宝石が嵌め込まれた指輪が光っている。

 

 

「あ」

 

「……ウフフ。そういうことなの♥ ほら、私って適齢期過ぎてるでしょ? もうこのまま結婚なんてないかなって思っていたんだけどね。運命の出会いっていうの……? 出会っちゃってね……」

 

 

 なんと、レイラは結婚するらしい。

 聞けばお相手は旅人で気の弱い人だとのこと。

 

 実は金持ちの貴族狙いだったレイラの理想とはかけ離れた人物である。

 

 そのお相手は今はオラクルベリーを離れているのだが、次にやって来た時に一緒に旅に出るのだそう。

 それまでがっつり稼いでおかねばと躍起なのだ。

 

 

「まさか、この私が彼に惹かれるとは思わなかったけど……、恋っていいものね」

 

 

 自分の理想の相手ではなかったのだろうが、お相手のことを思い浮かべるレイラの顔は幸せそうに見える。

 さっきの辛そうな顔はマリッジブルーというやつかもしれないなとアリアは思い、レイラに祝福の言葉を贈った。

 

 

「おめでとうございます! お幸せに!」

 

「ウフッ、ありがと♥ アリアちゃんもさっきの彼と結婚するの?」

 

 

 アリアの言葉にレイラが頬杖を突いて、ぱちりと長い付け睫毛をゆっくりと瞬かせ妖艶に訊ねて来る。

 レイラはいつでも色気ムンムンなお姉さんだ。

 

 

「えっ、あ……、いえ……彼は……」

 

 

 ――私はアベルとは結婚出来ないんだ……。

 

 

 アリアは哀し気に目を伏せた。

 

 

「彼、あなたのこと すっごい好きよね」

 

「え?」

 

「さっきから、チラチラこっちを見てるわよ?」

 

 

 レイラに云われてアリアが後ろを見ると、100コインスロットの位置はバーの丁度目の前に位置している、その影からアベルが時々顔を覗かせていたのだった。

 

 

「……アベル……」

 

 

 アリアと目が合うと、アベルは軽く手を挙げ嬉しそうに目を細める。

 

 

「ウフフ、カワイイ彼氏ね」

 

「ははは……、はい。可愛いんです」

 

 

 レイラと話しつつ、アリアもアベルに軽く手を振って笑顔を返しておいた。

 アベルに手を振るアリアの顔はとても優し気だ。

 

 

「……そのままお婿さんにしちゃえばいいのに」

 

「っ、まだ早いですよ……、彼十七歳なんですよ……?」

 

 

 ――というか、花嫁は決まってるからね……。

 

 

 アベルの花嫁候補……、ビアンカとフローラの顔を思い浮かべると憂鬱になってしまう。

 前世で見た記憶では二人共可愛いかった。

 

 

 特にフローラとは目覚めた後で数週間程生活を共にしていたから、彼女の上品さと可憐さ、芯の強さをアリアは間近で見て知っている。

 ネットで見たイラストなんて比ではなかった。リアルな彼女は正真正銘の淑女であり、素敵な女性だ。淑女になりたくないアリアに勝てる要素はどこにもない。

 

 ビアンカは小さい頃しか知らないが、あれだけ可愛かったのだ。今は恐らく想像を超える美しい女性に成長しているのだろう。

 記憶喪失中に見えないビアンカを想像してアルカパで嫉妬してしまった程だ。

 アリアが太刀打ち出来るはずもない。

 

 

 もっともアリア自身、二人とアベルを巡って……などという気は更々ないのである。

 

 

 アベルのことは好きだが、この世界はどうあっても大筋は変わらない世界。

 ……アベルが幸せになるならアリアはそれでいいのだ。

 

 

「そぉ? 成人してるなら全然ありじゃない? アリアちゃん適齢期なのに……。婚期を逃したら大変なんだからね! 私みたいに苦労するわよ!?」

 

「えぇ……、レイラさん婚活してたんですか……?」

 

 

 妙に実感のこもった力説にアリアは苦笑いを浮かべる。

 

 

「したわよ! お金持ちイケメン、身分は貴族限定で! 婚活パーティーにだって行ったことあるのよ!? でもこっちがバニーだからか変なのしか寄って来なかったわよ。まったく失礼よね~、職業に貴賤なしっていうのにね!」

 

「あははは……」

 

 

 ――婚活かぁ~~! そういえば私、前世でもしてなかったなぁ~~……。

 

 

 ヘンリー君も結婚したし、この世界 結婚早過ぎだよね……とアリアは後れ毛を耳に掛けた。

 

 異世界でも婚活するんだ……と驚いたが、町を出れば魔物が闊歩する世界だ。早く結婚し子を成すことが重要なのかもしれない。

 

 レイラとアリアの話をピエールは隣で気まずそうに黙って聞きながら、ジュースをストローでちゅーちゅー。

 パペックは傍にあった空のグラスと空瓶でジャグリングをしている。バーに来ていた客達が「おお! こりゃすごい」とパペックに拍手を送っていた。

 

 そんなピエールとパペックをレイラがちらっと見るや否や、何やら提案して来る。

 

 

「……ね、アリアちゃん、良かったらバイトしていかない?」

 

「えっ?」

 

「今ちょっと人手不足でね。新人の育成も終わってなくって。短時間でいいから手伝ってくれると嬉しいんだけど、どう? お給金弾むから♥ あ、ピエールさんも是非!」

 

「わ、私もですか!?」

 

 

 ……バイトしていかない? と急に振られたアリアとピエールは目蓋をぱちぱち。

 

 

「アリアちゃんが居ると、お客さんお金落としてくれるから助かるのよね~、ダメ?」

 

 

 レイラは可愛く手を合わせて首を傾げる。

 その所作はあざとさを含んでいるが、美人なレイラがやると男だろうと女だろうと魅了してしまうのだ。

 

 

「っ、アベルに訊いてみます……」

 

「わ、私も主殿に訊いてみます……」

 

 

 例に漏れずアリアとピエールもレイラのお願いを断り切れず、アベルに相談しに行くことにした。

 




レイラの年齢は27、8という設定だったりします。
この世界では結婚適齢期が16~24(16で成人)ってことで、現実世界よりかなり早め。
平均寿命が短いのと、健康な子どもを産む為には若い内に結婚するのがベストとされています(そこは現実世界も一緒だけども)。

さて、新年一発目がパッとしないお話でしたねw

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくしていただけたらありがたき幸せ。

未だのろのろ。

まだフローラとビアンカに会えていないアベルとアリアですが、今年中にはクリアしたいところです。
いい加減端折ってもいい気もするんですけど、楽しくて止められない、止まらない。
楽しいので続けます。

別のタイトルの二次もそろそろ書いて行きたいなぁ、なんて思っていたりします。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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