ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

クレーシャってなんやねん。

では、本編どぞ。



第三百九十一話 クレーシャ

 

 

 

 

 

「ところでアベル」

 

 

 モンスターじいさん宅を後にして、オラクルベリーの町を歩いていたアベル達だったが、アリアがふと足を止める。

 

 

「んー?」

 

「そろそろラインハットに飛んでっちゃう? ラインハットに着いたらすぐ日が暮れちゃいそうだけど……。あそこ、確か夜はお城に入れなかったよね……?」

 

「うーん…………」

 

 

 ――もうすぐ日が暮れる……!

 

 

 アリアに訊ねられ、アベルが考える素振りをする。

 

 

 ……そして。

 

 

「今日はもう休もうよ!」

 

 

 アベルは明るく答えていた。

 

 

 ――宿屋でアリアといちゃいちゃしたい……!

 

 

 彼は自分の欲望に忠実である。

 

 

「あら、そう? じゃあ宿屋に行かないとだね。ピエール君、パペック、アベルが宿屋に行こうって」

 

「了解しました」

 

 

 アベルとアリアの少し前を歩いていたピエールとパペックが立ち止まり振り返った。

 返事して戻って来るピエールに「コキ、コキ、コキッ!」とパペックも肩を鳴らしながらやって来る。

 

 

「うん、今日はもうおしまい。ねっ、ピエール?」

 

「えっ、あ」

 

 

 アベルは戻って来たピエールにそれとなく目配せをしていた。

 

 

 “今夜も気を遣ってくれるよね……?”

 

 

 ピクピクピクとアベルの眉が何か言いたげに動きを見せる。目力が強い。

 ……アベルの無言の圧力がピエールを襲った。

 

 

 ――主殿……! また(・・)なのですね……!!

 

 

「あ、私は馬車が気に……」

 

 

 ピエールは全てを察し、では今夜も……と譲ろうとしたのだが。

 

 

「今夜は皆でゆっくりしようね! オラクルベリーの宿屋さんお風呂あるから大好き! パペック洗ってあげるね、行こ行こっ」

 

「コキ、コキ、コキッ!!」

 

 

 アリアが先に口を開きパペックを連れ宿屋へと歩き去ってしまう。

 

 

「…………ッチ」

 

「主殿っ!?」

 

 

 アベルは舌打ちをしてピエールを恨めしそうに見下ろすとアリア達を追って行った。

 

 

「……舌打ちされましても……」

 

 

 ――決めるとこ決めないからですよ……!!

 

 

 アベルとアリアはすっかりそういう(・・・・)仲だと思っていたのに、まだ(・・)とは……。

 

 なんだったら私達(魔物)など気にせずイチャイチャすればいいのに……と思ってしまうピエールだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 宿屋に着いて、アベル達は以前ヘンリーと一緒に泊まった部屋にやって来ていた。

 

 

「今日も一日お疲れ様でした。私お風呂入って来るねっ」

 

 

 アリアは部屋に着いて早々、タオルを抱え部屋を出ようとする。

 そういえば【ルラムーン草】を探しにルラフェンを出てから もう随分と風呂に入っていない(昨日は酒に呑まれて寝落ちしている)。

 そもそも泊り客が気軽に使える風呂のある宿屋も少ないので、ここオラクルベリーの宿屋はアリアのお気に入りなのだ。

 

 

「いってらっしゃい」

 

「…………覗いちゃダメだからねっ。めっ、だよ?」

 

 

 アベルがアリアの背中に声を掛けると、彼女が振り返って腰に手を当て言って聞かせて来る。

 

 

「覗かないよっ!(覗くよ!)」

 

 

 口から出た言葉と思考はあべこべだが、アベルはこっそり覗けばバレないだろうと後で行こうと画策した。

 ……その目はイヤラシイ目をしている。

 

 アベルはここぞという時に勇気ある言葉は言えないが、こういう勇気ある行動は平気でしてしまえる神経の図太さがある。

 これは別世界の自分達の影響によるところが大きいのだろう。

 

 そんなアベルが信用できないのかアリアは。

 

 

「…………ピエール君」

 

「はい」

 

「アベルが変な動きをしたら、止めてくれる?」

 

 

 ――アベルの目が何か怪しいんだよね……。

 

 

 アベルの瞳がギラついている気がしてピエールにアベルの見張りを頼んでいた。

 

 

「了解しました。バスルームには近付けませんのでご安心を」

 

 

 ピエールは快諾してくれる。

 

 

「ありがとう~! じゃあ、パペック行こ~」

 

「コキ、コキ、コキッ!!」

 

 

 ピエールに頼んでおけば安心だとアリアはパペックを引き連れ部屋を出て行った。

 

 

「えっ、ちょ、ちょっとアリア!? パペックと一緒に入るの!? パペックとじゃなくて僕……」

 

 

 ――パペックと入るなら僕と一緒に入ろうよ……!

 

 

 アベルはパタンと閉じた扉に告げそうになったが呑み込んだ。

 ピエールがさっきから自分をずっと注視している。

 

 

「主殿は助平ですね……」

 

「っ……、すみませんね……!」

 

 

 呆れたようなピエールの声にアベルは気まずくなって大人しくベッドに横になるのだった。

 

 そのまま部屋の天井を見上げて ぼーっとしていると、微かに扉の方からアリアの楽しそうな声が聞こえて来る。

 

 

 “キャッキャッ!”

 

 “パペック上手上手!”

 

 

 何が上手なのかは さておき、風呂に入るアリアを想像するとムラムラした。

 アベルは妄想力を高めるために目蓋を閉じる。

 

 

(……アリアが今 裸でお風呂に入っている……。)

 

 

 そう考えるだけで鼻から“フーッ”と興奮したような鼻息が漏れ出てしまった。

 そしてふと、昨夜のことを思い出してまた鼻息を“フーッ”。

 

 

(……昨夜のアリアはエッチ……いや、エロかった……)

 

 

 思い出したのは とろんとしたアリアの顔に甘い雫と、柔らかく温かい確かな感触……

 

 

 それに、

 

 

(ぱ、ぱふぱふ最高……!!)

 

 

 ――アリア、僕が触っても起きなかったから もっとしておけば良かった……!

 

 

 アベルは昨夜の“ぱふぱふ”と“モミモミ”を思い出し、指をわきわきと動かす。

 

 

 と、

 

 

「……主殿は助平ですねぇ……」

 

 

 ピエールの声が耳に入って来る。

 普段無口な彼だが、アベルには時々こうしてツッコミを入れて来るのだ。

 

 

「っ!? ちょっ、何ピエール!? 何でいっつも僕のことスケベだなんて言うんだい!?」

 

 

 ――心外だな!

 

 

 アベルは半身を起こし、ピエールに抗議する。

 

 

「……アリア嬢が部屋に戻られる前に治めておいた方が宜しいかと」

 

 

 ムキになって抗議してくるアベルにピエールは現在装備中の【はがねのつるぎ】を磨きながら静かに告げていた。

 

 

「は? 何が……?」

 

「…………そこ」

 

 

 アベルが首を傾げ訊ねると、ピエールは磨いていた【はがねのつるぎ】でアベルの下半身を指し示す。

 

 

「え……そこって………………あっ!」

 

 

 指し示されたアベルの下半身、脚の付け根辺りには大きなテントが張っていた。

 

 

「っ!! 冷静に言わないでくれる!?」

 

 

 ――立っちゃった……!! って、もう何度目だよ……!!

 

 

 アリアのことを考えただけで、起き上がり小法師がむっくり。

 毎度お預けを食らっているからか、余計に反応してしまう自分が嫌になってしまう。

 

 

「アリア嬢が見たら驚かれますよ」

 

「ぅ……、生理現象だよ……!」

 

 

 アベルは起き上がり小法師を手厚く保護し、ピエールから隠した。

 

 

「……それは女性には通用しません」

 

「っ…………、そんなこと冷静に言われても急には……」

 

 

 ――って、ピエール、淡々と言わないでくれる!?

 

 

 いついかなる時でも滅多に取り乱さないピエールがなんだか恨めしい。

 

 

「主殿、心を無にするのです」

 

「っ、心を無に……!?」

 

 

 ――何だって!?

 

 

 突然の精神論にアベルは面食らう。

 ピエールはいったいアベルに何を説こうというのか……。

 

 

「心頭滅却すれば火もまた涼し。主殿、激情の波に呑まれなさいますな。毎晩ではお辛いでしょう。悟りを開くのです」

 

「さ、悟り……? …………やってみる…………!」

 

 

 ピエールはアベルの欲情の波を感じ取っていたのだろう。

 その治め方の一つを提案してくれたのだった。

 




クレーシャとはサンスクリット語で、日本語では煩悩です。へへっ。
アベルはずっとお預けを食らっているので悶々としちゃってますねw

ちなみにパペックはヒノキで出来てる(当方独自設定)ので、お風呂に一緒に入ると好い匂いがしますwww

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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