ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

悟りって大事。

では、本編どぞ。



第三百九十二話 悟りとは

 

 

 

 

 

 そして、十分後――。

 

 

「その意気です主殿……!」

 

 

 アベルはピエールに座禅の組み方を教わり、座禅を組んでいた。

 

 

「ゆっくり吸ってー……、吐いてー……」

 

「すぅー……、はぁー……」

 

 

 ――そうだ、毎日アリアと一緒なんだ、このままじゃ頭がおかしくなって彼女に襲い掛かってしまう。

 

 

 そうならないためにも悟りを……!!

 

 

 こんな時【さとりのしょ】があれば何かしら悟れるものがあったのかもしれないが、生憎この世界には【さとりのしょ】は存在していない。

 自ら悟りを開くしかないのである。

 

 そんなわけでピエールの師事の下、アベルがゆったりと呼吸を調え、心を落ち着かせていくのだが……。

 

 

『パペック綺麗になったね~♪』

 

『コキ、コキ、コキッ!』

 

『えぇ? 私の身体を洗いたかったの!? やだー、パペックもえっちなんだから~。じゃあ今度頼むわねっ』

 

『コキ、コキ、コキッ!』

 

 

 部屋にアリアとパペックが近付いて来る声でアベルの脳内に煩悩が戻って来てしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 “……ちゃぷんっ。”

 

 

 

 

 雫が湯船に落ちる音がする。

 アベルの脳内で二人は既にバスルームにおり、共に泡に包まれた湯船に浸かっていた。

 

 

『アベル♡ 身体洗って……?』

 

『もちろんだよ! よろこんで!』

 

 

 脳内のアベルの膝の上に座るアリアが顔だけ向けて可愛くおねだりをして来る。

 

 

『でもイタズラしちゃダメだからね?』

 

 

 脳内のアリアはアベルの手を取り そんなことを云うのだ。

 

 

『イタズラって何だい?』

 

 

 アベルはニッと口角を上げてアリアの滑らかな艶肌の肩に顎を乗せると背後から たわわに手を滑らせていく。

 たわわに食い込むアベルの指が湯船の泡を潤滑剤にしてぬるぬると(うごめ)き揉みしだいていくとアリアから切なげな声が漏れた。

 

 

『ン……あぁンっ。それだよぉ……っ♡』

 

 

 アベルから与えられた刺激にアリアの身体がビクビクと震える。

 そうして彼女のあちこちに触れていくと、次第にアリアの甘い声が掠れて息も絶え絶えになってしまった。

 

 

『ンぁあああンンっ♡♡』

 

『あぁ、何その反応……アリア、僕もう我慢できないよ……!!』

 

 

 一際大きく鳴いたアリアの反応にアベルは堪らず腰を引き寄せていく……。

 

 

 ……それからバスルームには激しい水音がパシャパシャ、バシャバシャ。

 アリアが泣いてもアベルは放してやらなかった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……~い。

 

 

 ……お~い。

 

 

 “おぉ~~い!”

 

 

 遠くにアリアの声が聞こえる。

 その声は次第に大きくなっていった。

 

 

「……ベル、おーい、アーベル? ……何が我慢できないの?」

 

 

(あっ、この声は!?)

 

 

 アリアのはっきりした声が今度は間近で聞こえ、

 

 

「えっ! アリアっ!?(うわっ!! びっくりした!!)」

 

 

 アベルがカッと目蓋を開くと、目の前には先程妄想していた彼女の顔があった。

 湯上りのためマントを外したアリアの艶々卵肌の肩を目の当たりにし、アベルは脳内で見た彼女がちらついて頬を紅潮させていく。

 

 

「……アベル? 顔が赤いよ、熱でもあるの?」

 

「っあ、えっと……ち、違うんだ……! 僕は別に何も……!!」

 

 

 現実のアリアが心配そうにアベルの額に手を当てようとするが、アベルは両手を(かざ)して顔を隠すようにアリアから目を逸らした。

 

 

 ――リアルだった……! 座禅スゴイ……!

 

 

 ピエールに教えてもらった座禅だったが、悟りを開くどころか研ぎ澄まされてしまったようだ……。

 

 ……ピエールが黙ったままアベルの方を見ている。

 

 

 無言でアベルに顔を向け続けるピエールからは“駄目でしたか……”と落胆する声が聞こえた気がした。

 

 

「ぅ……(ピエール君……そんな風に見ないでおくれよ……)」

 

「アベルもお風呂どうぞ?」

 

「っ……もう少し休んでから行くよ」

 

 

 ――起きた子を寝かせたらね……!

 

 

 アリアに風呂を促されたが、おっきしちゃったのでアベルはアリアに悟られないように座禅を組んだまま目の前に身体を突っ伏した。

 

 

「冷めちゃうよ? あ、ピエール君先に入る?(ストレッチ……?)」

 

 

 アリアはアベルがストレッチでもしているのかと思い、それならピエールに先に入ってもらおうとしたのだが。

 

 

「あ、いえ、私は結構です。先日ルラフェンで水浴びを致しましたので……」

 

 

 ピエールには断られてしまった。

 

 

「そう? ピエール君てあんまりお風呂入らないよね」

 

「は、はは……。いついかなる時も鎧を身に着けておかねば咄嗟に動けませんので……」

 

 

 ――アリア嬢 申し訳ありません、風呂はあまり好きではないのです……。

 

 

 アリアに心の中で謝罪しつつ、ピエールは一応理由を説明する。

 いつでも動けるようにというのは本当なのだが、面倒臭いというのもある。

 

 そもそも【スライムナイト】に風呂は不要。

 今まで居た世界で風呂に入ったことなど数える程しかないのだ。

 

 その数える程というのは【山奥の村】での温泉のみ。

 

 

 温泉は確かに気持ち良かった。

 鎧のまま入れたというのがまた良かった。

 

 恐らく一年後に行くであろう場所である。その時まで入らなくても構わないピエールだった。

 

 

 そんなピエールにアリアが寄って行く。

 

 

「……不思議~」

 

「は?」

 

「ピエール君ってあんまりお風呂入らないけど、全然臭わないもの。羨ましいなぁ」

 

 

 アリアはピエールに近付くと、くんくんと彼のニオイを嗅ぎ出す。

 ピエールからは特にこれといった不快なニオイは感じ取れなかった。

 

 

「あっ、ちょ、アリア嬢っ! ぁっ……」

 

 

 アリアが兜の下部、首の付け根辺りに顔を近づけて来るので、ピエールはどぎまぎしてしまう。

 

 

 ――アリア嬢っ! 近いっ、近いですっっ!!

 

 

 ピエールの頬は熱く燃えた。

 

 

「ぁっふん!」

 

「……不思議~!」

 

 

 ピエールから声が漏れ聞こえたが、アリアは犬のように鼻をひくつかせて無邪気に笑う。

 ピエールは直立不動で固まっていた。

 アリアに関してはピエールも冷静でいられない時があるようだ……。

 

 

「………………………………………………アリアのアホ」

 

 

 ――ピエールに近付き過ぎだよ……!

 

 

 アベルがベッドに突っ伏したまま顔だけ上げて呆れる。

 

 

「ん? なに、アベル? 何か言った?」

 

「…………別に……」

 

 

 アリアはアベルに振り返ると首を傾げたのだが、アベルはプイッと反対を向いてしまった。

 

 

「…………? 変なアベル……」

 

 

 

 

 ……その日の晩はそうして更けていった……。

 




アベルは違う方に悟りを開いてしまったようです。
ピエールさん、お風呂嫌いだったんですねぇ……って、アリアが風呂好き過ぎなんだよね……。(しずかちゃんか!)

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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