ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

誰かさんにそっくりな青年……。
誰なんですかね~(ハナホジ~)。

では、本編どうぞ!



第三十九話 あなたの面影

 

「お、お願い……ですか?(耳元でそんな優しく囁かないで~……!)」

 

 

 青年の吐息がくすぐったくて、アリアは肩を竦める。

 

 

「……君の羽根を一枚、くれないかな……」

 

「羽根……? あ、えと、…………っ、はい……」

 

 

 青年が腕の力を緩めアリアと視線を合わせると、アリアはぽーっとして頷いた。

 アリアの頬は熱に浮かされたように赤く染まっている。

 

 

「あ……じゃあ……、えと……好きな羽を取って下さい……」

 

 

 アリアは青年に背を向けて翼を広げる。

 

 

 ……何でだろう?

 

 このお兄さんの瞳を見てたら、逆らえないんだけど……?

 

 

 アベルに似ている所為……?

 

 

 アリアはアベルとプックルの走って行った方を何となく見ながら、そんなことを考えていた。

 

 

「……痛かったらごめんね」

 

「だ、大丈夫。羽ならまた生えてくるから(……多分だけど……)」

 

 

 青年が膝立ちしアリアの翼に触れると、彼女の身体はびくりと震え固まる。

 

 

「……取るよ?」

 

「は、はいっ、どうぞっ」

 

 

 青年が一枚、羽を引っ張るとアリアの瞳に涙が浮かんだ。

 

 

「いっっ!!」

 

「っ、ごめん。ホイミ」

 

 

 羽根が抜けた根本には血が滲んでいた。「血が少し出ちゃったみたいだ」と云って青年はすぐに回復呪文を掛けてくれる。

 

 

「……っ、痛かった……(翼までちゃんと血が通ってるんだね……って当たり前か……)」

 

「ご、ごめんね、簡単に抜けるものなのかと思ってて……」

 

 

 半べそのアリアに青年は、彼女の頭を優しく撫で慰めてくれた。

 空いた方の片手で、弱ったなぁという顔で後ろ頭を掻いている。

 

 

「……ううん、もう平気だよ。一枚でいいんでしょう?」

 

「あ、うん。ありがとう」

 

 

 青年の大きく優しい手にアリアは目を細めてふわりと微笑むと、青年も眩しそうに笑い返した。

 そうして、彼はアリアから抜けた羽根を嬉しそうに眺めてから袋の中に仕舞う。

 

 

「…………ぅーん……?」

 

 

 やっぱりアベルに似てない……?

 

 

 アリアは微笑む青年の顔を見て何となくそう思う。

 目元が、アベルに似ているような……気がする。

 

 それに、後ろ頭を掻く癖……。

 

 

(いや、でもアベルは今走って来てるし……?)

 

 

 アリアの瞳の中に戻って来たのか、アベルとプックルが走って来る様子が映し出されていた。

 何か大きな声で怒ってるような気がするが、遠くてアリアには聞き取れなかった。

 

 

「ふふっ、大事にしてね。っ…………、…………あの」

 

「う、ん?」

 

 

 青年が立ち上がり、アリアを見下ろす。

 アリアは躊躇うように間を置いてから、彼を見上げて口を開いた。

 

 

「……お兄さんは、どうして私の事を知っているの……?」

 

「……あ……、…………、…………」

 

 

 青年は真っ直ぐ見上げて来るアリアの視線に、黙り込んでしまう。

 

 

「……あ、えと、私、普通の人には見えない……、みたいで……。それに……」

 

「それに……?」

 

「…………さっき、もしかして、オーブを入れ替えたりしなかった? 私、ずっとお兄さんの手元を見ていたの。お兄さんが、一瞬袋の中にゴールドオーブを入れたような気がして(一時アベル達の方も見てたからはっきりとはわからないけど……)」

 

「っ!!?」

 

 

 アリアの指摘に青年の目が見開かれる。

 

 

「あっ、いや、その……、見間違いならいいの。返してもらってたし……、でも、もし何か理由があるなら……」

 

「…………――が」

 

「……え?」

 

 

 アリアの言葉に青年がぼそっと告げたが、アリアには聞こえなかった。

 

 

「……僕も同じものを持ってるんだ。だから、見せてもらっただけ。君にも見せようか?」

 

「え……、あ、……なら、確認させてもらってもいい……? あっ、疑ってるってわけじゃないよ……?」

 

「…………、……もちろん。……どうぞ」

 

 

 青年は袋の中に手を突っ込み、光る玉を取り出すとアリアに見せる為、手渡した。

 

 

「わ……、本当、アベルの持ってるのと同じ……。…………ん? ……っ……ぁう」

 

 

 アリアは眉間に皺を寄せる。

 光る玉に触れた途端、アリアの頭の奥にビリリッと、痛みが走ったのだった。

 

 

 ――雲の上の……城?

 

 

 アリアの脳裏に遥か高い上空から地上を見下ろす城の姿が過る。

 そして、その城よりも更に高い高度から翼を持つ大きな影が降りて来る様子も……。

 

 

 ――怖いっ!!

 

 

 アリアは急に恐ろしくなって肩を揺らした。

 

 

「……アリア?」

 

「っ、返すねっ、疑ってごめんなさいっ」

 

 

 アリアは慌てて青年に光る玉を突き返した。

 そうして、アリアは額に手を当て「はぁはぁ」と短く吐息を吐き出す。

 

 今のは何なんだろう? と瞳を数度瞬かせていた。

 

 

「大丈……」

 

 

 アリアの様子に青年が彼女の肩に触れようとすると……、

 

 

「アリアっ!!」

 

「えっ、っっ!? あっ、アベル……!」

 

「何やってんの!? 井戸まで競争だって言ったよねっ!」

 

 

 アベルがプックルと共に戻って来ると、アリアの手首を引いて青年から引き離した。

 

 

「……アリアは僕のだから」

 

「……っ……」

 

 

 アベルが青年を見上げて険しい表情で啖呵を切る。すると、青年は照れ臭そうに息を呑んで口元に手を当てた。

 何故か気恥ずかしそうだった。

 

 

「アベル、このお兄さん私の事見えるみたいでっ」

 

「そんなのどうだっていいよ、行こっ!」

 

「あっ、アベル待っ!! っ、ごめんなさいっ。素敵なお兄さん、元気でね!」

 

 

 アリアはアベルに手を引かれ走って行ってしまった。

 去り際に笑顔で手を振っていく。

 

 

「っ……素敵なお兄さんとか……、…………っ」

 

 

 残された青年は両手で顔を覆って俯く。

 その耳は赤く色付いていた。

 

 

「…………、…………アリア…………」

 

 

 次に青年が顔を上げると、アベルと楽しそうにはしゃぐアリアの姿が遠くに見え、彼はその様子を眩しそうに眺めていた。

 そうして暫く時間が経つと、青年は村からそっと姿を消してしまう。

 

 

 ――その後、青年の姿を見た者は誰も居なかった。

 

 




羽根をくれとか、昔某ジャンルの二次小説でも書いてたりしたような(汗・汗)
ネタ被り~。
ていうか、そんなんばっかなので、今更どうということもなかったり……。

ほぼほぼ毎回キャラが違うだけでやること一緒な希ガス。
……むーん。

とりあえず、ラブラブ出来ればいいので……。

青年期で同じところ多分書くと思うので、その時は青年側の描写が書けるといいなぁ。

で、誰なんですかね……って、皆きっと知ってるwww

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評価いただけるとモチベ上がりますので、良かったら下さいっ。
感想など頂けたらめっちゃ嬉しいです。

読んでいただきありがとうございましたっ!

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