ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

余計なお世話ですよ……。

では、本編。



第三百九十八話 余計なお世話

 

 

 

 

 

 アベルを部屋から追い出し、パタンと静かに扉が閉じられたのを確認すると、ヘンリーはすぐさまマリアに駆け寄った。

 

 

「マリアっ! アリアが居なかったぞ!? 二人は一緒じゃなかったのか? どうなってるんだ!?」

 

「わ、わかりませんわ……! アリアさんはアベルさまのことお慕いしていたはずですのに……」

 

「わ、別れたってことか……!?」

 

「わ、わかりません……、どうしましょう……」

 

 

 ヘンリーとマリアは右往左往し、ヘンリーは頭を抱えマリアは手を組み祈る恰好だ。

 

 

「アベルに結婚を勧めてやろうと思ってたけど……アイツが戻って来たらオレはどう慰めてやりゃいいんだ!?」

 

「ですわね……、お別れした直後でしたら とてもじゃありませんが失恋の傷を広げてしまうかもしれませんわ……」

 

「あぁあぁああああ、ヤバイ。オレ達無意識でアベルの前で思いっきりイチャついてしまってなかったかな……!?」

 

「あっ……!」

 

 

 二人は互いに見つめ合い、自覚があるのか苦笑いを浮かべる。

 

 

「……っ、ま、まあ、過ぎたことはしょうがない! アイツも平気そうだったし、とにかくアベルが戻って来たら素知らぬ顔でいよう。普通が一番だよなっ」

 

「そうですわね……!(あれ? アベルさま戻っていらっしゃるんですか?)」

 

 

 ヘンリーとマリアは二人して頷き、アベルが戻って来るのを笑顔で迎え入れることにしたのだった。

 

 

 ……そう、ヘンリー夫妻はアベルを憐れんでいたのだ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なるほどね」

 

 

 ――僕は憐れまれていたのかーー……!

 

 

 アベルはヘンリー夫妻の部屋の扉に耳をくっつけ二人の会話を拾って呟く。

 二人の様子が何かおかしいと思っていたら、そういうことだったのだ。

 

 ヨシュアと兵士がアベルの行動を見て不可解そうに眉を寄せていたが、特に声は掛けては来なかった。

 

 

(余計な気遣いは不要! 僕はアリアとラブラブだからね!!)

 

 

 二人の会話が聞こえなくなり、アベルはヨシュアに軽く会釈して とりあえずヘンリーに指定された記念品を取りに階段を下りて行く。

 

 すると三階、王の間からアリアとデールの楽し気な話声が聞こえて来た。

 アベルが“アリアの声だっ!”と階段上から声のする方へと目を移すが、アリアの姿は見えず、声だけしか聞こえない。

 

 

(アリアはいったい どこにいるんだ……?)

 

 

 アベルが一段一段階段を下りて行くと、デールが玉座に向いて立っている姿が確認できた。

 だが、アリアの姿はやはり見当たらず、声だけが聞こえる。

 アベルは玉座の陰になって見えないだけかと思い、階段を下りて行く。

 

 すると漸くアリアを見つけたのだった。

 

 

「立派になっちゃって~……デール王、すごいですね!(このイスふかふかっ!)」

 

「いえ……ボクなんてまだまだで……あ、アリアさんなら気安く()呼びでも……」

 

 

 なぜかアリアが玉座に座りデールが傍に立って目を細めている。

 大臣もアリアを眺めデレデレと鼻の下を伸ばしていた。

 

 三人ともアベルが下りて来たことには気付いていない様子(ピエールとパペックもアリアを見ており気付いていない)。

 

 

「あ、私そろそろ行かなきゃ。お仕事の邪魔ですよね?」

 

「そんなそんな! もう少しお話をしましょう!」

 

 

 アリアが玉座から立ち上がろうとすると、デールは引き留め「座っていていい」とアリアの肩に触れる。

 そうですそうですと、大臣も頷いていた。

 

 

「アリア嬢がデール王の妃になられた暁にはこの国は益々栄華を誇ることでしょうなぁ……!」

 

 

 大臣からの聞き捨てならない一言にアベルは慌てて階段を駆け下りて行くが、

 

 

 

 

「……私はデール王の妃にはなりません。絶対に」

 

 

 

 

 アリアが立ち上がってはっきりとデールと大臣に告げる。

 アベルは立ち止まり、丁度玉座の裏辺りで話の続きを聞いてみることにした。

 

 

「「え」」

 

 

 アリアのあまりにも毅然とした態度にデールと大臣は固まってしまう。

 

 

「……私は知っていると思うけれど、呪われていますし、私なんかがこの国の国母に? いやぁ……無理ですよ。私には荷が重過ぎます。せっかく平和を取り戻したのに、私を妃になんてしたらこの国滅んじゃうかもしれませんよ? 国民が呪われたらどうするんですか?」

 

「そんなことは……! あなたの呪いなら各国の神父やシスターを派遣してもらって……」

 

 

 アリアの話にデールは食い下がるが、アリアは頭を下げていた。

 

 

「…………ごめんなさい。デール王……いえ、デール君。私、誰とも結婚出来ないの」

 

「出来ない……? しない、じゃなくて……ですか?」

 

「うん……出来ないの。それに私は今はアベルの彼女で、彼が大好きだし他は考えられない……」

 

「あっ……」

 

 

 アベルの名を口にした途端、アリアの頬が ぽっと紅く色付く。

 デールはそれを見てアリアがアベルを本当に好きなのだと察してしまった。

 

 ラインハットを出る時もアベルとアリアは仲が良かったが、あの時はまだ友達同士から発展し始めただけだったように感じたのに、今のアリアはアベルの名を口にしただけで頬を染めている。

 

 

 ――兄さん達のようにアベルさんもアリアさんも……互いを想い合っている……。

 

 

 デールはそれ以上何も言えなかった。

 

 

「だからね、お気持ちはとてもありがたいし、嬉しいけれど もっとお妃さまに相応しい人をさがして下さい。…………私、ヘンリー君達に会いに行って来ます」

 

 

 アリアはもう一度深々とデールに頭を下げて、四階へと行こうとする。

 と、丁度アベルが階段から下りて来たのだった。

 

 

「…………アリア」

 

「……あ。アベル……! あれ? もう下りて来たの? 私も今 上に行こうと……」

 

「…………アリア。……ねえ、アリア」

 

「ん……?」

 

 

 アベルはアリアの名を何度か呼んで、彼女の手を引き身体を抱き寄せ人前にも関わらず唇を重ねる。

 ちゅっ、と軽く水音がしてそれはすぐ離れ、アベルは再びアリアを抱きしめた。

 

 デールと大臣が後ろで目を剥いて固まってしまう。

 アリアのすぐ後ろに居た、普段は取り乱すことの無いピエールも突然のことにビクッと肩を揺らし、驚きに固まっていた。

 

 

「っっ……!? ちょ、ちょっとアベルっ!? ひ、人前っ、人前だよっ!?」

 

 

 一番びっくりしたのはアリアで、アベルに強く抱きしめられ(でも痛くない)放すようにとアベルの身体を押し剥がそうとするが、力敵わずアベルから離れることは出来なかった。

 

 

「…………アリアぁ……」

 

「な、何、どうしたの……? 何かあったの……?」

 

 

 ――なんか、声がおかしくない……? 泣いてる……?

 

 

 耳元で自分の名を呼ぶアベルの声が鼻に掛かったような声で、アリアは何があったのか不安になる。

 

 

 

 

「っ…………、アリア……。未来…………、変わったかも…………」

 

 

 

 

 アベルはアリアの耳に小さく囁く。

 

 

「っ、擽った…………え?」

 

「……君のおかげだよ……」

 

「…………っっ?? そ、そう……? 良かったね……? でも人前だからちょっと離れようか」

 

「ぅ……、ヤダ」

 

 

 ぎゅううぅぅっ! とアベルは小声で文句を垂れながらアリアをデール達から見えないよう自分の腕の中に隠してしまった。

 デールと大臣はアベルとアリアの様子を見ていられず顔を逸らす。

 

 

「ヤダってそんな……困る……」

 

「…………………………うそ」

 

 

 アリアの弱り声にアベルはそっと彼女を解放して優しい顔で彼女を見下ろした。

 

 

「アベル……?(泣いては……いないか……、男の子だもん……泣かないよね)」

 

「……今ヘンリー達に会って来たんだけど、ヘンリーがさ、結婚式の記念品を昔の部屋に置いて来たんだって。僕、取って来るからアリアはヘンリー達に会いに行っておいでよ。後で迎えに行く」

 

 

 アベルから解放されたアリアは不思議そうにアベルを見上げたが、彼はそのままアリアから離れ歩いて行ってしまう。

 

 

「あ、うん、わかった……。あっ、アベル」

 

「ん?」

 

「あとで、詳しくホウレンソウよろしくね!」

 

「ホウレン…………ああ、もちろんっ!」

 

 

 アリアが口元に手を添え伝えると、アベルは晴れやかな顔で階下に下りて行った。

 

 

「あ、ピエール君、それありがとう。私持つね!」

 

「あ、はい、では」

 

「じゃあ、ヘンリー君達に会いに行きましょう!」

 

 

 アリアはピエールから【ぎんのトレイ】を受け取り(持ってもらっていた)、デール達は放置したまま四階へと続く階段を上がって行くのだった。

 




ヘンリーもマリアもアベル想いでしたねw

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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