勘違いされると困る。
では、本編どぞ。
◇
さて、アベルが結婚式の記念品を取りに行き、戻って来る間アリアは……。
「どうなっているのですか……? アリアさん、あれほどご自分に正直になって下さいと言ったではありませんか……!」
「ええっっ!? しょ、正直に言いましたけど……!?(何か問題でも……!?)」
マリアにバスルームに連れ込まれ、アリアは壁際に追い詰められていた。
「えっ? そうなんですの!?」
「あ、えと……うん。アベルと私、今お付き合いしていて……」
「あ……」
マリアは驚いたが、アリアの話を聞いて ほっと胸を撫で下ろす。
「では、今はアベルさまと恋人同士……というわけですのね?」
「あ…………はい。というわけです…………今のところは……だけど……」
下手にマリアに全てを話すことは出来ない。
ははは、とアリアは笑い、誤魔化すように後れ毛を耳に掛けた。
「今のところは……とは……?」
「あ、えっと……」
マリアに突かれ、アリアは口篭もってしまう。
ところがマリアは何かまた勝手に勘違いしたようで……
「……なるほど。そういうことですか」
――アリアさんはアベルさまのプロポーズを待っていらっしゃるのですね……! 確かアベルさまは奥手な方でしたものね……!
“これは急ぎヘンリーさまにお知らせせねば……!”とマリアは使命感に駆られる。
「ん? なるほどって?(どゆこと?)」
「ああ よかった……。先程アベルさまが独りでやって来たものですから私達勘違いしてしまいましたわ」
「カンチガイ?」
「アリアさん! 少々こちらでお待ちいただけますか!?」
マリアが話す度 首を左右に捻るアリアを余所に、マリアはアリアの両肩に手を置いてここで待つように告げた。
「えっ、あ、はい……?」
「いいですか!? 私が良いと言うまでこちらでお待ち下さいまし!」
マリアは ぽかんとするアリアを置いてさっさと部屋へと戻って行ってしまう。
「えっ、あ、ちょ……、マリアさんっ!?」
――何? 何なの……!?
アリアは要領を得ないまま、バスルームに一人取り残されてしまった。
◇
◇
◇
部屋へと独りで戻って来たマリアはソファーに座っているヘンリーの隣に腰掛けると手を添え語り掛ける。
「ヘンリーさま」
「どうだった!?」
「あの……実は……」
「う、ん……?」
マリアはピエール達が居たため、ヘンリーにこっそり耳打ちをした。
「ふむふむ……。そうか……!! それは良かった!! で……」
マリアからの報告を受けヘンリーは笑顔になるが、話を聞く内 次第に腕組みし難しい顔をする。
ピエールとパペックは二人が話している間にアリアの居るバスルームへと移動していた。
「……うーむ……。ここは一つ、発破をかけてやんないと駄目かな? あいつ肝心なところ決められないからなぁ……」
――そうか、アリアはアベルのプロポーズを待っているのか……! アベルの奴、何やってんだよ! オレみたいに さっさと決めちまえばいいのに……!
とりあえずは仲良くやってるみたいで良かったぜ……とヘンリーは安堵しつつ、アベルがこれまでアリアに決め手となる告白などが出来ていなかったことを思い出し、手助けしてやることにした。
大方今アリアと付き合っているのも なあなあでそうなったんだろう……と思っているようだ。
(これはあれか、先に結婚した方の言うことを聞くっていう約束を活かせるな……!)
ヘンリーは独り納得したように うんうんと首を縦に下ろし、アベルが戻って来たらどうにかしてやろうと考える。
「マリア、オレに任せてくれ。大丈夫だ、きっと上手くいくさ」
「ヘンリーさま。ありがとうございます……!」
ヘンリーがマリアに微笑み掛けたその時……――、
「ヘンリー……!」
ヘンリー達の部屋の扉が開け放たれる。
丁度アベルが旧ヘンリーの部屋から戻って来たのだった。
アベルは口角を上げながらもヘンリーを軽く睨み付けている。
「え? 宝箱に結婚式の記念品なんて入ってなかったって? わっはっは! お前は相変わらず騙されやすいヤツだな。じゃあ今度こそ本当に渡すよ。この記念のオルゴールだ」
ヘンリーはソファーに座ったままアベルの嬉しそうな顔に目を細め、後ろに隠していた美しく細工されたオルゴールを差し出す。
アベルは記念オルゴールを受け取ると それに目を落とした。
ヘンリーとマリアにそっくりの人形が台にのった よく出来たオルゴールだ。
だが、蓋のところに窪みがあり空いている。
「……ありがとう。いいオルゴールだね」
「実はフタのところに宝石を埋め込むはずだったんだけど職人が見つからなくて……。ともかくせっかく来たんだから ゆっくりしていってくれよなっ」
ヘンリーはアベルを見上げて満面の笑みを浮かべた。
「……ああ。そうさせてもらおうかな。……そうだ、アリアを知らないかい?」
アベルが部屋を見回すが、アリアの姿がない。
――またどっか行っちゃったのか……? 屋上かな……?
ピエールが付いているため、アリアが迷子になるとは考えにくい。然程心配はしていないが、アベルはアリアに早く会いたかった。
そんなアベルにヘンリーが声を掛けて来る。
「アベルも色々と苦労しているみたいだな」
「ん?」
「しかしアベル。その苦労を共にする女性が欲しいとは思わないか?」
「あ……えっと……」
――アリアは結婚出来ないって言ってたな……。
ヘンリーに訊ねられ、アベルは返答に困った。
アリアを連れ修道院を出る時にマザーと約束したし、自分はアリアと結婚したいと前々から思っている。
だがアリアにその気がないことが、先程のデール達との会話をこっそり聞いて わかってしまった。
結婚出来ないとは恐らく
結婚は双方が同意しなければ出来ないものだ。
今は恋人同士のままでいるしかない。
アリアの呪いが解け、その気になってくれるまで待つしかない。
……アベルはそう思っていた。
「母親を助け出すのが先決というわけか……。しかしアベルよ。その母親が1番お前の幸せを願っているはず。まず自分が幸福にならなきゃ……。それからでも遅くはないぜ。うん!」
――アベルお前……アリアと結婚したくないって言うのかよっ!? それはアリアが可哀想だろ!? アリアはお前の言葉を待ってるっつーのに……。
ヘンリーはこの場でアリアの名を出すのが
「…………え?」
ヘンリーの話にアベルは ぽかんと目を瞬かせた。
「ん? 違うのか?」
「あ、いや……結婚はしたいよ……? そりゃあ……ねえ……」
――呪いなんか関係ない、アリアと今すぐにでもしたいさ! でも結婚は一方的にはできないだろう……?
ヘンリーが首を傾げると、アベルは気まずそうに頭の後ろを掻く。
「やっぱりなっ! お前も そろそろ年頃だしな。オレみたいにステキなお嫁さんを早く見つけるんだぜ!」
――なんだ? アベル、お前結婚する意思はあるのか?? どういうことだ……??
アベルに笑顔で答えたものの、ヘンリーの頭の中は疑問だらけだ。
下手にアドバイスでもしようものなら二人が別れてしまうのでは? とまで危惧してしまった。
「まあ、あなたったら……」
――どういうことですの……!?
黙って二人の会話を聞いていたマリアも困惑気味でヘンリーと目を合わせた後、バスルームの方へと視線を移す。
そこにはアリアがこっそり部屋を覗き、「そっち行ってもいい?」と身振り手振りで訴えていた。
マリアは首を横に振り振り、しばし待つようにと伝える。
アリアは訝し気に首を傾げていた。
「アベルさまの奥さまになる人ってどんな人でしょう……」
「……僕の奥さんは……」
マリアがアベルを見上げて目を細めると、アベルは言おうとして黙り込む。
――そんなのアリアしかいないよ……。
今すぐに結婚出来るわけじゃないから口に出すことは出来なかった。
アベルとアリアはヘンリー、マリア夫妻とは違い、ゆっくり関係を築いていっているのです。
祝四百話☆
長々お付き合い下さりありがとうございます。
気付けば400話。
いや~、このお話どこまで続くんですかね……w
その場その場で浮かんだ好きなことをつらつら綴ってるだけなので、気が付くと話数が増えている状態です。
好きなエピソード、そうでないエピソードなどゲームストーリーを殆ど端折らず書いていますが、意外と怒られないのでウレシイ……♪
いや、怒られても書くけども……w
前にもどこかで書いたかもしれませんが一応、大プロット……?
的なものはあるのですが、ストーリーを進めるよりもキャラと楽しく会話するのが好きなのでこんな長々と……。
たのちぃよぉおおおおっ!(叫び)
好きなように書けるのは二次創作の醍醐味だと思っています。
もっと上手く纏められると小説としていいのでしょうが、知能が足りてないんですねぇ……。
「アホ可愛い奴め」とニラヲチしてして下さると嬉しいです。
さて、まだまだ続きますよ……!
これからもよろしくして頂けたら幸甚に存じます。
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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!