ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

結婚祝いを渡さないとね。

では、本編どぞ。



第四百一話 結婚祝い

 

「アベルさまの結婚式には ぜひ私たちも呼んでくださいましね」

 

「…………ああ、ぜひ来て欲しい。いつになるかは わからないけど……」

 

 

 マリアの言葉にアベルは深く頷く。

 

 

 ――アリアは僕が大好きだとデール王にはっきり言ってくれた。

 

 

 アリアが僕と生涯を共に歩んで行きたいと思ってくれるまで、僕は待つしかない。

 その時が来たら……、その時こそ彼女に伝えるんだ。

 

 ……だから今は言えない。

 

 

 そんなアベルの様子にソファーに座っていたヘンリーが眉を寄せたまま見上げて来る。

 

 

「……アベルお前さ……、ちょっと耳貸せ」

 

「う、ん……?」

 

 

 アベルは自分を手招きするヘンリーに耳を貸してやった。

 

 

「…………早く言ってやった方がいいと思うぞ」

 

「ん?」

 

「……アリアはお前のプロポーズを待っているんじゃないのか? 男ならビシッと決めようぜ」

 

「へ? いや……、どうかな……。アリアは……」

 

 

 ――どっちかっていうと、今のままが良さそうなんだけど……? というか、なんで耳打ち……?

 

 

 耳元でこそこそと云われ、アベルは頬を掻く。

 

 

「お前、アリアと結婚したくないのか?」

 

 

 ヘンリーが尚もこそこそと耳打ちして来るので、マリアに聞かれたくないのかと思いアベルはそのまま聞いていた。

 距離が近過ぎるからマリアには聞こえそうなのだが……。

 

 

「っ、したいさ! ずっとそう思ってるよ! けど、アリアにその気がないから……! 僕は待ってるんだよ……」

 

 

 ヘンリーの問い掛けにアベルはつい大きな声を出してしまう。

 

 

「えっ!? そ、そっか……そうだったんか……って、アベル声小さくな(アリアに聞こえちまう……)」

 

「ん?(なんだ……??)」

 

 

 ヘンリーが口元に人差し指で シィーッと気まずそうな顔をするのでアベルは首を傾げた。

 

 

「…………なーんかオレ達、早とちりしちまったみたいだ。な、マリア?」

 

「……そうですわね……」

 

 

 不意にヘンリーとマリアは互いに見合って眉根を寄せた。

 

 

(アベルが待たされてる方だったとは……)

 

(アベルさまが待たされていた方だとは……)

 

 

 ヘンリーとマリアは結婚してあまりにも幸せだからか、幸せのお裾分けにと二人をくっつけようとしたのだが、余計なお世話のような気がして黙り込んでしまう。

 

 

「……ヘンリー……?」

 

「あっ、いや、何か悪かったな。アリアと仲良くな」

 

「あ、ああ……」

 

 

 アベルが相槌を打つとマリアが部屋の奥に顔を向け口を開いた。

 

 

「アリアさん、もう出て来ていいですわよ」

 

「はーい! もうお話終わったの?」

 

 

 マリアの声に、アリアが部屋の奥から出て来る。

 

 

「っ、アリアっ!? 今の聞いて……!?!?(なんでそんなところに居るんだ!?)」

 

 

 アベルは先程の結婚どうのという話を聞かれたかと思い、目を剥いた。

 

 

「ん……? 何かしたいって聞こえたけど……何がしたいの?」

 

「っ……べ、別に何も……?」

 

「そう? アベルのしたいこと あるなら今度しようね? 私、付き合うよっ」

 

「そう? …………じゃあ、いつかね」

 

 

 アリアがアベルの傍に寄って来て、優しく微笑み彼を見上げる。

 ……と、アベルはアリアの手を握り、穏やかな瞳で見下ろし互いに微笑み合った。

 

 

「「あっ」」

 

 

 二人の仲睦まじい様子にヘンリーとマリアは小さく声を漏らす。

 

 

(本当、余計なお世話だったみたいだ……)

 

 

 ――ちぇっ、人前でイチャついちゃってさ~っ! ……なんか、ちょっと胸が痛んだわ……。

 

 

 ヘンリーは、大好きだったアリアがアベルとイチャついているのを見て眉をカリカリと掻いた。

 アベルが幸せなのは確かに嬉しいのだが、自分はマリアと結婚して幸せの絶頂にいるというのに少々複雑な気持ちになるのはなぜなのか。

 

 不思議な感覚だなと思いつつ、とりあえず口角は上げておく。

 

 

 ……一方でマリアも。

 

 

(余計なお世話でしたわね……)

 

 

 マリアは二人の様子をにこにこと見守っていた。

 そうしていると、アベルとアリアの二人は何やらこそこそ話し出す。

 

 

「アベル、あれは渡したの?」

 

「あれって?」

 

 

 アリアは訊ねるが、アベルは何のことかと首を傾げた。

 

 

「ほら、オラクルベリーの!」

 

「……いや、まだ」

 

 

 ――ああ、アレか。【キラーピアス】……。

 

 

 アリアが気付かせようとアベルの手を ぎゅっと握って見つめて来る。

 カジノで交換し、綺麗にラッピングしてもらった【キラーピアス】のことだと気が付くと、アベルは首を横に振った。

 

 

「じゃあ、出して出してっ。プレゼントしなきゃ!」

 

「あっ、アリアっ! ちょ、ちょっと待ってよ……。そんな急に漁ったら……!!(アリアが近い……っ!)」

 

 

 アベルは、あれはアリアに贈ろうと思ったものなんだけどな……と思ったが、アリアはヘンリー達に贈る気満々である。

 アベルの腰にぶら下がっている【ふくろ】に手を突っ込み、探し始めてしまった。

 

 

 ――あぁ、アリアの好い匂いがするぅ……。

 

 

 アベルは【キラーピアス】の入った箱を探すアリアを嬉しそうな顔で見下ろす。

 

 

((幸せそう……))

 

 

 二人の様子を前にヘンリーとマリアは、この二人なら放っておいても大丈夫かなと目を細めたのだった。

 

 

「あった……! はい、アベルから渡してね!」

 

 

 アリアは【ふくろ】の中から目当ての品を見つけると、アベルに手渡した。

 

 

「っ……これはヘンリー達に渡すものじゃないんだけどなぁ……」

 

「ん……? 何か言った?」

 

「いや、まあいいや。ヘンリー、これ……」

 

 

 弱った顔でアベルは呟くがアリアには聞こえず、【キラーピアス】の入った箱をヘンリーに差し出す。

 

 

「ん? お。なに、なんかくれるのか?」

 

「…………あげたくないんだけど、アリアが渡せっていうから渡す」

 

「はっ、なんだそれ?」

 

「……結婚おめでとう、ヘンリー。これは僕からの祝いの品だよ」

 

「おお~~! 何か悪いな、ありがとなっ!!」

 

 

 渋々“はい”とヘンリーに差し出した箱だが、ヘンリーが受け取ろうと掴むと、渡したくないのかアベルは箱から手を放さなかった。

 

 

「っ……くれるんじゃなかったのか……!?(放せよ!)」

 

「っ……これは本当は……っ……(放したくない!)」

 

 

 アベルとヘンリーは互いに箱を引っ張り合う。

 二人の引っ張り合う力に包装紙が()れて破れそうだ……。

 

 

「アベル何してるのっ!? ほらどうぞして?」

 

 

 ――何で箱を放さないの……!?

 

 

 アベルが中々箱を放そうとしないのでアリアは手放すよう告げるのだが、アベルは聞き入れず……。

 

 

「っ……アリア、これはね……違うんだよ……!」

 

「っ、何か知らんがくれるんだろ!? 放せよ」

 

「嫌だっ……!」

 

「嫌だって何だよ、お祝いに持って来てくれたんだろっ!?」

 

 

 よくはわからないがヘンリーも意地になって箱を引っ張っていた。

 奴隷時代の食事の取り合いでも思い出したのだろうか、ヘンリーはちょっと楽しそうだ。

 

 

「ヘンリーさまっ、そんな無理にいただくのは……」

 

 

 マリアも止めに入るが、二人は終には睨み合ってしまい、力任せに箱の両端を思い切り引っ張り合った。

 すると、包装紙が“バリッ!”っと破け箱は床に落ち、中に入っていたメッセージカードが飛び出す。

 

 

「「あ~あ……」」

 

 

 アベルとヘンリーは破れて落ちた箱を見下ろし互いに嘆いた。

 

 

「あっ、破けちゃった……! やだ、二人とも子どもみたいなんだから……」

 

「あら、何か落ちましたわ」

 

 

 アリアがアベルとヘンリーの様子に苦笑いを浮かべると、マリアは飛び出たメッセージカードを拾い、読み上げる。

 

 

「……“受け取って貰えるかはわからないけれど、君に似合うと思ってメダルを交換しました。僕はいつでも君を想っているし、守りたいと思っている。このキラーピアスが君の身を守る武器となりますように……愛し……」

 

「わぁああああっっ!! マリアさんっ、ストップ!!(そうだ! メッセージカード……!!)」

 

 

 アベルはマリアの手の内のメッセージカードを慌てて奪取した。

 

 

「っ……アベルさんそれ……!」

 

 

 マリアの頬が真っ赤に染まる。

 

 

「っ、おい、アベル……お前……」

 

「アベルまさか……」

 

 

 マリアの反応とは対照的にヘンリーとアリアの顔は青ざめていた……。

 




メッセージカードの存在を忘れていたアベルさん……。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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