ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

キラーピアスを贈る相手は君だけさっ!

くさ。草。www

では、本編どぞ。



第四百二話 キラーピアスは君のため

 

 

「マリアのことが好きだったのか……!?」

 

「マリアさんのこと愛してたの……!!」

 

 

 

((いつの間に!?))

 

 

 

 

 ヘンリーとアリアの二人は眉を顰めてアベルとマリアをそれぞれ見つめる。

 二人の瞳には涙が浮かんでいた。

 

 

 

 

「「はぁっ!!??」」

 

 

 

 

「なんでそうなるっっ!?!?(違ぁああああううっ!!)」

 

「どうしてそうなるんですかっっ!!(違いますっ!!)」

 

 

 ヘンリーとアリアの言葉にアベルとマリアは声を大きく否定したのだった。

 

 

「っ、じゃ、じゃあいったい……、ん?」

 

 

 ヘンリーは動揺し、床に転がった箱から【キラーピアス】がはみ出ていることに気付く。

 

 

「……おい、アベル。キラーピアスって……お前……、本当はこれ、オレ達にってわけじゃないんだな?」

 

 

 アベルの態度といい、カードのメッセージといい、プレゼントの中身といい、ヘンリーはそれが自分達に向けられた物ではないことを悟った。

 

 

 ――平和になった城の中で暮らしてるんだ、【キラーピアス】なんて要らないもんなぁ……。

 

 

「…………………………………………………………………………そうだよ」

 

 

 アベルはしばらく沈黙した後で、頬を僅かに膨らませ口を尖らせる。

 

 

「ならなんで」

 

「…………アリアが、結婚祝いだって勘違いするから…………。僕は違うって言ったのに…………」

 

 

 アリアが口を挟むとアベルに気まずそうにチラッと見られ、彼女はハッとした。

 

 

「え……私……? あっ……!」

 

 

 ――そういえば……アベルは違うって否定してた気がする……、……私、ひょっとしてアベルに酷いことをしてしまったのかもしれない……?

 

 

 アリアがそう理解すると、アベルは【キラーピアス】の入った箱を拾って彼女の手に載せた。

 

 

「……アリア。これは……君に贈るために手に入れたものなんだよ。僕の話、ちゃんと聞いてよ……。僕はいつだって君のことを考えているんだから……」

 

「っ……ごめんなさい……。私てっきり、ヘンリー君達への贈り物だとばかり思ってて……」

 

「うん……知ってる。君、結構思い込み激しいし…………………………箱がちょっと壊れちゃってるけど、受け取ってくれるかい?」

 

「あ…………、うん。ありがとう……。ごめんね、気が付かなくて……」

 

 

 アベルに改めて言われ、アリアは渡された壊れた箱を見下ろし謝罪する。

 アベルがどんな想いでこれを用意してくれたのだろうと思うと、申し訳なくて顔を上げられなくなってしまった。

 

 

「うん……」

 

 

 ――やっぱり迷惑だったのかなぁ……? 食べ物の方が良かったかな……。

 

 

 アベルは頷くも、迷う。

 アリアに贈り物をする際は、形に残る物を贈るよりも、食べ物を贈った時の方が遥かに嬉しそうなのだ。

 形に残る物は金額を気にしているのか喜んではくれるが、どこか申し訳なさそうに受け取っていた。

 

 今回も一応礼は言ってくれたが、アリアが黙り込んでしまったのでアベルは不安に駆られる。

 だが それはアベルの杞憂だったようで……。

 

 

「……………………………………………………………………………うれしい」

 

 

 暫し黙り込んだ後で、アリアは顔を上げた。

 

 

「え……?」

 

「…………アベル、ありがとう。私のこと考えて交換してくれたんだね?」

 

「あ…………うん」

 

「……とってもうれしいよ」

 

 

 自信なさげだったアベルにアリアは目を細め、満面の笑みを見せてくれる。

 

 

「ぁ…………、うん……! 気に入ってもらえたなら よかった……!!」

 

 

 ――あぁ……笑顔が可愛いなぁ……。

 

 

 アベルはアリアの笑顔に きゅぅっと心を掴まれてしまった。

 

 アベルもアリアに応えるように笑顔を浮かべ、彼女の耳に【キラーピアス】を付けてやる。

 そんなアリアは頬を赤く染めて邪魔にならないようにと髪を押えながら大人しく付けてもらっていた。

 

 ところがアベルは覚束ない手で何とか付けようとするが上手く付けられず何度か失敗する。

 ……のだが、その度アリアと間近で目が合うので二人して見つめ合い笑い合う。

 

 付け終えるまでアリアはにこにこと大人しく待っており、漸く付け終えるとアベルは満足そうな笑顔で何度も頷いていた。

 

 

「似合ってる、素敵だよ」

 

 

 アベルは褒めることも忘れないので、アリアが両手で顔を覆って「ありがと……」と俯いてしまう。

 アベルとアリアはヘンリー達などそっちのけで目の前の夫婦に負けず劣らず、二人の世界だ……。

 

 

 そんなアベルとアリアの様子を見ていたヘンリーがぽつりと零す。

 

 

「っ、うーん……なーんか腹立つのは何故だ!?!?」

 

「ふふっ、ヘンリーさまったら……」

 

 

 ヘンリーの呟きにマリアがくすくすと笑っている。

 

 

「っ、これはやっぱりあれだな……。マリアと最近イチャつけてないからだな……!」

 

「あっ、ヘンリーさまっ!?」

 

 

 やにわにヘンリーがマリアの腰に手を回し、引き寄せた。

 

 

「マリア……今夜は……(今夜こそは……!)」

 

 

 ……ヘンリーがマリアに口付けをしようとすると、

 

 

 

 

『ゴッホン!! ゴホッ、ゴホッ!! ああ~~、風邪かなあ~~? 治りが悪いなあ~~』

 

 

 

 

 開いている扉の向こう側で大きく咳き込む音とヨシュアの声が聞こえる。

 

 

「っ、お兄さま……!? っ、ヘンリーさまっ、今 兄の咳が……! やはりまだ完治していないのですわ……!」

 

「っ……あ、ああ……様子を見に行ってやるといいよ………………」

 

 

 マリアがハッとヘンリーの口元に手を当て告げると彼から離れた。

 そして「ちょっと様子を見て来ます」と彼女は扉の方へと行ってしまう。ヘンリーは苦笑いを浮かべてマリアを見送っていた。

 

 そうしてマリアは部屋から出ると開けっ放しだった扉を閉じる。

 

 

 パタン。と扉の閉じる音が聞こえ、アリアはここがヘンリー達の部屋だと思い出した……。

 

 

「っ! あっ、アベルっ、ここっ、ヘンリー君達の部屋っ!!(ついアベルに夢中になっちゃってた……!!)」

 

 

 アリアはいつの間にか繋がれていた手を放し、顔を真っ赤にしてアベルをやんわりと突き放す。

 

 

「ん……? そうだっけ……。別に良くない?」

 

「良くないよっ!」

 

「アリアは恥ずかしがり屋だなぁ…………、……あれ……? マリアさんは……?」

 

 

 アベルが部屋を見回すとヘンリーだけがソファーに座っていて、不満そうな顔で自分達を見ていた。

 先程はアリアの姿が見えず、今度はマリアの姿が見えない。

 女性は神出鬼没だな……なんてアベルは目を瞬かせる。

 

 

「…………扉の向こうだな、うん」

 

「どうして……?」

 

 

 ヘンリーの答えにアリアは首を傾げた。

 

 

「さあ……どうしてかな……(お義兄さん……)」

 

 

 ヘンリーは“ハハ……”と乾いた笑いを浮かべる。

 

 

「あ、そっか。アリアは知らないか」

 

「ん?」

 

 

 ヘンリーの代わりにアベルが答えると、説明を始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………なるほど……、扉の前に居た二人の内 一人がマリアさんのお兄さんだったのね」

 

「……うん、初めてなんだ」

 

「ん? 初めて?」

 

 

 ――どういうこと?

 

 

 アベルが優し気に見下ろしてくるので、アリアは呆けた顔で首を傾げる。

 

 

「ああ、彼とここで再会したのは初めてなんだ。多分アリアのおかげ」

 

「そう……なの? 私何もしてないけど?」

 

「……そんなことないよ」

 

 

 不思議顔で訊ねるアリアにアベルは彼女の髪を一房手に取ると、親指でそっと撫でた。

 艶髪の滑らかな感触に自然とアベルの口角が上がってしまう。

 

 

「そうかな……?」

 

「ああ、ありがとうアリア」

 

 

 尚も首を傾げるアリアにアベルは手にした髪を口元に持って行き、口付けを落しながらアリアを見下ろした。

 

 

「っ、アベル……」

 

 

 ――キッザぁああああっっ!!!!

 

 

 デール君達の前でのキスといい、今といい、奥手な可愛いアベルはどこに行ってしまったの……!?

 

 

 アリアは恥ずかしさに顔を真っ赤にして固まってしまう。

 

 

 すると、

 

 

「ああもうっ!! イチャつくならどっか余所でやってくれよっ!(目の毒だよっ!!)」

 

 

 ヘンリーが“お帰りはあちら!”と扉の方を指差していた……。

 




アベル、お前……キザだったんだな……。
書いててびっくりよ……。

アレですアレ。
ルラフェンの夜の一件やら なんやらでアベルはアリアに好かれている自信を持ったんでしょうね。
親密度がかなり上がって来ている手応えを感じ、段々と行動が大胆になって来ています。
この調子で強気でグイグイいけるようになるといいですね……!

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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