やっと旅の再開です! さあ、元気に行ってみましょー。
では、本編どぞ。
第四百十六話 うわさのほこら
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アリアの放った【ルーラ】によって、アベル達はルラフェンの町の入口前に降り立つと、そのまま南下しサラボナを目指す。
道中、アベルはアリアの【ルーラ】について「さっすがアリア!」と褒め、頭をナデナデ。
ついでに彼女の額にキスをしておいた。
アリアは照れ臭そうに「ふふっ、褒められちゃった♪」と上目遣いでアベルを見上げている。
彼女の愛らしい仕草にアベルが“もっとちゅーしてやる”と顔を近付けたものの、魔物の群れがどこからともなく現れ いちゃいちゃタイムはすぐに終わりを告げた。
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「僕とアリアの邪魔をするなぁっ!」
「あははは……」
アベルは魔物を倒し終えると【パパスの剣】を背に仕舞い、アリアの腰を引き寄せる。
彼女は笑った後で そっとアベルの背後を指差していた。
アベルがアリアの指差す方を見ると、次の魔物の群れが迫っている。
「っ、またこのパターン!?!? っ、アリアっ、戦おう! っと、その前に……」
“チュッ!”
アベルはイラっとしながらも、アリアにサッと口付けて魔物の群れへと向かって行った。
「ンッ! ……はいっ!」
アリアもアベルの後に続く。
……と、以前のような悪天候に遭うことは無かったものの、魔物との遭遇が多く何日かキャンプすることになった。
この辺りの魔物はオラクルベリー周辺に比べるとかなり手強い。
しばらく修道院で過ごしていたせいか、アベル達も久しぶりの戦闘の連続に戸惑いつつ、攻撃ミスを連発。
何度か戦うと段々と感覚を取り戻していった。
山々を越え、広い砂浜を行き、森を抜け……そうして何日目かのある日の夕暮れ時。
荒野を歩いていたアベル達の視線の先に土で造られた大きな建物が一軒見えて来る。
「あ、サラボナ……じゃなさそうね、建物が見えて来たよ! はぁ……久しぶりにお風呂に入れるかなぁ……」
昨日は身体を拭くことも出来なかったから べとべとで……なんてアリアが腕を擦っていると、アベルがアリアの後ろにやって来てこっそり告げた。
「背中流そうか?」
「やん、一緒に入らないってば……」
アベルがアリアの腕をツーっと人差し指で擽るように触れていくと、アリアは自己を守るように抱きしめた。
「一緒に入らなくても背中流してあげるけど……?」
「もう、アベルのえっち……!」
「……残念だなぁ……。って、ハハッ、冗談だよ?」
アリアが頬を膨らましてムッとした顔をするので、アベルは慌てて笑顔で誤魔化す。
――……実は本気なんですけどね……!
彼女の髪をぐしゃぐしゃと撫でて“十八になったらいいよね……!”とアリアをじっと見下ろした。
そのアベルの瞳孔は開き、アリアの全身を眺めている。
「わっ……もぉ~、アベルったら……髪がぐしゃぐしゃになっちゃう……」
――いや、目がマジなんですけど……?
アリアは崩された髪を直しながら爛々としたアベルの瞳にちょっぴり引いてしまった。
彼女は窺うようにアベルを じぃっと下から見上げる。
「……ハハハ、ぐしゃぐしゃ頭のアリアも可愛いよ」
警戒心剥き出しのアリアにアベルは彼女の身体から目を逸らした。
――アリアと一緒にお風呂……入りたいけど、まだ我慢かぁー……、うん、頑張ろう……!
すでに八か月の間お預け状態なわけだが、ほんの少しだけ関係が進んでいたアベルは彼女の意向に合わせ、欲求を我慢する。
早く自分を求めてくれればいいのにな、と、いつか彼女が自分のものになることを夢見て髪を直すアリアに優しく微笑んでいた。
◇
【うわさのほこら】……ルラフェンの南に位置するそこでは世界中の“ウワサ話”が聞けるという。
誰が名付けたのかは知らないが、その場所がルラフェンからサラボナの中継地点に当たるからか、世界中の旅人が立ち寄る憩いの場である。
各地から訪れた旅人たちの話がいつしか噂話となり、ここでは様々な話を聞くことが出来た。
「ふぅ……、今夜は安心して眠れそうだね」
日は
キャンプ中は時々魔物が出るため、ゆっくり休めない時もある……今夜は宿屋で宿泊するため ぐっすり眠れそうだ。
「うん、アベルお疲れさま」
「アリアも……」
アリアの労いの言葉にアベルも笑顔で返し、アベルは馬車を敷地内に入れると宿屋へと向かった。
ピエールとサイモンは馬車に残るとのこと……。
気を利かせたのだろうか……。
「ようこそ旅の宿に。夜道を歩かれてさぞやお疲れでしょう。ひと晩105ゴールドですが お泊まりになりますか?」
宿屋の主人が施設に入って来たアベル達に声を掛けて来る。
どうやらアベル達がやって来たのを窓から見ていたらしく、人数分しっかりと請求された。
今のアベル達のパーティーは全部で七人。一人当たり15ゴールドだ。
「あ、ええ。ひと晩お世話になります」
「それでは ごゆっくりお休みください」
アベル達は他の客が居る中、奥にあるベッドへ案内されると荷物を下ろした。
「はぁ……相部屋かぁ……。個室が良かったな……」
「ふふふっ、残念だね。でもベッドうれしい♪」
アベルがベッドに身体を預け、大の字になると天井を見上げる。
この宿には個室がなく、ベッドが並べられているだけ。
こんな場所に宿屋があるだけでもありがたいので、贅沢は言っていられない。
アリアは靴を脱いで
「本当、残念だよ……。これじゃ昔のように添寝も出来ないじゃないか」
天井を見ていたアベルがチラッとアリアに顔を向ける。
「あはは……、添寝って……私たち もう子どもじゃないのよ……?」
――もぅ、アベルってば……段々行動が大胆になってるんだから……。
アリアは乾いた笑いを浮かべていた。
子どもの頃によくした添寝……、アベルはその添寝のことを言っているわけでなはい。
実は一度だけ……オラクルベリーに宿泊した際、添い寝をしたことがある。
酒に酔ったアベルに甘えられ、アリアは悪戯をいくつかされたがグラつきながらも寝たフリで何とか乗り越えたのだ。
その時のアベルは酒が入っていたが実際は酔っておらず、次の日アリアに“酒の所為で何も憶えてないけど何かしてたらごめんね!”と謝っている。
アリアは“酔ってたならしょうがないよね……”と許していた。
添寝が成功したのはその一度だけなのだが、アベルはあの手この手でトライアンドエラーを繰り返し、未だ志半ばだが少しずつアリアを懐柔しているのである。
「……まあ、でも、アリアの寝顔が見れるならいいかな」
「アベル……」
アベルがアリアに微笑み掛けると、彼女は恥ずかしそうに目を逸らす。
するとアリアはその視線の先に見知った人物を見つけた。
「ぁ……」
「……ん? どうかしたかい?」
「あの人……、知り合いかも……」
アベルがアリアの見ている方へと視線を移すと、そこでは修道女と踊り娘の二人が話をしているのが見えた。
どちらがアリアの知り合いなのかはわからないが、知り合いなら声を掛けてみた方がいいのかなと、アベルは告げる。
「そうなんだ? なら挨拶しに行こうか」
「あ、うん。でも今お話し中みたいだから、後にするね」
修道女が踊り娘に何やら真剣に語っているため、邪魔をしては悪いと思ったアリアは後で声を掛けることにした。
――あの人、フローラさんを送りに行ったシスターララーナよね……? 中々戻って来ないなって思ってたけど……ここに居たんだ……。
……アリアの知り合いは修道女の方だったようだ。
「……そっか、わかった。じゃあアリア、先に身体を拭きに行くかい?」
アベルは寝ていた身体を起こし提案する。
「え?」
「アリアには残念だけど、見たところ ここには風呂がないみたいだ。けど身体を拭くくらいなら出来ると思うよ? さっき受付をしている時に 外に井戸があるのを見たよ」
アベルは“向こうに……”と受付カウンターの方へと指を差した。
「ぁ……うんっ。じゃあ私、井戸のお水使っていいか訊いて来るね」
「ああ」
アリアは立ち上がって受付カウンタ―へと向かう。
アベルも彼女の後ろについて行った。
アベルさん、アリアの背中を流したくてしょうがないw
狙ってますねぇ。
うわさのほこらに関して、アベルって「うわさのほこら」って名前は知らないと思うのですが……どうなんでしょうね。
「ここは噂のほこらよ」なんて教えてくれる人居ませんからね……。
プレイヤーだけが知ってる施設名ですよね。
▼時々書かないと忘れる現在パーティー
メイン>アベル・アリア・ピエール・サイモン
馬車の中>プックル・スラりん・パペック
out:ホイミン(モンスターじいさん送り)※理由はいずれ出てきます。
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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!