ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

忘れた頃に呪いの症状が……。

では、本編どぞー。



第四百二十話 襲い掛かる呪い

 

 

 

 

 

 奥のベッドまでやって来た二人は それぞれのベッドに腰掛け向かい合う。

 

 

「アベル、人前はその……」

 

「恥ずかしい?」

 

 

 ――何でアリアって こんなに恥ずかしがり屋なんだろ……、もっと恥ずかしがらせたくなるって言ったら怒るかな……。

 

 

 アベルは恥ずかしそうに口篭るアリアの様子を穏やかな顔で眺めていた。

 

 

「うん……」

 

「随分慣れたと思ったんだけどなぁ……」

 

 

 ――人前で腕を組んで歩けるようにはなったんだ、人前で腰を引き寄せるのもその内慣れるよね……?

 

 

 アリアは少しずつ進めれば受け入れてくれる。

 アベルはこれまで弛まぬ努力を続け、元【モンスターつかい】の本領を発揮し、アリアを少しずつ手懐けていた。

 

 

「ごめんなさい……慣れなくて……」

 

 

 ――もうすぐお別れなのに、別れた後あなたが何を言われるか……。

 

 

 アリアは人前でのいちゃつき行為自体、恥ずかしいのもあったが別れた後にアベルが後ろ指差されないかを心配していた。

 

 ところがアベルは行く先々で堂々とアリアが自分の恋人なんだと声高に触れ回っている。

 その発言もアリアが不在の時が多いので本人は殆ど知らない。そのため心配するだけ無駄なのだが、彼女がそれに気付くことはなかった。

 

 

「ハハッ、大丈夫だよ。その内慣れるよ」

 

「っ…………うん……、がんばるね」

 

「うん、頑張って?」

 

「はい……」

 

 

 アベルに諭され、アリアは顔を俯かせる。

 二人はその後ベッドに横になり、眠くなるまで他愛のない話を始めた。

 

 

 “ね、アリア。今度夜にレヌール城へ行こうよ。王様たちのお墓参りをしよう”

 

 “えぇっ……どうして突然レヌール城……? この間も……小さい頃も行ったじゃない……夜のお城怖いから苦手なんだけど……”

 

 “……ハハッ、僕が居るんだから怖くないよ? 夜のデートをしようよ”

 

 “……ぅ……しょうがないなぁ……じゃあ、今度ね”

 

 “うん、サラボナに着いたらルーラしてもいいね!”

 

 

 アベルはアリアの方へと身体を向けながら、夜の墓参りを提案する。

 そんなアベルの枕元にはアリアが不在時に手に入れた【うわさのノート】が置かれていた。

 

 アベルが【インパス】を使い調べたところ、【うわさのノート】は名産品らしく、この宿に泊まった旅人たちのウワサ話が書き記されている。

 宿屋の店主が譲ってくれたものだ。

 

 そこに“レヌール城で夜中にお墓参りをした二人は結ばれるというウワサだ”の一文があり、子どもの頃はビアンカと三人での墓参りだったので、アベルは夜のデートと称してアリアと二人で墓参りに誘ったのである。

 

 

 ……そんな話をしつつ次第にアリアが寝落ち、アベルもアリアの寝顔に笑みを浮かべて目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……次の日……――。

 

 長い間修道院にずっと居たため現れていなかったアリアの例の症状が現れてしまう。

 八か月振りにアリアの身に呪いが襲い掛かっていた。

 

 

 しかも その症状は今までで一番重く、アリアは眠りから覚めずベッドから起き上がることすら出来ない。

 

 

「っ、アリアっ!!」

 

 

 先程からアベルが眠るアリアに何度も呼び掛けているのだが、意識のないアリアの顔は真っ青で【ステータスウィンドウ】を調べると体力も落ち込み、呪いのマークが付いていた。

 アベルは【ベホマ】(回復呪文)を掛けるが、回復したそばからHP(体力)が下がっていく。

 そしてすぐに瀕死の状態に陥ってしまった。

 

 急激な低下速度にアベルの顔まで青褪めてしまう。

 

 

「っ……どうにかなりませんか!? このままじゃ……!」

 

「申し訳ありません……私では力不足のようで……」

 

 

 アベルは教会から神父を連れて来て、アリアの呪いを解くよう頼み込むのだが、この施設の神父は宿屋の息子らしく、神父としての能力が足りていないらしい。

 昨日も呪いの解呪を試みたが、僅かしか解けなかったのだという。

 

 

「そんな……!」

 

 

 ――何でこんな急に……呪いは薄まっているんじゃなかったのか……!?

 

 

 見るからに衰弱したアリアにアベルはどうしたらいいか解らず混乱し出す。

 【ステータスウィンドウ】で見るアリアのHPが10を切り、未だ減り続けていた。

 このままだとアリアが死んでしまいそうだ……。

 

 

(アリアが死ぬ……!?)

 

 

 ――昨晩二人で笑い合って眠ったのに、なぜだ……?

 

 

 アベルは「イヤだイヤだイヤだ、アリアが死ぬなんて絶対イヤだ」と頭を抱え首を左右に振るう。

 

 【ステータスウィンドウ】に表示されたアリアのHP(体力)はあと5、4、3、2……。

 アベルの心の準備が出来ない内にどんどんと目減りしていった。

 

 

「ダメだアリア……っ、ベホマっ!!」

 

 

 堪らずアベルは再び【ベホマ】を唱える。

 一瞬だけ顔色が僅かに良くなるのだが、それはすぐに青くなっていく。

 いくら【ベホマ】を掛けてもアリアのHP(体力)は減り続けていた。

 

 

「このままじゃアリアは……」

 

「……サラボナの神父様は高位の方だとお聞きしたことがあります。サラボナに行けばもしかしたら……」

 

 

 そう彼女の傍で話し込んでいると、アリアの目蓋がピクリと動く。

 

 

「……ぅ……」

 

「っ、アリア!?」

 

「……………………ぁ……、……ぅ……、ア、ベル……?」

 

 

 声が聞こえた気がしてアベルが名前を呼ぶと、アリアは小さく音を発した。

 

 

「うんアリアっ、いるよ! わかるかい!?」

 

「…………っ……ぅぅ…………ん……。ごめ……起……き……れな……の……」

 

 

 アベルは慌ててアリアの手を握る。

 【ステータスウィンドウ】のHP(体力)は1で止まっていた。

 

 

「っ、アリアっ!(減り続けてた数値が止まった……!)」

 

「……まぶ…………開け……れ……はぁ……な……て……。すご……く…………から…………が……だる……の……ごめ……」

 

 

 アベルが握ったアリアの手は冷たく、彼女は握り返して来ない。

 握り返す力も無いほど辛いのがわかった。

 

 そんなアリアはゆっくりと自分の状態を教えてくれるのだが、何を言っているのかよくわからない。

 瞳からは思うように話せないのが辛いのか、涙が零れ落ち枕を濡らしていた。

 

 

「喋らなくていい……!」

 

「…………っ……ごめ……(ごめんね、アベル……)」

 

 

 アベルが握った手に力を込めると、アリアは薄っすら口角を上げる。

 

 

「アリア……」

 

「……寝て……ば……なぉ………………か、…………………………………………………………」

 

 

 アベルの心配そうな声にアリアが“寝てれば治るから”そう告げようとしていたが、途中から声が途切れてしまった。

 ……意識を失ったようだ。

 

 アリアの手は酷く冷たい。

 まるで死んでしまったような……。

 

 昨日まであんなに温かったというのに。

 

 

「アリア……? っ、アリアっ!! アリアぁっ!!!!」

 

 

 ――何、うそだろ……、こんな突然……!?

 

 

 アベルはアリアの頬に恐る恐る触れる。

 いつもアベルが触れる時はほんのり紅く色付く熱い頬も、今は冷たかった。

 

 

 

 

「アリアぁああああっっ!!!!」

 

 

 

 

 アベルは絶望に呑まれ、大声で彼女の名を叫ぶ。

 叫んだアベルの後ろでは宿に居た旅人たちが憐れむような表情で二人を見守っていた。

 




大分解呪が進んでいるはずなんですけどね~、何でなんでしょうね~。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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