思い出すのは容易ではない。
では、本編どぞ~。
「だからそれまではアリアには秘密にしておいてくれないか?」
絶望するピエールに何も知らないアベルは照れたようにはにかむ。
サラボナで起こることを知らないアベルにピエールは少し苛立ってしまった。
「…………わかりました。ですが、アリア嬢が不安な想いをされていたらどうされますか?」
「大丈夫」
「はい?」
「……大丈夫とだけ伝えて。アリアは何も心配しなくていいって」
ピエールの問いにアベルは毅然とした態度で告げる。
「…………っ、アベル殿。それでは何も伝わらないのでは……? 早く安心させてあげた方が……!」
――貴方はいつも伝えるのが遅いのです……!!
アリア嬢を失ってから言っておけば良かったなんて言っても後の祭りなんですよ……!?
ピエールは苛立ちに小さく舌打ちしてしまった。
そんなピエールの態度が気に障ったのか、アベルの眉がピクリと動く。
「む…………ピエールさあ、さっきから何なんだい? 僕はアリアと結婚する気満々なんだけど? 何が不満なんだ……僕達のこと応援してくれてるんだよね? 根掘り葉掘り訊いて来てさ、何だか感じ悪いよ?」
「……っ……ぃえ、不満、といいますか……、主殿にはまだ記憶が降りて来られておりません」
「記憶って……(呼び方が主殿に戻ったな……)」
ピエールの苛立ちが移ったのだろうか。
アベルがムッとした顔でピエールに迫ると、彼はハッとしてアベルから顔を背けた。
そして。
「……サラボナ」
一言。
ピエールはサラボナがあるという南に顔を向け呟く。
「う、ん?」
突然次の目的地のことを言い出すピエールに、アベルも同じ方向へと視線を流した。
「次の目的地はサラボナです。サラボナにはルドマン氏とフローラ嬢が居られますよ」
「だね。その三つの単語……、すごく気になるんだよね……」
南を眺めながら話す不機嫌そうなピエールに、アベルも南にある山々を眺めながら呟く。
幾重にも連なる岩山脈のため、登って越えることは無理そうだ。
宿に居た男に話を聞いたら「南の洞窟を抜けて橋を渡ればサラボナの町だ~よ」とのことだったので、助かった。
――あの山々を抜ければサラボナか……。
サラボナまでここから何日掛かるのだろうか。
サラボナ到着までにアリアの呪いがまた発現し、酷い症状にならなければいいけど……とアベルはアリアと歩くのは諦め、馬車に乗ってもらった方がいいかもと考えていた。
そんな明日のことを考え中のアベルを置いて、ピエールは一人その場から離れる。
「…………早く思い出せるといいですねっ! では、私はこれで! アンドレ!」
ピエールはウトウト居眠りするアンドレを叩き起こし、パトリシアの元へと戻って行った。
アンドレは突然叩かれびっくり。またしても とんだとばっちりである。
「あっ……ピエール……!(怒らせたか……? 何で……?)」
――サラボナ、ルドマン、フローラ……。
三つの単語がアベルにはどうしても気になる。
「サラボナ、ルドマン、フローラ……、何でこんなに気になるんだ……!?」
――早く思い出さないと……。
アベルはサラボナに到着するまでにどうにか思い出せないか、その日の晩からアリアに使っていた時間を減らし、一人の時間を作ると思い出すよう努めることにした。
◇
次の日……――。
アリアの体調はすっかり良くなり、アベル達は うわさのほこらを出発。
サラボナへと至る南の洞窟へと入っていた。
アベルはアリアを馬車に乗せようとしたが、彼女が「一緒に歩きたい」と云うので体調を見ながら進むことに。
洞窟内には多くの魔物が徘徊しており、アリアの苦手とする魔物(特に【がいこつへい】と【リビングデッド】)が多く出たため、彼女は何度も悲鳴を上げる。
その内プツンと糸が切れたのかアリアは攻撃呪文を連発。
魔力切れのために【いのりのゆびわ】を使用していた。
アリアは“まだ壊れないで……”と願いつつ、【いのりのゆびわ】に魔力回復を祈る。
そうして洞窟内を進む内、泥に生命が宿った魔物【ドロヌーバ】と戦ったのだが、数度の戦いで【ヌーバ】が仲間になっていた。
……そんな道中だったが洞窟内は整備されており、思っていたよりも早く抜けることができ、アベル達……特にアリアはホッとした顔をみせる。
ところが、そんな洞窟を出て間もなく日も暮れ始め、暗闇の中進むのは危険と判断。
アベル達は森の中でキャンプをすることにしたのだった。
「えっと……、あの……、…………アベル、何かあったの?」
顔や腕、脚にヌーバの泥を塗ったアリアがアベルの元にやって来ると訊ねる。
何故そんな泥まみれなのか……。
サラボナまではあと少し。明日には辿り着けるだろう。
無理をすれば明日の朝にでも着いたかもしれないが、アリアの体調が心配だったアベルは早めにキャンプすることにし、現在に至る。
「別に……」
――ていうか、アリア 何で泥まみれ!?
アリアの泥んこ姿にアベルは“子どもみたいだな……”と吹き出しそうになったが、そんな気分ではないため僅かにはにかむだけに留める。
「そう……? じゃあ、ピエール君に訊いてみようかな」
アリアは首を傾げてアベルの元から去って行った。
そして焚火の向こう側、ピエールの元へと行くと声を掛けていた。
アベルとピエールは先日話をした後から口を利いていない。
ピエールは戦闘中、アベルの指示は利くものの 特に返事はせず、戦闘が終わっても無言だった。
恐らくまだ怒っているのだろう。
ピエールが何故怒っているのか アベルにはわからない。とりあえず しばらくそっとしておくことにした。
今はそれよりも気になることがある。
「……サラボナ、ルドマン、フローラ……」
アリアがピエールと話をしている間に、アベルは丁度いいとばかりに目を閉じ神経を集中させる。
――思い出せ。
(サラボナでいったい何があるっていうんだ……?)
――……思い出せ。
アベルは自分に言い聞かせるように頭の奥底を探っていた。
チリッ、とこめかみが痛んだ気がした。
「…………っ…………」
頭を抱え首を左右に振る。
記憶はそう簡単に都合よく思い出せるものではない。
だが、アベルは思い出したいのだ。
――思い出せ……!
今まで、サラボナで何があった……?
「っ……くっそ……! …………くっ」
アベルは眉間に皺を寄せ膝に掛かる服を掴む。
(無理か……)
……記憶は全く降りて来なかった。
アベル、早く思い出さないと通常ルートへ……。
今日はバレンタインですね……!
バレンタインネタ、いつか書きたいものです。
さて、リフレッシュしきれていませんが、投稿再開です。
待ってて下さった方がいらっしゃったら、嬉しいです。うれしすぎてはなぢが。
毎日はしんどいので気ままにちょこちょこ上げてシェアさせていただきます。
挿絵が二週間では上がりませんでした……。
自由時間がたくさんあればいいのにニャー。
何だかんだと多忙のため、じっくりゆっくり描く時間が取れないので、手早く描いてるつもりなんだけどもノロノロですわ……(泣)
イラスト描くのなんて久々だからしょうがないか……と、楽しんで描いております♪
来週までに投稿出来たらいいなっということで。
お休み中は別のドラクエ5話も書いていたりしましたwww
短編なんですけど、少しずつ書き(?)進めてます。
またしてもヒロインが違うけどw
出来上がったら投稿するのでよければ読んでやって下さい。
このお話の主人公よりも主人公の変態度がマシマシなので心配ですが、もう今更なのでヨキヨキ(開き直り)。
予告ということで、いつか忘れた頃に投稿します……。
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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!