ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

いざ、参ります。

では、本編どぞー。



第四百三十四話 いざ、ルドマンの屋敷へ

 

 

(嫌だって言ってよ、アリア!)

 

 

 アベルは“君が嫌なら行かないよ”とすぐにでも言えるのに……、なんて思いながらアリアを見下ろす。

 

 だが、アリアは笑顔を崩さずに言葉を紡いでいた。

 

 

「…………勇者の盾が無いと、勇者さまを見つけられないでしょ?」

 

「そうだけど」

 

 

 アリアの声は震えてもおらず、普通だ。

 アベルはその通りだと肯定するのだが。

 

 

 ――けど、少し不安なんだよ。

 

 

 フローラと結婚しないとは云ったものの、その通りになるかは不明だ。

 アベルの瞳がその心を映すように揺らいでいる。

 

 

「……アベルはお母さんを捜すんでしょ? その手掛かりが見つかったんだもの! それを逃す手はないよ。私のことは考えなくていいんだよ?」

 

 

 アリアは じっとアベルを見上げてはっきりと告げた。

 自分のことより勇者の手掛かりが優先だと、アベルに旅の目的を思い出させる。

 

 

「……っ、何言って……。僕は君を花嫁にしたいのに……?」

 

 

 ――そりゃ、勇者の盾は大事だけど……! 今は君より大切なものなんて……!

 

 

 彼女の肩を掴む手に力が入ってしまった。

 アリアの眉に一瞬皺が寄ったので、アベルはすぐさま力を緩める。

 

 

「……ありがとう……。でも、アベルはまだ十七歳だからね」

 

 

 アリアが朗らかな笑顔を見せて年齢を強調していた。

 

 

「………………成人してるんだけどなぁ……」

 

 

 ――やっぱり年齢にこだわる、か……。

 

 

 アベルは口を尖らせアリアの肩から手を放す。

 結局アリアは自分が十八にならないと結婚の話すら受けてくれないということなのか。

 

 以前、アリアを夢中にさせて思いのままに……と思っていた時もあったな~……結果 メロメロになったのは自分の方だった……、なんてアベルは遠い目をする。

 

 だがそれもあと数か月の辛抱だ。

 十八になればアリアは結婚してくれるし、自分のものになってくれるだろう。

 

 

(まだアリアの裸だって見たことないんだ。散々我慢したんだし、あんなこともこんなこともしてやるんだからね……!)

 

 

 アリアのあれこれを妄想しながらアベルは願う。

 

 

 ……時よ早く経て。

 そして【ステータスウィンドウ】に誕生日マークがつくのが楽しみだ、と。

 

 

「ふふっ。アベルぅ? なーんかえっちな顔してるよ?(ニヤニヤしちゃってもー……)」

 

 

 アベルの顔がにやけていたらしく、アリアは困ったような顔をしていた。

 

 

「えっ、あっ……、べ、別に!?」

 

「……私はアベルのこと信じてるから大丈夫だからね?」

 

 

 アベルが慌てて取り繕うとアリアは優しく目を細める。

 

 

「本当に……?」

 

「本当だよ! アベルの方こそ、私を信じてないなぁ?」

 

「そんなことないよ!?」

 

「よしっ! じゃあルドマンさんの家に行ってみよう! 結婚相手のお話が終わったら私もルドマンさんの家に行かなくちゃ」

 

 

 アベルはアリアをずっと窺っていたが、彼女は終始笑顔で特に傷付いている様子はない。

 自分の気持ちはちゃんと伝わっているようだなとアベルは一応は安堵し、一行はルドマンの屋敷の前まで移動することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……ルドマンの屋敷……――。

 

 そこは大富豪の名に相応しい、小さな町サラボナの中で一番大きな屋敷だった。

 その大きさはこの町の教会や宿屋と酒場の建物に比べても大きい。

 

 玄関扉を前にしてアベルとアリアは屋敷を見上げる。

 

 

「ここが、ルドマンさんのお家……? 大きいね……、さすが大富豪……!」

 

 

 ――フローラさん……、さっきチラッと見えたけど……元気そうだった、相変わらず可愛かったなぁ……。

 

 

 後で会いに行くからね、とアリアは屋敷から隣に立つアベルに目線を移した。

 

 

「……だね。……ここからは独りで行って来るよ。勇者の盾が借りられないか訊いて来るから、アリアはここで待っててね。すぐ戻る」

 

「…………うん、いってらっしゃい」

 

 

 アリアはルドマンの屋敷へ向かうアベルを見送る。

 と、扉までの向かうアベルが不意に振り返った。

 

 

「……アリア、僕はね…………――――――」

 

 

 アベルが何かを喋り出すと、突然アリアの耳に“キィィーーンッ!!”と金属がぶつかり合ったような大きな音が鳴りが響く。

 

 

「え、なに、アベル聞こえ……っ!?(耳鳴り……!?)」

 

 

 あまりの大きな耳鳴りに、アリアは眉を顰めた。

 

 

「…………――ね」

 

 

 アベルは話し終えると照れたように頭の後ろを掻く。

 

 ……アベルの話はアリアには届かなかった。

 

 

「……………………、…………うん。わかった」

 

 

 ――なに言ってるのかわからなかったけど……、なにか恥ずかしいことでも言ったのかな……照れてる……?

 

 

 アリアは訊き返さないまま目礼する。

 その顔は困ったような顔をしていた。

 

 

「本当に……? 何か不安そうな顔してるよ?」

 

 

 ――あれ? 伝わってない……? 聞こえなかったかな……?

 

 

 アベルは……、

 

 “……アリア、僕はね、君のために行くんだよ? この先起こることは大体わかってる。炎のリングも水のリングも全ては君のために。僕の花嫁はアリアだって決めてるんだ。絶対君を僕の妻にするよ。君は何も心配しなくていいからね。”

 

 そう伝えたのだが、聞こえなかったようだ。

 

 距離的にそう遠くないため 聞こえたはずなのだが、ちょっと緊張して声が小さかったのかもしれないなとアベルは首を傾げる。

 

 

「…………ふふっ、気のせいだよ~。ほら、アベル行って来て!」

 

「っ、アリア! なんなら君も一緒に行くかい?」

 

 

 アリアは手を振り振り、アベルにさっさと行くように促していた。

 そんな彼女にアベルは“ほら!”と手を差し伸べる。

 

 

「ううん、行かないっ。だって今、結婚相手探し してるんでしょう? 女の私が行ったらおかしいじゃない」

 

「そうだけどっ、僕はその話をしに行くんじゃなくて……(やっぱり聞こえてなかったのか……)」

 

「アベル大丈夫だよ。私ならピエール君とここで待ってるから」

 

 

 笑顔で告げるアリアの言葉にアベルがピエールに視線を投げると、ピエールが深く頷いた。

 

 さっきのアベルの話が聞こえていたのだろう「お待ちしていますよ」と二日振りにピエールの声を聞いた気がする。

 アベルがはっきりとアリアに宣言したことに満足したのか、ピエールの声は明るかった。

 

 

「…………わかった。じゃあすぐ戻るよ」

 

 

 ――ピエールの声、明るかったな……。

 

 

 アベルは二人に見送られ、独りでルドマンの屋敷へと入って行った……。

 




アベルは炎のリングと水のリングを取りに行くことは思い出したみたいですね~。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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