ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

さて、何があったのか事情を訊いてみましょう。



第四百四十八話 何があったの?

 

 

 

 

 

 ……宿屋へと戻って来たアベルとアリアは並んでベッドの上に腰掛ける。

 

 アリアはアベルの腕に寄り添うように頭を傾けていた。

 そんな彼女の頭をアベルは そっとナデナデ。

 

 一日の疲れが出たのだろう……アリアの目蓋は半分落ちて、とろん。ウトウトし始めていた。

 彼女の頭を撫でながらアベルが口を開く。

 

 

「……ルドマンさんに何か言われた……?」

 

「ううん……、ルドマンさんは安心して家にいればいいんだよって言ってくれたの……。フローラさんもアベルのことを気にしているみたいで、危ないから一緒に留守番していましょうって……、すごく良くしてくれてね……」

 

 

 アベルの質問にアリアはどこか安心した様子で眠気もあってか素直に答えてくれた。

 

 ……アベルが隣にいることで落ち着いたらしい。

 

 

「そっか……」

 

 

 ――フローラさん……、僕のことを……?

 

 

 アリアの発言にアベルは複雑な心境になる。

 

 別世界(かつて)は夫婦にもなったことのある女性が自分を気にしてくれている……。

 悪い気はしないが、今大事なのは隣にいる彼女(アリア)だ。

 

 二つのリングはアリアのために。

 ……フローラを傷付けることに ならないといいなと願うばかりである。

 

 

「アベルがフローラさんと結婚するために二つのリングを取りに行くって聞いて、私も何かお手伝い出来ないかなって……、私……アベルともう少し一緒にいたかったんだけど、家から出ちゃダメだって言われてね。それで泣いてたの……」

 

 

 “さっきは上手く言えなかったんだけど……”と付け加え、アリアはぽつりぽつり。

 

 

「…………そっか……………………って、アリアそれ誤解だから!」

 

「……え……?」

 

 

 アリアの話を聞いていたアベルは彼女の肩を掴み目を合わせた。

 

 

「……僕はフローラさんのために指輪を取りに行くんじゃないよ? 君のために行くんだよ。昼間に僕が言ったこと……忘れたのかい?」

 

「えっ……、ど、どういうこと……?? フローラさんと結婚したら、勇者の盾が貰えるんでしょ……? フローラさん可愛いし、おしとやかだし、結婚しない手はないよね……? 私、応援するよっ?」

 

 

 ――アベルはお母さんを捜すために旅してるんだもの……! 応援してあげなきゃ……!

 

 

 アリアはアベルの言葉に両手拳をグッと握り、力を込め肘を引く。

 ビアンカの姿が今はないためどうなるのかはわからないが、アリアはアベルがフローラを選んでも、ビアンカを選んでも、どちらにしても応援するつもりである。

 

 ……そんなアリアの態度にアベルは目を見開いていた。

 

 

「……ちょっ、アリア何言って……! 応援てどういうことっ? 意味わかんないんだけど……? それに勇者の盾目当てに結婚とかっ……………………酷いと思わないかい……?」

 

 

 ――なんだ……? 何でアリアはそんなことを言うんだ……!? 僕がフローラさんを好きになったとでも思っているのか……?

 

 

 アベルは常日頃からアリアに好意を伝えている。フローラのことが好きなどと一言も言ったことは無い。

 

 彼女は何を勘違いしているのだろうか……。

 酒場のバニーガール同様、フローラに乗り換えるとでも思っているのか。

 

 

(サラボナに着いた時、懐かしさに多少フローラさんをじっと見はしたが、まさかそれを見てた……? それで誤解している……?)

 

 

 ――昼間ちゃんと伝えたよね……!?

 

 

 アリアの考えが読めずにアベルの声が無意識に大きくなる。

 が、今は夜中だ。すぐにボリュームを下げ冷静に訊ねていた。

 

 

「ぅ……、た、確かにそうだけど……」

 

 

 アリアもアベルの話に納得し、腑に落ちない顔ながらも頷く。

 

 よくよく考えてみたら勇者の盾が欲しいがために結婚とは……酷い話である。

 アリアは“うーん……”と腕組みをし考え込んでしまった。

 

 

 ――でもアベルはフローラさんのために指輪を取りに行くわけでしょ? フローラさんに一目惚れしたんじゃなかったの……?

 

 

(どういうことなの……?)

 

 

 アベルがフローラと共にルドマンの庭に現れた時、フローラがとても嬉しそうだったのはアベルと一緒だったからなのでは……と思っていたのだが、いったいどうなっているのかアリアにはわからなかった。

 

 そんな疑問符ばかりのアリアに アベルがいつになく真剣な顔を向けて来る。

 

 

「…………僕はアリアがいい」

 

「っ……アベル……?」

 

 

 真っ直ぐに見つめられ、アリアはその目線から逃れられず おずおずと受け止めた。

 

 

「炎のリングと水のリングは世界で唯一の指輪なんだ。その指輪を君との結婚指輪にしたいと思ってる」

 

「ゆ、唯一の指輪……。あっ、私なら前に貰った祈りの指輪で充分……(結婚だなんて考えてないよ……??)」

 

 

 アベルがアリアの左手薬指を撫でながら告げると、彼女は右手を挙げる。

 その薬指には以前アベルから贈られた【いのりのゆびわ】が嵌っていた。

 

 

 ほらっ。

 

 

 と、アベルの前に手の甲を向けるものの、アベルは話を続ける。

 

 

「いや、僕がそうしたいんだ。一緒に取りに行かせるのはどうかと……思うけど……。君って、僕が傍にいないとすぐどこかに消えるから心配で……」

 

 

 ――やっぱり十八にならないと話も聞いてくれないのかな……。

 

 

 あとたった数か月なんだけど、何度も言ってるし予告くらいよくない?

 

 

 アベルは、年齢に強く拘るアリアにちょっぴり悲しくなったが、これが自分の好きな女なので受け入れるしかなかった。

 

 

「わ、私そんなすぐ消えたりしないよ……? ま、迷子にはなってるかもだけど勝手に町を出たりしないし……」

 

「そう、それそれ。迷子になっちゃうでしょ?」

 

「なっ、失礼ねっ」

 

 

 プフッとアベルが笑みを零す姿に、アリアが心外だとばかりに頬を膨らませる。

 彼女の怒る顔もアベルにとっては微笑ましくて、目元が自然と緩んでいた。

 

 

「……アリア、僕もあと数か月で十八になるし、指輪が揃ったら改めて結婚を申し込みたいんだ」

 

 

 ――本当は今すぐにでも再チャレンジしたいところだけどね……!

 

 

 アベルの手がアリアの頭を撫でる。

 その一つ一つの手付きは優しく、愛おしむようだった。

 

 

「っ、アベル…………、でも勇者の盾はどうするの……? お婿さんに譲られるんでしょう?」

 

 

 アベルに頭を撫でられると安心してしまうアリアは、アベルを自然と上目遣いで見つめる。

 アベルはにこにこと穏やかな顔でアリアの頭を撫で続けていた。

 

 

「大丈夫、そっちは当てがある」

 

「えっ、そうなの!?」

 

 

 アベルの思わぬ一言にアリアは驚きの声を上げる。

 

 

「僕に任せてって言ったでしょ? 絶対大丈夫だからアリアは僕を信じて笑っててよ。ルドマンさんには交渉出来なかったけど、別プランで上手くいく自信があるんだ!」

 

 

 ――そう、プランBなら絶対いける……!!

 

 

 余程自信があるのかアベルの鼻から鼻息が“フンッ”と零れ、アリアに深く頷いた。

 

 

「そ、そうなんだ……?(何だかすごい自信ね……)」

 

 

 アリアも半信半疑ながらアベルの態度に頷き返す。

 

 

「大丈夫だよ、アリア。君はもう少しで僕のものになるんだ、ずっと一緒にいられるよ」

 

「っ、僕のものって何言って……っ。…………ふぁ……っ、眠くなって来ちゃった……」

 

 

 不意にアベルから“ちゅっ”と、こめかみに口付けられアリアの頬は熱くなった。

 

 彼女は恥ずかしいのか熱くなった頬を押さえて誤魔化すように大きな欠伸をしてみせる。

 

 

「…………そろそろ休もう。明日の朝早く町を出ないとルドマンさんにアリアを連れて行かれそうで嫌だ。あの人結構強引だからなぁ……」

 

 

 アベルはアリアの頭を二度ぽんぽん。優しく撫でると手を放し、弱り目をした。

 

 昼間ルドマンと話は出来たものの、こちらの話……というよりは彼の話を一方的に聞いていたように思う。こちらの要望は一切無視された。

 何度もルドマンの話に流されそうになったアベルは、彼が強引だということは身に染みて解っている。

 

 だが その手に乗せられてばかりではいられないのだ。

 ルドマンに先導されていてはアリアを再び奪われかねない。

 

 ただ、ルドマンと対峙しては少々分が悪い。

 

 彼を言い包めることが出来るとは思えず、アリアが自ら出て来てくれたのだ、不戦勝で連れ去るのが吉……アベルはそう判断したのだった。

 




アベルの考えたプランは実はCまであったりします。
未来を改変させるためには常に3パターンくらいは考えておかないとね……。

キリが悪いのですが、文字数の都合で次回へ続きます。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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