ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

アリアまた見えなくなるんか……?

では、本編どぞ。



第四百五十四話 アリア、透ける

 

「っ、ですが二つのリングを持ち帰らないとフローラと結婚することが出来ません!」

 

 

 指輪を諦めサラボナへ帰れというアリアの話に、アンディは納得できず声を大にする。

 

 

「…………そうなんですよね…………。でも、アベルも二つのリングを欲しがっているし……、私はアベルを応援してあげたい」

 

 

 ――アベルは結婚指輪にしたいって言ってくれたけど、出来事の大筋は変わらないっていうし……、二つのリングがあればアベルは誰かと結婚出来るわけだし……。

 

 

 自分との結婚のために二つのリングが欲しいと言ったアベルの気持ちは嬉しい、そして結婚出来るなら尚更だ。

 ……だが、この世界の性質上、花嫁は恐らく決まっているのだろう。

 

 ビアンカを選んでも、フローラを選んでもアベルは幸せになれる。

 

 ……ならば。

 

 どちらにしてもアリアはアベルの幸せのために指輪を入れさせてやりたかった。

 そしてフローラの幼馴染にも死んで欲しくはない。

 

 

 アリアは困ったような顔でアンディを見ていた。

 

 

「…………っ、ボクは諦めるわけに行かないんです。彼女、フローラはいつもルドマンさんにあれやこれやと言い付けられて、反抗したことが無い。本当はもっと自由に何かやりたいはずなんだ。修道院に行くときだって…………。っ、ボクが彼女を自由にしてやりたい。そのためには二つのリングが必要なんですよ……!」

 

 

 アンディは諦める気などないらしい。

 瞳には闘志が燃え、フローラをルドマンから解放してやりたい想いでいっぱいだ。

 

 ……アリアの声は届かなかった。

 

 

「アンディさん……」

 

「あなた方に助けていただいたことは感謝します。ですが、ボクはボク一人のチカラで二つのリングを手に入れてみせますよ」

 

 

 “では失礼します。”

 

 

 アンディは会釈して去って行ってしまった。

 

 

「っ、アンディさん 待って! せめてこれを……!」

 

 

 アリアはすぐさま去り行くアンディを追い掛け、鞄に入っていた【まほうのせいすい】をアンディに手渡す。

 

 

「っ……これ、は……。いいんですか……? こんな高価なもの……」

 

「はい、アンディさん呪文が使えるようなので……。魔力が切れたら使って下さい。私なら仲間がいるから大丈夫です。薬草の方が良かったかもしれないんですけど、あいにく薬草はさっき使った二つしか持ってなくて……。どうか死なないで下さいね……」

 

 

 ――【やくそう】ならアベルの【ふくろ】にいっぱい入ってるとは思うけど……、取って戻るまで待ってくれなさそうだもんね……。

 

 

 アリアに渡された【まほうのせいすい】を手にしたアンディは顔を俯かせ、

 

 

「…………ありがとうございます……、では……」

 

 

 今度こそアンディは通路の奥へと消えていった。

 

 

(アンディさん……)

 

 

 アリアは去って行くアンディの背を黙って見送る。

 アンディがこの洞窟でもし命を落としてしまったら、フローラになんて言えばいいのやら……。

 

 

 ――彼がどうか、無事にサラボナに戻れますように……。

 

 

 アリアは祈ることしか出来ずに目を閉じた。

 次に目を開けた時にはアンディの姿は見当たらず、アリアはぽつりと呟く。

 

 

「……大丈夫かな……、独りじゃ危ないのに……(せめて仲間がいれば何とかなったと思うんだけど……)」

 

 

 ――ドラクエⅢなら【ルイーダの酒場】でパパっと仲間を作れるのに……今のところそれらしき酒場もないし……、でもアンディさんはそれほどにフローラさんを愛してるってことかぁ……。

 

 

 けど、フローラさんに何て言おう……?

 もし死んじゃったら“なぜ止めてくれなかったのですか?”って怒られちゃうかな……。

 

 

 アンディが消えた通路の奥を眺め、アリアはフローラにどう説明すればいいのかと考え始めていた。

 

 ……そんなアリアの肩にアベルの手が触れる。

 

 

「……アリア、アンディさんなら大丈夫だよ。あの人のフローラさんに対する愛はとても強いからね。きっと生きて戻って来るさ」

 

 

 アベルは【ばくだんいわ】を仲間にしたらしく、【ばくだんいわ】を引き連れアリアの元にやって来ていた。

 

 

「…………うん、だね」

 

「まあ、僕のアリアに対する愛の方がもっと強いけどね!」

 

 

 小さく頷くアリアに、アベルは背後から ぎゅっと彼女を抱きしめる。

 

 

「っ……! も、もぉっ! そういうの恥ずかしいからぁっ」

 

 

 アリアは照れながらも前に回された腕を愛おしそうに抱きしめていた。

 アベルも腕の中にいるアリアに目を細め、少ししてから彼女を解放する。

 

 

「……アベル、そろそろ行こっか?」

 

「ああ、そうだね」

 

 

 アベル達は再び移動を始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……洞窟奥に進みながらアベルは考えていた。

 

 

(いやー……、しかし参ったな……。二つのリングが欲しいだけでフローラさんと結婚するつもりはないとアンディさんに伝えられなかった……。)

 

 

 ――せっかく助けたのに……。

 

 

 アンディに協力して勇者の盾を借りる作戦だったのだが、その交渉すらも出来ずじまいである。

 

 

「はぁ……」

 

 

 未来を変えるための行動は中々上手くいかないもんだなとアベルは腕組みして溜息を吐いた。

 

 

(まあ まだ水のリングもあるし……、二つ揃ってから交渉してもいいか……。それまでにアリアにも意識してもらわないとだし…………、……ん?)

 

 

 チラッと横を見るとアリアが掻いた汗を拭いながら洞窟内を見回している。

 よく見ると服が汗に透け始めていた。

 

 

「っ……!?」

 

 

 その光景にアベルは目を剥く。

 

 自分も随分と汗だくになってしまったが、生地が厚いせいかそう透けることは無い。

 アリアの服は生地が薄いのだろうか……、彼女の肌に生地が一部張り付いて柔肌と中の下着が薄っすら見えた気がした。

 

 

「ぅ……(目の毒だよっ!!)」

 

 

 瞬時にアベルの顔が真っ赤に茹る。

 ……つい、凝視してしまった。

 

 

「ん……? ふふっ、暑いねぇ? 氷出そうか?」

 

 

 生地が透けていることなど知らないアリアがアベルに微笑み掛ける。

 “呪文て便利よねー、氷、氷……”と氷呪文【ヒャド】を唱えようとしていた。

 

 汗で濡れた生地はやはり透けており、胸元に汗がたらりと垂れると生地が吸い込み肌を透過させる。

 いつもより くっきりはっきりと深い谷間が見えてしまった。

 腋辺りも汗を掻いているのか、濡れて肌が透けて見える。

 

 

「しゅごぃ…………えっ、あっ、いやっ!? 要らないよっ!?」

 

 

 アベルはしばし釘付けになっていたが、ハッと我に返った。

 慌てて首を左右に振り振り。

 

 

「…………? なにアベル、どうしたの? 顔が真っ赤だよ……?」

 

「いやっ!? 全然そんなことないよっ!?」

 

 

 アリアが訝しい顔でアベルに近付き様子を窺うと、アベルは後退る。

 間近に彼女が近付いたことで香る甘酸っぱい芳香に鼓動が逸り、益々頬が熱くなってしまった。

 

 

「全然って……、真っ赤だってば……。熱中症になりかけてるんじゃない? お水飲む?」

 

「……………………っ、ダ、ダイジョブ……、ちょっとクラクラするだけ……」

 

 

 ――ああ、何この香り……たまんないんだけど……!?

 

 

 アリアが鞄から水筒を取り出し渡そうとするが、アベルは鼻の孔を広げアリアから香って来る匂いを堪能する。

 

 

「クラクラって大変…………ってアベル? 今度は鼻がムズムズするの?(鼻の孔がヒクヒクしてる……くしゃみでも出るのかな……? 汗掻いて身体冷やした!?)」

 

 

 さっきからアリアがアベルに何度も訊ねているのだが、アベルはどこかトリップしたように うっとりとしていて上の空だ。

 アベルが暑さのせいでおかしくなってしまったのかとアリアは心配になったのだがそうではなかった。

 

 不意にアベルの顔がアリアの首元に近付く。

 

 

 ……くんくん。

 

 

 アベルはアリアの匂いを嗅ぎ始めていた。

 

 

「すんすん…………あぁ……好い匂い……。ねえ、アリア。何で君の汗ってこんな好い匂いがするの……?」

 

「えっ、ニオイ……!? って、ちょっ、アベルっ!?」

 

 

 ――ウソっ! この人汗のニオイ嗅いでるっ!?

 

 

 アリアは羞恥にアベルの顔を避けるように手を突き出す。

 

 

「……っ……アリア、もっと嗅ぎたい。嗅がせて……、ていうか舐めたい」

 

 

 アベルは頬に当てられたアリアの両手首を掴み、再びアリアの首元に顔を近付け口を開けた。

 

 

「ちょっ……!? ピ、ピエールくーんっ! アベルが乱心したよ~!」

 

「アリアぁ……」

 

 




透けたのは服でした。(選ばれたのは〇鷹でした。みたいな書き方してしまったw)
白い服は濡れると透けるよね!

アベルは欲求不満過ぎて頭がおかしくなっています。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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