どくばり……懐かしいですね……!
では、本編どぞー。
……ぺろり。
「ひゃぁっ!?」
熱くぬるっとした感触がアリアの首筋を這う。
アリアは馬車の後ろにいるピエールに助けを求めたが、聞こえなかったらしく助けは来なかった。
「ん……しょっぱい……中に甘み……? ぅん、もっと……」
……ぺろぺろ。
アベルは犬のように舌を動かしアリアの掻いた汗を舐め取る。
アリアの腕には鳥肌が立っていた。
「っ、あぁんっ、もぉっ。アベル しっかりしてぇっ! ピエール君! 早く来て~!」
――何のスイッチが入っちゃったの……!? アベルやっぱり熱中症なんじゃ……!?
……アベルの頭がおかしくなっちゃった!?
アリアは身を捩りながらイヤイヤをするが、アベルに手首を掴まれていて逃げられない。
与えられる刺激にアリアの身体は勝手に反応し、ビクビクと身体を震わせていた。
「アリア嬢っ! 何事ですか!?」
「っ、ピエール君っ! アベルがっ、アベルがっ……あぅっ、ひゃっ!」
漸くピエールが気付いて来てくれたものの、アベルはアリアの首筋だけでなく、頬や額、目蓋と流れた汗を吸い上げるように啄んでいる。
その内アリアの手にも口付けし始めた。
「……っと、これはまた……大胆な……。……ここには魔物が多いですし、そういったことは宿かキャンプ中の方が宜しいかと……」
「ピエール君っ、冷静にツッコまないでくれるかなっ。……っ、ちょっ、アベルしっかりして。どうしちゃったの!? ンンッ♡」
ピエールが静かに忠告してくれるのだが、アベルからの唇撃を受け続けているアリアは堪ったものではない。
さっきから身体が勝手に反応してしまって辛いのである。
そんな二人の様子をピエールは観察し一言。
「……ふむ、アリア嬢の服が透けているので恐らくそれが原因かと……。主殿のタガが外れたのでしょう」
ピエールはそれだけ云うと「すみません……」とアリアから目を逸らした。
ピエールもしっかり透け透けのアリアを見納めたらしい。
「えっ!? 透けてる!?」
アリアが自身を見下ろすと白い服が汗で透け、肌に張り付き下着が透けて見えていた。
身に付けている下着は白いブラなのだが、ショーツとお揃いでレースのフリルが付いている可愛らしいデザインである。
ブラジャーと言えば聞こえはいいが、肩紐の無いタイプだからかどちらかというと豊満な果実を押さえ包み込んでくれる頼もしい乳バンドと言った方が正しいかもしれない。
あまり色気を感じるデザインではないとアリアは思っているが、アベルからしたら違うのかもしれない。
――っ、うわぁぁああああっ! 汗掻き過ぎて透けてるぅぅ~!! この身体は多汗症なのっ……!?
アリアはアベルを刺激してしまったことに
「アリア……すき……」
アベルの甘えるような囁きがアリアの耳元で響く。
この声を出されるとアリアはアベルに逆らえず、つい甘やかしたくなってしまうのだ。
「ああっ、アベル ダメっ、甘えモード発動しないでっ。私それ弱いからダメなんだってばっ」
「アリアすき……、だいすきだよ……」
ちゅっ、ちゅっ。とアベルは拒否を繰り返すアリアに口付けを再開する。
「ダメだったらっ! 手を放してぇっ!」
「放したらアリア逃げちゃうでしょ……?」
「っ、逃げないよっ! …………!? あっ、いいところに! アベルっ! 後ろ見て後ろ!!」
――ああ、神さまこの出遭いに感謝しますっ!
アリアはアベルに後ろを見るよう促した。
アリアが手を放すようにお願いしてもアベルは放してくれず、どうしようかと思っていたのだが、時に運はアリアの味方をしてくれる。
「……うしろ……? な…………、ななな……………………」
アベルは顔だけ後ろに向けてワナワナと震えた。
「主殿! 魔物の群れです! メタルスライムも居ますよ!」
「うん! 魔物の群れだねっ! メタルスライムも居るよ♡」
ピエールとアリアが明るい声で「さあ戦いの準備を!」と促してくる。
アベル達に向かって魔物の群れが鋭い目付きで突進して来ていた。
魔物の群れの中に以前一度遭遇し逃した【メタルスライム】の姿がある。
「っ、なんっで君はそんな嬉しそうなんだよ!? アリアぁっ!」
魔物の群れが近付いていることに気が付いたアベルはアリアの手首を放した。
「戦いましょう! メタルスライムだよ!? ほら、逃げられたら勿体ないよ!?」
「……ぐっ……アリアっ。僕達っていっつも邪魔が入るよね……!」
笑顔で意気込むアリアにアベルは背中から【パパスのつるぎ】を抜いて頬を膨らませる。
「そうだねっ、でも私はアベルのこと愛してるからねっ♡」
「っ……そうやって可愛く言えば誤魔化されると思って……………………、はぁ。まあいい、ちゃっちゃと倒してまた舐める!」
アリアがあざとく上目遣いで窺うと、アベルは一瞬眉を顰めたものの溜息一つ吐いて武器を構え、魔物の群れがやって来るのを待つより先に切り掛かって行った。
「…………アハハ……(舐めるって……なんで……)」
出遅れたアリアは苦笑いを浮かべ、走り出す。
「アリア! ふくろに どくばりが入ってる。装備してメタルスライムに攻撃出来る?」
「わかった、やってみるね!」
魔物の群れと対峙し、アリアはアベルに指示された通り【ふくろ】から【どくばり】を取り出し装備する。
(【どくばり】かー……懐かしいなぁ……。ベラちゃんとポワン様元気かな?)
握った【どくばり】を見下ろし、昔を思い出すとつい笑みが零れた。
アリアはそのまま【メタルスライム】目掛け走り出し腕を振り下ろす。
風を斬る音が【メタルスライム】に降り掛かり……。
【メタルスライム】は死を覚悟したのか目を閉じた。
“プスッ”とな。
【メタルスライム】が安らかな顔で消えていく。
その場に残ったのはゴールドだけで、身体は既に消えてしまったため【メタルスライム】が仲間になることはない。
アリアの攻撃は【メタルスライム】の急所を突いていたのだ。
「や……やった~! メタルスライムを倒すとこんな感じなんだね~!」
「おっ! アリアお見事! 僕もっ!」
アリアが【メタルスライム】を倒し、喜んでいる間に残りの魔物をアベルも仕留めていた。
「どくばりってすごいのね……!」
――何かさっきの子、全然逃げようとしなかった気がしたけど……気のせいかな……?
あまりにもあっさりと仕留めてしまったために、アリアは手応えを感じられず【どくばり】を見下ろしつい余計なことを考えてしまう。
アリアの目から先程の【メタルスライム】は【スライム】並みのスピードに見えたのだ。
レベルが上がったからなのだろうか……。
そうしているとアリアの身体の奥底から力や魔力等が漲るのがわかった。
……レベルが上がったようだ。
「アリア! こっちも終わったよ」
「うんっ! お疲れさまっ」
パチンッ!
他の魔物達を倒し終えたアベルがやって来て、二人は互いに
アリアの服は、戦いの最中は動きづらいためマントを開けさせていたが、いつの間にか覆い隠され、中の透けた服が見えなくなっている。
残念に思いつつもアベルはアリアに手を伸ばした。
「ああ、お疲れ様。一発で仕留めるなんてアリアはすごいね! おかげでレベルが上がったみたいだ」
アベルもレベルアップしたらしい。アリアを褒めつつ、アベルは彼女の頭をナデナデ。
アリアは嬉しそうに破顔していた。
アベルもアリアが笑顔だと嬉しくて釣られて微笑み彼女を優し気に見つめる。
……戦い直後の憩いの ひとときであった。
「ふふっ、褒めてくれてうれしいけど、私がすごいんじゃなくて、どくばりのおかげだよ?」
「どくばりか…………懐かしいね?(アリア憶えてる……よね?)」
アリアの記憶は戻っているが、自分のように出来事をはっきり憶えているのかまではわからず、何となくアベルは様子を窺う。
「うん……。あれはびっくりしたよ……、ベラちゃんとポワンさま、今頃何してるんだろ。いつか会えるといいね」
「そうだね。いつか会いに行こうよ」
【どくばり】の想い出を憶えていたのは自分だけではなかった……と、アベルはアリアがベラとポワンの話をし出したので、同じことを思い浮かべたのだとわかり目を細めていた。
「行き方わかるの?」
アベルの誘いにアリアは首を傾げる。
“サンタローズからは妖精の国に行けなかったよね……?”という顔だ。
「ううん、今はわかんないけどさ。旅してるうちに行く方法が見つかるんじゃないかなって。そしたらアリアの僕と出会う前の記憶だって思い出せるかもしれないだろう?」
「あ…………、…………そ、そぉだね……」
アベルがにこにことアリアの頭を撫でながら告げると、さっきまで楽しそうだったアリアの顔が急に陰りを見せた。
その瞳が悲し気に揺れている気がする。
「…………アリア?」
「…………もう、行こう? また襲われても嫌だし……ゴールド早く拾わなきゃ……」
アリアはアベルから目を逸らし、ゴールドを拾いに行ってしまう。
「あ、うん…………」
――急に……どうしたんだ……? なんでそんな悲しそうな
アリアの急激な表情の変化にアベルは訊ねようかと思ったが、彼女はピエール達とゴールドを拾いながら楽し気に会話を始めてしまっていて、訊くことが出来なかった……。
(アリア……、なんで君はいつも急に悲しそうな顔をするんだい……?)
漸くメタルスライムを仕留められました……。
仲間にはならなかったけど(ゲームバランスブレイカーなので当分仲間にはしません)
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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!