ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

ありがたい回復の泉、ほっと一息です。

では、本編どぞー。



第四百五十九話 回復の泉

 

 

 

 

 

 あれからアベル達は洞窟内をあちこちの宝箱を回収しつつ進み、現在は地下四階――。

 

 四方を清らかな地下水に囲まれ、フロア中央に不思議な魔法陣のある場所へとやって来ていた。

 

 このフロアは これまでの熱気のこもったフロアと違い随分と気温が低い。洞窟の外と同じ……といっても過言ではない程に涼しかった。

 

 ひんやりとしたその空間に、階段から下りて来たアベル達は ほっと一息。

 

 

「はぁ……涼しい……、こんな場所があるなんて……あれは何かな……?(魔法陣……かな? 真ん中が光ってる……)」

 

「あれは回復の泉だね」

 

 

 アリアが呟くと、アベルはフロア中央の蛍光塗料で描かれたように光り輝く魔法陣へと歩き出す。

 魔法陣の中心には円を描いたように淡い光が天井へと伸びていた。

 

 その光からは癒しのオーラとでもいうのか、温かく清浄な気を感じる。

 

 

「そうなんだ。アベルって物知り~!」

 

 

 ――なんだ、【回復の泉】かぁ……、てっきり悪魔召喚の魔法陣とかかと思っちゃった……、そろそろ中ボスとか出ちゃったりするよ、ね……?

 

 

 そんな考えがふと浮かび、ビビりはアリアは出入口である階段前で様子見をしていたわけだが、アベルの言葉に怪しい魔法陣でなかったことが解り安堵した。

 

 ……よく見れば美しい光景である。

 

 現実世界の舞台セットでも表現出来そうだが、ここのように癒しのオーラを感じることはないだろう。

 

 目の前の回復の泉にアリアはちょっと感動した。

 

 

「ハハッ、それ程でも……。そこの階段を下りたら思い出したんだよ。光に触れれば体力も魔力も回復するよ。アリアここまで来るのに かなり魔力を消費したでしょ?」

 

「うん、その光に触れたら回復するのね?」

 

 

 アベルが光に触れると魔法陣と光が一瞬だけ一際強く輝く。

 するとアベルの失われた体力と魔力が回復した。

 

 

「……ああ、アリアも早くおいでよ、ほら。身体が楽になるよ」

 

 

 アベルは回復し、すっきりしたような顔でアリアに向けて両手を広げる。

 

 

「…………ん、行く~♪(リアル回復の泉はどんな感じなんだろう……?)」

 

 

 アベルが腕を広げて呼んでくれたので、アリアは珍しく素直に彼の胸へと飛び込んで行った。

 

 アリアが光に触れると、アベルの時と同じく一瞬だけ一際強く輝き、アリアの体力と魔力を回復してくれる。

 

 

(あ……不思議。身体が軽くなった……! 魔力も戻って来たのが解る……、どういう原理なんだろ……?)

 

 

 アリアはアベルに抱きつきながら、魔法陣を見下ろし考えてみたが ここはゲームの中の世界。わかるわけもなかった。

 

 この世界的に考えるなら、火山エネルギーを利用し癒しの力に変換したもの……とでも考えればしっくりくるだろうか。

 

 

「……はー……素直なアリア可愛い……」

 

 

 考え事をするアリアの頭上でアベルが彼女を抱きしめながら愛でるように髪を撫で、その頭に頬を摺り寄せる。

 

 アベルの溺愛っぷりは修道院生活が明けてからは仲魔達が居てもお構いなしだった。

 

 

「……あら、素直じゃない私はイヤだった?」

 

 

 回復の泉に気を取られていたアリアがアベルの言葉に顔を上げて首を傾げる。

 彼女の頬はほんのりと色付いていた。

 

 ……だが、アベルから離れる様子は無い。

 アリアも恥ずかしいには恥ずかしいが大分慣らされてきた様子でハグまではいいらしい。

 

 

「……それも好き」

 

 

 アベルは穏やかな顔でアリアを見下ろす。

 

 

「プッ。アベルは私に甘いよね」

 

 

 ――お兄ちゃん以外でこんなに優しい男の人初めて……。

 

 

 私って男運無かったのに、転生先でこんないい()と巡り逢うだなんて……、死んでみるものね……。

 

 いや、死んでみるってどうなのよ……。

 

 

 優しく抱きしめ触れて来るアベルに、アリアは心の中でノリツッコミを入れつつ、今は先のことは考えずに彼の温もりを ただただ享受した。

 

 

「うん……、甘やかしてあげたいんだ……」

 

 

 ――アリアをうんと甘やかして、僕に沼らせて、逃げられないようにしないとね……。

 

 

 こうしてアリアとくっついていると安心できるのに、少しでも離れると不安になる。

 

 想いは通じ合っているはずなのに、なぜかアリア(彼女)は掴んでも掴んでも指の間からすり抜けていくような気にさせる。

 

 

 ……なぜかはわからない、が。

 

 

 未来を変えるために彼女が必要だから逃げられたくない……わけではない。

 アベルは既に自らの意志で未来を変えようとしているため、子どもの頃のようにアリアに依存しているわけではなかった。

 

 ただ、これまで一緒に過ごして来て彼女がいない未来は考えられない。

 いつも明るく笑い掛けてくれる彼女はもう、自分の身体の一部みたいなもの。

 

 アリアが悲しいなら自分も悲しいし、アリアが嬉しいなら自分も嬉しい。

 

 

 ……彼女もそう感じてくれるといいのに……。

 

 

 アベルはいつか自分の想いがアリアに届くようにと彼女の頭を優しく撫で続けた。

 

 

「ね、それ私のセリフなんだけどな……」

 

「え?」

 

 

 ぽそっとアリアが何か言ったが、アベルには聞き取れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……さて、小休止。と、あれから回復を済ませたアベル達は回復の泉のフロアでしばし涼んでいる。

 

 パトリシアも暑かったのだろう、フロア四方の水辺からアリアが清水を汲んでパトリシアの前に置くと、彼女は がぶがぶとそれを飲み干していた。

 

 アリアが「パティ暑かったね、お疲れさま」と労いの声を掛けるとパトリシアが「ブブブブ♡」、嬉しそうにアリアに首を擦り付けている。

 アリアも「いいのいいの、こちらこそいつもありがとう♡」とか何とか。

 

 ……会話が成立しているようだ。

 

 なんだろうか、アベルにはわからないが女同士、何か通ずるものがあるらしい。

 

 アベルはひんやり冷たい床に座りながらそれを眺めていた。

 

 

「……体力魔力は回復したけど……、あの熱いフロアにこれからすぐ戻ると思うと……」

 

 

 パトリシアに水を与え、木のバケツを持ってアベルの前に戻って来たアリアが階段を見上げ“フゥ”と小さく息を吐く。

 

 

「……ならキャンプでもするかい? 幸いここには魔物の気配はないし。一晩休んでから行ってもいいよ? 僕達が休んでる間にアンディさんも諦めて帰るかもしれないしさ」

 

「アベルっ……♡ あなたって素敵、……すき♡」

 

 

 アベルの提案にアリアは嬉しそうに破顔した。

 

 

「ははは……アリアは現金だなぁ……、好きだってもっと言ってくれてもいいんだよ……?」

 

「何度も言わないよ?」

 

 

 こんな時ばかりは現金な彼女にアベルが“好き”の言葉を求めるも、アリアはあっさり笑顔で躱す。

 

 だが、アベルも負けてはいなかった。

 

 

「ハハハ……、そっか。じゃあ僕が代わりに……アリア、好きだ、大好きだ!」

 

 

 アベルは立っているアリアの手を取り引いて見上げると爽やかな笑顔で言ってみせたのである。

 

 

「っ……も、もぅ……、アベルあんまり言い過ぎるとありがたみがなくなっちゃうからやめて……」

 

 

 アリアに向けた好意の言葉に彼女の頬が真っ赤に染まり、手を放すようにと彼の手を剥がしに掛かるのだが、アベルは放してやらなかった。

 

 

「……何度でも言うよ。君、イマイチちゃんとわかってないみたいだからね」

 

「わかってるよ……? アベルが私を想ってくれてるってことくらい……」

 

 

 ――わかってるから、放して……嬉しくて顔がニヤつくのバレちゃうからヤダ……。

 

 

 アリアは顔を俯かせ目線を地面に落としたものの、アベルが座っていて自分は立っている状態だ。

 ……下から見上げられては口の端が上がっていることがバレてしまう。

 

 きっと気持ち悪い顔をしているに違いない……とアリアは恥ずかしくて早く手を放して欲しかった。

 

 

「…………アリアは、わかってないよ」

 

 

 彼女を見上げたままアベルは穏やかな瞳で静かに告げる。

 

 その瞳の奥には憂いの色が僅かに映っていたが、地面を見ているアリアにはわからなかった。

 




回復の泉があれば付近でレベル上げが出来ますね~。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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