ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

疲れたら眠るがよろし。

では、本編どぞー。



第四百六十七話 戦いの後で

 

 

 

 

 

 ……あれからピエール達が今更ながらに【ようがんげんじん】を倒しましたと報告を上げてくれる。

 

 【ようがんげんじん】が消えたことにより、流れた溶岩が冷えると同時 徐々にその存在自体も消滅していった。

 

 回復の泉のフロアに充満していた熱気も少しずつ下がり元の気温へと戻っていく。

 

 溶岩で分断されていた回復の泉の魔法陣も元通りになり、回復の泉が復活。

 ……アベル達は早速癒しの光へと手を伸ばした。

 

 

「はぁ……回復~~……♪(ありがたやありがたや……)」

 

 

 アリアは回復の泉に触れると手を組み祈りを捧げる。

 相変わらず誰に祈っているのかは不明であるが、祈らずにはいられない。

 

 

「…………ふぅ」

 

 

 アベルも光に触れると体力、魔力ともに全快。

 アベルは初めての体験に肝を冷やしたが、無事乗り越えられたことに ほっと胸を撫で下ろしていた。

 

 

 

 

 ……のも束の間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁーー↓↓……」

 

 

 体力、魔力を全快させたアベル達だったはずだが、フロアにアリアの嘆いた声が響く。

 

 

「仕方ないよ、そんな落ち込まないで」

 

 

 アベル達の前には黒焦げの()と倒れた鍋……。中身は既に蒸発し、具材は肉同様炭化した食材が転がっている。

 

 鍋と網だけは丈夫なのか元の形を保っていたのは幸いだ。

 どこぞの名匠が作った鍋と網なのだろうか……。

 

 【ようがんげんじん】との戦いの際に巻き込まれ、被害を被った夕食の末路であった。

 

 

 その痛手はあまりにも大きい……、というのはアリアの意見である。

 

 

「うぅ……お肉が……スープが……。ごめんなさい……せっかく、アベルが準備してくれたのに……」

 

 

 ――マグマの魔物めっ……! 私のお肉を黒焦げにするなんて……!! 今度会ったらバーベキューの火種にしてやるんだから……!

 

 

 ステーキを焼いて“【溶岩ステーキ】”なんて言って売り出したらどうよ!?

 稼げるかな……?

 

 

 しょぼんとアリアはしおらしくアベルに頭を下げつつも、心の中では【ようがんげんじん】と再び出会うことがあったら路銀稼ぎに有効利用してやるんだと怒りに燃えていた。

 

 

「いや、なんでアリアが謝るの? 途中で放り出したの僕だし。そんなことより疲れたでしょ? 座りなよ」

 

 

 休憩しよう、とアベルは腰を下ろし、アリアに隣に座るよう地面を叩く。

 

 

「でも……、あとは仕上げだけだったのに……すっごく好い匂いしてたんだよ……?(こんなことならつまみ食いしておけば よかった……)」

 

 

 アリアは炭と化した食材を見下ろし唇を噛んでいる。

 かなり悔しそうだ。

 

 

「……そっか、それはちょっと残念だったなぁ。けど みんな無事だったんだ。それでいいじゃないか。ほら、おいで?」

 

「ぅぅ……それはそうだけど、お肉が……スープが……」

 

 

 再度アベルに呼ばれたアリアは文句を垂れつつ渋々アベルの隣に腰を下ろした。

 

 

「はいはい、アリアは肉が食べたかったんだね?」

 

「っっ、違っ! 私はアベルに食べさせてあげようと思っ……!」

 

 

 アリアが座るとアベルは目を細め彼女の頭を撫でて宥める。

 

 “食べ物が大好きなアリアにとっては辛かったよね”と共感したつもりが、アリアは食い意地が張っていると思われたと勘違いし、顔を真っ赤に染めていた。

 

 

「ははは……アリアは疲れてないの? 元気だなぁ…………はは……(カワイイ……)」

 

 

 アベルの口から乾いた笑いが零れる。

 

 アリアがアベルを見上げると、彼は疲れた顔をしていた。

 体力、魔力は回復したが、疲れは別である。

 

 危険が去って緊張が解けたせいか、疲労がどっと一気に押し寄せアベルを襲っていた。

 

 

「……あれ? アベル疲れてる……?」

 

「…………少しね。ずっと戦ってたせいか、疲れ過ぎて食欲もないや」

 

 

 ――不思議とムラムラだけはするんだけどね……。

 

 

 アリアに顔を覗き込まれると、自然と彼女の胸元が近くなる。

 アベルの下半身は即座に反応を示していた。

 

 そんな中、アリアの白い手がアベルの額に伸びる。

 

 

「そっか……。ん……? 少し熱っぽいかな……? 頭痛い?」

 

 

 アベルの額に手を当てると、体温が高い気がした。

 

 

「ぁっ、いや別に……。ただの疲れだよ……?」

 

 

 ――熱いとしたらそれは君のせいなんだけど……。

 

 

 彼女が近いのは嬉しいが、あんまり近付かれると押し倒してしまいそうだ。

 ……アベルは拳を握りしめなんとか堪える。

 

 

「そう……? 今モモガキを剥くから、それ食べて休んで?」

 

「ぁっ! うん……ありがとうアリア」

 

 

 アリアは心配そうに眉を寄せたが、すぐに立ち上がり馬車へと走って行った。

 まだまだ彼女は動けそうだ。

 

 

 ――呪いが解けたからかな……? アリアが元気でなによりだ……。

 

 

 アベルは元気なアリアを優しい眼差しで見つめていた。

 

 

 

 

 ……アリアが馬車から【モモガキ】を持ってきて剥くと、アベル達に振る舞う。

 

 アベル、ピエール、サイモンは剥いた【モモガキ】を。スラりん、プックルは剥く前の【モモガキ】を丸ごと。

 

 ロッキー、ジュエルは……なんと、食べない!!

 食事は不要とのこと……。

 

 二匹は回復の泉の魔法陣の上で寛いでいた(居心地が良いらしい)。

 

 その後 食べ足りない者はアリアのパンや野菜、魔物肉をそのまま食し、アベル達は遅めの食事を終えた。

 

 食事を終えると仲魔達はみな微睡み始め、各々フロアの好きな場所で眠り始める。

 

 パトリシアも脚を折り眠りに就いていた。

 彼女が脚を折って眠りに就くのは本当に危険が無い場所でのみ……。

 

 もうここに危険はない……と、つまりそういうことなのだろう。

 

 アベルも疲れていたからか その場に横になり、いつの間にか眠ってしまった。

 “ぐうぐう”と大きな(いびき)が聞こえている。

 

 

 

 

「……これ、上の階に捨てたら消えてくれるかな……?」

 

 

 アリアだけは眠れなかったようで、眠れないから後片付けでも……と、アベルに自己のマントを掛けてやって、独り黒焦げになった食材を片付けていた。

 

 上のフロアに捨てて来れば昇華されるだろうと、アリアは鍋に元食材()を集め階段を上る。

 ……階段を上ってすぐ傍に捨てるつもりだ、魔物に遭うことも無いだろう。

 

 

「ふぅ……暑かった……。焼却炉ってひょっとしてあんな感じ? ……あぁ、もう汗びっしょりで気持ち悪い……」

 

 

 元食材()を捨ててすぐ戻って来たアリアの身体は汗だくだった。

 額に浮いた汗と、顎に伝う汗を拭うと腕がベタついて気持ち悪い。

 

 アリアはひんやりしたフロアをキョロキョロと見回した。

 アリア以外、みんなスヤスヤ 夢の中……――。

 

 アベルもアリアのマントを大事そうに抱え込みながら眠っている。その顔は穏やかで幸福そうだ。

 

 

「……………………、みんな寝てるし……、水浴びしちゃおうかな……」

 

 

 ――念のため馬車の裏側の方で……。

 

 

 アリアは馬車の裏手側にある水辺へと向かった。

 

 




読んでいただいているとわかると思うのですが、アリアはみんなのお母さんポジなんですよ。

動いていないと死んでしまうのではないかというくらい、働き者だったりします。海で云うところのマグロですかね……。
面倒見がとても良いのです。
まあ、性格的に優しいんでしょう。その優しさに浸け込まれよくこき使われてましたし。

諸々身体に染み付いているんでしょうね。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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