ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

サイモンとお別れです。

では、本編どそー。



第四百七十八話 さよならサイモン

 

「……アリアって不思議だなぁ……(これ ちゃんとメッキ―の言葉を理解して話してる……よね……?)」

 

「ん……?」

 

 

 アベルにチラ見され、アリアは首を傾げる。

 

 彼女は元天空人だ、天空人は魔物の言語を理解できるのかもしれない。

 

 

「……ま、いっか。メッキ―、君って回復呪文が使えたりする?」

 

「メッキッキ!(もちろんです!)」

 

 

 アベルはメッキ―に問い掛けたにも関わらず、すぐにアリアに目を向けた。

 

 

「え? あ、もちろんだって」

 

 

 ――通訳しろってことかな……?

 

 

 なんとなくそんな気がして、アリアがメッキ―の言葉を伝える。

 

 

「そっか! じゃあ、サイモンと交代しようか!」

 

「えっ!? サイモンと交代するの?」

 

「ダメだった?」

 

「ううん、ダメじゃないけど、サイモン強いのにどうしてかなって……」

 

 

 サイモンはピエールとアリアの代打を務める頼もしい仲魔である。

 まだ伸びしろはあるはずだが、アベルはモンスターじいさんに送ると言っている……。

 

 

「それはあれだよ」

 

「あれって?」

 

「死の火山で戦った時、彼はブレス系の耐性が低くてね。呪文にも弱いみたいだし、これといった特技もないし……これからは厳しいんじゃないかなって。それに……」

 

 

 サイモンの評価を述べたアベルだったが、途中で黙り込んでしまった。

 

 

「それに……?」

 

「…………アリアって、サイモンの素顔知ってる……?」

 

「え? あ、うん。ワイルドな感じ……? だったよ」

 

「ワイルド……?」

 

 

 ――やっぱりアリア、サイモンの素顔を知ってたのか……!!

 

 

 いつの間に!? と思ったが、サイモンはアリアにベタ惚れだ。

 彼女にその身の内を晒していても不思議ではない。

 

 主は自分だというのに、なぜ自分には教えてくれないのか……。

 

 そもそも【さまようよろい】は死んだ兵士の怨念が鎧に宿った魔物である。

 中身は がらんどうのはず……。

 

 なのに煙管は吸うし、食事は取るし、風呂にも入る。

 いったい鎧の中には誰が入っているのだろうか……。

 

 決して明かしてくれないサイモンにアベルは多少なりとも不信感を覚えていた。

 

 

「ふふっ、ナイショ♡ サイモンと約束してるから」

 

「なっ……!?」

 

 

 ――や・く・そ・く……だってぇっ!?

 

 

 僕のアリアと約束なんていつの間に!? サイモン許すまじ!!

 

 

 アベルはアリアの一言に不快感を露わに顔を歪ませ、やはりサイモンをモンスターじいさん送りにすることにする。

 

 

「よし、決めた。モぉンスタぁーじぃ~さぁああああーーんっっ!! サイモンをよろしくお願いしまーーーーすぅっっ!!」

 

 

 アベルは口元に手を添え、大きな声を空に向け張り上げた。

 

 

「えぇっ!? ここから送れちゃうの!?」

 

 

 アリアが驚く中、少し離れた場所から「うわぁああああっ、アリア様ぁああああ!!」とサイモンの声。

 

 岩場に咲く花を片手に彼の身体は宙に浮いて北東へと飛ばされて行った。

 

 

『イヤダァアアアアッッ!! アベル様のあほーー!!』

 

 

 その方角にはポートセルミ、モンスターじいさんツーの預かり所がある。

 

 ……どうやらサイモンは岩場でアリアに渡す花を摘んでいたらしい。

 

 修道院に居る頃にもよくプレゼントしていたが、アベルはいつもそれが面白くなかったのだ。

 

 アリアがサイモンになんの感情も抱いていないのはわかっていたが、毎日のように贈り物をされれば、義理堅く押しに弱いアリアは誘われればデートくらいはしそうである(実際ピエールとはよく出掛けている)。

 

 実はこれまでサイモンをいつ離脱させようと画策していたアベル。

 彼はニヤッと口の端を吊り上げ悪い顔でサイモンに手を振っていた。

 

 

「バイバイ、サイモン(やっと別れられた……!)」

 

 

 サイモンを見送ったアベルはグッと拳を握り、肘を引く。

 

 

「…………アベル悪いカオしてる……」

 

「…………ハハッ。そう? メッキ―、よろしくね!」

 

 

 アリアがぽそっと呟くとアベルは気まずそうに頭の後ろを掻いてから、メッキ―に手を差し出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……キャンプ地に戻ってすぐ、アリアが「お花を摘みに行って来ます、すぐ戻るね」とプックルとスラりんを連れどこかに行ってしまう。

 

 二匹が付いていれば大丈夫だろう、アベルは「綺麗な花があるといいね!」と送り出していた。

 

 

「……サイモン殿……泣いていましたよ」

 

「まあ……、急だったからね……。ほら、メッキ―って可愛いよね?」

 

 

 アリアを待つ間、アベルはピエールに(たしな)められるも、話を逸らそうとメッキ―を紹介する。

 

 メッキ―は弾ける笑顔で「メッキッキッ♡」なんて明るい声で挨拶をしていた。

 

 ……ピエールがメッキ―に「メッキ―殿ですね。私はピエール。宜しくお願い致します」と胸の前に手を添え丁寧にお辞儀するが、直ぐに話を戻す。

 

 

「……サイモン殿はアリア嬢に花を差しあげるのだと、あの崖を登っていたのですよ……。花を手にした途端飛んで行ってしまいました。あれはモンスターじいさん殿の元へ向かわれたのですよね?」

 

「…………」

 

 

 ――うわ、落ちたら死にそう……って、あの花か……。

 

 

 ピエールが目の前の岩壁を指差すと、かなり高い場所に白い花が咲いているのが見える。

 ……サイモンは命の危険も顧みず、この崖を登っていたようだ。

 

 

「花をプレゼントさせてあげてからでも良かったのでは……?」

 

「……っ、僕が大人げないって言うのかい!?」

 

 

 崖上を見上げながらピエールが告げるとアベルは声を荒げていた。

 

 

「……サイモン殿がアリア嬢を慕っておられるのはご存じでしょう? それに、アリア嬢がサイモン殿をなんとも思っていないということも。アベル殿は彼女に愛されているのだからもっと余裕を持ってもいいのでは?(狭量過ぎませんかねえ……)」

 

「っ……、しょうがなかったんだ。メッキ―が急に仲間になったから……」

 

 

 アベルは腹を探られたくなくて再び話を逸らそうとする。

 だが そんなものピエールにはお見通しだ。

 

 

「……はぁ、此度の主殿は ずいぶんとヤキモチ妬きのようで……。アベル殿の愛が重くてアリア嬢は大変ですね」

 

「ゥ。僕の愛が重い?(って愛が重い(・・)ってなんだ……深い(・・)の間違いじゃ……?)」

 

 

 ……フーヤレヤレ。

 

 ピエールが深い溜息を吐くとアベルは痛いところを突かれ訊き返していた。

 

 

「……さぁ……。ただ、アリア嬢をその愛情で潰さないよう、気を付けて頂きたいものですね」

 

「……ピエールの言ってることは僕には難しくてよくわからないよ……」

 

 

 ――僕の愛は重いんじゃなくて深いんだけど??

 

 

 ピエールの云う愛の重さなど、アベルにはさっぱりわからない。

 

 

 ヤキモチくらい妬いたっていいじゃないか。

 ピエールにだって時々嫉妬するけど、彼は強いし万能だし、アリアが絶対許さないだろうからピエールをモンスターじいさんに送ることは出来ない。

 

 別世界の記憶も持っていることだしね……、とアベルはピエールに告げられた言葉の意味を考えたが……、やっぱりわからなかった。

 

 

 

 

「お待たせっ」

 

 

 ふとアリアの声が背後から聞こえ、アベル達は振り返る。

 彼女は機嫌が良さそうにプックル、スラりんと共に戻って来ていた。

 

 だが、その手には何も持っていない。

 

 

「あれ? アリア花を摘みに行ったんじゃ……? 咲いてなかったの?」

 

「へっ……? や、やだアベル……、言葉のままじゃないのよ……?」

 

「え……? どういう…………あっ! そ、そっか……。うん、わかった……」

 

 

 ――花摘み……、そういえば昔アリアに教えてもらったことがある……!

 

 

 なるほど、トイレ!!

 アリアはおしっこがしたかったんだね……!

 

 

 そう思い至ったアベルの脳裏に刹那、なぜか昨夜のアリアが思い浮かび、気まずくなってしまった。

 

 ……頬が勝手に熱くなってくる。

 

 

「…………アベルぅ? なに考えてるの?」

 

「っ、あっ、いや? なにも??」

 

 

 じとーっと上目遣いでアリアに可愛く睨まれ、アベルは笑って誤魔化し頬をカリカリ。

 

 

「……変なこと考えちゃイヤ。さあ、そろそろ行きましょ」

 

「…………そうだね」

 

 

 ……アベル達は再びサラボナに向けて歩き出したのだった。

 

 




サイモン御達者で!

ちょいちょいヘンタイ発言ごめんなさいねw

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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