スラりんがぴょんぴょん。
では、本編どぞ~。
「……あなたのような進化ならば、神もお怒りにはならなかっただろう。良かったら今晩食事でも」
「へ?」
突然に口説かれ、アリアは目をぱちくり。
兵士は顔色一つ変えずに片手を差し出していた。この手を取って下さい……の意だろう。
「ごめんなさい。私、恋人がいるので」
「そうか……。今のは訊かなかったことにしてくれ」
兵士は振られると潔く自分の持ち場に戻り、アリア達に背を向けてしまった。
背中に哀愁が漂っている……。
「アリア嬢は……、きちんとお断わりできる方なのに、どうして主殿には はっきり言えないのでしょうね……」
兵士がアリアから離れると、様子を見ていたピエールがやって来た。
「言ってるんだけどね……。アベルは断っても入り込んでくるんだよ。あの人、押しが強くていつの間にか私のこと好きにしてるのよね……」
――まあ、私も嫌じゃないし……主人公だもの、それくらい強引じゃないとよその家のタンスなんて開けられないよね……。
ゲームの中とはいえ、今のアリアの現実だ。
よその家のタンスを調べることを引き合いに出すのはおかしいが、アベルの強引さは主人公ならでは。
……アベル、彼のメンタルの強さは桁外れだ。
バグみたいな存在の
「あぁ……そんな感じですね……アリア嬢は“ダメ”と言いつつ、アベル殿を甘やかしてらっしゃる」
「っ……、好きになっちゃうとダメだよね~……」
――アベルにはうんと優しくしてあげたい……! 惚れたら負けってやつですよ。
ピエールの指摘にアリアは頬をカリカリと掻いて、目線をサラボナの町へと移す。
……すると。
「あ、あの、スライムは……スラ、りん……?」
地上ではサラボナの町からスラりんがここ、見はらしの塔へ向かって来るのが見えた。『ピ、ピキーっと! アリアちゃ~ん!』という声が微かに聞こえる。
スラりんは馬車にいるはずなのだが、何かあったのだろうか。
「スラりん殿ですか……? どうしたのでしょうか……」
手すり壁に身を乗り出しピエールが地面を見下ろすと、スラりんの姿を捉えた。
「アベルに何かあったのかな……? お~い、スラり~ん! ここだよ~!」
アリアが大きく手を振る。スラりんは彼女を見つけ一瞬立ち止まり、背伸びをして身体を震わせた。
アリアを見つけたのがよっぽど嬉しかったのか、何度かジャンプしてから再び見はらしの塔に向けてぴょんこぴょんこと走り出すが その速度は特に急いではおらず、火急の用がありそうな気配はない。
強いて言えばアリアに早く会いたい……と云ったところだろうか。
ここ最近はキャンプでアリアとずっと一緒にいたが、昨夜は離れ離れで久しぶりに離れて眠り、淋しくなってしまったのかもしれない。
……けれども、なにか用事がないとも限らないわけで。
「ふふふっ、あんなに嬉しそうな顔して……スラりんってばカワイイ……♡ 迎えに行こっか」
アリアは下まで迎えに行こうと階段へ足を向ける。
ところが、踵を返したアリアの前にピエールが通せんぼするように引き留めていた。
「いえ、アリア嬢、私が下に行って聞いて参ります。あなたはこちらで景色をお楽しみ下さい。なにかあればすぐに呼びに戻りますし、スラりん殿と共に上って来ます」
「そう? でも……なにかあったら……」
――アベルがルドマンさんに捕まったとか……って、それは私か。
アベルは町に行ったわけだし なにかあるとは思えないけど でも……、とアリアは腹の前で手を組む。
離れているとつい心配になってしまうのは、長く一緒に居過ぎたせいだと唇を噛んだ。
「ええ。主殿になにかあったとは思えません。ですが、なにもないとも言えません。主殿は
ピエールは アリアにこの場に留まるようにと告げる。
「……ピエール君、ひょっとしてアベルに頼まれてる……?」
「はい。主殿はアリア嬢にじっとしていて欲しいそうです」
アリアが眉根を寄せると、ピエールは深く頷いた。
「……私、信用ないのね……(別に今はまだ どこか行くつもりはないし、一階に下りるくらいいいと思うんだけど……)」
――アベルの過保護……。
アベルはアリアが迷子になるのを阻止したいだけなのだろう。
アリアが動くとなにかとトラブルに見舞われることも多いのは事実。自分と離れている間はとにかく心配らしい。
いわゆる独占欲というやつだろう。
アリアにも似た感情は多少あるので致し方ないかとは思っているのだが、行動を制限されるのは少し窮屈に感じる。
……とはいえ もうすぐお別れだ。
多少窮屈であろうとも付き合ってやろうと、アリアは“ふぅ”とため息一つ吐いて、広い心で受け入れることにした。
「ははは……、そういうわけではないと思います。ただ心配されているだけなのでしょう。好きな女を守りたいと思うのが男ですから」
そう語るピエールの下でアンドレが珍しく発言し「アリアちゃんは か弱い女の子だから守ってあげたくなるんだよね……!」と付け加える。
「……心配してくれるのは嬉しいけど……子ども扱いされてるみたいで……。私、もう大人なんだけどなぁ……(ていうか、最初から精神は大人なのだけど……)」
――アベル達って私の見た目に騙されてるよね……! 私は見た目と違って結構タフなんですよ……!? なにせ憶えてる呪文は大体使えるし、自活する能力だってあるし……!
自分の見目は前世に比べれば、背も低いし身体も細いし、確かに儚げだとは思う。
だが精神的には大人だし、かなりタフで、ちょっとやそっとじゃ へこたれない自信はあるのだ。
だが、アベルからは子ども扱いされる……。
人生を繰り返すアベルも精神的にはかなり大人だとは思うが、どうしても実年齢を考えると釈然としなかった。
年上マウントを取るつもりはないのだが、アベルに“アリアは年齢にこだわっている”と云われた。
自分ではこだわっているつもりはなかったが、腹の内ではそういう気持ちがあるのかもしれない。
幼い頃、アベルの姉……いや、母のような気持ちでいたからか それが抜け切れていないのだろう。
「子ども扱い……? ……わっはっはっはっ! 確かに主殿はアリア嬢を子ども扱いされてますね……! では、行って参ります……!」
ピエールが大きな声で笑い飛ばし、階段を下りて行く。
「あっ、ピエール君っ」
――え、今そんな笑うとこ……?
アリアはなぜ笑われたのか解らないまま、階段を下りて行くピエールを見送っていた。
「がう」
ピエールを見送るアリアの背後から散歩を再開していたプックルが寄って来てアリアの肩に顎をのせる。
“暇なら撫でてもいいのだぞ?”の意らしい。
「あ、プックル。ね、あなたも下に行って来て? なにかあったらすぐ戻って来れるでしょ?」
「がう?(我もか? まあ、構わんが……)」
アリアが肩にのせられたプックルの頬下辺りを掻いてやりながらお願いすると、プックルはゴロゴロと喉を鳴らし目を細めた。
(あ、そこそこ……!)
……アリアはプックルの気持ちいいツボを心得ている。
「行って来てくれたら、トマトたっぷり野菜サンドを作ってあげる」
「がうっ!!(任せろ!! 三つだぞ……!)」
アリアの言葉を聞いた途端プックルはアリアから離れ、跳躍。見はらしの塔 最上階から飛び降りた。
「わぁっ、プックルっ!?」
アリアは慌ててプックルが降りた側の手すり壁に身を乗り出し下を見下ろす。
プックルは器用に途中途中の窓や壁の飛び出たレンガに足を引っ掛けながら軽やかに地面へと降りて行った。
「すごーい……!」
プックルの身軽さにアリアは感動する。
アリアをルドマンの屋敷から降ろしてくれたプックルだったが、この高さまでも軽々と降りられるとは思わなかったらしい。
――トマト野菜サンド、五つくらい作ってあげなきゃね……!
この間のお礼をしていなかったし それも兼ねて……と、アリアはプックルの所望した数は知らないが、トマト野菜サンドを五つ作ってやることにした。
サンチョの味には劣るがパンは町で買えばいいし、プックルは野菜が好きだから大丈夫だろう。
……
DQB2のキラパンの機動力が便利過ぎて、素材島に行く際は常に引き連れている私です。
確かキラパン4匹以上いますわ……。名前はボロンゴ、プックル、チロル、ゲレゲレですねw
キラパン可愛いですよね。
そういや、8でも乗れましたね……!
8はプレイ済みなんですけど、ストーリー殆ど忘れてしまってて、憶えてないっていう……。
リメイク版いつかやりたいなぁ……。
エイト×ゼシカもいいですね~♪ まあ、ミーティアも好きなんですけども。
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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!