ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

ビアンカちゃんとの再会どす。

では、本編どぞー。



第五百一話 懐かしのビアンカ

 

 

 

 

 

「ビアンカ! アベルだよ! お前の友だちのアベルが生きてたんだよ」

 

 

 “ほら!”と、ダンカンに手を引かれ、アベルはビアンカと呼ばれた金髪の女性の目の前に立たされる。

 

 すると、彼女はアベルをじっと見てから目を丸くし、驚きに息を呑んだ。

 

 

「や、やあ……ビアンカ。元気……?」

 

 

 アベルは軽く手を挙げ挨拶する。

 

 

「まあ……! アベル! やっぱり無事だったのねっ! それにプックルも……。大きくなったわね、プックル! サンタローズの村が滅ぼされてアベルも行方不明になったって聞いたけど、私は絶対にアベルは生きてると信じてたわ!」

 

 

 キラキラと煌めくような金の髪を 右サイドに三つ編みで纏め、涼し気なアイスブルーの瞳と橙色のマント、青緑のワンピースを着た彼女、ビアンカは目が覚める程 美しい大人の女性に成長していた。

 

 ……その彼女がアベルに朗らかに笑い掛けてくれる。

 

 ビアンカがアベルの隣にいたプックルの頭をそっと撫でると、プックルは嬉しそうに目を細めた。

 

 

「あ、うん……」

 

 

 ――うわ……、やっぱ記憶の通り……ビアンカめちゃくちゃ綺麗だ……。

 

 

 アリアもそうだったけど、なんで女の子ってこんなに変わるんだ……!?

 

 

 ……ここにアリアがいたらと思うとすごく気まずいのだが、懐かしのビアンカにアベルの頬は熱くなった。

 

 しばし、懐かしさと再会の喜びに彼女を眺める。

 

 ビアンカはニコニコと昔のような優しい笑みで話を続けた。

 

 

「だって、あの時また一緒に冒険しようって約束してたものね。でも、もうあれから10年以上か……。いろいろ積もる話を聞きたいわ。ゆっくりして行ってよね」

 

 

 “今お茶淹れるわ”と、ビアンカが居間の奥にあるキッチンへ行こうとするので、アベルは止めに入る。

 

 

「っ! あっ、えと、ビアンカ! 僕、今はゆっくりしてる場合じゃないんだ」

 

 

 ――アリアが遅い、もうすぐ日が暮れるのに三十分だけって言ってたよね……? ひょっとして迷ってる……?

 

 

 ……迎えに行かないと。

 

 

 収穫の手伝いが終わったらビアンカの家に来るようにと言ったのに、アリアはまだ来ない。

 

 あれから一時間以上 経っていると思うのだが、まだ働かされているのだろうか。

 

 

 ……アベルは独りでビアンカと話を進めるのが躊躇(ためら)われ、アリアを迎えに行くことに決めた。

 

 

「え? そんなにゆっくりも してられないの?」

 

「ああ……詳しく説明すると長くなるから今は簡単に言うけど、僕、今結婚するために水のリングを探しててさ」

 

「何ですって? 結婚するために水のリングを探してる? まあ……!」

 

 

 アベルの話にビアンカは口元に手を当て驚く。

 

 

「……後で詳しく話すから、今はちょっと急ぐんだ」

 

 

 ――アリア……迷子になってないよね……!? あの男に攫われたりは……。

 

 

 ……あっっ!!

 

 

 即座、とあることを思い出し、アベルの顔がスーッと青褪めていった。

 

 さっきまでピエールが付いているから大丈夫だと思っていたが、あの男と遭った時、ピエールは眠らされていたではないか……。

 

 その事実を思い出したアベルの手が小刻みに震える。

 震えた指先が冷えて行く感覚がアベルに嫌な予感を覚えさせた。

 

 

(……急がないと。)

 

 

「アベル? 顔色が悪いわよ?」

 

「っ、ビアンカっ、ごめんっ、僕 行かなくちゃ! 後でまた来るから!」

 

 

 アベルの様子を心配そうに窺うビアンカをよそに、アベルは彼女とすれ違う様にして通り過ぎる。

 

 

「あっ、そうなの? わかったわ、じゃあまた来てくれるのを待ってるわね。あっ、ねえ、アベル。急いでるとこ悪いけど、一つだけいいかしら?」

 

 

 ビアンカは振り返って、家を出ようとするアベルに訊ねた。

 

 

「え? なに?」

 

 

 アベルは“早く迎えに行かないと”と思うが、ビアンカを無下にもできない。足を止めてビアンカに顔を向ける。

 

 

「あの子はどうしたの?」

 

「ん? あの子?」

 

「あの子……アリアは? 私、あの子にお礼がしたいのよ。一緒じゃないの?」

 

「お礼……って……、ア、アリアに……?」

 

「ええ! 私、あの子に恩があるのよ」

 

「恩……?」

 

 

 矢継ぎ早に質問されたアベルは、アリアのことにビアンカが触れたことはともかく、今はアリアの顔が見たい。

 

 手は外扉に掛かり、足も外へと勝手に動いていた。

 

 

「……まあ、いいわ。とりあえず今急いでるようだし、用が済んだら家に寄ってよ」

 

「あ、うん! ごめんね、ビアンカ! すぐ戻るから!」

 

「いってらっしゃい」

 

 

 アベルはビアンカに見送られ、彼女の家を後にした……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……アベルがいなくなった、ビアンカの家では――。

 

 

「アベルは なにを急いでいたんだ? 結婚がどうだとか聞こえた気がしたが……」

 

 

 ダンカンが居間のテーブルに着き、首を傾げ腕を組む。

 

 

「もうそんな歳なのね……。まあ、そうよね……」

 

 

 ――アベルが結婚……かあ……。

 

 

 アベルを見送ったビアンカがダンカンの傍にやって来て苦笑した。

 

 

「ははは、そうだな。しかし、ずいぶんと慌てた様子だったな。なにかあったんだろうか……」

 

「さあ……。あとで来るって言ってたし、お気に入りのお菓子でも出してあげようかな。お父さんもお茶飲む? あとで部屋に持って行くわ」

 

「ああ……ありがとう、ビアンカ」

 

 

 ビアンカがキッチンへ向かうと、ダンカンは よっこいしょっ、と腰を上げた。

 

 

「ね、お父さん。さっきね、果樹園ですっごく可愛くて綺麗な女の子がミカンの収穫をしてたの。おじさんのお嫁さ……いや、旅人かしらね?」

 

「ん……?(可愛くて綺麗……?)」

 

 

 ダンカンは首を傾げる。

 

 

「ほら、果樹園のおじさんのところ、“農家の嫁募集!!”って、サラボナまでチラシを配りに行ってたでしょう? それで来たのかなって思ったんだけど、かなり歳の差がありそうだったから違うかなって」

 

「ほお……果樹園の……。……お前よりも綺麗な娘なんかいるもんか! 父さんはビアンカしか勝たん!」

 

 

 ビアンカの話にダンカンは“娘推し!!”とばかりに目を大きく見開いて彼女の手を取り ぎゅっと握った。

 

 

「プッ。あははっ! やあねえ~、お父さんたらっ、娘を溺愛するのもいい加減にしてよっ」

 

「なにを言う。娘を溺愛していいのは父親だけの特権なんだぞ?」

 

「あはははっ! もおっ。私がいったい幾つになったと思ってるの? 溺愛特権がお父さんだけなら生涯の旦那さまはどうなるのよっ! ほらっ、もう横になって! 身体弱いんだから……」

 

 

 ビアンカは吹き出し愉快そうに笑いながら、ダンカンに寄り添い彼を隣の部屋へと送っていく。

 

 

「お茶持って来るから。大人しく寝ててね?」

 

「あっ、おい、ビアンカっ、本当なんだぞ……!」

 

「はいはい」

 

 

 ビアンカはダンカンをベッドに寝かせると部屋を出て行った。

 

 

「ビアンカ……」

 

 

 去って行くビアンカの背を、ダンカンは哀し気な瞳で見送ったのだった……。

 




敵前逃亡を図るアベルw

ビアンカは村一番の美人さんなのですよ。
ビアンカに迫られたらアベルもイチコロでしょうね。フフフ。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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