ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

友達に戻ろうね!

では、本編どぞ。



第五百六話 友達に戻ろう

 

 ――アベルはビアンカちゃんと再会したけど、変化なし……? でもビアンカちゃんは……?

 

 

 もしかしたらアベルのこと想ってるかもしれないじゃない……。

 

 

 ……ここはゲームの中だが、どの人物もこの世界で生きている確かな存在……。

 

 ビアンカはゲーム中ではアベルの花嫁候補である。

 

 どういう経緯でビアンカが花嫁候補となるのかアリアは知らないが、結婚するくらいだからビアンカがアベルをなんとも想っていない……わけはないだろう。

 

 ビアンカがアベルを想っているのに堂々と自分達は恋人同士だと宣言してしまえば彼女が傷付くではないか。

 

 それに、規定通り進む世界で異物である自分がアベルとビアンカの間に不和を呼べば、自分の身だけならまだしも、アベルにもなにか良くないことが起こるかもしれない。

 

 

 ……それだけは避けたい。

 

 

(アベルには幸せになって欲しい。)

 

 

 それを避けるためならアベルがはっきり言わなくても、アリアは構わなかった。

 

 

「アリア……」

 

 

 ――どうして君は僕が好きな癖に こんなに僕が求めても応えてくれないんだ……?

 

 

 アベルは必死にお願いしてくるアリアを見下ろし どうしたものかと憂いの目で小さく息を吐く。

 

 

 先手を取って先に宣言してしまえばビアンカはきっと解ってくれるはず……。

 だって、彼女はどの世界でも いつも自分の味方でいてくれた気がするから。

 

 

(別世界の僕がフローラさんを選んだ時でさえ、ビアンカは祝福してくれた……。)

 

 

 もしかしたら、この世界のビアンカも自分に好意を寄せてくれているかもしれない。

 

 でも、ビアンカならわかってくれる。

 彼女は強い女性(ひと)だから大丈夫。

 

 だから、アリアにはなにも気にすることなく自分を受け入れて欲しい。

 俯瞰して遠くから見ていないで現実をきちんと受け入れて欲しい。

 

 今の自分がアリア以外を選ぶなんて できないのだから。

 

 

 ……アベルはそう思っているのだが、アリア本人には通じていないようで、彼女はずっと拝みっ放しだった。

 

 アリアは手を擦り合わせ南無南無……否、お願いしますお願いします。

 なぜそんなに拝む必要があるのやら、天使(アリア)に頭を下げられると自分が神にでもなったような……なんだか変な気分になる。

 

 

「お願い、アベル。私の一生のお願い! あとで一緒に温泉に入るから、ねっ?(こんなんで釣られてくれるかな……?)」

 

「わかった!(一緒に温泉!)」

 

「っ、早っ!(釣れたーーーー!!)」

 

 

 アリアが必殺、“一緒にお風呂”の呪文(?)を唱えるとアベルの目がパッと光り輝き即答、彼女の合わせた手を自己の両手で包み込み快諾。

 

 アリアはついツッコミを入れてしまった。

 

 

「じゃあ、アリア。僕からは言わないね。けど、なるべく早く言ってくれると嬉しい。僕はアリアしか見てないから、ね?」

 

「っ……うん、わかった」

 

 

 アベルに優し気だが熱のこもった情熱的な瞳で見下ろされ、彼の唇が握ったアリアの指先に落ちると彼女の頬が熱くなる。

 

 

 ――なんでそんな()で見てくるの……、指先にちゅーとかっ!! 言うつもりないのに言わなきゃいけないって思っちゃうじゃない……!!

 

 

 なんで……? なんでなのっ?

 

 

(これって主人公パワーなの!? スゴイ……!!)

 

 

 アリアはアベルの意のままにコクコクと首を縦に何度も下ろした。

 アベルの瞳にアリアは弱い……。

 

 

「じゃあ、今から僕とアリアは友達ってことで!」

 

「ぁ……友達……」

 

 

 アベルの言葉にアリアの顔が曇る。

 

 言い出しっぺの癖にこの体たらく。

 ショックを受けたように彼女の瞳は潤んでいた。

 

 

「ん? やっぱ恋人って言っちゃうかい? 僕は構わないよ?」

 

 

 ――自分から言い出したのに……泣きそうって可愛過ぎるんだけど……。

 

 

 察することが苦手な自分でも察せられる程わかりやすいアリアの表情に、アベルの胸はきゅんと疼く。

 

 

「っ、ううんっ! と、友達で……!! ふふふっ、付き合う前の時みたいによろしくねっ!」

 

 

 ――しっかりしてよ、(アリア)っ……! アベルのためでしょ……!

 

 

 アリアは自らに喝を入れ、アベルの温かい手から逃れる。

 

 逃れたその手を背中に回して後ろ手を組むと、彼女はにっこりと不敵に微笑んでみせた。

 

 

「付き合う前って……僕、すでにアリアが好きだったんだけど……。アリアだってそうだったよね……? 僕達、ずっと両想いで……」

 

「っ……、私はちがうもん……。アベルとは友達だったもん」

 

 

 アベルが“僕達が友達だったのって、子どもの頃だけじゃないかい?”と問うが、アリアは“違う”と言い張って下からじっと可愛く睨んで来る。

 

 アリアはアベル(自分)が告白した時、確か自分を『ずっと好きだった』と言っていた気がするのだが……。

 

 記憶違いなのだろうか……、アベルは約一年前の出来事を思い返すが、自分の記憶の中では合っていた。

 

 “彼女が記憶を改竄しているのか……?”なんて思ったが、アリアの頬が赤く膨らんでいる様子から、どうも違う気がする。

 

 

(なぜかアリアが怒っているような……? いやこれ、もしかして照れてるのかな……?)

 

 

 アベルはアリアが照れているものだと判断し、口角を上げた。

 

 

「……アリアって……、変なとこ意地っ張りだよね……。まあいいけど……(ホント可愛い……なにこの小さい生き物……)」

 

 

 ――早く結婚したい……。

 

 

 アベルの手がアリアの頭にのっかる。

 ポンポンッと、優しく撫でてやった。

 

 

「意地っ張りって……」

 

 

 アリアは不服そうだったが、アベルは いい子いい子と彼女の頭を数回撫でた後で口を開く。

 

 

「で、作戦は?」

 

「ん?」

 

「僕達は友達作戦。ビアンカには秘密なんでしょ?」

 

「あ、うん。水のリングを手に入れるまでは絶対ナイショねっ」

 

 

 アベルの友達作戦発言に、アリアが口元に人差し指を当ててニコッと無邪気に破顔し顔を上げた。

 

 ……弾けるような笑みが愛らしい。

 

 

「ふーん……」

 

 

 ――可愛いなあ……、本当、この()どうしてくれよう……キスしたいなあ……。

 

 

 アベルは笑顔のアリアに釘付けになってしまう。

 普段の控えめな微笑みも素敵だが、不意にする無邪気な笑顔もまたいい。

 

 彼女は泣かせてもいいし、怒らせても良し。

 

 ……アベルはアリアのどんな顔も愛おしくて堪らなかった。

 

 

(十八になったらアリアは僕のモノ……。今はガマンだ……!)

 

 

 アリアの言ったことなど聞いちゃいないアベルは生返事である。

 

 

「ふーんって……なに……。アベル、秘密にしてくれるんだよね? ルドマンさんに船を返すまでは申し訳が立たたないんだから」

 

「うん、まあ……黙っておくけど……、アリアは律儀だなあ……」

 

 

 アベルの様子にアリアが腰に手を当て眉を寄せると、アベルは頭の後ろを掻き掻き。

 

 

 ――無駄だと思うけどなあ……。

 

 

 ビアンカには言わなくてもバレそうな気がするんだけど……、とは言わないでおいた。

 

 そもそも、ビアンカに解ってもらうのは二の次で、ビアンカ(彼女)は勘の鋭い人だからバレる前に教えた方がいいと思っただけなのだ。

 

 アリアが言うなというなら自分からは言及しないが、二人の関係を言わない(・・・・)だけで、行動は制限されていない。

 

 約一年の間、付き合って来た自分達の行動を見られたら気付かれる気がするのだが……。

 

 アリアはそんなことも解らないのだろうか……。

 

 

 ……と、思っていたら。

 

 

「アベル、私と今から友達に戻ってね? お触り禁止だから。キスもしないでね!」

 

「な、なんでっ!? 嫌だよ!」

 

 

 唐突なアリアからのお触り禁止令が発令されると、アベルは即拒否する。

 

 

「だって、バレちゃうかもしれないもの……! 言い忘れるとこだったからよかったっ」

 

「良くないっ!!」

 

 

 アリアが楽しそうにアベルを見上げて来るが、そんなものアベルに許容できるわけが無かった。

 

 アベルはアリアの両肩を掴み彼女の顔を覗き込む。

 

 すると彼女の手がアベルの顔に伸びて、両頬を包んでいた。

 アリアは上目遣いで じぃっとアベルを見上げて来る。

 

 

「これでいいのっ! これは全部アベルのためなんだよ!」

 




アベルが成長する度アリアがどんどん幼くなっていっている……。

男の人は成長を始めるのが遅いが、伸びしろはかなり大きい。
女の人は成長が早いけど止まるのも早い……。
あ、個人的な見解です。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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