ビアンカちゃんとの再会だ、ワーイ!
では、本編どぞ。
「意味がわからない……」
アリアの手に触れられた頬が気持ちいい。
アベルは頬が熱くなるのを感じたが、彼女の言動は理解できなかった。
……けれども。
「温泉は入るから、ね? ……背中も流してあげるね?」
「わかった。アリアの言う通りにする」
アリアに“温泉+背中流し”の呪文を唱えられたアベルは反射的に二つ返事をする。
――ああ、僕はどうしてこうもアリアの意のままに動かされるのか……!
……本能が憎い。
アベルは不服ながらも了承してしまったため、自責に瞳を潤ませた。
「ふふふっ。アベルってやっさし~。そういうとこ大好きだよ♡」
「っ…………」
彼女に間近で微笑み掛けられ、アベルは息を呑む。
――ああもう、なんでも好きにしたらいい……僕は君のためなら なんだってやってやるさ……! しばらくできなくなるかもだし、とりあえず ちゅーしとこ……。
そう心に決めたアベルがアリアに顔を近付けたが。
「私たちは今からお友達だよ? 距離が近過ぎはめっ!」
むぎゅぅ。
顔を近付けるアベルを察したアリアの手に力が込められ、両頬を思い切り挟まれてしまった。
……これ以上近付くなということらしく、彼女が押し返してくる……。
「……
――そんなぁああああっっ!! さっき、一緒に温泉に入るって言ったよね!?
まさか“あとで温泉”の“
アベルの心配はそこだけらしい……。
「男に二言はないって言うよ? さあ! ビアンカちゃんに会いに行きましょう!」
アリアは にぃっと満面の笑みを浮かべてアベルから手を放すと、くるり。素早くアベルの背後に回った。
「……っ、アリア……、温泉……」
「楽しみだね~♡ ほら、早く早く! 後ろつかえてるからっ」
「……楽しみってどっち……?(温泉? ビアンカとの再会?)」
アベルが背後を窺いながら訊ねてみても、アリアが背を押してくるので、目の前の階段を上るしかない。
なんだか上手く丸め込まれてしまった気がしたが、了承してしまった手前、アベルはそれ以上なにも言えなかった。
◇
……アリアを引き連れ、アベルは再びビアンカの家の中へと足を踏み入れる。
アベル達が家に入ると、ビアンカはキッチンで夕食の支度中らしく、背を向けていた。
「ビアンカ、お待たせ」
玄関から声を掛けると、ビアンカは「ちょっと待ってね 今行くわ」……と作業していた手を止めアベル達の居る玄関へとやって来る。
「いらっしゃいアベル。用事はもう済んだの?」
「ああ、うん。あのねビアンカ」
玄関にやって来たビアンカにアベルはアリアを連れて来たことを切り出そうとした。
……ところが。
「う、ん……? あっ、もうアベルっ! 用事が済んだなら、そんなところに突っ立ってないで座って座って! 話したいことがいーっぱいあるんだからっ」
アベルが説明する前に、ビアンカは玄関に立ったまま部屋の奥に入ろうとしないアベルの腕を抱えるように掴むと、奥へと引っ張っろうとする。
「あっ、ありがとう……。ね、ビアンカ。実は君に……紹介したい人がいて……」
――ビアンカ……、胸が当たってるよ……柔らかい……。
自らの腕を抱くように掴んでいるビアンカにアベルは少々気まずさを覚え、それとなく腕を放させた。
アリアと圧が違うが、柔らかいものは柔らかい……。
男としてはちょっと得した気分だったが、今は愛する彼女の前である。
“デレデレなんかしてないからね……っ!!”と、アベルは背後のアリアを窺ってみた。
だが、アベルの目からは彼女が俯いていて、どんな表情をしているのか窺い知ることは出来ない。
アリアはアベルの後ろに立っているからか、死角に入ってビアンカからは見えていないようだ。
「え……?(紹介したい人って……?)」
「……こ、こんにちは……」
ビアンカが首を傾げる中、アベルが半歩横に身体を移動させると、その後ろからアリアが姿を現す。
アリアは小さく手を挙げおずおずと挨拶した後で微笑んだ。
「あ……。…………っ……、あなた、もしかして……!?」
「…………うわぁ……、綺麗……(ビアンカちゃん、めちゃくちゃ美人に成長してるぅぅ!!)」
アリアと目を合わせた途端、ビアンカの目は大きく見開かれ、アリアもビアンカの見目に驚きを隠せない。
……二人は互いに見つめ合ったまま数秒間、そのまま声を失くした。
「……ビアンカ、この子は……」
二人共微動だにしないため、アベルが二人の間に手を割り入れ、アリアを紹介しようとするのだが。
「っ、わかるわっ! っ、アリアっ!! あなた、アリアよねっ!?」
「ぇ、わっ!?!?」
ガバッ!!
アベルがアリアを紹介する前に、ビアンカはアリアに抱きついていた。
「ああっ、アリアッ! 会いたかった……!! 無事だったのね……!!」
「っ……ビアンカちゃん……! 私も会いたかった……!!」
――ああ~……ビアンカちゃん、綺麗過ぎるぅうう~~……! 背中に後光が差してるよぉ~!
ビアンカに強く抱きしめられ、アリアはビアンカの柔らかさを堪能する。
ビアンカもまた、アリアの確かな感触に歓喜し、より一層力を込めて
女子二人の抱擁は熱く、長く……。
「…………」
アベルは独り取り残されてしまっていたが、黙ってそれを見ていた。
――……イイ……、いいね!
女の子が仲良くしているのを見るのはいいものだ。
なるほど、柔らかいもの同士がくっつくと、あんな風に形が歪むのか……。
一方的ではなく、互いに歪め合う肌の曲線美。
アリアの大きな果実も、ビアンカの果実も互いに譲らず空気すら入り込めない程の密着感。
“ああ、あの間に挟まれたい……”などと思ったことは決して口にはすまい。
アベルは妄想し、ほんのりと頬を赤く染める。
……そうして、しばらくすると。
「っ、ビアンカちゃん……くるし……」
「ああん、やだあ! こんなに可愛かったなんてえっ!! 声までカワイイ! アベルと一緒だったからずっと心配してたのよ……!?」
抱擁の際、アリアの鼻や口がビアンカの肩口に埋まっていたせいか、アリアが根を上げた。
その声にビアンカが
……余程会いたかったのだろう、アリアを解放する素振りが全くない。
アリアは困ったような顔をしていた。
「あ、あの、ビアンカ……そろそろアリアを解放してあげても……」
――ビアンカって……こんな子だったっけ……?
今までこんなことが無かったためアベルは面食らったが、アリアが困っているようなので声を掛ける。
フローラといい、ビアンカといい、別世界の彼女達とはかなり隔たりがあるように感じた。
「なによ、どうせアベルはずっと一緒だったんでしょ? 私やっとアリアを見ることができたのよ? ちょっとくらい いいじゃない。ね? アリア♡」
「っ、……ビアンカちゃん……めちゃくちゃ綺麗になっちゃって……」
アベルの声掛けなどそっちのけでビアンカはぷぅっと頬を膨らますと、アリアと額を合わせたまま嫣然と微笑んだ。
ビアンカに間近で微笑まれたアリアは彼女の美しい笑みに魅せられ頬が熱くなる。
「やだアリアったら、お姉ちゃんでしょ! お姉さまって呼んでくれてもいいのよ?」
「はい、お姉さま……」
ビアンカが再びアリアを抱き寄せ、髪をナデナデ。耳元で優しく囁くとアリアの顔はポーッと赤く染まっていた。
ビアンカは本当、綺麗よね……。
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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!