ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

妖精の村をやっと出ましたよ~。

では、本編どうぞっ。



第五十話 目指せ、ドワーフの洞窟

「道案内は任せてよ!」

 

 

 ベラがどんっ、と胸を叩き自信満々に云うので、アベルとアリアはベラの後をついていくことにした。

 

 

 

 

 

 

 ――三人は妖精の村を出てしばらく歩くと魔物に襲われ、何度か戦闘をこなす。

 始めこそアリアは戦闘に戸惑い、時に恐怖に怯え叫んでいたが、次第に慣れて来たらしくベラと共に奮闘していた。

 

 そうして、今度は【つちわらし】三体と【マッドプラント】二体の群れと遭遇し、戦闘が始まる。

 

 【つちわらし】は、常に微笑んでいるような細い目に、茶色っぽい体、尖った耳、長く細い舌を常に垂らす、小人のようなモンスターである。

 【マッドプラント】は、緑色の丸みを帯びた植物のモンスターだ。長い触手が二本生えていて、手のように器用に動かしている。頭の先には葉っぱらしきものが三枚。口元は常に涎を垂らし、いやらしい目付きをしている。

 

 

「プックルっ、違うよっ! 攻撃はあっちだってば!」

 

 

 アベルがプックルに指示するが、プックルは言うことを聞いてくれない。

 【つちわらし】に止めを刺すよう指示したのだが、プックルは突然後ろ足で自分の首元を掻き、毛繕いを始めてしまったのだった。

 

 【つちわらし】を先に仕留めないと、仲間を呼ばれる。

 経験値は多く貰えるものの、長引く戦闘は疲弊してしまう。

 特に戦闘初心者のアリアが一緒だからか、長丁場になるのは避けたかった。

 

 そんなアベルの願いも虚しく、目の前で【つちわらし】が仲間を呼ぶ動きをする。

 

 すると、

 

 【ホイミスライム】がどこからともなく現れたのだった。

 

 

「っ、参ったな……。あっ! また仲間呼んだっ!」

 

「っ、ホイミスライムっ!! このぉっ!」

 

 

 【ホイミスライム】に気付いたベラが、【かしのつえ】で脳天を叩く。

 それでも【ホイミスライム】は簡単には倒れなかった。

 

 

「メラっ! メラっ!」

 

 

 【つちわらし】と【ホイミスライム】はアベル達に任せ、アリアは【マッドプラント】を攻撃していた。

 

 

 なんと、

 

 

 アリアは呪文を放つのが早く、右手左手と矢継ぎ早に呪文を魔物にぶつけている。

 【マッドプラント】二体は、アリアのメラで身体を焼失したのだった。

 

 

「はぁ、はぁ……、よっし! 動くウツボカズラ倒したよっ!! そっちはどうかな!?」

 

 

 ふぅ、とアリアは額に掻いた汗を拭う。

 

 

「う、動くウツボ……? っ、……僕も頑張らないと……! えいっ!」

 

 

 アリアの戦いぶりを見習い、アベルは魔物達にブーメランを投げつけた。

 その内プックルの毛繕いも終わり、戦闘に再び参加してくれると、ようやく魔物の群れを倒したのだった。

 

 

 

 

 

 

「アリアやるじゃない! びっくりしたわよ」

 

 

 戦闘が終わり、ベラがアリアの頭を撫でる。

 

 

「はぁー……、うん、何か強くなった気がする(チャラララ……って鳴ってるし……)」

 

「だね」

 

 

 アベルとアリアは二人で見合って力強く頷いた。

 レベルが上がったようだが、数値は出ないので強くなった感じ(・・)がするだけである。

 

 

 そうして三人は再び歩き出す。

 

 

「にしても、アリア、あなた呪文二つ同時に放てるのね。すごいじゃない、ポワン様に会う前は何も出来なかったんでしょう?」

 

「ね~! そうなの。自分でもびっくり! もっと色々覚えたら便利そうだよねっ」

 

 

 歩きつつ、ベラがアリアを褒める。

 アベルは黙ってそれを見ていたのだが……、

 

 

「……アリア」

 

「う、ん?」

 

「魔力は温存しておいてね。いざという時、魔力がないんじゃ困るからね?」

 

「あっ! 本当! 私ってば呪文使えるのが嬉しくってすっかり忘れてたよっ」

 

 

 魔力(MP)配分考えなきゃじゃん!

 まだ大丈夫そうだけど、ゲーム内なのに現実だから数値として見えないもんなぁ……。

 

 どこまで使うと魔力切れを起こすのか試してみないとわからないな……。

 アベルの言う通り、温存しておかなきゃ。

 

 

 アリアはアベルの言う事を即時理解したのだった。

 

 

「基本的には僕とベラ、プックルで物理的に叩くってことでいい? アリアはここぞって時に呪文で攻撃して欲しいな」

 

「そうね~、私もギラ使えるけど物理攻撃の方が好きだし、それいい考えね」

 

 

 アベルの作戦に、ベラが【かしのつえ】をにぎにぎして不敵に嗤い、頷く。

 

 

「そ、そっか。ベラちゃんさっき楽しそうにホイミスライム殴りつけてたもんね……(ホイミスライム涙目だったもんなぁ……)」

 

 

 【ホイミスライム】に止めを刺す時……フルスイングしてたよね……。

 唇に薄っすら笑みを浮かべてもいた気がする……。

 

 見た目可愛い妖精なのにいいのかな……。

 

 

 アリアはベラが攻撃している様子をしっかり見ていた。

 戦闘中、ベラは気分が高揚している様子で、とても楽しそうに見えたのだ。

 

 

 アドレナリンがドバドバと出ていたのかな、とアリアはそうなっちゃうのもわからなくもないなと思う。

 

 

「何度か一緒に戦って思ったけど、ベラって結構強いよね。力強い方なの?」

 

 

 不意にアベルが訊ねる。

 

 

「実はぜーんぜん。どちらかというと呪文の方が得意なの」

 

「え? そうなの?」

 

 

 ベラの言葉にアベルは目を丸くした。

 

 

「そうなのよ。でも、得意と好きかは別でしょ?」

 

「「なるほど~!」」

 

 

 アベルとアリアは声を合せ頷く。

 

 

 そんな話をしながら、西にあるドワーフの洞窟を目指していた。

 

 

 

 

 

 

 しばらくして――。

 

 

「……あ、あれ……? 海……?」

 

 

 アベルが目の前の景色に目を瞬かせる。

 確か、西の洞窟を目指していたはずなんだけど……? と、首を傾げた。

 

 

「あら? 私達、西に向かってたはずよね?(何で海……?)」

 

 

 ベラも方向がおかしいことに気が付く。

 

 

「本当だ……。ベラちゃんが道案内は任せてって云うから任せてたけど……」

 

「あれぇ~? こっち西のはずよねぇ……?」

 

 

 アリアの指摘に、ベラは「この先に洞窟があるはずよ、泳がなきゃね!」とか云い出した。

 

 

 泳ぐ……?

 いやいや、泳ぐったって、先に陸地見えないよ……?

 

 

 アリアは嫌な予感を覚える。

 

 

「あれぇ~って……、ベラちゃんて……、ひょっとして……」

 

「ん? ひょっとして……って?」

 

 

 アリアがベラを窺うようにじっと見つめると、

 

 

「……ベラって、村を出た事ある……?」

 

 

 それまで黙っていたアベルが口を挟んだ。

 

 

「え? す、少しなら……?」

 

 

 ベラは苦々しく唇を歪ませ笑みを形どる。

 

 

「…………アリア。僕、今すっごい嫌な予感がしてるんだけど……」

 

「あ、うん。私もそう思ってた」

 

 

 アベルが地図を取り出し眺めると、アリアもそれを覗き込んだ。

 すると、地図には妖精の世界地図が表示されており、現在地が記されていた。

 

 現在地は、妖精の村から東の外れを指していた。

 

 

「……東、だね」

 

「だねぇ……(なるほど、ベラちゃんは……)」

 

 

 はぁ、と二人は溜息を吐く。

 

 

「あっ! 東に進んでたの!? 結構歩いたからもうすぐかと思ってたのに、うっそー、村の直ぐ近くじゃない。ぐるぐる回ってたってこと? 信じられな~い」

 

 

 ベラも地図を覗き込んで、目を瞬かせ驚いていた。

 

 

「ベラって方向音痴なんだね……」

 

 

 なのに、道案内は任せてとか云っちゃうとか……。

 

 

 アベルは開いた口が塞がらなかった。

 

 

「みたいだねぇ……」

 

 

 アリアは「ははは」と乾いた笑いを浮かべる。

 

 

 とはいえ、私と一緒じゃない……? と親近感が湧いたのだった。

 

 

「アリアと一緒……」

 

 

 ボソッとアベルの口が滑る。

 

 

「しょうがないでしょ……そもそも妖精の村を……、え? なになに、アリアも方向音痴なの!?」

 

「うんっ、ナカーマ!!」

 

 

 アリアは両手の平を掲げベラに向けるので、ベラはそれにタッチしたのだった。

 女の子二人は楽しそうだ。

 

 

「っ…………、…………。頑張らなくちゃな……。ね、プックル?」

 

「がうがうっ!」

 

 

 アベルが楽しそうな女子二人の様子を見て一瞬怯むも、僕がしっかりしてれば大丈夫だなとプックルの頭を撫でたのだった。

 




何でこう、進みがノロいのか……。
もしカメもしカメ。

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読んでいただきありがとうございましたっ!

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