ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

ジャガイモは何になるんでしょうね。

では、本編どぞ。



第五百十一話 ジャガイモ

 

 

 

 

 

 アベルが床下に薪を取りに行っている間に、アリアとビアンカは調理を進める。

 

 

「……アベルって、料理……下手だったりするの?」

 

「え? あ……、そんなことな……」

 

「肉がすぐ焼けるって……、焦がしてるの間違いなんじゃない? 中まで火が通ってないんでしょ?」

 

 

 アリアは口を濁すが、ビアンカは眉を寄せる。

 

 

「あ……あははは……。ビアンカちゃんて鋭いね……(その通りです……)」

 

「プッ。やっぱりそうなんだ? うふふ。アベルって可愛いわよね。昔から可愛いんだから……」

 

「ぁ……っ、うん、ね」

 

 

 ――これ、ビアンカちゃん……アベルのことが気になってる……よね?

 

 

 優し気な笑みを浮かべるビアンカに、アリアの胸がズキッと痛んだ。

 

 

「……アリアはアベルとずっと一緒だったの……?」

 

 

 ビアンカは食材を炒めながら ちらっと野菜を刻むアリアに目をやり語り掛ける。

 

 

「……ううん……、私とアベル……十年間、離れ離れだったの」

 

「そうなんだ!?」

 

「……アベル、私と離れてた十年間とっても苦労したんだよ……。私から言うのは違うと思うから、詳しくはあとで本人から聞いて欲しいんだけど……」

 

 

 アリアは“それを語るのは私じゃない”と今は調理に集中して、ピエールから剥いた【ジャガイモ】を受け取って切ると水に浸した。

 

 

「そう……わかったわ。それじゃ、アリアはその間どうしてたの?」

 

「私……? ……私はね……ずっと寝てたよ。アベルが苦労してる間、ぐーたらとね……」

 

 

 ――ホント、アベルが辛い想いをしている間、なんで寝てたんだか……。

 

 

 もう過去のこととはいえ、愛しい者が苦しんでいる間、自分はなにも知らずにずっと眠り続けていた……、その事実にアリアは自己嫌悪する。

 

 

(パパスさんが亡くなって、アベルは独りぼっちになってしまった。“父さんが亡くなってしまうのはいつものことだから大丈夫”だと、感情が麻痺したようにアベルは笑ってた……。そんなこと、あって良いの……?)

 

 

 ――どうして私は、アベルの傍にいなかったの?

 ――どうして私は、記憶喪失になんかなったの?

 

 

 早く思い出せるといいのにと願っているが、アリアの記憶は未だ戻らない。

 そこまで考えると、不意に謎の男の言葉が蘇る。

 

 

 “記憶は似た環境で戻るだろう。また、風が運ぶこともある。そして力は徐々に解放されていくはず。”

 

 

 似た環境とは……?

 風が運ぶ……?

 

 力は徐々に解放される……?

 

 

 今はまだ考える時じゃないな……と、アリアは【ジャガイモ】を浸けた白く濁った水を交換して洗うと鍋に入れ火に掛けた。

 

 

「え?(アリア……?)」

 

 

 アリアの顔が暗く沈んでいる。

 ビアンカは調理を続けながら なにがあったのか気になってしまった。

 

 

「…………ははっ、私、八年間眠ってたんだ~。そして目覚めた時から、アベルと別れた頃の前後の記憶がないの」

 

「っ、なにそれ…………私と別れた後、あなた達に いったいなにがあったの……」

 

「……ふふっ。あとで全部話すね。私、記憶一部無いし、一人では説明し辛くて」

 

「…………うん……」

 

 

 ――アリア、悲しそう……、私でなにか力になれないかな……。

 

 

 ビアンカはせめてもと、アリアの頭をそっと撫でる。

 

 

「……ビアンカちゃん……?」

 

「……苦労したのね……」

 

 

 いい子いい子……と、ビアンカが優しくアリアの頭を撫で、微笑み掛けていた。

 

 

「ん……私は苦労してないよ。アベルが大変だっただけ……」

 

 

 ――慰めてくれてるの……? ビアンカちゃんって女神……?

 

 

 アリアはビアンカを見上げ頬を ぽっと紅く染める。

 隣に立つ金髪の美女は神々しく、女神に見えた。

 

 

(ビアンカちゃん優しい……、フローラさんもだけど、ヒロイン二人が優しくて可愛過ぎて……私が二人ともお嫁さんにしたいくらいだわ……。)

 

 

 自分が主人公なら、何周もしちゃうよ……! とアリアはドラクエⅤをプレイせずに死んだことを今更心底後悔する。

 

 アベルが二人と結婚する理由が解ってしまったアリアは嫉妬さえおこがましく思ってしまい、大人しく頭を撫でられていた。

 

 

「そう……アベルが……。じゃあアベルを褒めてあげなきゃね」

 

 

 ――アリアの髪って触り心地好い……! ずっと撫でていたいくらい……!

 

 

 ……ビアンカはアリアの髪の触り心地にご満悦である。

 細く柔らかい絹糸のようなアリアの髪に、後で絶対可愛く結ってやるんだと誓った。

 

 

「うん、ビアンカちゃんが褒めてくれたらアベルきっと喜ぶと思うな……」

 

「うふふ。まあお姉ちゃんに褒められたら嬉しいわよね! アリアも後でうんと褒めてあげるわね」

 

 

 柔らかく微笑むアリアの笑顔にビアンカは自分の顔も勝手に綻ぶのがわかる。

 

 

 ――この子、天使だわ……。

 

 

 なんて愛らしく笑うのだろう。

 お揃いの髪型にして二人で並んで似顔絵でも描いてもらおうか……。

 

 

 ビアンカはアリアの笑顔に癒され胸をきゅうきゅうと締め付けられた。

 

 

「っ……わ、私はいいよ……(えへへ。今のナデナデで十分ですぅ~!)」

 

「もう、こんなことで照れちゃって……、アリアって可愛いわねっ♡」

 

 

 ――ああ、もうダメっ、我慢できないっ……!

 

 

 アリアが控えめにやんわり断りを入れるが、ビアンカはアリアのその態度に瞳を潤ませ思わずアリア(彼女)を抱きしめる。

 

 

「っ……」

 

 

 ――ああ、お姉さまっ……! 好い匂いがしますぅ……。

 

 

 ビアンカ(女神)に抱かれてしまったアリアは頬を ぽっと紅潮させ黙り込んでしまった。

 

 このままではアリアの新たな扉が開き兼ねない。

 二人の様子を見ていたピエールはアベルに早く戻ることを勧めたいが、ビアンカとアリアの様子をもっと見ていたい気もする。

 

 ……そんなわけで、ピエール、彼はドキドキしながら使い終わった調理器具を洗っていた。

 

 

「あなたみたいな妹がいたら よかったな~」

 

「妹……?」

 

 

 ビアンカはにこにこしながらアリアの頭から手を放して、煮込んでいたスープをかき混ぜる。

 

 

「うん、妹でも、弟でもどっちでもいいから欲しかったんだけどね、出来なかったみたい。こればっかりはしょうがないよね」

 

「そうなんだ……」

 

 

 ビアンカは兄弟が欲しかったらしい。

 

 そういえば、昔から頼れるお姉さんだったなとアリアは思い出した。

 彼女は小さい頃からとてもしっかりした子で、一緒に冒険したレヌール城でアリアはビアンカに頼り切りだった。

 

 ……姉という存在は自分にはいなかったから感覚はよくわからないが、ビアンカが姉なら自慢して歩いたことだろう……。

 




ピエールの剥いたジャガイモをアリアが茹でる。

作り途中で次話へとか……w
この中途半端感www

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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