ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

薪割りやってみよー。

では、本編どぞ。



第五百十二話 アベル、薪割りをする

 

「アリア、兄弟はいるの?」

 

「え、あ……、ん~……と……」

 

 

 ――前世でなら、兄がいたけど……。

 

 

 ……ビアンカに前世の話はまだしていない。

 恐らく理解が及ばないだろうから、話すことは無いだろう。

 

 今の自分に兄弟がいるのかは記憶喪失の関係で不明だし、こちらはアベルと一緒に話す方が解りやすい。

 

 

 アリアは口を濁しておいた。

 

 

「あ、言いたくないならいいのよ? 兄弟と仲が悪い人もいるわよね」

 

「え? あ、うん……」

 

 

 ――そういうわけでは、無いけど……まあ、いいか。

 

 

 どうやらビアンカに仲の悪い兄弟がいるものだと勘違いされたようだ。

 

 

「私、ひとりっ子だったから、私が結婚したら三人は産みたいのよ。出来れば五人くらい……?」

 

「あっ、結婚……。五人って、す、すごいね……」

 

 

 ビアンカの話を聞きつつ、アリアは茹でた【ジャガイモ】を鍋からざるにあける。

 流しに白い湯気が立ち昇っていた。

 

 この【ジャガイモ】はサラダにするらしい。

 

 

「うふふ。兄弟がたくさんいた方が賑やかでしょ?」

 

「うん……、賑やかそうだね」

 

「まあ、でも五人となると……、相手にも子育て頑張ってもらわないとね」

 

「そうだね……」

 

 

 ビアンカがスープを混ぜながら話すと、アリアは茹で上がった【ジャガイモ】をボウルに入れ近くにあった【バター】を手にした。

 【バター】をホカホカの茹でイモの中に適量ぶち込み、ビアンカの買って来た【ウリナス】と【タマゴ】を混ぜ合わせる。

 

 熱々の【ポテトサラダ】からは まだ湯気が立ち昇っていた。

 

 

「アリアは?」

 

「え?」

 

「アリアは子ども何人欲しいの?」

 

「わ、私……? 結婚もしてないのにそんなこと……」

 

 

 ビアンカに訊ねられたアリアは目を伏せる。

 ……何も考えていないアリアはなんて返せばいいのやら、迷ってしまった。

 

 

「結婚はいつだってできるわ。でも、子どもを産むのは早い方がいいってお母さんが言ってた。何人欲しいかって希望くらいは考えておいてもいいんじゃない?」

 

「えと……、う~ん……」

 

 

 ――結婚できないのに……子どもの話なんて考えられないよ……。

 

 

 アリアが困り果てビアンカから目を逸らすと、プックル用に取ってあった味付け前の【ポテトサラダ】をふぅふぅと冷ましてからプックルに与えた。

 

 プックルはハフハフとちょっぴり熱そうにしながらも嬉しそうに食べている。

 ……つまみ食いが一番旨いとプックルはアリアの指までペロリで満足そうだ。

 

 

「ふふっ、アリアはきっと良いお母さんになるわね」

 

「えぇ!? そんな……、私なんて……」

 

 

 ビアンカが柔和な顔で告げると、アリアは恐縮したように首を左右に振り振り。

 プックルは折角だからとアリアの指先をペロペロと舐め続けていた。

 

 

「ふふふ、謙遜しちゃって……。アリアって料理の手際もいいし、面倒見もいいじゃない? ね~、プックル?」

 

「がうがう(そうだな、確かにアリアは面倒見は良い。我も毎度旨い飯にありつけ満足している。あとは主とくっつくだけだな……!)」

 

 

 ペロペロ、レロレロ……、べろんべろん。

 プックルの長い舌がアリアの指先だけに留まらず、手の平、手の甲と濡らしていく。

 

 

「あっ、ちょっ……プックルそんなとこまで舐めちゃヤダってば……!(くすぐったい……!)」

 

「ぷっ……! ね、プックルってアリアのこと昔から舐めてなかった? 今もなの?」

 

 

 でろでろにされた手にアリアは止めに入るが、プックルの舌撃はアリアの手首まで達しており、その表情は恍惚と……ビアンカに笑われてしまった。

 

 

「そうなの~っ! もう、くすぐったくって……!」

 

「がうがう……(最近はおもに(あるじ)が舐めてるから、我がアリアを舐めるのは久しぶりなんだが……、ウマウマ)」

 

 

 アリアの指先からプックルの唾液が滴り落ちている。

 アリアは飴にでもなった気分だった。

 

 

「プックル~? あなた唾液の量すごいんだから、アリアをあんまり汚しちゃだめよ?」

 

「がう……(だから、我は舐めてないと言っておろう……!)」

 

 

 めっ、とビアンカに額を軽く叩かれ、プックルは漸くアリアから離れる。

 相変わらず人間どもは我の話を聞いていないな……とプックルは“フゥ”と息を吐いた。

 

 

「あはっ、さすがはビアンカちゃん! プックルってば、ビアンカちゃんの言うことは一回で聞くのね!」

 

 

 ――アベルの言うこともそうだよね……。

 

 

 アリアがべちょべちょになってしまった自らの手を見下ろし、アベルとビアンカはお似合いのカップルだなと思ってしまう。

 自分はバグ……そして所詮は繋ぎの存在……、プックルが言うことを聞いてくれるわけないかと、ちょっとばかしへこんだ。

 

 

 

 

 ……そうして、アベルが戻って来るまで他愛もない話をしながら調理を進め……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……一方で、薪を取りに外へと出たアベルはというと。

 

 

「…………」

 

 

 ビアンカの家の階段を下りながら、独り顎に手を当てながら思案していた。

 

 

 ――ビアンカも、おかみさんも頻りにアリアにお礼を言ってた……いったいなにがあったんだろう……。

 

 

 

 

 “おかみさん、なぜ生きてるんですか?”

 

 

 

 

 ……などとは、失礼過ぎてさすがに訊けない。

 

 

 アリアもまだお礼の理由を訊いていないみたいだし、どうやって聞き出したらいいものか……。

 

 アベルはその内話題が出るだろう……と、まずはビアンカに頼まれた薪を取りに行くことにした。

 

 

 階段を下りて床下に行くと、そこでは農夫がなにやら鍬を手に作業中だった。

 

 

「あの、すみません」

 

「なんだおめえは。人んちの床下になにか用か? 仕事のジャマだ。用がないなら出てってくれ」

 

 

 アベルが声を掛けるなり、農夫が訝し気にアベルを見て来る。

 仕事で疲れてイライラしているのだろうか、なんだか不機嫌そうだ。

 

 ……アベルは話し掛けた理由を伝えることにした。

 

 

「ビアンカから薪を少々持って来て欲しいと頼まれて……」

 

「なーんだ! ビアンカちゃんのお使いかい? それを早く言え。どれくらい必要なんだ?」

 

 

 ビアンカの名を出した途端、農夫の表情が少々和らぐ。

 態度はぶっきら棒なままだが、アベルの話を聞いてくれるようだ。

 

 

「あ、えっとこれくらい……」

 

「そうか。んじゃ、必要な分だけ割って持ってってくれていいぞ」

 

 

 アベルが必要な分の薪の量を身振り手振りで説明すると、農夫は切り株の上に刺さった斧を指差し、割っていけと言う。

 

 ……その傍には割った薪があるというのに、なぜ……。

 

 

「え? そこにあるのは……?」

 

 

 アベルは不思議に思い、訊ねる。

 

 

「ん? あれか? あれは宿屋と酒場に届ける分だ。今日はお願いされなかったからダンカンさん家の分は作ってねえぞ。もうちょっとで今日の作業は終わりなんでな」

 

 

 農夫は今日の薪割り作業はもう終わってるから もうやりたくない。欲しいなら自分でどうぞ、と今は藁積みの作業をしているらしい。

 ……それも もうすぐ終わりなんだそうだ。

 

 

「……わかりました。じゃあ、勝手に持って行きます」

 

「おー、そうしてくれ。丸太はそこのを使っていいぞ」

 

 

 アベルはすんなり薪を分けてもらえないことがわかり、仕方がないので薪割りをすることにした。

 

 これも初めての経験だが、薪割り作業自体は修道院生活中や、旅の間に何度かやったことがあるため問題ない。

 

 

「……よし、じゃあやるか!」

 

 

 アベルは近くに無造作に置かれた丸太を作業台兼切り株の上に置くと、斧を振り下ろす。

 

 

「おめえ、なかなかいいフォームしてるな。ついでだからこっちも割っといてくれるか?」

 

「え」

 

 

 不意に農夫が丸太に斧を振り下ろすアベルのフォームを褒め、恐らくは自分の仕事であろう明日の作業分の丸太を指し、薪割りをアベルに押し付けて来た。

 

 

「明日頼まれてる分だ。ビアンカちゃんも喜ぶぞ」

 

「あ、はい。わかりました」

 

 

 アベルは 食事をご馳走になるし、ビアンカが喜ぶなら……と農夫の押し付けを快諾する。

 

 農夫はアベルが引き受けると機嫌が良くなったのか、鼻歌を歌いながら藁積み作業に戻って行った。

 

 

「…………(結構あるな……)」

 

 

 農夫に指定された丸太は四、五本。

 今必要な分は丸太二本分。

 

 アベルは一本目を切り株の上にのせ斧を振り上げる。

 

 

 ――さっさと終わらせて戻らないと……。

 

 

「ふんっ!」

 

 

 大変ながらも薪割りをしながら やはりこの世界は今までの世界となにもかも違うのだ、と……農夫の鼻歌が移ったのか、アベルの鼻からは同じく鼻歌のメロディが零れ落ちる。

 

 

 今回の初めて(・・・)は とても気分良く感じたアベルだった。

 




なんだかんだでアベルは良い人である。

なお、ジャガイモはポテトサラダになりました。
DQB2で【ジャガイモ】【ウリナス】【タマゴ】で作れます。
我が家のポテサラはウリナスは入れないがバターは入れるので入れといた。

DQB2クロスオーバー(主に食べ物)好き過ぎるwww

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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