やって来ました、ドワーフの洞窟。
では、本編どうぞっ。
ベラやアリアに任せていては、目的地に辿り着けない。
そう思ったアベルは地図を頼りにドワーフの洞窟を真っ直ぐ目指していた。
「見えて来た……。ドワーフの洞窟……」
一行の目の前に洞窟の入口が見えて来る。
アベルは【ふしぎな地図】を袋に仕舞うのだった。
始めからこうすれば良かったな……。
けど……まあ、いいか。
アベルはちらりとアリアを見て、目を細める。
アリアはベラと「始めからアベルに任せれば良かったね~!」「ホントホント」などと楽しそうに言い合っていた。
つい先程魔物の群れに襲われた時、アリアはもう怯えてはいなかった。
幸いなことにベラのお陰で迷った間、戦闘は多かったもののアリアを鍛えることが出来たので、無駄にならずにすんだのである。
◇
「……つ、着いた……。はぁ……」
ドワーフの洞窟に入ると、ここに来るだけで疲れたのか、アベルは一先ず一息吐く。
「すっごーい! アベル、ここがドワーフが居るっていう洞窟だねっ」
アリアは洞窟内を見渡す。
洞窟内は例によって明るく、見通しが良かった。奥は随分と広そうだ。
……サンタローズの洞窟の時は、何が何だかわからない内に終っちゃったけど、ここはしっかり見ておこうっと。
アベルが立ち止まっているので、あまり遠くには行かないようにしながら遠くを見ると、魔物が歩いているのが僅かに見えた。
魔物、やっぱいるよね~……。
「……みたいだね。この辺りは変な気配もないし、ちょっとだけ休んだら行こっか」
「うん。そうだね、ここまでの道案内お疲れ様、ありがとね」
どういたしまして、とアベルはアリアに告げて、その場に腰を下ろす。
アリアも「私も休んでおこうかな」と隣に座った。
「こんな所に洞窟があるなんて、全然知らなかったわ。一体この奥はどうなっているのかしら」
ベラは少しだけアベルとアリアから離れ、奥へと歩いて行く。
「ベラちゃん、気を付けてね。さっき魔物が奥に見えたから……」
「大丈夫よ」
アリアが止めるのを無視してベラは奥へと独りで行ってしまう。
「……大丈夫かな?」
「……うーん……、多分……?」
ベラが一人で行動するなんて初めてだから、僕には予想もつかないや。
……アリアと居ると不思議なことばっかり起こるなぁ……。
アベルは隣に座るアリアをつい見てしまうのだった。
「アリア、君は一体どこから来たの……?」
「え……、それがわかったら苦労しないよ?」
「あ、そっか……、それもそうだね」
「ふふっ。私、アベルとお別れしたら、自分探しの旅でもしようかな」
“お別れしたら”
アリアが急にそんなことを云い出すので、アベルは目を見開く。
「えっ……お別れって……?」
「えっと…………、ポワン様がね……。暫く妖精の村に居てもいいって云ってくれて……。ほら、この世界だと私、みんなから見えるでしょ? 人間界だと、アベル以外には見えないみたいだから不便じゃない?」
アベルに迷惑掛け続けるのも悪いしね……、とアリアはアベルとベラが買い出しに出ている間、ポワンと話していた内容を伝えたのだった。
「……っ……で、でも妖精の村に居たって、君の過去がわかるわけじゃないよね!?」
アベルの声が上擦る。
「……そうだけど……、妖精の村で暫く暮らしながら身体を鍛えるのもいいかな~って。ポワン様も情報集めてくれるって云ってたし……」
ポワン様って優しいよねと、アリアは得体の知れない“天空人”とやらを快く受け入れてくれる彼女を尊敬していたのだった。
【どくばり】は怖かったけどね……とそこは忘れてはいないが。
「……っ、急にそんなこと云われても……」
アリアの話にアベルの胸が冷えていく。
「……ごめんね、アベル。氷の館で春風のフルートを取り返すまでは迷惑掛けちゃうけど……よろしくね」
「迷惑なんて思ってない……」
「え……?」
「迷惑だなんて思ってないよっ!!」
アベルは急に立ち上がり、眉間に皺を寄せ走って行ってしまう。
プックルはアベルを追うのかと思ったが、その場に留まっていた。
「あっ、アベルっ!?」
アリアも彼を追うのだった。
「がうがうっ!」
プックルはアリアの後について行く。
アベルから以前言われた頼みをきちんと理解していたプックルは、アリアの傍を離れないというのを守っていたのだった。
◇
アベルが洞窟奥へと走って行くと、ベラが赤い小さなドラゴン、【メラリザード】と戦っていた。
「っ、ベラっ! 何してんのっ!?」
「あっ! アベル、丁度いい所に! メラリザードに気付かれちゃって!」
アベルに呼び掛けられ、ベラは【メラリザード】を殴りつける。
すると、【メラリザード】は大人しくなった。
「っ、何で戻って来なかったの!?」
「戻ろうと思ったんだけど……。…………迷っちゃったっ」
テヘペロ!
ベラは舌を出しておどけてみせる。
「あぁ……、そっか……方向音痴……。……プププッ!」
アベルは笑い出す。
アリアが存在するだけで、こうも違うのかと笑うしかなかった。
「はぁ、はぁっ、二人共無事っ!?」
「あ、アリア! あなたこそ……!」
アリアがアベルとベラの元に走って来ると、ベラはアリアの後ろを指差した。
アリアの後ろには丸い身体に全身トゲを生やした、オレンジ色の魔物、【スピニー】の群れが走って来ていた。
「え……? うわぁあっ!! いつの間にっ!?(動きが可愛い! けど、トゲトゲが痛そう!)」
「っ、アリアこっち!」
アリアが背後を首だけ向けちらりと確認し、アベルに声を掛けられ手を伸ばす。
「アベルっ!」
アリアはアベルの手を取り力強く引っ張られると、アベル達と横並びで【ひのきのぼう】を構え、【スピニー】の群れを迎え撃つのだった。
アベルは女の子達に振り回されてばっかりですね。
お疲れかもしれませんが、頑張ってもらいたいと思います。
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読んでいただきありがとうございましたっ!