ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

緑の液体って、アレです。

では、本編どぞ。



第五百二十一話 緑の液体・再

 

「……アベル、ずいぶん大人になったよね。格好良くなっちゃって……」

 

 

 ビアンカがアリア越しにアベルの方へと目線を向けて呟く。

 

 

「…………うん」

 

 

 ――やっぱり、ビアンカちゃんはアベルのこと……。

 

 

 アリアはアベルには背を向け、ビアンカをじっと見ていた。

 

 

「……私ね」

 

「うん」

 

「……実はアベルのこと、ずっと好きだったんだ……。あ、アベルにはナイショね」

 

「……………………そっか、うん……」

 

 

 ――そりゃあ……そう、だよ……ね、そう来るよね……!

 

 

 優し気に自分の背の向こう、アベルを見るビアンカに、アリアは胸の痛みを感じたが柔和な顔を崩さないように穏やかに応える。

 

 

「……アベルってちょっと変なこと言う子だったけど、可愛かったよね」

 

「うん」

 

「……アリアは……?」

 

「え?」

 

「アリアはアベルのこと……」

 

 

 急にビアンカに問われ、アリアは息を呑んだ。

 

 

「っ、……私はほら、守護天使だからさ。天空人だし? 少なくとも、小さい頃はアベルのこと、弟……ていうか、息子……? くらいにしか思ってなかったよ」

 

 

 ――声、震えてない……大丈夫。

 

 

 なんとか言い切ったアリアの口角は上がり、笑顔を湛えたままである。

 

 

「……アリア……、それって」

 

「……ふふっ、アベルはどっちと結婚するんだろうね~?」

 

 

 ビアンカが続けて訊ねようとしたが、アリアは意図せず被せてしまっていた。

 

 

「え? どっちって?(フローラさんと……誰かってこと……? どういうこと?)」

 

 

 ビアンカの目が不思議そうに丸くなる。

 吸い込まれそうなアイスブルーの瞳をぱちぱちと大きく瞬かせていた。

 

 

「……あ、なんでもない。……ふわぁああああ……、ビアンカちゃん。私、眠くなっちゃった。寝ていいかな?」

 

 

 ――やばっ、余計なこと言っちゃった……! って言えた!?

 

 

 つい口が滑ってしまったが、息苦しくはない。

 ……見逃してもらえたのだろうか。

 

 だが、いつ干渉されるかはわからないから、これ以上は言わない方が良いだろう。

 

 アリアはこれ以上余計なことを追及されない内に寝るのが得策として、大きな欠伸(あくび)で誤魔化すことにした。

 

 

「あ、うん、おやすみアリア」

 

「うん、おやすみなさい、ビアンカちゃん……」

 

 

 ――ビアンカちゃんはやっぱりアベルが好き……、そして、フローラさんも……。

 

 

 ビアンカに断りを入れて目を閉じたアリアだったが、ビアンカが寝付いた後も中々寝付けないでいた。

 

 寝返りを打ち、アベルの眠るベッドに目を向ける。

 

 

(……ふふっ、気持ち良さそうに寝てる……。よかったね、アベル。花嫁候補の二人はあなたのこと、大好きみたいよ……?)

 

 

 アベルが幸せになれそうでよかった……、これで自分も安心して離れられる。

 

 ……アリアはぐうぐうと寝息を立て、珍しくぐっすり眠るアベルの姿を穏やかな瞳で見守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、夜が明けた……。

 

 

「おはよう! アベル。昨日はよく眠れた? 今、朝食の支度をするからしばらくしたら起きてきてね」

 

 

 アベルが目を覚ますと、ビアンカが顔を覗き込んでいた。

 

 

「ぅ……、おはようビアンカ……、アリアは……?」

 

「アリア? アリアならキッチンでお手伝いしてくれてるわ」

 

「そっか……ぅ……(飲み過ぎたな……)」

 

 

 ズキズキと、アベルの頭が締め付けられるように痛む。

 

 

 ――昨日……なんだっけ……、アリアが余計なこと言った気がするけど……気のせいだよね。

 

 

 アベルが上半身を起こし頭を抱えると、ビアンカはキッチンの方へと行ってしまった。

 

 

「主殿、おはようございます」

 

「がう」

 

「二人ともおはよ」

 

 

 ――アリアの顔が早く見たいな……。

 

 

 傍に控えていたピエールとプックルが挨拶してくれるので、アベルも返す。早くアリアの顔が見たいとアベルはすぐにキッチンへ向かった。

 

 

「アリアおはよう(あ、いつもと髪型が違う、カワイイ……)」

 

「おはようアベル! 早速これ、飲んで?」

 

 

 キッチンに着くと、髪を二つに結んだアリアが起きて来たアベルに気付き、緑色の液体が入ったガラスコップを差し出して来る。

 

 ……ガラスコップからはモワワンと緑の異臭がしていた。

 

 

「え、これ……」

 

「フフフ……」

 

 

 見覚えのある緑の液体に嫌な予感を覚えたアベルは一歩後退った。

 ……アリアは不敵な笑みを浮かべている。

 

 

「キ、キアリーを……!」

 

「フフフ……、魔力を無駄に使ってはダメだと仰ったのはどちらさまでしたっけ?」

 

「くっ……。けどあの時は一緒に……! 口うつ……」

 

「っ! だ、大丈夫だよ。ちゃんとミカンの果汁も入れたから飲みやすいはず!」

 

 

 アベルが“口移しなら飲んでやる”と言いそうになった気がしたアリアは慌ててコップをアベルに押し付けた。

 

 

「……そうなんだ……」

 

 

 ――それでも口移しして欲しかった……。

 

 

 アベルは仕方なくコップを受け取り、緑の液体を飲み干す。

 口に広がる臭いはやはり緑の大草原だったが、ミカン果汁のおかげで以前よりは飲みやすかった。

 

 

「……飲んだ」

 

「ん」

 

 

 飲み干したコップをアリアに返すと、アリアは当たり前のように受け取り流しへと持って行き洗う。

 

 アベルは床下に井戸があったことを思い出し、顔を洗ってこようと一度外に出ることにしたのだが……。

 

 

「…………アベル、アリアに頼り過ぎじゃない?」

 

 

 家を出ようとしたところで、玄関傍に置いた収納箱の食材を取りに来たビアンカに声を掛けられた。

 

 

「……え?」

 

「……守護天使って、二日酔いの世話までしてくれるものなの?」

 

「あっ、いやっ……えと……、アリアは優しいから……」

 

 

 ――アリアは僕のことを愛してるから世話してくれてるだけだよ……!

 

 

 ビアンカに訊ねられて、アベルは心の内とは違うことを返す。

 

 

「そうよね……、あの子すごく優しい子よね。でも、あんまりその優しさに甘えちゃダメよ? あなたはフローラさんと結婚するんだもの。守護天使って言ったって、見た目はただの女の子よ? あんなやり取り見せられたらフローラさんヤキモチ焼いちゃうわよ」

 

「っ……わかってる……」

 

 

 ――僕はフローラさんと結婚なんかしないのにっ……!!

 

 

 ビアンカが眉を寄せて(たしな)めて来るので、妬いているのはビアンカなのか……どう捉えたらいいものか……。

 

 アベルは首を縦に下ろしつつ、昨夜アリアが言った余計な一言は夢じゃなかったのだと唇を噛んだ。

 

 

「下で顔洗って来るね」

 

「わかったわ」

 

 

 アベルはビアンカに告げて井戸に向かった。

 




ビアンカに先制攻撃をされたアリアの回でした。

あ、そうそう。
Ⅹをプレイ前に毒消し草汁を書いたので、毒消し草茶っていうのがⅩに出て来てびっくりした思い出。

今回は毒消し草+果物ってことで飲みやすくしておりますw

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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