ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

525 / 822
いつもありがとうございます、はすみくです。

水門を開けられるのは……。

では、本編どぞ。



第五百二十三話 水門を開けられるのは私よ

 

「ねえ……。食べながらで いいから聞いてくれる?」

 

「え? あ、うん……」

 

 

 朝食を食べ進めていると、ふとビアンカが話し始めるので、アベルはスープを口にしながら頷く。

 

 

「昨日あれから考えたんだけどね。水のリングを探すの私も手伝ってあげるわ! だってアベルには幸せになって欲しいもんね。いいでしょ?」

 

「っ、そ、それは……」

 

 

 ――断った方がいいかな……!?

 

 

 このままだとビアンカまで【水のリング】探しについて来ることになる。

 それでは別世界と同じになってしまう……!

 

 

 気付いたアベルは首を横に振っていた。

 

 

「あら いいの? 私がいなきゃ水門を開けられないわよ。だからいいでしょ?」

 

 

 ビアンカは食事を終え、使った皿を重ねながらアベルに涼し気な笑みを送る。

 

 

「っ、けど、ビアンカ忙しいんじゃ……? 付き合ってもらうのは悪いよ……」

 

「ん~……建設作業は私がするわけじゃないから、お母さんに時々見に行ってもらえばどうにかなると思うの」

 

「けど……」

 

 

 ――早くアリアと二人きりになりたい……!

 

 

 食い下がるビアンカにアベルは断る理由を見つけられず、アリアに助けを求めるように彼女を見つめた。

 アリアはビアンカを見ていてアベルの視線には気付いていないようだ……。

 

 

「水門を開けられるのは私よ? いいの?」

 

 

 ビアンカは腕組みして胸を張る。

 断れるものなら断ってみなさいという態度である。

 

 

「……アベル。ビアンカちゃんまた三人で冒険したいんだって」

 

 

 ビアンカの言葉を受けてアリアがアベルに目を転じると、目を細めていた。

 

 

「っ、アリア……。いいのかい?」

 

「え? もちろん! ビアンカちゃんは呪文が使えるし、頼もしいじゃない!」

 

 

 アベルが弱り目で訴えるも、アリアはご機嫌な様子ではにかみプックルに野菜サンドを与える。

 ……プックルは嬉しそうに頬張っていた。

 

 

「そうよね~! アリアは話がわかるわね~! さあ、アベルどうするの?」

 

「…………っ、アリアがそう言うなら……」

 

 

 喜ぶビアンカの反面、アベルは渋々といった表情で承諾する。

 

 

 ――ビアンカがいたらアリアに濃厚なスキンシップが図れないじゃないか……!

 

 

 アリアを温泉に入れてあげたいし、未来も変えなきゃならない。

 こうなったら、プランDを考えなければ……。

 

 早急にプランの練り直しが必要だ。

 

 

(僕よ考えろ、考えるんだ……!)

 

 

 ……アベルは頭をフル回転させ、どうにか別世界とは異なる展開へと向かうよう努力することにした。

 

 

「うふふ。また一緒に冒険ができるわねっ。出掛けるときは私に言ってね」

 

 

 ビアンカが嬉しそうに破顔する。

 

 

(……くっ、ビアンカが可愛い……!)

 

 

 アベルは別世界の自分の記憶に引っ張られ、ビアンカの美しい笑顔にしばし見惚れた。

 

 

「ふふっ、私もがんばるね~!」

 

「うん、期待してるっ」

 

 

 アリアも微笑み掛けてくれ、アベルの顔は自然と綻んでしまう。

 

 毎度のことながら、別世界の枠組みを抜けるのは容易ではない。

 どうあっても大枠は変わらない世界だ。

 ビアンカがついて来るというなら しょうがない。

 

 ……ならば考え方を切り替えるんだ。

 

 

 ――よし、可愛い二人と一緒に行こう! それもまたいいよね……!

 

 

 アベルは可愛い女の子二人を侍らせ洞窟を歩く自分を想像してみた。

 

 

 

 

 “……………………、……おお♡♡”

 

 

 

 

 ……なかなか良かったらしい。

 

 

「ウヘヘ♡」

 

「アベル殿……ヨダレが……」

 

「っ、あっ、うん!?」

 

 

 ――しまった……! トリップしてた……!

 

 

 ピエールにツッコミを入れられ、アベルは慌ててハンカチで口元を拭う。

 

 

「ふふ、アベル今変な顔してたわね……大丈夫?」

 

「うふふっ、面白かったね(もぅ……邪なこと考えてたな……)」

 

 

 ビアンカとアリア二人に笑われ、アベルはいまさらだが背筋をピンと伸ばし、キリッと顔を引き締めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、朝食を摂り終え、いざ出発……と思いきや。

 

 ……そうではなかった。

 アベルは食後の【コーヒー】を飲み終え独り静かに立ち上がる。

 

 

「あらアベル。もう出掛ける?」

 

「いや、まだ準備が整ってないから。……アリア」

 

 

 アリアにリンゴを勧めながらビアンカがアベルに声を掛けた。

 向かいの席では すっかりビアンカに餌付けされたアリアがリンゴをシャリシャリ。

 リスのように咀嚼しているではないか。

 

 ……それを隣のビアンカがうっとりと嬉しそうに見守っている。

 

 昨晩 自分が酔い潰れている間にいったい二人の間でなにがあったのだろう。アベルはアリアとビアンカのイチャイチャを見せつけられて面白くなかった。

 

 

「……このリンゴおいしいね……、あっ、アベル、私も行く?」

 

「うん……、よろず屋と、武器もちょっと見ようかなって」

 

 

 アベルに呼ばれて機嫌よくリンゴを食していたアリアはハッとアベルを見上げる。

 

 

 ……ところが。

 

 

「はい、アリア。このメロンもどうぞ。いっぱい食べてね」

 

「わぁ うれしい♡ くだもの大好きなの。ありがとうビアンカちゃん♡」

 

「ふふふっ、私も~。一緒だね~♡」

 

 

 ビアンカが切ったオレンジ色の果肉の【シャイニーメロン】にフォークを突き刺し、アリアの前に差し出したのだ。

 

 アベルの呼び掛けに応じていたアリアだったが、目の前に【シャイニーメロン】を出されそちらに釘付けになってしまう。

 

 アリア(彼女)は差し出されたフォークを受け取ろうとたものの、ビアンカが彼女の口元に持って行くので、そのままパクっと齧りついていた。

 

 

「んっ! おいひぃ……♡ じゅわぁってトロける~♡」

 

 

 ――ああ、この瞬間だけは手放しで異世界バンザーイ!!

 

 

 口の中いっぱいに広がる甘みにアリアは感動し、目を閉じ堪能する。

 甘みを知覚する味蕾から入り込んだ味覚は、脳に喜びを運び多幸感を呼ぶ。

 

 果物というものは異世界でも安定して美味いのだなとアリアの顔は綻び、幸せの国へとトリップしていた。

 

 

 ……そんな時、ボソッとビアンカが呟く。

 

 それはアベルがトリップ中のアリアの元へ行き、連れて行こうとした時だった。

 

 

「ンフフ。アリアって小動物みたいで可愛いわね。翼が付いてたら逃げられないように鳥カゴに閉じ込めておきたいくらいだわ♡」

 

「え」

 

 

 ビアンカの不穏な言葉が聞こえて、アリアの肩に触れようとしたアベルの手が止まる……。

 

 

 ――アリアを……鳥カゴに……?

 

 

 アベルは眉を寄せビアンカを見つめた。

 

 

「ふふっ、冗談よ。天使を見世物にしたらお客さんが来るなんて考えてないから。あ、でも“天使像”を作って飾るのはありかもね!」

 

「…………」

 

 

 “アリアにモデルになってもらおうかしら”……なんて、ビアンカの思いも寄らぬ言葉にアベルは黙り込んでしまった。

 




ビアンカと共に行くのは決定事項なのです。

うわー三角関係になって来ましたねー、うわー、楽し~www

----------------------------------------------------------------------
読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。