ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

ペラペラと。

では、本編どぞ。



第五百二十五話 お喋りなよろず屋

 

 

 

 

 

「いらっしゃい。ここは よろず屋だよ」

 

「昨日はどうも」

 

「おお、昨日の! いや、こっちも助かったよ。なにか入り用かい?」

 

「えっと……」

 

「売り物は いろいろあるでよ。どれにするかね?」

 

 

 よろず屋に着いたアベルはカウンタ―に並べられた旅の道具を見下ろし、顎に手を当て吟味する。

 

 

「ねえアリア、聖水ってまだあったよね?」

 

『…………まだあるけど、10こ追加で』

 

 

 アベルがアリアに訊ねると、彼女はアベルの背後に隠れるようにしてコソコソと返事をした。

 

 

「? …………了解」

 

 

 ――アリアなんで隠れてるんだろう……。

 

 

 アリアの行動の意図はよくわからないが、返事が来たので【せいすい】を十個買うことにした。

 

 

「薬草と聖水を十個ずつ下さい。はい、これ280ゴールドね」

 

「薬草と聖水を十個ずつだね。はいよアベルさん」

 

 

 アベルが注文分の料金を支払うと、店主は【やくそう】と【せいすい】十個、それに【キメラのつばさ】をひとつくれた。

 

 ……【キメラのつばさ】を受け取ったアベルは目を瞬かせる。

 

 

「え……これ……、僕 頼んでないですけど……?」

 

「へへっ、昨日迷惑を掛けたお詫びだ、貰ってくれ。後ろの嬢ちゃん、まだ怒ってるのかい? 口が滑って悪かったよ。おまけしといたから機嫌直してくれな?」

 

 

 店主は身体を横に倒しながらアベルの背後にいるアリアに片手を軽く挙げ、はにかんでいた。

 

 

「ぁ……、ぃぇ……、別にそういうわけじゃ……」

 

 

 ――私に気付いてたの!?

 

 

 アベルの後ろにいれば見つからないと思っていたアリアは、ぴょこっとアベルの腕横から顔を出すと苦笑いを浮かべる。

 

 

「嬢ちゃんはホ~ント、この兄ちゃんのこと大好きなんだなあ!」

 

 

 アリアと目を合わせた途端、店主の目が輝いた。

 

 

「えっ」

 

「なっ!? なんですと……?」

 

 

 店主の言葉にアベルは自らの腕から覗くアリアを見下ろす。

 アリアは目を丸くして店主を見ていた。

 

 

「そんな……兄ちゃんのマントを必死に掴んじゃって…………放したくないんだな……! なんていじらしい……」

 

 

 店主は口元に手を添えて、わざとらしく目を(しばた)かせる。

 

 確かにアリアはアベルのマントを掴んではいたが、それは隠れるためであって、他意はない。

 指摘された彼女はゆっくりそ~っとアベルを見上げた。

 

 すると、アベルが優し気な瞳でアリアを見下ろしているではないか。

 

 

「っ……!」

 

 

 瞬時にアリアの頬が真っ赤に染まり、彼女は慌ててアベルのマントから手を放す。

 

 

「……絶対逃すなよ!」

 

「な、なんで……そういうことばっかり……言うのっ!!」

 

 

 ――ヤダァアアアア~~~~!!

 

 

 ……店主にサムズアップとウインクを送られたアリアは、脱兎のごとくその場を逃げ出し駆けて行った……。

 

 

「あっ、アリアっ! すみません、僕も失礼します!」

 

 

 アリアのすぐ後ろをピエールがついて行ってくれたため、さほど心配はしていないが、アベルも直ぐに彼女を追う。

 

 

「また 来てくんなよ!」

 

「はいっ、ぜひっ!」

 

 

 背中に掛けられた声に、アベルは首だけ軽く後ろに向けて会釈し、よろず屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アーリアっ♪」

 

「いやぁああ……、違うもん。違うんだから……」

 

 

 アベルが普段から“アリアはすぐいなくなる”と伝えていたからか、アリアはよろず屋を出てすぐのところで頭を抱えて待っていた。

 その顔は一目でわかるほどに紅く染まっており、熱でもあるんじゃないかと心配してしまうほどである。

 

 

「……そんなに恥ずかしがることなくない?」

 

 

 ――アリア顔が真っ赤だ……、僕のことそんなに好きなんだ……。

 

 

 心配したアベルがアリアの様子を窺うが、彼のその顔は喜びに満ち溢れ笑顔を隠せない。

 

 

「うぅ……、私、あなたの後ろに隠れて見えなかったよね……? なんであのおじさんベラベラと余計なことばっかり言うの……?(なんでアベルはうれしそうなのよぅ……)」

 

「僕はうれしかったよ。僕のマントずっと掴んでくれていいよ!」

 

「ぅ……」

 

 

 ご機嫌なアベルとは対照的に真っ赤な顔のアリアは眉を寄せ、不満顔である。

 

 

「アリア、僕を逃がさないようにね?」

 

「っ……アベル逃げちゃうの……?」

 

 

 したり顔で首を傾げるアベルにアリアが伺う。

 

 

「う~ん、どうかなぁ~?」

 

 

 アベルは今度はおどけてみせていた。

 

 

「……アベルが逃げちゃったら 私、どうしようかな……」

 

「ん?」

 

「…………、誰か……、一緒に旅をしてくれる人を探さなきゃね……」

 

 

 ――アベルほど強い人なんてそうはいないよね……、早めに探さないと……。

 

 

 アベルとはどの道別れるわけだから、代わりの旅の仲間を探さねばならない。

 オラクルベリーやポートセルミで探してみるのもいいかもしれない……。

 

 

 ……アリアはつい今後のことと繋げて考えてしまった。

 

 

「っ、アリアサンッ? それちょっと聞き捨てならないんだけど? そこは“追いかける”一択でしょ!? 僕の代わりなんていないでしょーが!」

 

 

 アベルが抗議の声を上げる。

 

 

 ――今の会話の流れのどこに、別の男を探す話に繋がる……!?

 

 

 別の“男”……とは……、アリアは決して性別を限定していないのだが、アベルはそう捉えたようで、途端にムスッと唇を尖らせた。

 

 

「え…………あ、ふふっ、なるほど! そっか。追いかければいいのね」

 

「アリア……、僕を追いかけてくれるよね……?」

 

 

 アリアがポンッ、と手を打ち微笑むとアベルの顔は今度は不安顔である。

 

 

 ――アリア、僕のこと好きだよね……!?

 

 

 アリアは僕を好きなはず。

 ……いや、絶対好き。

 

 

(でなきゃ僕に触ったり、触らせたりしないもんね……!!)

 

 

 落ち込みそうになる気分を奮い立たせ、アベルはアリアに訊ねていた。

 

 

「アベルが逃げなければいいんじゃ……?」

 

「そうだけどっ……!」

 

 

 ――そこは“追いかける”と言って欲しかった……! 素直じゃないんだから……そういうとこも好きだよっ!

 

 

 きちんと言及せず、はぐらかすのは彼女のいつも。

 ……恥ずかしがっているのだろう。

 

 アリアの答えはアベルの望んでいたものではなかったが、彼女が優しく微笑んでくれていたので甘んじて受け入れることにした。

 

 

(ハハ……、僕ってアリアに弱いよねー……。)

 

 

 アベルが自嘲している間に、アリアの顔はすっかり元通りの白い肌だ。

 

 

「ふふっ、さて……次は武器屋さんかな?」

 

「え? あ、ああ……。そこの階段を上がってすぐだよ」

 

「りょーかーい! じゃあビアンカちゃんも待ってるし、早く行こっ!」

 

「あっ、アリアっ!」

 

 

 次の目的地をアベルに教えてもらったアリアは目と鼻の先にある階段を上って行った。

 




よろず屋で他にも色々買う予定だったのですが、アリアが嫌がって逃げちゃいました……。
食料も買いたかったけど、ビアンカから貰おうと思います。

あ、食料はよろず屋で売ってる体で書いてます。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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