ドワーフの洞窟進んでません……の巻き。
では、本編どうぞっ。
戦闘はアベルの【ブーメラン】攻撃と、ベラの【ギラ】で一掃(【ギラ】は【メラ】に似たような呪文で、【メラ】は単体にしか攻撃できないが、【ギラ】は魔物同士近くで固まり、グループを組んでいるような魔物を複数燃やしてくれる)。
【スピニ―】の群れはあっさり倒された。
三人はゴールドと、【スピニー】の落とした宝箱から【やくそう】を手に入れる。
ベラが怪我をしたので、手に入れた薬草を渡すと噛み砕いて回復させたのだった。
「……スピニ―って……、トゲピーに通ずるものがあるね……」
「え……? トゲ……?」
「あ、いや……」
ポケ〇ンのことです……なんて言ってもわからないよね……、違うゲームだし、会社違うし……。
アリアはぽりぽりと頬を掻いた。
その横で、
「私、洞窟に入るのって初めて。そもそも妖精の村からさえあまり出ることなかったし……」
薬草を食べ終え、回復したベラは改めて洞窟を見渡す。
「……それでよく“道案内は任せてよ”って云ったねえっ」
アリアは呆れ、逆に感心してツッコミを入れてしまった。
「え? あ、アハハ……。いや、ほら、アリアに良いとこ見せてあげようかなーって思ってね。天空人に恩を売っておくのも良いでしょ?(出世したいし!)」
「結局売れてなかったけどね……(って、私、天空人……なのかな……?)」
天空人って何なんだろう……?
天使のこと……よね?
アリアは自分の背に生えた翼を見て、天空人と云われても、いまいちぴんと来なかった。
ドラクエⅣに天空人が出て来るが、アリアはそこまでプレイが追い付いていない。
「ま、まあいいじゃないの! さっきギラで魔物をまるっと倒してあげたんだから! 貸しにしとくねっ」
ベラには何か思惑があるのか、愛想笑いしアリアにそう告げたのだった。
「……ははは……(ベラちゃん、何か企んでる?)」
アリアはベラの笑顔に何かある気がして、同じように愛想笑いをお返ししておいた。
「二人共、そろそろ行こう」
アベルの一声に、二人は「うん!」と返事して、歩き出す。
◇
少し歩くと、看板が見えて来る。
「あっ、看板が立ってるよ。道案内かな?」
アリアは看板の方へと走って行って、書かれた文字を眺めて「えーと……。うーん……」と唸っていた。
……読めないらしい。
「……僕が読んで……えっと……」
「アベル読めるの? 読んであげようか?」
アベルも看板に近付き読もうとすると、ベラが訊いて来る。
「ううん、僕読めるよ。【無用の者立ち入るべからず】……だって」
と、アベルは
「あら、そうだったの? アベルまだ小さいのに偉いわね」
「それほどでも……」
ベラに褒められ、アベルは後ろ頭を掻く。
「すごーい! アベル読めるんだ! 私なんかもう……、何が書かれているのかちんぷんかんぷんで……」
そもそも、日本語じゃないから読めなくて当たり前なんですけどね!
記号みたいだな……。
カッコイイわ……。
アリアは看板に書かれた文字に触れ、ひらがなや漢字とは違うよなぁと興味津々で眺めていた。
「……アリアって……文字読めないの?」
「え? あ、うん。私が読めるのはひらがな、カタカナ、漢字、英語くらいかな」
「え、ひらがな、カタカ……? えと……?」
「あっ、ふふっ。私はこの看板の文字を使う世界とは違う所から来たから」
「「え?(どういうこと??)」」
アリアの発言にアベルとベラが目を見開く。
「あ……えと。うん、自分でもうまく説明できないから、細かいことは纏まったら教えるけど、私ね、記憶が二つあるんだよ」
「「二つ……?」」
アベルとベラは口をあんぐり開けて、目を瞬かせる。
「え? え? アリアあなた、記憶無いんじゃなかったの……?」
「って、僕も聞いてたけど……?」
ベラとアベルは互いに顔を見合わせてから、恐る恐るアリアに訊ねてみた。
「あ、うん。今の私の記憶はないんだけど……、ははっ。生まれる前の……前世っていうの……? その記憶はあってね」
「ぜ、前世……?」
な、何それ……!!??
あまりの衝撃的なアリアの言葉に、アベルは両手で額を抱えた。
「そうそう。向こうで、仕事してたら高層マンションからどーんて落ちて、死んじゃって、気付いたらこっちの世界でアベルと出会ってたの。今流行りの異世界転生っちゅーやつだね!」
アリアは、これまで異世界で戸惑いながら生活をして来たストレスを発散するが如く、もうこの際全部話してしまえと、明るく笑う。
「い、いせかいてんせい……???(コウソウマンション……???)」
な、何それ……!!??
いせかいてんせいって何……!?
アリアの発言にアベルの思考が追い付かず、俯いてしまった。
どういうことなんだろう?
アリアが異世界の人……?
「……つまり、天界から来たってことよね……?(コウソウマンションが何なのかよくわからないけど、天空人だし……)」
ベラに至っては、天界から来た=異世界という認識らしい。
「天界……? まぁ……ある意味そうとも言えるかな……?」
アリアは顎に人差し指を当て上を見上げる。
二人共、理解が追い付かなくて当然だよね……。
ここが、ゲームの世界だなんて知らないだろうし……。
異世界から来たとは言ってもいいけれど、ここがゲームの中の世界なんだと言うとさすがに不味いよね、とそこは伏せておいたアリアだった。
「……っ、……っ、えっと……、ぁー……、うん。それで、アリアは看板の文字が読めなかった……と?」
ベラの云う通り、天界から来たのかな……。
妖精の世界があったわけだし……、天界もあるよね……。
うん、きっとそうだよ。
天使だし……。
アベルは何とか理解に努めたが、努めただけでは追い付かなかったようで、ベラに賛同しそれ以上深く考えるのは止めることにした。
「あはっ、二人共ひょっとして私のこと頭おかしいって思ってる?」
カミングアウトに気を良くしたのか、アリアはハイテンションで自分の頭を指差し、人差し指をくるくると回して、首を傾げる。
「いや、そんなことは思ってないよ?」
「天界から来たなら……そういうこともあるのかしら……? きっと頭打って、忘れちゃったのよ」
「うんうん、天使ってすごいんだね!」
アベルとベラは「その内思い出せるから大丈夫だよ!」とアリアの肩を叩く。
「あはは……。カミングアウト失敗かぁ……」
全部本当のことを云ったんだけど、通じなかったか……。
特に秘密にしていたつもりはなかったけど、何かすっきりしたからいいや。
アベルもベラちゃんも良い人だし、云っても大丈夫だよね……?
伝わらなかったものの、抱えていた荷物を降ろしたようにすっきりしたアリアだった。
アリアさん、漸くドラクエの世界に馴染んで来た感じですかね。
人って環境が変わると慣れるまでストレスがすっごく溜まりますよね。
異世界でずっと緊張しっ放しだったのでは(しかも魔物が出て来るので常に死と隣り合わせっていう)と思っているのですが、書き切れてない感が否めません。
そんなアリアさんを解放してあげたかった回でした。
ぶっちゃけ過ぎですがwww
転生ものとかだと、物語的に黙っておくのが定石みたいな展開が多い気がするのですが、ワシ黙っておけないwww ぶっちゃけちゃるwww
ドラクエ世界の文字って、アストルティア文字っていうんですかね。
いや、調べたら初出はDQ8って書いてあったから、Ⅴはどうなんだろうか……。
とりあえず、日本語ではないと思うのでアリアには読めません。
昔々、創作で文字を作ったことあったなぁと思い出した私なのでした。
ギラの説明いる……?
書いててこれ必要か? って思ってしまった……。
まぁ、今後はもう要らないからヨシ!
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読んでいただきありがとうございましたっ!