ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

こっそりこっそり。要ちゅー意な回。

では、本編どぞー。



第五百二十八話 井戸の中でこっそりと

 

 

 

 

 

 ……アリアの手を取り、アベルは坂を上ってビアンカの家の前までやって来ると、家の床下、井戸の中へと彼女を誘った。

 

 

 

 

「ンンッ……! ら、めっ……(ちょっとアベル!?)」

 

 

 

 

 ピエールとプックルには井戸の前で待っててもらい、アベルとアリアは二人で井戸の中へと降りる。

 

 周囲に誰も居ないことを確認するとアベルは素早く自らの唇で彼女の唇を塞いだ。

 アリアの手首を捉え、アベルは抵抗しようとする彼女の力をねじ伏せ深く口付けていく。

 

 アベルの力は強く、アリアは手首の拘束を解けずに、塞がれた唇からぬるりと入り込んで来る熱い舌をいとも容易く受け入れた。

 

 

 ――アベルの舌を噛むなんて出来ない……!

 

 

 抵抗したいのは山々だが、アリアにはアベルを傷付けることができなかった。

 ……次第に彼女も応じて遠慮がちにアベルの舌先に触れてみる。

 

 アベルはそれを合図にアリアの口腔内を舐め回すことにした。

 

 彼女が息苦しそうに「はっ、はっ」と浅い呼吸を繰り返す中、互いにトロトロの舌を絡ませていく。

 

 口付けの合間、口の端から溢れるアリアの甘い雫をアベルが丁寧に舐め取るが、次第にアリアの瞳が虚ろになっていくと、その量も増えて彼女の小さな顎を伝って蜜が地面に落ちていく。

 

 アベルはそれを“勿体ない”と思いながら夢中で舐め取りつつ、彼女の唇を味わっていた。

 

 

 ……死の火山からサラボナに戻ってからここ数日、アリアとまともにキスをしていない。

 

 友達に戻ると言ったってそれはビアンカ達の前だけで充分だ。

 それも【水のリング】を手に入れるまでの期間限定。

 

 ビアンカならきっと理解してくれるに決まっている。

 

 大体、毎日キスしても足りないというのに、ぷるぷるの艶やかな唇でにこやかにはにかんでみせるし、こっちからは手を繋ぐくらいに留め、くっつかないようにしてるのに くっついて来るし……と、アベルにしたらなんの拷問なのか。

 

 アベルはこれからビアンカが旅に加わる前の充電としてアリアの唇を堪能していた。

 

 

 二人きりだとういうのに なぜかアリアが抵抗するので、今日は彼女のたわわには触れず、手首は拘束したままである。

 

 

「はぁ……、アリア、ここのところキス少なかったよね……?」

 

「はぁ、はぁ……、っ……キスしちゃった……」

 

 

 一頻り口吸を終えると、濡れた互いの唇から透明な細い糸が伸びて切れる。

 あまりの気持ち良さにアベルの言葉はアリアの耳には入ってこなかった。

 

 

「しちゃったって……、恋人同士なんだからキスくらいするでしょ……はぁ……」

 

 

 ――アリアとのキス気持ち良すぎ……、許されるなら一日中していたいくらいだ……。

 

 

 いつもより赤く腫れたような唇に、虚ろな瞳の紅い顔のアリアを見つめながら、アベルは自分も同じ顔してるんだろうな……なんて ぼーっと呟く。

 

 

「ふぅ……はぁ……(どうしよう……)」

 

 

 ――気持ち良すぎて抗えないとか……! ダメなのに……!

 

 

 アベルってキスが上手よね……と、アリアは背中を這うぞくぞくした感覚に途中腰が砕けそうになったが、アベルが力強く手首を捉まえてくれていたため地面にへたり込むことはなかった。

 

 

(もっとしたいなんて思ってしまうなんて……!!)

 

 

 アリアの決意の壁などお構いなしにアベルはいつも強引にサクッとそれを飛び越えて来てしまう。

 

 このままでは別れが辛すぎるというのに、アベルに求められると抗えない自分の身体がアリアは憎らしかった。

 

 

「…………アリア大丈夫かい?」

 

「…………っ、これでしばらくお預けだよ……?」

 

 

 アベルの手がアリアの手首を解放する。

 彼女の手首は少々赤くなっていた。

 

 上気し惚けた顔のアベルに優しく見下ろされ、アリアは唇から零れた だらしない雫を手の甲で拭い、切なげな瞳でアベルを見上げた。

 

 

「……隙をみてしようよ」

 

「っ、なに言って……」

 

「僕、我慢できないよ……」

 

 

 ――アリアに触りたい……! 最後までとは言わないけど、もっと奥まで触れたい……!!

 

 

 触るまでならいいんでしょ、アリア?

 

 

 アベルが熱い瞳でアリアをじっと見つめると、彼女の瞳が揺れる。

 

 

「っ、アベル……、でも水のリングを手に入れるまでは……!」

 

 

 アリアはアベルの瞳から逃れるように目を伏せ、首を左右に振り振り。

 悲痛な面持ちで手を組み合わせアベルに懇願した。

 

 

「大丈夫だって! なんだったらビアンカに正直に打ち明ければいいんだよ。彼女なら解ってくれると思う」

 

「えっ!? それはダメっ!!」

 

 

 アベルがアリアの両肩に手を置き、明るく微笑み掛けると彼女はすぐに顔を上げまた首を左右に振る。

 

 

「なんで?」

 

「それは絶対ダメ」

 

「どうして?」

 

「どうしてもダメなのっ!」

 

 

 ――ビアンカちゃんはアベルのことが好きなんだよ……!?

 

 

 首を傾げるアベルにアリアは何度も頭を振って、今にも泣きだしそうな目で訴え掛けていた。

 

 

「どうしてもって……、理由を教えてはくれないのかい……?」

 

「……今は言えない……、…………ごめん…………(私から言うことじゃないもの)」

 

 

 アベルが訊ねてもアリアはそれ以上は黙り込んでしまう……。

 

 

「アリア……」

 

 

 ――なぜだ、アリア、君は幼なじみのビアンカとあんなに仲がいいじゃないか。

 

 

 ……アベルは眉を寄せていた。

 

 

 ビアンカは鋭い人だから、その内気付かれるはずなのになぜ隠す必要があるのだろうか。

 

 ビアンカ、彼女は自分ともアリアとも仲の良い友達だというのに。

 

 

 ……ビアンカが花嫁候補になることを現時点でアリアが知っているはずはない。

 ならば、ビアンカがアベル(自分)を想っていると気付き、女の友情とやらで遠慮をしたというのか……。

 

 

 確かに別世界では(かつて)愛したビアンカを傷付けるのは心苦しいが、今のアベルにはアリアしか見えていない。

 

 

(僕はもう、とっくに覚悟しているのに……。)

 

 

 ビアンカの想い人が自らだと解っているアベルは祈り続けるアリアを複雑な気持ちで見下ろした。

 

 

「……お願い、アベル。もう少しだけ黙っててください……、できればサラボナに戻るまで……」

 

「はぁ……期間が延びてるけど……?」

 

 

 しばし黙り込んでいたアリアだったが、口を開いたと思ったら二人の関係を黙っている期間が延長されてしまっているではないか。

 

 ……アベルはアリアの無理難題に額を抱える。

 

 

 ――サラボナに戻るまで いったい何日掛かると思っているんだ……? 我慢できるわけないでしょうが……。

 

 

 それに、絶対途中でバレる。

 ビアンカだって黙っていたら「なんで教えてくれなかったの!?」と怒るだろうに……。

 

 アリアはビアンカの性格をわかっていないんだ。

 

 ビアンカは真っ直ぐな女性だ。

 僕とアリアの友達という関係が欺瞞だとばれたら、ビアンカはきっと僕達を嫌うだろう。

 

 ……騙していたことを許してくれないかもしれない。

 

 そうしたら幼なじみという大切な友達を、自分もアリアも、ビアンカもそれぞれ失うことになる。

 

 

 早い内に打ち明ければまだ許してくれる余地はあるとアベルは思うのだが、ビアンカが自分を想っていると思うとやはり心は痛むわけで――。

 

 

 だが、このままでは別世界と同じになってしまう。

 せっかく未来が変わっていると確信し、アリアを手に入れる自信もついてきたというのに。

 

 このままいつも通り(・・・・・)【水のリング】をサラボナに持ち帰っては、フローラとビアンカが花嫁候補になってしまう。

 

 アリアとの未来が遠のくではないか。

 

 

 ……アベルのそんな想いなど、アリアが知るはずもなかった。

 

 

「うん……」

 

 

 アリアは申し訳なさそうに静かに頷く。

 




アベルは忍耐強いですねえ。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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