ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

は? 自慢するためですけど?

では、本編どぞっ!



青年期・前半【寄り道・ラインハット】
第五百三十話 自慢するためですけど?


 

 ……モンスターじいさんの元にロッキーが送られ、ビアンカが仲間に加わる。

 

 馬車に戻ったらジュエルにきちんと説明しなくては。突然ロッキーがアブダクションされて(さらわれたように消えて)ジュエルは今頃泣いていることだろう。

 

 

「あ、そうだ。アベル、そこの食材お母さんが持って行っていいって。数日掛かるでしょ?」

 

「え? あ、ありがとう。助かるよ」

 

 

 ビアンカが玄関脇に置いてある食材の詰まった木箱を指差す。

 アベルはおかみにお礼をと申し出たが、おかみは建設現場に行っているらしく留守だそうだ。

 

 ビアンカの伝聞で礼なら要らないということだった。……これもアリアへの恩返しなのだろう。

 

 それじゃあ自分が運ぶことにするかと、アベルは木箱の元へと向かった。

 

 

 ……木箱には野菜などの食材が詰まっており、持ち上げると中々の重量だ。

 

 【キャベツ】に【ジャガイモ】、【カボチャ】に【トマト】に【メロン】に【イチゴ】他、ぱっと見ただけでも彩り豊かな野菜の宝石箱である。

 ……しっかりとニンジンも入っているのがアベルには少々辛いところだが、これだけあれば一週間は食べ物に困らなそうだ。

 

 

「よっと……。アリアすごいよ。これだけあれば色々作れそうだ」

 

 

 アベルは木箱を持ち上げ、やって来たアリアに見せる。

 

 

「わぁ、うれしい! よろず屋さんで買えなかったから どうしようかと思ってたんだ」

 

 

 木箱の中を覗いたアリアは嬉しそうに破顔していた。

 アリアの笑顔にアベルの顔も自然と緩む。

 

 アベルの後ろにはピエール、アリア、ビアンカと続いているが、荷物を抱えるアベルにピエールが扉を開いてくれ、一足先にアベルとピエールの二人は外へ出ることにした。

 

 ……アリアとビアンカも後ろに続き、話をしながら家を出る。

 

 

「え? よろず屋さんお休みだったの?」

 

「っ、ううん……そういうわけじゃないんだけど……。おじさんおしゃべりだから逃げちゃった」

 

「あ、うふふっ。そうね、いい人なんだけどね。綺麗な子が好きみたいでつい意地悪したくなるみたいよ。私もよくからかわれるもの」

 

「ビアンカちゃんも!?」

 

「そうそう。なにかと冷やかしてくるのよね~!」

 

 

 自らの背後で女の子二人の会話を聞きつつ、アベルは木箱を抱えながら足元に気を付け階段を下りた。

 

 

(ビアンカも冷やかされてるんだ……?)

 

 

 ビアンカがいったい何を冷やかされているかは知らないが、よろず屋の店主はやはりお喋りらしい。

 美女に嫌がらせをする人も珍しいなとは思ったが、アベルにとってはアリアの気持ちが聞けたし、彼女の恥じらう姿が見れたので あんなお喋りなら大歓迎である。

 

 

「アベル、荷物持ち代わろうか?」

 

 

 山を下って行くと、ビアンカと楽しく話をしていたアリアが荷物を抱えるアベルに声を掛けた。

 

 

「大丈夫だよ。これ結構重いからアリアには無理だよ」

 

 

 アベルはアリアの気遣いをありがたいと思いつつも、断る。

 自分でも重いと思う木箱を彼女(アリア)が持ち上げられるとは思えない。

 

 か弱い女性に持たせるわけにはいかないだろう。

 ましてアリアは愛しい彼女だ。荷物持ちなどやらせては男が廃る。

 

 

「そう? 私、荷物持ちくらいできるよ?」

 

「私も手伝うわよ?」

 

「いいから いいから。僕、先にこれ馬車にのせておくから、二人はゆっくりおいでよ」

 

 

 アリアとビアンカが「二人で持てば楽勝よ」と申し出てくれるが、アベルはこれも断りさっさと荷積みを終わらせたくて、足を速めた。

 

 

「あっ、ありがとうアベルっ!」

 

「どういたしまして! 先に馬車で待ってるね! ピエール、二人をよろしく!」

 

 

 早々に坂を下るアベルにアリアがお礼を告げると、アベルはピエールに女性二人を託し行ってしまう。

 ピエールは「了解しました」とアベルに頷いていた。

 

 

「……アベルって優しいのね」

 

 

 独り足早に去って行くアベルの背を眺め、ビアンカが呟く。

 アベル以外の三人はのんびりと坂を下っていた。

 

 

「ね~。アベルは昔からそうだよねっ」

 

「え……? そ、そう……? ……そう、ね。優しかった…………(かな?)」

 

 

 アリアも同意し明るく笑うが、ビアンカは目を瞬かせて不思議顔である。

 

 

 ――アベルは昔、可愛い男の子で……ちょっと変わったところもあったけど年下なのに勇気があって強くて格好良かった。

 

 

 昔のアベルを思い出し、ビアンカは黙り込む。

 

 

(でも、特に優しくされた記憶なんて私にはないんだけど……。だって、あの時アベルは……。)

 

 

「いっぱいお野菜貰ったし、今夜はお鍋でもしようかな~♪」

 

 

 ビアンカがアリアに目線を移すと、彼女は今夜の献立を考え中らしい。

 ピエールに「アリア嬢、足元にご注意を」と(たしな)められながら坂を下っていた。

 

 

「……アリア(・・・)ってばっかり、ずっと言ってたわよね……?」

 

 

 最後尾のビアンカの呟きはアリアには届かず、ビアンカは目を伏せる。

 そして、なにか思い詰めたような顔で坂を下って行った。

 

 

 

 

 ……ビアンカが村の出入口まで下りて来ると、アベルの待つ馬車には既にピエールとアリアが到着していて、ビアンカが来るのを待っていた。

 

 

「短い間だけど、よろしくね!」

 

 

 ビアンカはアベル達に改めて挨拶をする。

 馬車のキャビンからはアベルの仲魔達が顔を覗かせ、歓迎の言葉を贈ってくれた。

 ……ジュエルはロッキーロスにやはり泣いたのか(身体)が濡れていたが、アベルが慰めたらしく既に泣き止みビアンカに笑顔を見せる。

 

 そうして さあ出発というところでビアンカ(彼女)は後ろを振り返り、僅かに見える自分の家を見上げ軽く手を振った。

 

 

 

 

「…………いってきます」

 

 

 

 

 ……こうして幼なじみ三人による第二の冒険が始まるのだった――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……さて、山奥の村を出たアベル達だったが……。

 

 

 “【ルーラ】!!”

 

 

 アベルの移動呪文を唱える声が山奥に響いたかと思うと……。

 

 

 

 

 ……アベルのルーラで、一行はラインハットへとやって来ていた。

 

 

 

 

 ラインハットの城下町を前に、アリアとビアンカの二人が戸惑いの目でアベルに注目する。

 

 

「アベル……なんでラインハットに……??」

 

「えっ、ラインハット……!? 私、この国にはあんまり良い印象はないわよ……(魔物のせいだったとはいえ、アベルやアリア、パパスおじさまをあんな目に合わせた国だもの……)」

 

 

 アリアとビアンカがそれぞれ語るが、ただ首を傾げるアリアとは対照的にビアンカは複雑そうに顔を強張らせていた。

 

 昨夜、ビアンカにはラインハットの出来事も一応説明してはいるのだが、消化しきれていない様子。

 被害を一番被ったであろうアベルとアリアが平気そうなため、一言だけ言って黙りん込んでしまう。

 

 

「アハハハ……、ちょ~っと、ヘンリーに会って行こうかな~って?」

 

「なんで今……? 水のリングは……?」

 

 

 アベルが後頭部を掻き掻き苦笑すると、アリアに再び問われてしまった。

 ビアンカは黙ったまま不安そうな顔をしている……。

 

 

「ハハハ……」

 

 

 ――なんでって……そりゃあ……。

 

 

 “自慢するため!”……に決まってるじゃないか!!

 

 

 アベルが腰に手を当て笑みを浮かべるのを、アリアはやはり不思議そうに見ていた。

 

 

「ゆ、勇者の手掛かりが他にも入ってないかなって、急に思い出してさ! ほら、二人とも行こうよ! モモガキだって貰えるしさ!」

 

「えっ、あっ……」

 

「アベル……」

 

 

 アベルがアリアとビアンカの間に割り込み、二人の肩に手を回すと城に向けて歩き出した。

 

 まだ昼だから城の中に入れるはず……。

 美女二人を両脇に従え、……ヘンリーの悔しがる顔が目に浮かぶ。

 

 

 ……アベルはニヤニヤと悪い顔をしていた。

 

 

「アベル……(なんか悪い顔してる……? なんで……?)」

 

「ラインハットのお城か……」

 

 

 アリアは相変わらず訳が分からない様子でぽけ~っとしているが、ビアンカは唇を引き結んでいる。

 

 

 アベル達が跳ね橋を渡り、城の扉までやって来ると兵士が独り通せんぼしていた……。

 




ヘンリーに自慢でっきるかなっ♪
ヘンリーの悔しがる顔を見たいと、どっかの世界の影響を色濃く受けたアベル氏のエピソード。

ここにフローラも加わったらハーレムでしたね!

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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