ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

においぶくろの効果とは……。

では、本編どぞ。



第五百三十五話 においぶくろの効果とは

 

 

 

 

 

 ……宿屋に戻ったアベルは、一階ロビーで寛いでいるビアンカとピエールにラインハットを出ることにした と伝えていた。

 

 

「ラインハットに来た意味!」

 

 

 宿屋を後にするとビアンカは腕組みをし ぷりぷりしている。

 

 ……ラインハットの城といい、ぱふぱふの件といい、ビアンカにとっては印象の良い出来事ではなかったのだろう。

 

 とはいえ、昨日 城下町の人々との交流を通して昔のラインハットと違うことは理解してくれたように見える。

 

 アベル達が宿屋に戻った時「時間が取れたらまた来てみたいわね」なんてピエールと話をしていたのが聞こえたからだ。

 

 実際に城に行けばもっと心証は良くなるだろう。

 

 昨日はヘンリーに両手に花を自慢して……と考えていたアベルだったが、そんなことをしたらヘンリーはどう思うのだろう。マリアも困惑するに違いない。

 

 ましてデールに目撃されたら「アリアさんはボクに任せて下さい!」とでも言われかねない。

 選択を誤るところだった……と、アベルは昨日が会議で良かったと ほっとしていた。

 

 

「あははは……。まあ、におい袋が買えたからいいじゃないか」

 

「におい袋……?」

 

「うん、昨日道具屋で買ったんだ。におい袋は魔物が好む匂いを発生させるんだよ。魔物が寄って来やすくなる。鍛錬は常にしないとね!」

 

 

 アベルの説明にビアンカが首を傾げると、後ろでアリアが合点がいったように笑った。

 

 

「あはは……、そゆこと?」

 

「そーゆーこと! 海の幸も欲しいでしょ?」

 

 

 アリアの声に、アベルはにっこり。

 

 ……そう、アベルは【においぶくろ】で魔物を呼び寄せ、レベル上げをしようというのである。

 

 【においぶくろ】の封を開けると、辺りに魔物の好む甘い匂いが噴き出し、魔物達がやって来る。

 その魔物達を倒してレベル上げと共に海の幸をゲットである。

 

 

「アベル、あなたまだ石橋を叩いてるのね……」

 

「ははは。死なないためには大事なことだよね!」

 

 

 昔――レヌール城に行く前にアルカパ周辺で戦ったことが思い出され、ビアンカは“連戦か……”と遠い目をした。

 

 久しぶりの冒険だから戦いは覚悟しているが、アルカパ周辺の魔物と海の魔物とではその強さは比ではない。

 

 

「まあ、そうだけど……昔とは違うのよ……?」

 

「ん? うん、そうだね?」

 

「……ところでアリアは戦えるの?」

 

 

 これまでアベルを窺っていたビアンカだったが、スッとアリアに目線を移し訊ねる。

 

 

「おっ! ビアンカいい質問だね!」

 

「ん?」

 

 

 いい質問だねとはいったい……? という顔をしたビアンカにアベルは笑顔でアリアの手を引き、彼女(ビアンカ)の前に立たせた。

 

 

「ビアンカちゃん! 私、戦えるようになったよ! 呪文は得意なんだっ、回復でも攻撃でも補助でもなんでも来いだよっ?」

 

 

 アリアはダブルピースで白い歯を見せる。

 アリアの自信満々な顔にアベルもにっこりと目を細めた。

 

 

「そうなの!? よかったぁ! 私で守りきれるか心配だったのよ(ああ、もう、アリアってば可愛いっ! ピースとかしちゃって! なにこれ、呪文が使えるようになって嬉しいのね……! 褒めてあげなきゃ……!)」

 

 

 ビアンカ的にアリアはすっかり妹であり、庇護対象らしい。

 ……ちょっと小動物感覚な気もする。

 

 

「ビ、ビアンカちゃんに守ってもらおうなんて思ってないよ!? ていうか私 守護天使ですから! ビアンカちゃんは私が守るよ!(てか、ビアンカちゃん好い匂いがするぅ……)」

 

「いいのよ、アリア。アリアは私が守るからね……!」

 

 

 不意に“ぎゅうぅぅぅっ”と強く抱きしめられ、アリアはビアンカに埋まった。

 そのアリアの顔は紅く染まり、惚けている。

 

 

 ……ビアンカは昔のようにアリアを守ろうと思っているらしい。

 だが、海上の魔物は強いと聞いている彼女(ビアンカ)は守りきる自信がなかったのだ。

 

 “おねえさま、私、もうポンコツは卒業したんですよ……”とアリアは呟いたが、彼女(ビアンカ)は聞いちゃいない。

 

 

「ははは……ビアンカ、アリアのこと好き過ぎでしょ……(僕のアリアから離れてよね……)」

 

 

 フローラとアリアが抱擁していた時は“いい……♡”と思い傍観していたアベルだったが、ビアンカ相手だとなぜかライバルを意識してしまうから不思議だ。

 

 

 ――アリアがそっち(・・・)に目覚めたらどうするんだ……!?

 

 

 そんな時、ふと――。

 

 

『……アベル。私ビアンカちゃんと結婚することにしたの……』

 

『え? 女同士だから無理だって? なに言ってるの? 女の子同士でも愛があれば結婚できるのよ? 結婚指輪? ああ、炎のリングと水のリングはいただくわね。アベルここまでありがと。アリアは私が責任を持って幸せにするわ……アベルのお母さんが見つかることを祈っているわね』

 

 

 ……妄想は突然に。

 

 

 アベルの脳裏にアリアとビアンカが互いにウエディングドレスを身に纏い、手を取り合って寄り添い、教会の赤絨毯を笑顔で歩いていく姿が浮かんだ。

 

 そんな焦燥感に駆られたアベルは青い顔で二人を引き剥がす。

 

 

「きゃっ! な、なに……?」

 

 

 急に引き剥がされ、ビアンカは驚きに瞳を瞬かせた。

 

 

「っ、コホンッ! ……じゃあ、行きますか!」

 

 

 ――アリアは僕のだから……!!

 

 

 アベルはビアンカを一瞥してから、惚けているアリアの肩を“トンッ!”と軽く叩き、笑みを向けた。

 

 

「……あっ、うん!」

 

 

 アベルの咳払いにアリアはハッと我に返る。

 だが、彼女の小鼻はヒクヒクと離れたビアンカの香りを探っていた。

 

 

「ええ!」

 

 

 ビアンカもアリア同様に返事をしてくれるが、アリアを見ている。

 アリアもビアンカを ちらちらしていて、二人は目で会話している気がした……。

 

 

「…………」

 

 

 ――これはいったい……なんなんだ……!?

 

 

 アベルは狼狽(うろた)えながらもラインハットの城を背に すぅっと一息吸い込んだ。

 

 

 

 

 “【ルーラ】!!”

 

 

 

 

(アリアとビアンカが結婚なんて……そんなことないよね……!?)

 

 

 

 

 ……【ルーラ】が発動し、アベル達の身体は空へと舞い上がる。

 

 

 アリアのいつもの「ひゃぁっ!」という声が聞こえたが、淋しいことにアベルの腕にはなんの感触も無く、アリアはビアンカの腕に掴まり、二人して「キャー♡」と黄色い声を出し楽しそうだった――。

 




アベルは昔から石橋を叩いて渡るタイプなのです。

ビアンカとアリアが仲良くなるのもいいよね……。
百合じゃないけど、女の子同士仲良くするの好きなんだ。

さて、次回より冒険の再開です!
でもゆっくり行くんだわ……。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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