ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

さて、再出発です。

では、本編どぞー。



第五百四十二話 洞窟目指して再出発

 

 

 

 

 

「……リア、……アリア」

 

「ん……、んん……?」

 

 

 ビアンカの声が間近に聞こえて、アリアは目蓋をゆっくりと開く。

 

 

「おはようアリア。もう朝よ」

 

「あれ……? 私……(あ、背中がふかふか……)」

 

 

 目覚めたばかりでボーっとするアリアの頭をビアンカがそっと優しく撫でた。

 

 アリアは昨夜アベルに膝枕をし座ったままだったはずなのだが、いつの間にか横になっていたようで、背に柔らかい……布団のような感触がする。

 

 旅の途中だというのに、こんな寝心地のいいマットレス……。

 ……アベルがサラボナで購入したものだ。

 

 

 ――あれ? ここって……?

 

 

 寝ぼけ頭で考えてみたが、すぐには考え至らない。

 

 

「もうちょっと寝かせてあげたいところだけど……、そろそろ出発しないとね?」

 

「あ……、おはようビアンカちゃん、アベルは……?」

 

 

 アリアが身支度を整えながら話すビアンカを見上げると、彼女は優し気な瞳で微笑んでいた。

 そうしてアリアは身体を起こし、辺りを見回す。

 

 

 ……ここは馬車……、キャビンの中である。

 

 

 沖だからか、波の音は静かで心地好い海風がキャビンを覆う幕の隙間を通り抜けていく。

 早朝のため少々肌寒いがマットレスと毛布のおかげか、はたまたビアンカとの共寝のおかげか……冷え知らずで眠れたらしい。

 

 今、この場にはビアンカ以外は誰もおらず、皆甲板に出ているようだ。

 

 

「アベルなら操縦室よ。ふふっ、アリア甲板で寝てたんだって? 夜中にアベルが運んできてくれたわよ?」

 

「え……あっ、私寝ちゃってたんだ……」

 

 

 ビアンカは櫛で髪を()きつつ、昨夜のことを教えてくれた。

 

 

 ――アベルが運んでくれたの……?

 

 

 昨日は戦闘が多く、実はアリアも疲れていたのだが……アベルとビアンカの邪魔をしたくなくて船の見張りも必要ということもあり、眠いと言う二人の前から立ち去っていた。

 

 二人が一緒に休めばすぐに男女の関係になるかはさておき、二人きりでじっくり話せばもっと距離も縮まることだろう。

 

 ……そうすればアベルはビアンカと結婚し、幸せになれる。

 

 アベルもビアンカによく笑顔を見せ、彼女が気になっているようだし、ビアンカはアベルを好きだと言っていたし……。アリアはやはりここはゲームに忠実なカップルの誕生を――と、アベルの幸せのために身を引いたのだ。

 

 船首側へ向かう際、ピエールに「今夜の見張りは私達がしますので、寝ていていいですよ」、そう言われたがアリアは二人のことが気になって眠れず、「あっちで見張りしてるね」と、痛む胸を気にしないように船首で独り空を見上げていた。

 

 ……にもかかわらず、なぜかアベルがすぐにやって来て、彼はアリアの隣に座り二人は一緒に星を見ることに……。

 

 そして、アベルが膝枕を望み、それに応えてやったらアベルは眠ってしまい……――。

 

 

(……ん? 私あの時 安心しちゃって……。)

 

 

 アリアはいつの間に自身も寝たのか記憶が無い。ましてアベルに運んでもらった記憶すらもなかった。

 

 

 アベルは確かに自分の膝で眠っていた。

 その彼の寝顔を見ていたら、自分も眠くなってきた……ような。

 

 アベルが傍にいると安心して、つい気を許してしまう。

 温かい彼の体温と規則正しい寝息に誘われ、ピエールに見張りをすると言った癖に朝までぐっすりとは……。

 

 

 ――私って……自分で言ったこともちゃんとできないんだね……、もっとしっかりしなきゃ……これじゃ独りで生きていけない……。

 

 

 アリアは自分にがっかりして目を手元に落とした。

 

 

「……アリアも疲れてたんでしょう? 夜中に魔物と遭遇しなくて良かったわね」

 

 

 ――アリアったら疲れてたなら一緒に寝ればよかったのに……一昨日のように女子トークしたかったわ……。

 

 

 櫛で梳いた髪をまとめ、ビアンカは器用に髪を一つに編んでいく。

 アリアは目に入ったそれを“キレイな金髪だな~……”とまだ少しぼうっとする頭で見ていた。

 

 

「うん……」

 

 

 ――はぁ……ビアンカちゃん、今日もキレイ……。

 

 

 仕事も出来て、美人で優しくて作るご飯が美味しいとか……。

 

 

 “私と結婚してくれませんか?”

 

 

 ……アリアはアベルがもし、フローラを選んだならビアンカに結婚を申し込もうか――なんて妄想を抱いてしまう。

 

 

「さあ、早く朝ご飯を食べて出発しましょ。すぐ出れば今日中に水のリングが眠るっていう洞窟……? に辿り着けるんじゃないかしら」

 

 

 ビアンカはそう云いながら自分の身支度を終えると、今度はアリアの髪に櫛を通した。

 一昨日のように結んでくれるようだ。

 

 

「あ……ありがとう……」

 

「アリアの髪って綺麗ね。絹糸みたい……触ってると気持ちいいわ」

 

「そ、そうかな……。ビアンカちゃんの髪の方がキレイだと思うけど……」

 

「うふふ♡ ありがとう」

 

 

 アリアの言葉にビアンカは一瞬眉根を寄せてから優しく微笑む。

 

 ……そうしてアリアも身支度を整えると皆がいる甲板へと降り、朝食を摂った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 アベル達一行は朝食を摂り終え、再出発……。

 【せいすい】の効果もすっかり切れ、魔物の群れとの遭遇が頻発し出した。

 

 だが、“昨日レベルも程よく上がったから……”ということで、【においぶくろ】を使用していないため連戦しない分、昨日よりはいくらかましである。

 

 今日アベルはこのまま【水のリング】が眠る洞窟を目指すつもりだ。

 

 

「マーマン……てコワイね」

 

「アリア、大丈夫だったかい?」

 

「あ、うん。私はなんともないよ? アベルこそ……」

 

「あはは……ちょっと油断したかな?」

 

 

 ……先ほど、半魚人のような海の魔物【マーマン】二匹とタコに似た魔物【オクトリーチ】二匹の群れと遭遇し、戦ったアベル達だったが【マーマン】の【ルカニ】によってアベルの守備力が下げられ、敵から集中攻撃を受け傷を負っていた。

 

 攻撃自体は大した攻撃では無かったが、守備力を下げられてしまうと中々の痛手である。

 

 

「アベル、薬草いる?」

 

「あ……えと」

 

 

 ビアンカに【やくそう】を差し出され、アベルはチラッとアリアを見つめる。

 

 

「……アベル薬草だって。使ったら?」

 

「アリア、回復をお願い」

 

 

 アリアはビアンカの手元の【やくそう】を眺めて告げたのだが、アベルはアリアに回復を依頼した。

 

 

「っ…………ベホイミ!(なんで私……?)」

 

「ありがとう、アリア」

 

 

 アリアがビアンカの手前、申し訳なさそうにアベルに回復呪文を掛ける。

 アベルは塞がった傷を確認しつつ、嬉しそうに目を細めていた。

 

 その様子を見ていたビアンカは【やくそう】を仕舞い、手をポンと叩き合わせる。

 

 

「……あ、そっか。アリアは回復呪文が使えるんだったわね……! いいなぁ~」

 

 

 ――アリアがいたら旅がさぞかし楽でしょうね……、まったくアベルってば羨ましいんだから……。

 

 

 私ももっと早く再会して一緒に旅したかったわ……!

 

 

 ……ビアンカはアリアを切なそうな瞳で見つめた。

 

 

「っ、あっ、えと、私 これしか役に立てないからね……、他は本当、ダメで……」

 

「……ダメだなんて……そんなこと誰も思ってないわよ……?(アリアって……謙虚というか……なんというか……)」

 

 

 ビアンカが眉を下げる中、回復呪文くらいしか取り柄がなくって……とアリアが謙遜し始めるので、ビアンカ、彼女はアリアの頭を撫でてやる。

 

 

 ――この子……どうしてこんなに自信がなさげなのかしら……。

 

 

 なにか訳ありなのかなとビアンカはアリアを不憫な目で見やった。

 

 

「うん、アリアは攻撃呪文だって使えるし、補助呪文も使えるし頼もしいよ?」

 

 

 ――それに、可愛いし柔らかいし、好い匂いで優しいし、僕の癒しだし……!

 

 

 ビアンカがアリアを撫でているので、アリアに触れることができないアベルは仕方なく拳を握りしめここはぐっと我慢する。

 

 

「あ……ありがとう……。けど、ごめんね、体力が本当……ゴミで守ってもらってばっかりで……」

 

「ゴミって……(なんで自分のことそんな風に言うのよ……)」

 

 

 アリアが俯きながら告げるので、ビアンカは“いい子いい子”と宥める様に頭を撫で続けてやった。

 

 

 ……アリアが自分の体力がゴミというのには理由がある。

 

 昨日の連戦でレベルアップをした結果、ビアンカにあっさり最大HPを越えられてしまったのだ。

 アベルが【ステータス】を確認している時に見えてしまい、アリアは落ち込んだ。

 

 伸び悩むアリアの体力(HP)は いまさらのため、アベルは特に気にしていないのだが、アリア本人はそうではなかったらしい。

 

 

「……いいんだよ、アリア。君は僕に守られていれば安全なんだから。君が無事ならそれでいい」

 

 

 アベルはそう云いながらアリアの手を取りぎゅっと握る。

 

 

「アベル……」

 

 

 アリアはなぜかまた申し訳なさそうにアベルを窺い、その後でビアンカに視線を移した。

 

 

「? アリアどうしたの……?」

 

 

 アリアの視線にビアンカは首を傾げる。

 

 

 ――アリア、なんでさっきから私のことを気にしているの……?

 

 

 ……ビアンカにはアリアの視線の意味がわからなかった。

 




昨夜食べた鍋の中に入っていたのはプクプクとオクトリーチとかいうウワサですw
プクプクはフグ似、オクトリーチはタコ似ということでビアンカさんが美味しく調理しました。

数日前アリアに釣られて助けたプクプクも入ってたりしてねー、知らんけど。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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