洞窟一つ、クリアするのすら長くなるのどうにかならんのかの回。
では、本編どうぞっ。
洞窟の先へと進むと、下へと続く階段が現れる。
アベル達は階下へと下りて行った。
階段を下りると、道が二つに分かれている。
アベル達は分かれ道を右へ。奥へと続く通路を歩いていると、行き止まりに大きな穴が開いていた。
穴は真っ暗で、覗き込んでも下の階の様子は見えない。
「行き止まりかぁ……。大きな穴だね」
落っこちないようにしないと、とアリアは穴を覗いてから数歩後ろに下がる。
「そうね……何か臭うわね」
「……ドワーフのおじいさん、洞窟深くに封印したって言ってたよね」
ベラとアベルは大きな穴の傍で、腕組みをして考え込んでいた。
「ここから下に行けば更に奥に行けるかしら?」
「行ってみようか」
「えっ、ちょっと、二人共まさか……」
アリアは身を乗り出し穴を覗くアベルとベラの手を、それぞれ引き留める。
「アリア、ここに落ちてみようと思うんだけど……怖い?」
「怖いっていうか……っ、二人を支えられるかな……。ベラちゃん、ビアンカちゃんより重そうだし……、な、何とか頑張って……」
アリアはアベルとベラの手をしっかり握りしめた。
「何言ってるの、落ちたって怪我なんかしないわよ?」
「え……」
アリアはアベルを見る。
すると、アベルも「うん、落ちても無傷だから大丈夫だよ」と笑った。
「えええええっ!!?? そうだったのっ!?」
衝撃の事実にアリアは掴んだ手を放し、口元に当てると大声を出したのだった。
「落ちて怪我はしないけど、ひゅっって感じはするかな? 怖いって云う人もたまにはいるよ」
「私あの感覚結構好きよ。たまに城の上から落ちたりしているわ」
ベラが「高い山とかだとスリルありそうね」と云えば、アベルが「楽しそうだね」と異世界あるあるを語るのだが、アリアには受け入れ難く……。
「そ、そうなんだ……。絶叫マシン要らずだね……、…………ふぅ」
重力的な問題……?
いや…………、
そうだ、ここゲームの中なんだった……。
アリアはレヌール城で頑張った私の苦労は一体なんだったんだ……、無駄な努力をしてしまったなと今更ながらに溜息を吐いてしまう。
「アリア……? 大丈夫?」
「あ、ううん平気。それじゃ、降りてみよっか」
「うん」
そうして、三人は穴に落ちてみることにした。
「私はゆっくり降りるね、心配だし」
「えー……じゃー僕もお願い」
アリアが翼をパタパタと動かすので、アベルはアリアの手を取る。
「私はお先に!」
「あっ、ベラちゃん!」
ベラは先に落ちて行ってしまった。
「僕等も行こ?」
「アベルは落ちるの平気なんじゃないの?」
「平気だけど、ゆっくり降りるのもいいかなーって。レヌール城でゆっくり落ちたの楽しかったよ?」
「そう……? じゃあ……連れってってあげるね」
よろしくね、とアベルに言われ、アリアはアベルと向かい合わせで両手を繋ぐと、二人で大きな穴へと飛び込んだのだった。
◇
バサッバサッバサッバサッ……。
アリアはアベルを支えながらゆっくり降下する。
けれど、アリアは非力なので、
「っ、アベルごめんっ、これ以上は無理っ!」
「え? あっ……!!」
アリアは頑張ったものの、途中から二人共ひゅ~~~っと、落下した。
レヌール城の時とは違い、非常事態ではないからか火事場の馬鹿力とやらは出なかったらしい。
「きゃあああっ…………………………、…………ん?」
地面に叩きつけられると思いアリアは目蓋をぎゅっと閉じたが、痛みは感じられなかった。
硬い地面のはずなのに、何だかお尻が柔らかい。
「……アリア、大丈夫?」
「え……何、下からアベルの声……、ってうわぁっ!!」
気付けばアリアはアベルの背に着地していたのだった。
慌てて立ち上がる。
「ご、ごめんなさい。怪我は……?」
「ないない。大丈夫って言ってたでしょ? アリアも怪我してないよね?」
「あ、うん……。何ともないけど……」
アリアが自分の身体やアベルの様子を見るが、怪我した様子は見受けられない。
ベラが「やっと来たわね、遅~い」と腰に手を当て待ちぼうけしていた。
すごいな、異世界……。
ゲームの中とはいえ、いくらなんでも高所から落ちたら不味いでしょと、実は半信半疑だったアリアだったが、身を以て経験してしまった以上、信じざるを得なかった。
現実世界の死因が転落死だからか、落ちることに関しては少々神経質になってしまっていたようだ。
「なら良かった。ここには……なさそうだね」
アベルが腕立てするように手を突っ張って半身を起こすと、立ち上がって服に付いた土を払う。
「あ、アベルありがとう……重くなかった?」
「ん? 全然っ」
アリアも一緒になってアベルに付いた土を払うのだった。
アベルについた土を払い終えて辺りを見ると、
「うわっ! ガイコツ!?」
アリアは傍に落ちている白骨に驚いて、ベラに抱きつく。
複数の頭蓋骨と骨があちこちに転がっている。
「ただの屍よ。あそこから落ちて、このフロアで迷って出られなくなったのかもね」
ベラが落ちて来た穴を見上げて何でもないことのように告げた。
「うぅ……、ただのしかばねのようだ……か……」
知ってる知ってる……。
けど、実際見ると込み上げるものがあるね……。
アリアは「南無南無」と手を摺り合わせる。
アベルも隣にやって来てよくわからないまま、彼女と同じように「ナムナム」と唱えた。
それから三人は落ちたフロアの探索を始めるのだが、少し歩くと怪しげな動きのおっさんがウロウロしているのを見つける。
「あ、誰かいる」
「へへへ。あんたも鍵の技法を探しに来たな? でもオレ様が先にいただくぜっ!」
アベルが見つけ発声すると、おっさんがやって来て不敵に嗤って去って行った。
そして、見た感じ盗賊のような身形をしたそのおっさんは、辺りを注意深く見ながら同じ場所を行ったり来たり。
隠し階段でも探しているのだろうか……。
それを見ていたアリアが口を開いた。
「残念だけど、ああいうこと云う人って、大抵手に入れられないのよね……」
「え……?」
「ふふっ、モブオブザモブだから、しょうがないよね。さ、アベル行こっ! このフロアには何もないみたいだし、一旦戻って別の道を行った方がいいかも」
こういうのは“主人公”が手に入れるに決まってるでしょ!
アリアは上へと上る階段を見つけ指差す。
「あ、う、うん……」
モブオブ……???
アリアって不思議なことばっかり云うなぁ……。
面白い……。
階段を上りながらアベルは自然と口角を上げていた。
もうちょっと端折ってもいいんじゃないかなと思う今日この頃。
文字だけでゲーム進めるのムズイ(今更www)。
楽し過ぎて……。
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読んでいただきありがとうございましたっ!