ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

滝の始まり始まり。

では本編どぞ~。



第五百四十八話 滝口

 

 アベル達は狭いらせん状の坂道をどうにか下り、平坦な直線の道へと出る。

 

 ……途中魔物の群れと出会った時には驚いたが、なんとか湖に落ちずに戦い抜けることができた。

 

 これも普段の鍛錬の賜物である。

 

 

「ねえ、アベル。アリアってアベルの守護天使なのよね?」

 

 

 魔物の落としたゴールドを拾い終え再び歩き出すと、ビアンカがアベルにこっそり訊ねていた。

 

 

「え? あ、ああそうだけど……?」

 

 

 ――守護天使……という設定ではあるけど……実際にアリアもそう言ってたことがあったっけ……。

 

 

 ……ビアンカの質問にアベルは頷く。

 

 そういえば以前、サンタローズの地下室でアリアが自分は“アベルの守護天使だから”……と言っていたことをふと思い出した。

 

 

“私はあなたの守護天使だから、アベルが幸せになるのを見届けないとね!”

 

 

 アリアはそう云っていたが、はて、守護天使とはなんぞや――。

 

 先ほどの魔物の群れとの戦いで、アリアはアベルとプックル、ビアンカにまで庇ってもらっていた。

 

 いや、庇ってもらうのは今に始まったことではなく、これまでずっとであり、ビアンカが加入してからも同じである。

 

 

 守ってもらう守護天使とはいったいどういうことなのか、逆じゃないのか……とビアンカは訊ねたかったようだが、アベルは上手く説明できない。

 

 翼のない彼女はもう天使ではないし、アリアは守る側ではなく、守られる側であるべき女性だとアベルは思っているわけで。

 

 

(僕はアリアに守ってもらおうなんて思ってないんだけどなぁ……、やっぱり設定に無理があるかなぁ……。)

 

 

 アベルは頭の後ろを掻き掻き、立ち止まるとそっと後ろのアリアを覗き見る。

 

 先ほどまで洞窟内をきょろきょろと見回しつつ歩いていたアリアだったが、今は地底湖の魚を見下ろし無邪気に瞳をきらきらさせながら またも足を止めていた。

 

 アリアは自由人のためか、急に立ち止まったりする……のはもう慣れっこである。

 時折注意してやればちゃんとついて来るので問題ない。

 

 釣りがしたいのかな……とアベルはなんとなく察し、結婚後に連れて来れたらいいなと思った。

 

 

「ふふっ、可愛い守護天使よね。あの子、不思議と守ってあげたくなるわ。天使ってみんなあんなに綺麗なのかしらね?」

 

「彼女は特別なんだ。……あっ! た、多分ね……、に、人間界にいる天空人は珍しいと思うしっ!」

 

 

 ビアンカもアリアをちらりと見て目を細め、疑問を呈す。

 アベルは素で答えてしまい慌てて言い直していた。

 

 

 ――ビアンカに気付かれたかな……!? 気付いたよね!?

 

 

 アリアとの関係がバレると不味いが、いっそもうバレてしまった方がいいような……。

 

 

 “ええい、こうなったらどっちでもいいっ!”

 

 

 ……アベルは期待半分、不安半分でビアンカの様子を窺う。

 

 

 すると――。

 

 

「あら、やっぱり? そうよね。アリアほど惹かれる子は中々いないと思うわ(不思議な子……)」

 

 

 アベルはアリアとの関係がバレたと思ったものの、予想に反してビアンカの反応は薄く、ただ同意だけしてくれたことに目を丸くする。

 

 ビアンカは背後のアリアを優し気な瞳で見守っていた。

 

 

「…………?」

 

 

 ――あれぇ……? ビアンカ全然気付いてないな……、絶対気付くと思ったのに……。

 

 

 それよりアリアのこと見つめ過ぎじゃないか……?

 

 

 ビアンカの目はアリアをじっと追っており、そのアリアはプックルにさっさと歩くよう言われているのか、頬をべろんちょされ震えあがっていた。

 

 先ほど“食う”宣言されたからか、彼女の瞳に怯えが見て取れる。

 

 “綺麗な湖だなってちょっと見てただけだよ、プックル舐めないでよぉ……”なんてアリアの涙声に、ビアンカは彼女の元へ行き、手を引いて連れて来る。

 

 

 ……アベルはアリアに気安く触れられるビアンカを羨ましいと思ってしまった。

 

 

「さ、先を急ぎましょ! アベル、先導よろしくね!」

 

「あ、ああ……」

 

「アリアも転ばないようにっ! ここの水、きっとすごく冷たいわよ。濡れたら風邪を引いてしまうわ」

 

「転ばないよ!?」

 

 

 ビアンカに促され、アベルは踵を返し先へ進み始める。

 アリアもビアンカの注意を受け、湖から通路の先へ視線を移していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……らせん状の坂道のあった一階を抜け、階段を下りると滝口……滝の始まりのあるフロアへと出る。

 

 洞窟の天井にぽっかりと開いた穴から陽の光が降り注ぎ、滝口の清水を照らしていた。

 

 そこに河などなく“どこからこんな大量の水が……?”とアリアは不思議に思ったが、そこもやはり地底湖らしい。

 滾々(こんこん)と湧き出た清水が地下に落ち込んでいるようだ。

 

 

 “ざぁぁああああ……。”

 

 

 流水の音がかなり大きい。

 洞窟外の大瀑布よりは小規模だが、かなり大きな滝である。

 

 

「わぁ……(地下に続いてる……)」

 

 

 ――こんなの初めて……。

 

 

 滝口から流れ落ちる流水の先を知りたくて、アリアは滝の側、地下へと伸びる崖に近寄り下を見下ろす。

 滝が落ち込んでいく様に魅せられ、恐怖も忘れて じりじりと崖の際に足を掛けていた。

 

 崖下にも陽の光が注いでおり滝の姿がよく見える。

 滝はかなりの落差らしい。

 

 ……流れの行きつく先、滝つぼは水飛沫でよく見えなかった。

 

 洞窟はかなり深い場所まで続いているのかもしれない。

 

 

「っ、アリア! 下を覗かない!」

 

 

 フラフラと崖に近寄ったアリアの腕をアベルは咄嗟に掴んでいた。

 つい声を荒げてしまう。

 

 

「っ!? ぁ、はい、ごめんなさい……。別に落ちるつもりはないよ?」

 

「当たり前だよ!」

 

 

 アベルに怒鳴られ驚いた様子のアリアがおずおずと頭を下げると、アベルは柔らかいアリアの細腕を放した。

 

 

 ――アリア、心配させないでよ……!

 

 

 アリアは高い所が怖くないのだろうか……。

 いや、昔彼女は落とし穴を怖がっていたから、そんなことないはずなのだが……。

 

 アベルは崖から距離を取るアリアにほっと胸を撫で下ろす。

 

 

「まあまあ……アベル。怖いもの見たさってやつじゃないの? 昔、アリアは空から下界を見てたのかもしれないじゃない……?」

 

「え? あ……そういうわけじゃないけど……どんなものかな~って……。この洞窟かなり下まで続いているみたい……」

 

 

 ビアンカのフォローにアリアは覗いた理由を説明した。

 

 確かに高所だから怖くもあるが、怖いもの見たさというより、絶景が見えるかもしれないという欲求の方が強い。

 

 アリアはただ、元の世界では決して見ることのできなかった景色に魅せられただけなのだ。

 

 ……ついでに洞窟がどうなっているか、全貌が見られたらいいかなと思ったわけで。結果、水煙でよく見えなかった。

 

 

「あら……そんなところまで見てたの?」

 

「あ、うん、滝の水しぶきがすごくて一番下までは よく見えなかったけど……」

 

「そっか~、一日で行って帰って来れるかしら……」

 

 

 ――本当ね……、真っ白でよく見えないわ……。

 

 

 ビアンカも少しだけ崖に近寄り そっと滝の先を覗いてみるが、アリアの言った通り水煙で見えずじまい。

 

 ……微かに滝の途中に通路が見えた気がした。

 

 

「……無理だろうね。この洞窟すごく広いみたいだし……途中でキャンプをしよう」

 

「そうね」

 

 

 アベルもそっと崖の際に足を掛け、下を覗き込むと洞窟の広さを思い出しながら告げる。

 と、ビアンカも同意した。

 

 ……アベルが心配なのか、アリアはがビアンカから見えない位置でアベルのマントをこっそり引いている。

 

 

「…………」

 

 

 ――アリア、僕の気持ちがわかったかな……?

 

 

 アベルはチラッとアリアに目配せする。

 ……アリアと目が合うと、彼女は首を横に振り振り。

 

 

「……っ、下のぞいちゃダメ。危ないから……」

 

「…………ぷっ! はははっ! 君がそれ言うんだっ?」

 

 

 先ほど自分が注意を受けたにも かかわらずにアベルを諫めるアリアにアベルは思わず吹き出してしまった。

 




この滝口……湧き水にしては量が多過ぎなんですよ……。
川から滝に至るわけじゃないっていうのがどうにも気持ち悪い(何のこだわりよw)
あ……ビルダーズ1の水わく青石が置いてあるってことにしておくとちょっとすっきりしますね。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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